チーム・エルガドのブレーン、モンスター研究所の優秀な仲間たち

・本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」全編および、一部シリーズ他作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』および2023年9月29日発売『HAUNTING OF THE SUN モンスターハンターライズ:サンブレイク 公式設定資料集』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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本記事では調査隊員のカルゴとクランについて取り上げていきます。バハリの同僚で研究所に所属する彼らは、王国騎士団と並んでエルガドの調査研究の中核をなす存在。そんな彼らもまた、さまざまな想いや目標を胸に最前線の観測拠点を志願し、モンスターの研究によって騎士やハンター達を陰ながら支え続けています。今回はそんな彼らの人となりや仕事の様子にフォーカスしていきましょう。

 

ーーーー目次ーーーー

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1.王都の家族のために奮闘する、調査隊の優しいお父さん・カルゴ

 

なるほど、あんたが例のハンターだな? 俺はカルゴだ、よろしくな。

ここにいるヤツらは、まぁ…中には そう見えねえモンもいるかもしれねえが、みんな頼りになるヤツばかりだ。

どんと信頼してくれて構わねえよ。もちろん、俺のこともな!

(エルガド到着直後 カルゴ)

 

カルゴはエルガドの調査隊員の中でも歴の長いベテランで、初対面の主人公にも温かくフランクに接してくれる仲間想いな性格。後述するように、彼は王都に妻子がいる父親であるということもあってか、拠点の調査隊ギルドの中でも、他の皆を厳しくも優しく見守るパパのような存在です。

 

実務面においても、彼は調査隊員全体の監督という重要な役目を調査隊ギルドから任命されているようで、色々な意味で個性豊かなエルガドの調査隊のメンバーをまとめるのに日々尽力しています。

 

もし誰かサボってるヤツがいたら 教えてくれよ? これでも、エルガドの調査隊員をまとめるのが俺の仕事でな。

ギルドに長くいると、こういう面倒な役回りを押しつけられるんだよなぁ。やれやれ、現場仕事に戻りたいぜ…。

(マスター★2 カルゴ)

 

この調査隊の監督という役目は、研究所の仕事を統括するバハリのような、各部署の業務におけるリーダーというのとはまた別の役職ということなのでしょうね。各隊員の勤務態度への目配せや、業務上・精神面・組織内の諸々の事についての相談・ケア・調整役をするポジションはそれぞれの部署の事業のトップと兼任すると荷が重く、またこうした役回りには向き不向きもありますから、特定の一人に負担が集中することを避けつつ適材適所な組織運営ができるように、カルゴのような役割の人物が必要とされているのでしょう。

 

こと作中においては、先述のバハリのような突出した才能の活躍が目立ちやすいものですが、カルゴのように陰で全体を支えてくれる存在があってこそ、エルガドの組織全体がうまく回っているというもの。エルガドの隊員の中には仕事をサボって釣りに熱中するなど、およそ最前線の拠点とは思えないほど緊張感のないメンバーもいたりいなかったりしますから、彼の役割はとても重要なものです(とはいえ、そういう人物の存在がエルガドという場所に生活感やリアリティを生み出しているという側面もありますし、そのおかげで前線でありながらも、息の詰まるような感じのないのびのびとした雰囲気があるように思います。むろんいずれにしても、程度というものはあるわけですが…)。

 

カルゴ自身はこうした役回りを面倒くさがっているフシはあるものの、エルガドの調査隊の皆のことは世話の焼ける存在ではあれど同時に誇りにも思っているようで、仲間への気遣いやフォローが感じられる会話がとても多いんですよね。以下、それを順に追っていきましょう。

 

あんたを調査隊の不始末に巻き込んじまうのは悪いが、あいつのこと…俺からも頼むよ。

たしかにちょっと面倒なヤツだし、自分勝手なところはあるが…いや、あり過ぎて困るんだが、それでも大切な仲間でな。

それに、あの発想は俺達には真似できん。保証するぜ、あんたの助けにもなるはずだ。

(マスター★2アンジャナフ前 カルゴ)

 

同僚のバハリについて、彼のリスクを省みない行動について主人公にお詫びを入れつつ、才能のある大切な仲間だから助けてあげてほしいと頼むカルゴ。結局バハリはすぐに帰ることなく現地で調査を続けることになり、彼を連れ戻すことはできなかったわけですが、帰還した主人公にカルゴは次のように言います。

 

おいおい、バハリのヤツ… 礼も言わずに行っちまったって? しょうがねえな、まったく…。

とにかく…あんたには感謝しかねえ。今度、おごらせてもらうぜ。もちろん 断るなんてヤボはナシだ。分かるだろ?

(マスター★2アンジャナフ後 カルゴ)

 

助けに来た主人公にお礼も言わずに去ってしまった同僚の代わりに、主人公の足労に謝辞を述べるカルゴ。今度ご飯をおごらせてもらうのに免じてバハリのことはどうか許してやってほしい、ということを言外にさりげな~い形で伝えるところに、苦労人……いえ、自由人なバハリをフォローしてあげる大人の対応が感じられます。主人公も主人公で、責任はないとはいえ任務の最終目的であったバハリの連れ戻しは出来ずじまいでしたから、こうしたカルゴからの労いは嬉しいハズです。

 

カルゴは調査隊員たちの身の安全を管理職としてあずかる立場でもあるゆえに、いかにフィールドワーク慣れしているバハリといえども、仕事のために無茶をすることには人一倍心配をしています。ガレアスがフィオレーネのことを叱っていたときも、部下を大切に想うガレアスの気持ちに共感する様子を見せていました。

 

