続・カムラの里の甘酸っぱいお話

※注意事項※

・本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」全編および、一部シリーズ他作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』および2023年9月29日発売『HAUNTING OF THE SUN モンスターハンターライズ:サンブレイク 公式設定資料集』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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本記事ではおにぎり屋のセイハクと、飴屋のコミツの2人について、サンブレイクでのお話を取りあげていきます。サンブレイクでも相変わらず、コミツに片思いしながらも素直に好きと言えず、悩み多き日々を送るセイハクくん。そんな彼の青春のエピソード(?)を、彼の母親であるワカナ等の話も交えながらご紹介。そして記事の後半では、王国との交流が始まって以来、里の外の世界に興味があるコミツちゃんのお話をお届けしていきます。

 

mhrisecharacter.hatenadiary.jp

 

ーーーー目次ーーーー

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1.コミツへの一途な想いを胸に、少しずつ成長してゆくセイハクくん

 

聞いたぞ。王国の拠点…とかってところに行くんだって? 気をつけて行けよな。

もし○○になんかあったらコミツとか、すげぇ泣くに決まってるし。オレ、そんなん見たくねーし。

……ハッ!!

ち、ちげーし! アイツが泣くとか関係なく ○○は無事じゃないと困るし!

オレだってもっと強くなりたいし! そのためには○○にも いろいろ教えてもらいたいし!

強くならなきゃ、また里になにかあったときコミツのことも守れねーし! それだけだし!

(エルガド出発前 セイハク)

 

まずはおにぎり屋のセイハクくん。サンブレイクでも引き続きコミツちゃんへの恋心をこじらせているセイハクですが、上の台詞のように「コミツへの好意をうっかり口を滑らせてしまい 、素直になれないセイハクは "ちげーし!" と即座に否定するものの、その後のコメントが全くフォローになっておらずむしろ一層真っ直ぐな想いを熱く語ってしまう」といういわゆるセイハク構文(今作った造語)は健在で、相も変わらず自覚のないまま墓穴を掘り続けています。

 

主人公が王国に旅立つという話を聞き、彼は「もし主人公がいない間に里に何か起きたら、コミツのことを自分が守れるようにもっと強くなりたい」という目標ができたようで、それを主人公にも打ち明けてくれます。

 

ロンディーネさんって、王国の騎士だったんだな。ま、どう見ても商人じゃないだろとは思ってたけど。

よく知らないけど、騎士って王国のハンターなんだよな? 強そうだもんな、ロンディーネさん。

コミツも、ロンディーネさんのことカッコイイとか言ってたし。やっぱアイツ、ハンター好きだよな…。

ちぇっ。オレだって、おにぎり屋だけど強くなってやるし。それで、いつかコミツにカッコイイって言わせるし。

……ハッ!!

ち、ちげーし! これは、その… 男として? 負けられねえってだけだし! それ以上の意味なんか、ねーし!

(マスター★2 セイハク)

 

いっぽうのコミツは今はハンターに夢中であり、主人公のほか、王国騎士としての身分を明かしたロンディーネに対しても、「カッコいい!」と彼女はキラキラとしたまなざしを向けています。そうして誰かがコミツから憧れられる様子を目の当たりにすると、セイハクはどうしようもなく嫉妬心をくすぐられてしまうようで、自分もコミツに注目されるためにも、強くなりたいという決心は固いようです。「強くなりたい」という動機の中に、「コミツを守りたい」という実直な愛と「コミツに振り向いてほしい」という俗っぽい感情とが入り交じっているのがセイハクらしくて良いと思います。

 

後者の気持ちに関しても、ライズ時代から進歩があるんだかないんだかという感じでして、コミツの気を引くためにイタズラをして困らせてしまうのは、今でもなかなかやめられないのだそう。

 

…母ちゃんがさ、「コミツちゃんにイジワルしないで もっと素直になりなさい」って言うんだ。

そんなの、オレだってわかってるし! でも、つい、余計なこと言っちゃうし。ホントはもっと優しくしたいし、好きって…

……ハッ!!

ち、ちげーし! これは、別に! オレがアイツのこと好きとか、全然そういう話じゃねーし!

つーか、コミツのことキライなヤツとかいないだろ!? アイツすげぇ優しいし! いっつも一生懸命だし! かわいいし!

だから、オレがアイツのこと好きになるのも、当然って話だし! こんなん、なんにも特別じゃねーし!

(マスター★3 セイハク)

 

ワカナさん、「コミツちゃんにイジワルしちゃいけません」ではなく、「イジワルしないで もっと素直になりなさい」なの面白すぎるでしょ。まぁセイハクが素直になれないのはその通りなんですけど、それにしても小学生くらいの息子に母親が言うセリフじゃないんだよな絶対。これが恋心に葛藤する息子を長いこと見守ってきた母親の貫禄というやつなのか……。セイハクも、コミツが好きという本心を抑圧するあまり逆に尖った態度になってしまっている(そしてその本心を否定しようとすると油断して逆効果になってしまう)という自分の状態にはまだ自覚的ではないようですが、コミツにちょっかいを出すのはやめた方が良い、と頭では考えられるようになっているのは成長なのかな……?

 

ワカナは「コミツちゃんには常々申し訳ないな……」など色々と気を遣うところはありつつも、基本的にはセイハクの今一歩足りない勇気を応援するというか、長い目で見守ってあげようというスタンスですよね(もちろん「里公認」みたいな雰囲気を出しちゃってもコミツにはプレッシャーになっちゃうけど)。それも日に日に大人の余裕が増している感じがします。

 

一方のコミツは、セイハクがなぜ自分にイタズラをしてくるのかということには鈍感なようでして(とはいえ、される側にとっては何の理由も見当たらない一種の理不尽なのですから、至極当然の反応であるわけですが)、そんな困惑する彼女に傘屋のヒナミさんからこんな一言が。

 

セイハクくんが、コミツにいじわる言うの。でね、それ見てた傘屋のヒナミさんが「男の子だねー」って、言ったの。

男の子はいじわるするの? って聞いたら「そうだよー! ウチの弟にもそんなころがあったわー」って。

「いじわるしたくてしてるわけじゃないの」って。それからね、「セイハクくんも少し大きくなったら変わると思うよ」って。

いじわるしたくないのに、いじわるするの? でも、大きくなったらいじわるしなくなるの?

大きくなったら、なにが変わるのかなあ…? コミツ、よくわかんない。

(マスター★5 コミツ)

 

ヒナミの禅問答みたいなやりとりにますます頭を悩ませるコミツ。そんな矛盾したことを説明されたってわかんないよねぇ~。

 

それにしても、少し話は脱線しますが、この台詞はヒナミの弟についての貴重な情報が出ていますね。今は里で傘職人をやっていて、姉弟で同じ家に住んでいるヒナミと弟。この2人はいわゆる「ケンカするほど仲が良い」という関係で、家でもしばしば姉弟で揉めたりすることはあるものの、職人気質な弟が大好きな傘について語る相手はやはり姉で、ヒナミの方も専門的すぎることはよく分からないながらも、楽しそうに饒舌に話す弟に耳を傾ける……というような1コマもあり、傘を作る弟とそれを売る姉とで、互いに支え合っている姉弟です。

 

そんなヒナミの弟の幼少期ということですから、やはりお姉ちゃんに構ってほしくてちょっかいを出してしまう、みたいなことが往々にしてあったという感じなのかな。もちろん、そういうのは後から思い出になるかもしれないとはいえども、現在進行形でそれをされる側は色々困ることも多いわけですから「仕方ない」とは言えませんが、友人同士や家族にしても、あるいは恋愛にしても、素直になることができず自分の想いと実際の行動や言葉とが相反するものになってしまうこともあるというのをヒナミは自分の弟との関係において実感していて、それは言葉ですぐに教えるよりも、コミツやセイハクがこれから時間をかけて気づくべきものであるからこそ、敢えて答えを濁したのかなぁ、と思います。カムラの里の大人たちは、子どもたちが何事も自分で考えたり学んだりするのを促し、必要な時だけ助ける、というのを大事にしていますからね。