提督が声を荒げるのも珍しいな…。だが、俺も調査隊のヤツらを抱える立場としちゃあ、同じ考えだ。

若いときってのは、そりゃあ誰でもがむしゃらになるモンかもしれねえけどな。…難しいところさ。

(マスター★2緊急前 カルゴ)

 

カルゴもまだ若手の調査隊員だった頃には、同じように自分の身体を省みずに仕事に打ち込んでいた時期があったのでしょうか。特に前線勤務のエルガドとなれば、どの部署もやることは山積みでモンスターの危険とも隣り合わせです。そんなこの場所で苦楽を共にする仲間のことを、カルゴは家族のようなものだと言っており(後述)、無理をしてほしくないと心配する気持ちと、がむしゃらに頑張りたい姿勢をなるべく尊重してあげたい気持ちとの葛藤が常にあるようです。

 

カルゴの場合、先述の台詞で「こう見えてもまとめ役」と自嘲気味に言っていたところから察するに、ブレーキが少なめな部下に指導して自制させる、というような振る舞いは特に苦手寄りなタイプに見えますから、上司として、長所にも短所にもなる部下の個性とどう付き合っていくかというのは、ガレアスのみならず彼にとっても永遠の課題と言えそうです。

 

…まぁ、エルガドの調査隊の若手メンバーの様子を見ていると、フィオレーネのように真面目すぎるあまり、というよりは、仕事をサボって釣りに熱中したりなどかなりマイペースな方向に個性的なメンバーが多い印象はありますが、そうした仲間に割り切って強く出ることができないゆえに監督役として真面目に頭を悩ませてしまうというのも(勿論これは美点でもあるのですが)、彼が今の役目を「メンドーな役回り」と表現するところの意味合いの一部に含まれているのかもしれません。

 

さて、話を戻しまして。先の台詞の後の展開では、フィオレーネがメル・ゼナから調査隊の仲間を庇って毒で倒れてしまうことになりますが、その際の会話の内容が筆者はとても好きなんですよ。

 

フィオレーネが倒れたんだって? …そうか、そりゃあ心配だな…。

エルガドにいるみんなは…なんというか。家族みてぇなモンだからな。それぐらいみんな心配してるに違いねぇ。

俺も、あとでお見舞いに行かせてもらうよ。エルガドみんなのお姉ちゃんだからな。はやく元気になってもらわねぇと。

(マスター★4ライゼクス前 カルゴ)

 

ここで何気なく使われている「家族」という語ですが、サンブレイクのエルガドのストーリーにおいて、「家族」という言葉を初めて聴くことができるのがこの台詞なんですよ(筆者調べ)。後に最終アプデの原初を刻むメル・ゼナのストーリーの最後でガレアスにも「エルガドの皆は家族だ」という旨の台詞がありますが、初出のタイミングはここのカルゴの台詞なのです。

 

エルガドの皆の精神的支柱であったフィオレーネが仲間を守ろうとして病床に伏してしまったことで、「フィオレーネに元気になってほしい」という想いのもと、エルガドの中に一層強い団結が立ち上がってくる。そんな中でこの「家族」という言葉を聞くと、共に災禍を乗り越えたカムラの里の家族のすがたが脳裏に浮かんでくるもので、エルガドの仲間ともそういう風に支え合って、この危機を乗り越えていきたい……という気持ちにさせてくれるんですよね。

 

個人的には、フィオレーネを「エルガドみんなのお姉ちゃん」と言っているのがすごく好きだったりします。カルゴから見ればフィオレーネは年下ですから、彼個人の視点ではフィオレーネは「お姉ちゃん」と呼ぶような存在ではないわけですが、この台詞は「エルガド全体をひとつの家族として譬えたときに、フィオレーネはお姉ちゃんのような存在だ」と、彼が日頃エルガドを見守る中で思っているということがここの言い回しに反映されているんですよね。大人から見てきょうだいの上の子を「お姉ちゃん」と呼ぶ感覚にも似ているのかな。家庭的な彼らしい感覚ですね。

 

カルゴ自身、フィオレーネの姿に自分の娘をなんとなく重ねている(といっても、彼の娘はフィオレーネよりはだいぶ年下ではあるのですが)フシがあり、病床に伏しているフィオレーネの辛そうな顔を見て、自分の娘が同じように苦しむ姿を想像してしまったとのこと。

 

なんだよフィオレーネのヤツ、ずいぶんケロッとしてやがるじゃねえか…! …ま、これでひとまずは安心できるぜ。

じつはよぉ…もし万が一、自分の娘がおんなじ目にあったらと想像しちまって、俺も気が気じゃなかったんだ。

あんたの前だってんで、ちょいと強がってみてはいたが…。

内心は結構びびってたんだ。おっと…今の話、他のヤツらにゃ秘密だぜ?

(マスター★5緊急前 カルゴ)

 

フィオレーネについての報せを聞いた時のカルゴはあまり動揺せず落ち着いた様子でしたが、これは多くの部下をまとめる立場として調査隊の部下たちをいたずらに不安な気持ちにさせないためだったようで、緊急の任務では彼女とバディを組んでいる相棒であり、彼女の救出のために奮闘する主人公の心情にも気を遣ってのことだったようです。普段は年長者として周囲をネガティブな空気にしないようなしっかり者の振る舞いを心掛けている人物が、たまにこうして人間らしいところを見せてくれる、この責任感のオンオフ具合がカルゴの魅力なんですよね~。

 

カルゴは主人公に対しても、不慣れな新天地に着任した当初から、主人公が仕事に馴染めているかどうかをとても心配してくれていました。

 

どうやら、さっそく馴染んできてるようだな。結構、結構。

調査の方針も、正式にあんたの参加を前提としたものに変わりつつあるらしい。

つまり、あんたはもう立派な戦力として 騎士団に認められたってことだ。大したもんだぜ、なあ!