 

ちなみに、ヒナミの禅問答ですっかり困り果てたコミツは、ある人物に相談を持ち掛けています。

 

先日、コミツ殿がお買い物にいらっしゃいましてな。

その際に少しお話したのですが、どうもセイハク殿の様子がおかしいということで いささか戸惑っておられる様子でした。

しかし、それがしから見ればいつもどおりのセイハク殿です。はて、様子がおかしいとはこれいかに? と思っていたところ……

かたわらで聞いておられたゼンチ殿が「あの病はワシにも治せんニャ」とおっしゃいまして。

そこでようやっと、それがしはすべてを理解しました。ハハハ、セイハク殿を治す薬は、さすがのタドリにも作れますまい。

(マスター★5 カゲロウ)

 

「様子がおかしい」というド直球のワードセンスがじわじわ面白いというのはさておき、カゲロウさん、コミツから直々にこういう相談を受けるとは、やはり子どもたちから慕われていますね。そしてカゲロウも、セイハクの胸中を察しつつも、それをコミツに直接伝えることはせず、彼女らのことを見守ることにしたようです。いやぁカゲロウファンとしてはね、彼がこうやってカムラの里にすっかり馴染んでいるのを感じられるとたまらなく嬉しいというかね……(しみじみ)。

 

それにしても、いつも屋根の上でお昼寝をしているゼンチがカゲロウの隣にいたということは、コミツが彼の雑貨屋に買い物をしに行ったこの日はセールの日だったということになります。非常に細かい描写ですが、コミツもしっかりした子だな~ということを改めて実感しますね。

 

さて話を戻しまして、そんなセイハクの想いを知ってか知らずか、当のコミツは尊敬するハンターである主人公が里の外に拠点を移すことについて、複雑な心境にあります。主人公の実力が王国にも認められ、活躍の場が増えるのは嬉しいけれど、これまで毎日里で会っていた主人公となかなか会えない日々が続くことになるのは寂しい……そんな想いを抱えながら、彼女は主人公をエルガドに送り出してくれます。

 

○○さん、里の外に行くってホント?

里の外でのお仕事なんだ、って里長が言ってたよ。

コミツ、お外のところはよくわからないけど きっととってもすごいことなんだよね?

だって、○○さんの力が必要だって、里の外の人にも言われてるってことだもん。

コミツ、ちょっとさみしいけどいっぱいいっぱい応援するね! がんばってね、○○さん!

(エルガド出発前 コミツ)

 

フゲンも色々と仕事があるでしょうに、主人公が里を出ることに不安がっている子どもたちのところを個別に周って事情を話してあげているの、やっぱり優しいな……。ライズ時代の百竜夜行発生の報があった時期にも、里長とヒノエで子どもたち一人ひとりのところに行って元気づけてあげていたんですよね。

 

これから新たな任地に出発するという主人公に心配や迷惑をかけないためにか、コミツはここでは「ちょっとさみしいけど」と少し強がって、明るく応援してくれていますが、後に里ではコミツが時折り憂愁の表情を浮かべていることをセイハクから聞くことができます。

 

○○が里の外に行ってから コミツがたまに、さみしそうにしてるんだよ。

なんだよ、オレはずっとここにいるのにさ。でも、オレじゃどーしよーもねえし。なんて声かけたらいいかもわかんねーし。

つーか、○○の代わりになんかなれるわけねーし。だってアイツ、○○のことすげー好きだし!

い、今だけだからな! オレだって、すげぇ強くてカッコいい大人になって いい感じに、なぐさめたりするし!