(マスター★1ヨツミワドウ前 カルゴ)

 

カルゴは長年調査隊ギルドに勤めている人ですから、モンスターへの対処において協力体制を築いている王国騎士団、そのトップとして皆を牽引するガレアスとの付き合いも長いハズ。ガレアスはあまり多くを語らない性格で、それによって騎士団や実働ブダイの中に良い意味での緊張感がもたらされている側面もあるのですが、新天地で自分の存在が必要とされているのかどうか、主人公としては気になるのも事実。カルゴのように上の事情を知る人が、こうして良い塩梅に実績を評価をしてくれると非常に安心感がありますね。

 

次から次へと、あんたも休むヒマがねえな。何しろまた緊急クエストだろ?

俺は何もしてやれねえが 頼れるヤツには、ちゃーんと頼れよ。いや、あんたには言うまでもねえことか。

(マスター★4緊急前 カルゴ)

 

カルゴ自身も何かと忙しいでしょうに、多方面から力を必要とされて多忙な日々を送る主人公を気遣うカルゴ。何かと無茶をしがちなフィオレーネという存在が普段近くにいるからか、あるいは彼の部下にも心身を犠牲にして自分を追いこみ過ぎてしまうタイプの人物を見ているからなのか、仕事の責任や負担をひとりで抱え込まないようにしてほしい、とチームワークに気を配っています(こういう所はバハリにもありますが、ひょっとすると彼からもフィオレーネの性格の話を聞いているのかもしれませんね)。

 

主人公はカムラの里の家族で支え合う文化の中で育った人ですから、その点についてはカルゴも特段心配してはいないようですが、それにしてもカルゴは主人公が来てからの決して長くはない付き合いのなかで、よくそれだけ主人公のパーソナリティを観察しているものだなぁ…と感心します。彼自身の優しい性格もさることながら、調査隊という大きな組織を運営するにおいて、それぞれのチームの中できちんと仲間同士支え合うことができるよう、誰か一人が仕事を色々と任されて背負い込んでしまうことはないか、人間関係でそういうことになりやすい性格の人はいないか等、皆を見守る上司として日々皆のことを観察するという、陰ながらの努力を感じさせる台詞です。

 

フィオレーネの件の時にカルゴは「エルガドの皆は家族のようなもの」だと言っていましたが、何かと苦難の多い前線において仲間同士がいかに助け合うか、そしてそのために調査隊の監督役である自分がいかに行動すべきかということについて、彼はすごくこだわりを持っているんですよね。調査隊の皆の上司というよりは、雰囲気としては皆のお父さんのような立ち位置です。本人は今の役目について「メンドーな役を押し付けられちまった」などとボヤいていましたが、むしろ彼のような人物だからこそ、調査隊全体を厳しくも温かく見守る役目に相応しいと信任を受けているのだと思います。……まぁ、そうした役目が何かと回ってきてしまうのが彼の受難でもあるわけですが……。

 

そんなカルゴさんですが、ストーリー終盤では、主人公に対してちょっとした仕事のボヤきをこぼしてくれるシーンも。

 

大物がいなくなったおかげで 少しは落ち着いて調査できると思ったが、どうにも楽をさせてはくれねえな…。

…おっと、悪い。一番大変なのは あんたらハンターの方だよな。

なんだか、あんたとはずいぶん前から一緒にやってるような気がして、ついついボヤいちまったぜ。ま、カンベンしてくれ。

(マスター★5シャガルマガラ前 カルゴ)

 

研究所もハンターに負けず劣らず忙しい部署ですが、その仕事のガス抜きの相手として無意識に主人公を選んでくれているというのは、彼からの信頼の証。「つい最近会ったばかりなのに随分長くやってるような気がする」というのは、言われて嬉しい言葉ランキング(?)でもかなり上位に入るフレーズだと思います。それでいて自分が失言をしてしまったと思った時には、親しい仲間に対してもすぐに詫びを入れて撤回するムーブも非常にスマート。

 

そして、主人公の活躍がカルゴの仕事に与えている影響は、彼との信頼関係の他にも重要なものがあるようです。

 

あんたの都合を考えずに勝手を言わせてもらえれば…俺も提督と同じ意見さ。できればしばらく、ここにいて欲しいぜ。

ハンターとしてのあんたの腕が頼りなのはもちろんだが、俺としちゃあ それよりも大事なことがあってな。

こっからいろんな奴らの仕事ぶりを見てると よーく分かるんだよ。調査隊はみんな、あんたからいい影響を受けてるってな。

面倒かけて悪いが、そういうワケだ! もう少しだけ俺達に付き合ってくれ。たまにはおごってやるからよ。…な?

(マスター★6 カルゴ)

 

調査隊の部下たちの面倒見役のカルゴにとって、彼らが主人公に触発されて成長し、より一層仕事に精励する姿勢を見せてくれているのは、何よりも喜ばしいことです。ガレアス提督が王国内外を問わず優秀な人材をエルガドに集めたのはひょっとすると、前線の戦力層の拡充というのみならず、身内だけではどうしても調査隊組織内の緊張感にゆるみが出てしまうところに新風を吹かすことで、仲間同士が互いの仕事ぶりを見て刺激し合い、切磋琢磨するような好循環を生み出すねらいもあったのかもしれません。サボっている隊員を監視する(?)というカルゴの大変な役回りも、これで少しは楽になる……はず……? 楽になってほしいなぁ……。

 

さて、話は変わりまして、カルゴは優秀な研究員のひとりであるばかりではなく、先述したように、王都に妻子がいる父親でもあります。彼は家族のことをとても大切にしていて、特に彼の愛してやまないひとり娘については、会話の中でも頻繁に話題にあがるほどの溺愛ぶり。

 

まだ着いたばっかだろうが、すぐに慣れるさ。

何しろ、ここにはここのよさってモンがあるからな! 欠点があるとすれば、あ~…アレだ。

王都で待ってる自慢の娘に、なかなか会えないってとこだな…うん。

しょっちゅう手紙は送ってるんだがなぁ…。あ、いや…すまんな。とにかくアレだ、俺の娘は、最高にかわいいってこと!