…でも、今はまだ無理だし。だから、ちょくちょく帰ってきてアイツに顔見せてやってくれよ。

(マスター★3 セイハク)

 

いつもの日々の中でふと主人公の不在を実感した時に、心にぽっかりと小さな穴が空いてしまったような心境になるコミツと、気軽に話しかけられるほど近くにいるにも関わらず、気分が沈んでしまったり寂しい気持ちになったりした時にコミツが自分を頼ってくれないこと、自分がコミツのチカラになってあげられないことに、もどかしさや無力感を抱くセイハク。

 

セイハクがこういう時に偉いのは、自分が主人公と違ってコミツにとっての特別な存在になれていないことへの悔しさはあっても自分の未熟を受け入れることから逃げず、あくまでも「大好きなコミツが笑顔になってくれることが一番」という芯が一切ブレることがないため、本来なら嫉妬や羨望の対象にすらなり得るはずの主人公に「コミツに顔を見せてあげてほしい」と躊躇いなく言えるという、根っこにある篤実さなんですよね。

 

しかしながらセイハクも人間ですから、なかなかコミツとの距離を縮められない自分への焦りや苛立ちからか、ついコミツへの言葉を選ばずに口にしてしまうこともあるようで、後になってそれについて落ち込み、主人公に懺悔(?)するような場面も。

 

…コミツがまた「○○さん大丈夫かな」とか言っててさ。

それ聞いてオレ、つい「お前が心配しようがしまいが関係ないし」って言っちゃって…。

オ、オレはただ、○○は強いし、心配しなくても絶対大丈夫だって言いたかっただけなのに!

コミツはそうだねって言ってたけど… そこは、こう、紳士的にさ! 優しく励ませよ、オレ!

はぁ…ダメだ…。○○、オレのことはもういいから コミツに元気な顔見せてやってくれし…。

(マスター★4 セイハク)

 

セイハクも主人公の強さにはリスペクトを持っていて自分の目標にしているし、コミツにも安心してもらえるよう気遣いをしたかったのだろうけど、自分の意中の相手が自分の目標でありライバルでもある人のことばかり気にかけている様子を何度も見ることになるのは、それが理屈としては何もおかしいことではないからこそ行き場のないやっかみを抱いてしまうのは避けられないことだし、そこに対して「主人公は強いから大丈夫」と言葉を掛けるのも、セイハクの中ではどこか敗北宣言をすることになるような心持だったのかもしれませんね。

 

でも、まずいことを口走ってしまった後には1人反省会を開いて、もっと親身になって丁寧に接することができるように……と自分の落ち度を改められる姿勢を見ると、やっぱりセイハクは以前よりもぐっと成長していると思います。それに、主人公のことをとにかく心配してくれるコミツのことをセイハクなりに元気づけて支えようとしてくれているのも、とても大切なことだし、里の家族として心強い存在ですよ。

 

……しかしながらそんな矢先に、セイハク達にとってあわや凶報になり得るようなウワサがワカナの口からもたらされることに。

 

あっ!? ちょ、ちょっと○○さん!? ケガは、もう大丈夫なのかい!?

だって、向こうでモンスターに襲われてケガしたって!! …えっ? あんたのことじゃないのかい?

あらやだ、私ったら…… 勘違いしてたみたいだね、恥ずかしい…。

ああ、でもケガした人はいるんだろ。一緒に狩りをしてた人なのかい? そりゃ心配だね。早くよくなるといいねぇ。

(マスター★4ライゼクス前 ワカナ)

 

エルガドでの調査中に誰かケガ人が出た、というだけでも里の皆はその安否が気掛かりで落ち着けないというのに、それがさらに主人公だったということになれば、ワカナは背筋の凍るような思いをしたに違いありません。事の真相としては主人公がケガをしたというのは誤報で、ワカナも里の家族の体調についてはかなり心配性な一面がありますから、「エルガドでケガ人が出た」という情報を聞いて「主人公がケガをした」と無意識に脳内変換してしまっていたのだと思われます。

 

実際に主人公の仲間に被害が出たのは事実というのを踏まえて、決して「安心した」とは口にせずに言葉を選んでいるのが丁寧ですね。……で、ワカナから誤報を聞かされたセイハクの方にも、また別の問題が発生することになります。

 

オ、オイ○○! もうケガは大丈夫なのかよ…!