(エルガド到着直後 カルゴ)

 

後半の短い2行の中に2回も彼の愛娘についての自慢が入るという、この愛情の密度の高さ。エルガドは王都からも海を隔てた場所にある拠点ですから、カルゴもなかなか王都に戻るということはできず、ふだんは家族とは手紙でのやりとりを交わしているようです。……しかしながら、そんなカルゴにはちょっとした悩みがあるようで。

 

なんだって? 妙に機嫌がいいって? はっはっは、まあな!

王都で待ってる愛しの妻から 手紙が来たんだ。当然よ!

俺が留守にしてるせいで、家の中がどうにも静かでしょうがねえらしいや! こいつは、早く帰ってやらねえとなぁ!

………はぁ~。でも、でもなぁ……。やっぱ、娘からは手紙が来ねえんだよなぁ。正直、さびしいぜ…。

(マスター★3 カルゴ)

 

家族とは手紙で連絡を取り合っている……とは言ったものの、愛しの奥様の方からは手紙が来るのですが、お嬢さんの方からは手紙がなかなか来ないようで、カルゴはそのことをちょっぴり寂しく思っているようです。

 

実際のところ、これはある種の通過儀礼のようなものといいますか。奥様の手紙からも察するに、カルゴは家庭では明るくて優しい良い父親であることは間違いなく、お嬢さんから嫌われているというわけではないようなのですが、当のお嬢さんの方はちょうど難しいお年頃のようでして、幼少期は父親にべったりだったとしても、必ずしもその延長線上で仲良し関係でいられるわけではなく、父親との距離感が難しい……と、悩むような時期なんですよね。

 

おとなしいはずのガランゴルムが、なんで生態を変化させちまったのか…。俺には想像もつかねえな。

それに、小さい頃は俺にひっついて離れなかったうちの娘が、今じゃあろくに口をきいてくれねえのもでかい謎だぜ…。

…俺、なんかしたかなぁ? ホント、年頃の娘ってのは 未知のモンスター並に分からんぜ。

(マスター★3 カルゴ)

 

思春期の自分の娘と未知のモンスターとを同じ土俵に並べるのはどうなのかと思わないでもありませんが、色々なモンスターの生態に詳しいベテラン研究員のカルゴをもってしても(?)、愛娘の気持ちを理解するにはなかなか至らない様子。思春期はそういうものだと頭では分かっていても、気持ちの面ではそう簡単に割り切れず、不安になってしまうものですよね。カルゴ自身がお嬢さんのことを特に大切に育ててきたからこそ、昔と今とのギャップの大きさに困惑してしまう、というのはなかなか難しいところです。

 

……と、そんな感じで家族想いなカルゴさんですが、こうして観測拠点での前線勤務となれば、拠点には信頼できる王国騎士団や優秀なハンター達がいるとはいえどもモンスターとの接触の危険が増えるのは免れ得ませんから、最前線で王国のために働くことの意義というものが大いに理解できるものであっても、一方ではカルゴの身に万が一のことがあったら……という不安が拭いきれないものですし、カルゴ自身もエルガドでの勤務を決意する前には、王都に残す妻子の気持ちも考えて(とはいえもちろん、逆に家庭を持っていなければ自分の身を軽んじてよい、というわけでもありませんが)、口には出さぬものの少なからぬ葛藤があったに違いありません。

 

そうした懸念が考える中でもなお、彼がエルガドでの勤務を志願したのは、次のような理由があるようです。

 

メル・ゼナと言やあ、嘘か本当かも分からねえ話も合わせて、王国民から恐れられているモンスターだ。

そいつが現れたなら、何を置いても居所を突き止めたいところだぜ。ここの誰だって、同じ思いのはずだ。

もちろん俺も、王都の家族を危ねえ目には遭わせたくはねえからな。俺がこの拠点を志願したのも、それが理由のひとつさ。

(マスター★4 カルゴ)

 

「王国の危機から家族を守るために、最前線の拠点で王域生物の調査研究をする仕事がしたい」というのが、カルゴがエルガドの調査隊に志願した大きな理由のひとつ。王都にいれば自分は家族と一緒にいられるけど、前線に行かなければ自分の手で家族を守ることができないというのが、一人の研究者/家庭人としての彼の答えであったのだと思います。

 

もちろん、王国の女王陛下がその行動を以て作中で示したように、王都は王都だからこそできる役割というものもあるのですが、王域生物の異変を直接解決できるのはやはり前線ですし、王国の危機は平等に皆の危機なのだから、前線に出向く出向かないということについて、家庭があるからどうこうというような考え方を一度抜きにして純粋に自分の心を決めたいと思った、という側面もひょっとするとあるかもしれませんね。

 

家族を想う気持ちは固くとも、そのために具体的にどう行動するか、という天秤には一定の正解がない。実際、調査隊各員にこのような悩みが出ることが考えられるからこそ、カルゴのような幹部クラスの隊員に対しても、調査隊ギルドは各人が考えて選択できるよう志願制を採っているのでしょうから。その意味ではカルゴもまた、「家族」というものの難しさというテーマを背負ったキャラクターですよね。

 

ちなみにカルゴ的には、エルガド勤務のあいだ当分家を空けることについて、ちょっとしたメリット(?)もあるかもしれないと考えているようです。

 

考えてみりゃあ、メル・ゼナの討伐で調査が終わるってワケでもねえか。家に帰れるのも、まだ先になりそうだな。

まあ正直…急ぐことはねえんだよな。いっそ長めに留守をしてから帰ったほうが、娘も俺のありがたみを痛感するだろうぜ!

………。 …そうだよな? おい、そのはず…だよな?

(マスター★5 カルゴ)

 

家族が恋しい気持ちの裏返しとして冗談で言った台詞にも見えなくもありませんが、思春期の娘からどう思われているか不安だというこれまでの話を鑑みるに、若干……いや、割と本気で言ってそうなんですよねこの人。まぁ、目下の目標であったメル・ゼナを討伐して調査の区切りの目処が立ち、ひとまず大きな危険もなくなったからこそこういう軽口も言えるようになった、というのは良いことかもしれませんが…。

 

しかしながら実際のところ、親子関係が少しギクシャクしてしまったときにいったん距離を置いてみるというのは、無理に距離を縮めようとするよりも時には有効だったりするもの。そしてカルゴの淡い期待は、遠からず実現することになります。

 

聞いてくれよ、ハンターさん。しばらくぶりに、娘から手紙が届いたんだよ! …なあ、なんでだと思う?

大活躍してるあんたの噂を聞いたんだと。それで、あんたと働く俺のことを ちょっとは誇りに思ってくれたらしいや。

やれやれ…少しは親としての尊厳を取り戻せた気がするぜ。ありがとよ、ハンターさん!

(マスター★6 カルゴ)

 

おお……!! ついに念願の愛娘直筆のお手紙がカルゴのもとに……! 「なんでだと思う?」という続きを話したくてしょうがない人のテンプレみたいなムーブで話を振ってくるあたり、その喜びが滲み出ています。

 

あれだけ待ち望んでいた割には「ひゃっほう!」的な感じのハイテンションではないようですが(まぁ、その辺の切り替えはきちんとするタイプなだけかもしれませんが)、これはむしろ、いざこうして手紙が届いてみると「これまで家族のためにエルガドに勤めて良かった……!」と、しみじみと感動を噛みしめているような心持なのかもしれませんね。いずれにしても、エルガドの仲間と共に王国と家族を守った父親として、彼が王都の我が家に帰ることのできる日が待ち遠しいですね。

 

 

2.王国騎士フィオレーネのライバル? 一流を目指す自信家の研究員・クラン

 

続いては同じく調査隊員のクラン編です。クランはフィオレーネとの関係が深い人物で、以下のフィオレーネの記事でもフィオレーネ関連の台詞に触れておりますので、よろしければ併せてご覧下さい。

 

mhrisecharacter.hatenadiary.jp

 

あえて研究員の増員ではなく、あなたみたいな腕利きのハンターを連れてきたフィオレーネの考え…私にも伝わったわ。

それは、エルガドにはもう優秀な研究者がいるから…つまり、私への信頼ってワケね。…分かってるじゃない、フィオレーネ。

…えっと、ごめんなさい。挨拶が遅れたわね。私はクラン。よろしく頼むわ。カムラの腕利きさん。

(エルガド到着直後 クラン)

 

クランは調査隊研究員の中では比較的若手のメンバーですが、自己紹介でも自分を「優秀な研究者」と言い切るかなりの自信家な人物です。彼女は王国騎士フィオレーネのことを自分の認めたライバルだと思っており、彼女がカムラからハンターの主人公を連れてきたことについては、自分は互いの実力を認め合う好敵手としてフィオレーネから信頼されているのだと謎に納得しているご様子。なんか早くもフィオレーネに対して何かしらデカい感情を抱いてそうな雰囲気が……。

 

あなたの働きぶり、騎士団の皆も注目してるみたいね。評判通りの実力なのかどうか…って。

もちろん私は何も心配してないわ。だって、私が認めたライバル… フィオレーネが見込んだハンターだもの。

(マスター★1 クラン)

 

フィオレーネの記事でも紹介したように、クランはフィオレーネとは結構長い付き合いであるようで、カムラの里に正式に着任することになり王国を離れている時間が長くなった妹のロンディーネの代わりに、フィオレーネが任務で無茶をしないかどうか見守り、ロンディーネと連絡を取り合う……というほど親交が深く、お互いのことをよく知っている様子。彼女らは年齢的にも近いようですから、彼女らがそれぞれ王国騎士団/調査隊ギルドに加入したのがだいたい同じ時期で、互いに新米の頃から王国で一緒に仕事をして、共に成長してきた仲、という感じなのかな。

 

ここで働く研究員の中で、バハリさんの研究についていけるのは、そうね…。やっぱり、私くらいじゃないかしら?