……え? ケガしたの○○じゃないの? なんだよ、母ちゃんの早とちりかよ…。

てっきりオレ、○○がケガしたのかと思って コミツに伝わらないように必死で……

……ハッ!?

ち、ちげーし! これは、その…あれだし! コミツが泣いて、ヒノエ姉ちゃんとかに迷惑かけるとよくないと思ってのことだし!

大人は忙しいんだから、余計な手間とらせるべきじゃないし! だから、コミツはオレと楽しい話してればいいってだけだし!

(マスター★4ライゼクス前 セイハク)

 

いつもあれだけ主人公の身を案じていたコミツが主人公がエルガドで負傷したという話を聞いたら落ち込んでしまうのではないか、という焦りも感じていたセイハクは、この話がコミツに漏れ伝わらないように、必死に口を閉ざしてガマンしていたとのこと。ただでさえセイハク自身も衝撃的な話を母親から聞いて血の気が引くような思いをしたでしょうし、彼くらいの年齢の子であればショックをひとりで抱えきれずに周りの人に吐き出してしまってもおかしくはないでしょうに、それでも真っ先にコミツのことを考えてそういう行動を取れるところに、彼の意志の強さとコミツファーストぶりが窺えます。

 

そんなコミツを心配するセイハクも、主人公に無事に帰ってきてほしいという気持ちは人一倍強いんですよね。

 

○○が里にいない間に強くなってやろうと思ってたのに ますます強くなってんじゃん。

やっぱ○○、すげぇな。…なあ、○○。今度オレに稽古つけてくれよ。

なんだよ。オレが頼むのおかしいかよ。そりゃ前はさ、○○にだけは 教わってたまるかって思ってたけど…

今のオレが、そんなことにこだわったって意味ないし! それより、早く強くなってアイツを…守れる男になるべきだし!

だから、約束だぞ。無事帰ってきたら、オレの稽古に付き合ってもらうし。絶対だからな!

(マスター★4 セイハク)

 

コミツに憧れられる主人公に対して、悔しさや妬ましさを抱く部分もなかったわけではないけれど、何よりの目標である「コミツを守れる男に成長する」ことを大切にしたいと考えた時、今の自分にとって一番必要なことは主人公に対抗心を燃やして張り合うことではなく、カムラの里の最強のハンターである主人公から直々にその強さの秘訣を学び取ることだと、主人公が里を離れて活躍する日々のなかで彼は自分の道を見定めたようです。

 

その想いは以前に百竜夜行の脅威が里を覆ったその時から、彼の中に萌芽していた理想の自己像であり、その原点に立ち返ったセイハクは、今までになく真摯な気持ちで、王国から帰ったら稽古をつけてほしい、だからこそ主人公には無事で戻ってきてほしいと願っているのです。

 

英雄さんのお帰りだね! 元気でやってるみたいで、なによりだよ!

気がついてたかい? ○○さんが帰ってくると 子どもたちがみんなソワソワしだすんだよ。

今やあんたは里の…いや、大陸の英雄だからねぇ。

ウチのセイハクも、ああ見えてあんたにかなりあこがれてるんだよ。絶対に直接は言わないと思うけど。

(マスター★6 ワカナ)

 

ワカナもそんな息子の胸中をもちろん汲み取っているようで、しかしながらセイハクは「主人公に憧れている」という言葉を直截に口にすることはなくても、大好きなコミツを守るには自分はまだ未熟で主人公の域には達していないこと、だからこそ主人公に特訓に付き合ってほしいということをはっきり面と向かって主人公に告げることができていますから、実はワカナが思っている以上に、セイハクはこの期間で前よりもずっと大人になっているのかもしれません。子どもの成長が大人の予想を追い越していく……というのは、ワカナにとっては嬉しいことかもしれませんね。

 

さて、そんなわけで無事に主人公と固い約束を交わしたセイハクですが、ひとまず主人公のエルガドでの調査はまだ終わりませんから、セイハクも引き続き里で修業を続けることになります。ハンターの武器の中でもに興味を持ったセイハクは、里内でも屈指の弓の使い手であるヒノエに稽古をつけてもらっているようです。

 

なあ○○… モンスター狩るのって、こわくないのか?