フィオレーネが提督の副官であるように、私はバハリさんの片腕…的な? ほら、全然負けてないでしょ? 私も。

(マスター★3 クラン)

 

エルガドにおいても、ガレアスの右腕であるフィオレーネに対して自分はバハリの右腕なのだ……と、自分と対になる存在としてフィオレーネのことを常に意識しているようです。こうした自信満々な会話からも察せられるように、彼女はキャリア志向/成長志向がとても強い所謂バリキャリ的な(そういう言葉がモンハン世界にあるかどうかは不明ですが)価値観の人物で、彼女がエルガドの調査隊を志願したのも、王国の危機の元凶に直接立ち会うことのできる最前線において、大きな実績を残したいというのが第一の動機であるようです。

 

私は、何か大きな研究成果を残したくて調査隊に参加してるの。利己的に聞こえるかもしれないけど、正直な気持ちよ。

もちろん…それが結果的に王国やあなたの役に立つのなら、嬉しいわ。お互いのため、がんばりましょうね。

(エルガド到着直後 クラン)

 

「利己的に聞こえるかもしれない」と彼女は言っていますが、自分自身の実績を求めて調査隊に参加すること自体は決して悪いことではなく、むしろ個々人のキャリアということを考えれば然るべき理屈ですらあると思います。異変の最前線というのはそれだけ様々なモンスターとの出会いがあるのですから、ハンターや騎士、研究員が功績を立てたり、或いはバハリやフランのように溢れ出る研究/狩猟意欲を満たしたりするような機会として、これ以上ない絶好の場であることは事実。

 

エルガドの調査隊に参加する全員が「王国を護りたい」という動機が第一である必要はなく、むしろそうして変に画一化された集団よりも、めいめいが様々な理由やバックボーンを持った人々が集って形成された集団であるほうが、却って組織全体の活性化にも繋がるはずです。その意味ではこのクランの台詞も、多様な価値観を持った個人が入り交じりつつ協力し合うエルガドという場所を象徴するものであると思います。

 

むろん、利己的になりすぎる余り調査隊の連携を乱すようなことは厳禁ですが、クランに関してはそのような人物ではありませんし、自らの職務に誠実であれば、胸を張ることを躊躇う必要は何もないというもの。クランも自らの研究員の仕事を通して、騎士団やハンターをサポートしたいと意気込んでいます。

 

あなたの資料、読ませてもらったの。命がけで故郷を護りながら、あれだけの発見を重ねるなんて…尊敬に値するわ。

悔しいけど、私たちはモンスターと直接渡り合うことなんてできない。だから、あなたや騎士団の力が頼りなの。

でもその代わり、研究で成果を出してしっかりサポートするつもりよ。安心して? これでも私、優秀なの。

(エルガド到着直後 クラン)

 

そんなクランに転機が訪れるのは、彼女がライバルと認める王国騎士のフィオレーネが、調査隊の仲間を庇ってメル・ゼナの攻撃に被弾し、しばらくしてその毒で突然倒れてしまった時。クランはフィオレーネのライバルというだけではなく、彼女と以前から親交のある理解者として、彼女が任務で無理に自己犠牲に走るようなことがないかどうか人一倍心配していましたが、その懸念がついに現実のものとなってしまったことで、クランは動揺を隠せない様子。

 

フィオレーネ……! そんな…検査結果では異常ナシだったのに…!

…ごめんなさい。研究を急がなきゃいけない私が、取り乱してる場合じゃないわね…。

…いまの私にできることは メル・ゼナとキュリアの謎を解明するために 彼女の状態を観察、分析すること…。

こんな時だからこそ 研究者は落ち着かなければいけないわ。治療法は、あなたたちに任せたわよ。

(マスター★4ライゼクス前 クラン)

 

どうにか平静を取り戻して研究員の本分を全うしようとするクランですが、内心は複雑です。メル・ゼナの突然の襲来というあの危機的状況で、自分の身を引き換えにしてでも調査隊の仲間を守り、騎士としての使命を全うしようとしたフィオレーネと比べて、モンスターの調査を専門に受け持つ研究員でありながら、目下のキュリアの脅威がフィオレーネを蝕んでいることに気づけなかった自分、そしてその治療法について、主人公やタドリのことを頼るしかない自分――。

 

これまでは「フィオレーネのライバル」だと自信に満ちていたはずだったのが、今回の件でフィオレーネと今の自分とには決定的な差があるという事実を突きつけられたことで、改めて自分自身を見つめ直したクランは、エルガドに来てからの自分の仕事のこと、フィオレーネのことを本当はどう思っているのかということについて、飾らない気持ちを主人公に語ってくれます。

 

ここに来る前、私は自分に絶対の自信を持っていたの。あとは調査隊で経験さえ積めれば、最高の研究者になれる…って。

でも、そうじゃなかった。実際の現場では自分の知識が通用しないことだらけで…。

結果を出せない自分に、いつも焦ってたの。そんなとき、いつも輝いていたフィオレーネが私の目標になってくれた…。

だから私、彼女には戻ってほしい。また、前のように彼女を追いかけたいの。

お願い、○○…。フィオレーネを助けてあげて…!

(マスター★4ライゼクス後 クラン)

 

クランのこれまでの台詞について、色々な謎が解けるのがここの会話ですね。クランの元々の自信というのは決して無根拠なものではなく、おそらく彼女は一流の研究者になるために人一倍勉強を積み重ねてきて、王都の研究所での調査研究においても着実に成果を上げてきたのだと思います。その知識量に関して確かなものがあるということは、彼女の別の台詞からも窺えるところです。

 

しかしながら、現場の経験値というのはどれだけの座学を以てしても代替の効かないものであり、自分のこれまで蓄えた知識が実際の自然にかならずしも通用しないという壁にクランはぶつかることになった。これは彼女の能力が足りないとかそういう話ではなく、一流を目指そうとすれば誰もが通ることになるひとつの通過儀礼なのでしょう。

 

そんな精神的に苦しい状況の続く中で、クランが「フィオレーネは自分の認めたライバルだ」とこれまで自信ありげに何度も話していたのは、心の奥底では彼女はフィオレーネのことを自分の一歩先を行く道標として憧憬の気持ちを抱いており、そのフィオレーネの「ライバル=対等な好敵手」の位置に自分があることを強調することで、なかなか研究が大きな成果に結びつかない自分のメンタルを保ち、自分自身を必死に鼓舞していた、という意味があったのだと思います。

 

フィオレーネの記事の方で言及したように、クランがフィオレーネの過度に献身的な一面に対して何かとやきもきしたり心配したりしていたのも、フィオレーネの騎士としての能力と精神を深く尊敬しているからこそ、それが悪い方に傾いたときの危うさも人一倍理解していることや、そうして無茶をしすぎた先に、自分の道標であるフィオレーネが自分の前からいなくなってしまうことを心のどこかで恐れている、というようなことがその背景にあったのかもしれません。

 

いずれにしても、自分のことで常にいっぱいいっぱいだった自分と、騎士の使命のもと仲間を献身的に守ろうとしたフィオレーネとでは、見えているものの広さ、背負っているものの大きさが違う――そのことを身に沁みて心に受けとめたクランはこの一件以来、研究の仕事に取り組むスタンスを大きく変えるようになります。

 

最近の出来事…自分を見つめ直す いい機会になったわ。私はもう、フィオレーネとは張り合わない。

彼女は、危険をかえりみずに仲間を守ってくれた。私の研究もまた…騎士団やあなた達に捧げるものでありたいの。

きっとそれが、調査隊の最高の形よね! ふふ…。こんなこと、考えてみれば当たり前のことかもしれないけど。

でも、気づけてよかったわ。ありがとう…。…これでも、あなたへのお礼はまだまだ言い足りないわ。だから、無事に戻るのよ。

(マスター★5緊急前 クラン)

 

今までのクランは「エルガドで実績を残すこと」が第一の目標で、それが結果的に王国騎士団やハンターたちの力にもなれば良い、というスタンスで研究に取り組んでいましたが、フィオレーネ復帰後のクランは「仲間を守るため」に研究をするという、新しい目標を彼女の行動から学び取っています。

 

彼女自身も以前の会話で言っていたように、研究員は自分たちでモンスターを狩猟できるわけではなく、研究サンプルを入手したり、危険なモンスターから身を守ったりするには騎士やハンターの力を借りなくてはならない。そのような立場にある研究者が自分の研究のことに視野を狭めてしまうと、研究者が騎士やハンターに一方的に守られるという構造を動かすことができず、エルガドの皆で支え合うということを十分に実現しえないのではないか。

 

前線で武器を取る騎士やハンター達の負担や危険を少しでも減らし、そして自分の敬愛するフィオレーネが、王国やエルガドの皆のことを独りで背負わなくてもよくなるようになるためには、自分もまた仲間の為の研究に意識を向けることこそが肝要なのではないか。フィオレーネの一件を経て、クランはそのような精神的な再出発を果たすことができたようです。

 

どういう姿勢で研究と向き合うべきか…。自分の中でそれがはっきりしてからは、不思議と視野も広がったような気がするわ。

あのとき、カムラの里からあなたを連れてきてくれたフィオレーネには感謝しないと。

そうそう。もちろんあなた本人にも、ね。…ふふ。

(マスター★5 クラン)

 

メル・ゼナの件ではフィオレーネを救うために奔走し、重要な任務では彼女とバディを組んで支え合って来た主人公の存在も、クランにとっては自身の目標のひとつ、自分もそうありたいと思う姿のモデルになったようですね。ここで「主人公を連れてきてくれたフィオレーネに感謝したい」と、自分が目指すべき道をその行動で示してくれたフィオレーネの話が自然と先に出てくるあたり、彼女が本当にフィオレーネを慕っていることがよくわかります。

 

キュリアを利用して、メル・ゼナや他のモンスターの力までも手に入れた おとぎ話の存在、「深淵の悪魔」…。

いえ…どんなに強大な存在でもそれが生物なら、私達にも対抗手段はあるはずよ。大丈夫…。討伐はきっと成功するわ。

この確信は、あなたがフィオレーネの見込んだハンターだからじゃないの。

今のあなたはもう、私やエルガドの皆が認めたハンターだから。信じる理由としては、じゅうぶん過ぎるでしょ?

忘れないでね…。あなたにはエルガドの皆がついている。帰りを待ってるわ、○○。

(マスター★6緊急前 クラン)

 

ガイアデルム討伐前のこの台詞は、MR★1のときの、主人公に対する「あなたは自分のライバルであるフィオレーネが認めたハンターだから心配していない」という台詞とちょうど対になっていますよね。フィオレーネの一件を経て辿り着いた「仲間のための研究」という新しいスタイルがすっかり堂に入ったことが窺えるのと同時に、以前のクランはフィオレーネに対して「ライバル」という関係を通して一種の精神的依存のようなものを抱いていたのが、ここではすっかりそこから脱却し、迷いが無くなったことも分かる台詞です。

 

目下の標的であるガイアデルムを無事に討伐し、研究所も通常業務に戻ってからは、クランは積極的にフィールドワークにも出るようになっています。

 

私、最近は現場での調査にも出るようにしているの。もちろん危険はあるけど… それ以上に、得られるものの方が多いわ。

それに外での活動に慣れたら… いつか、あなたやフィオレーネと一緒に調査へ出られるかもしれないじゃない?

えっと…今のは、あなただから言ったのよ。ここだけの話だから、ねえ、聞いてる? …そう、分かってくれるならいいの。

(マスター★6 クラン)

 

フィオレーネの相棒である先輩研究者のバハリや、豊富な薬学の知識で彼女を救ったタドリのスタイルに倣って調査をすることで、幅広い知見から騎士団を支える研究者に近づきたい、狩場でモンスターと渡り合う騎士やハンターの目線を体感し、彼らが自然の中で遭遇する危険について理解したい……といった自分自身の成長を、彼女はフィールドワークの中に見出しているのやもしれません。この辺の資質や勉強熱心さはさすがのクランですね。

 

そして、自分が現地調査に慣れた暁には、フィオレーネや主人公と共に狩場に赴きたい、という目標を語ってくれるクラン。一番の憧れであるフィオレーネの近くで仕事をしたい、という夢をフィオレーネ自身に対して告げるのには自分はまだ小さくて、恥ずかしい気持ちがあるので、彼女には言わずにここだけの内緒の話にしてほしい、と主人公にだけ密かに照れくさそうに話してくれるこのシーン、初期の雰囲気とは大きく違う、一皮むけた素直で繊細な姿のギャップがたまらんのですよ(急に何)。王国の新たな名コンビの誕生も、そう遠くはないかもしれません。

 

3.エルガド研究所の小ネタ

 

さて、クラン編のお話はここまでといたしまして、最後にちょっとした小話をいくつか。

 

現時点でも、王域生物についてかなりのことが分かってきているわ。バハリさんが戻ってきてからは、ずっとそう。

最近はもう、王都に送る報告書の作成が間に合わなくて…研究室で書類が山積みよ。いい加減、人手が欲しいわ…。

ねえ、誰か書類仕事が得意な人がいたら あなたのツテで紹介してくれない? 例えば、カムラの里のヒトとか…どうかしら。

(マスター★4 クラン)

 

エルガドの研究所にはまだデジタル化の波は来ていないようで(そりゃそう)、クランたち研究員は王都に送る書類の作成に日々大忙しの様子。ただでさえ王国の異変以来、調査隊の主力を王都とエルガドとで二分する形になって人材がカツカツのところに、観測拠点では日々多くのの研究成果があがるわけですから、ポジティブに考えれば嬉しい悲鳴ではあるものの、この現状を考えるとさすがにそうも楽観していられない様子。エルガドの研究者は皆いずれも優秀ではありますが、それを以てしても補い得ない物理的なリソース不足というのは意外と盲点だったのかもしれません。エルガドの研究所、なんかこう妙に生々しい業務上の悩みが聴けるんだよな……。

 

カムラの里でこの手の仕事が得意な人物といえば真っ先に思い当たるのはミノト辺りですが、ただでさえカムラの集会所の仕事がある彼女にはこれ以上はオーバーワークもいいところですし…。そういえば、ウツシ教官は日々の多忙を極める任務を颯爽とこなしている姿から、実は彼は3人くらいいるのではないかとかいう都市伝説すら浮上しているようですから、ウツシから分身の術的なアレが調査隊の皆に伝授されれば、研究所の書類の山も片付いていくかもしれません。まぁ……とにもかくにもどうか無理をなさらないよう。

 

ちなみに、王都への書類なのかどうかは分かりませんが、実際に床に色々な紙がバラまかれている研究所の中がこちら。

 

 

……片づけた方がいいと思うなぁ……。一応、研究所の中にも2名ほど研究員がいる(うち1人は製品版で没になった、屋根の上から話しかけられる人)のですが、彼らを含めてもはや誰も手を付ける気がないのではないかという状態。とはいえまぁ、「どうせまた使うんだし、変に片づけてどこに行ったか分からなくなるよりそのまんまにしといた方が良い」理論、正直ちょっとわかるんですよね~。

 

(作中では話しかけられませんが、彼らもエルガドの調査研究を支える素晴らしい仲間たちです)

それから、騎士団会議場の裏、クランとカルゴがいつもいる研究資材置き場にも、少しばかり気になるものが。

 

壁際にあるこの謎のデカい骨、これ何の骨なんでしょうかね。形状から見るに、結構大きめの生物の肋骨の、軸とその片側の骨が残っている部位という感じ。その近くにはリオレウスの尻尾と思われるものもありますが、こちらの肋骨はサイズ的にはリオレウスのような飛竜よりも二回り以上は大柄で、胴体部が強靭なモンスターのものという印象です。そんなやついたっけ…? とハンターノートをめくってみたところ、該当しそうなモンスターを1体発見しました。

 

 

王域三公の一角、ガランゴルムくんです。このモンスターの銀冠くらい大きい個体であれば、肋骨もエルガドにあるサイズくらいになりそうかも? という印象。同じ牙獣種のゴシャハギやラージャンでも、ここまでのサイズにはならなそうですからね。観測拠点に骨があるということは、王域内では一般的と言えるようなモンスターである可能性が高いですから、王域三公の調査中にガランゴルムの骨格サンプルを入手できたとか、あるいは調査の手掛かりとして王都から標本を持ってきたとかの経緯で、ここに置かれているのではないかと思います。……といってもここの骨の置かれ方、資料というよりも半ばインテリアと化している気はしないでもありません。果たしてこれでいいのだろうか……。

 

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ということで、本記事の考察はこの辺りで〆としたいと思います。前回の記事の翌日に資料集が発売となりましたが、どのみち資料集に拠点の仲間の台詞が全部まとまっているとかは流石にないでしょうし、筆者は購読はこのブログのキャラ紹介記事を完結させるまではお楽しみとして取っておきたいと考えているので、引き続き作中情報をメインに記事を書いていく予定です。

 

エルガドの仲間紹介も残り数名を残すのみとなり、いよいよカムラの里編に移行できそうな雰囲気が出てきつつあります。雰囲気はね。年内にはブログの完結を目指したいと考えておりますので、今月中くらいにはエルガド編を終わらせたいところ。地味にはてなブログの月毎のファイル利用量上限も心配だし……!

 

そんなわけで、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!