今ヒノエ姉ちゃんに弓、教えてもらってて。でもまだ、とにかく的を射るのと、あとはからくり蛙を相手にしたことしかなくて。

オレ、それでもまだいっぱいいっぱいなのに もし相手がモンスターになったら…!

…いっ、いや、別にビビってねーし! これは、その……ちょっとどんな感じなのかなーって思っただけだし!

だって、モンスターに怖がってモタモタして もしコミツになんかあったら、そのほうがよっぽど怖いし! ありえねーし!

(マスター★5 セイハク)

 

最近のセイハクの悩みは、いま修練場で練習している弓の動きが、固定の標的であるからくり蛙に対しては出来るようになったとしても、いざ相手がホンモノのモンスターとなった際に、モンスターの攻撃を見切りながら臆せず練習通りに攻撃をすることが、果たしてできるのかどうか……という所。

 

生きているモンスターと渡り合うということは、最初は相手の手の内が分からなかったり、予想外の動きに翻弄されたりして危険やケガと絶えず隣り合わせであるところを、ミスや敗北と反省とを実際に織り重ねながら知識や駆け引きの感覚を養っていくことによって徐々にできるようになっていくしかないものですから、ハンターの修行においては自分が武器を振るう相手が動かない標的から動くモンスターに変わるその最初の一歩と言える瞬間が、ある意味では一番ハードルが高いとも言えるんですよね。

 

ウツシ教官がモンスターの生態や行動を精密に模倣して、訓練で自分を相手に実戦練習をさせているのも、訓練生にとって「勝つためにはモンスター同然に駆け引きが必要だが、教官はモンスターとは違い実際にケガをさせられることはないので勝負の中で何か失敗してしまっても安心」というような相手での訓練を積ませることによって、先述した「基礎訓練を終えてモンスターとの実戦というステージに踏み込むときのハードルの高さ」を緩和することを狙っているのだと思います。その意味では、セイハクの不安は今後の成長における重要な視点を持てている証左である、とも言えますね。

 

それに、そんな未来のことを考えて怖さや焦りを感じてしまう気持ちも勿論理解できますが、身体的にもまだこれから大いに成長の余地がある現在のセイハクの段階においては、弓の弦を引いてきちんと的を狙って撃つことができる、というだけでも、客観的に見ればとてもよく上達していて筋がよいと言えるものなのです。セイハクの弓の先生であるヒノエも、日々懸命に練習に取り組んで技術を向上させていくセイハクの頑張りっぷりを称賛しています。

 

これからヒノエは秘密の特訓へ行くんです。セイハクくんと、弓の練習をするんですよ。

セイハクくん、最近、特に熱心に練習していて。ああ…ちょうどあなた様が里を出られた頃から、でしょうか。

最初は弓を引くのもままなりませんでしたが 近頃はずいぶん力もついてきて。もう少し強い弓を用意してあげたいくらいです。

そうだ。修練場へ行く前に ハモンさんのところに行って 弓を見立ててもらうことにします。

…なんだかそろそろ「秘密の特訓」ではなくなっている気もいたしますが…。ええと…「公然の秘密」、ということで。

(マスター★5 ヒノエ)

 

セイハク的には、自分が弓を練習していることをコミツには伏せておきたいからということで、彼女や他の皆にはなるべく訓練のことを話さず陰で特訓したいと思っているようなのですが、彼の成長に応じて色々な人のチカラが必要になっていくにつれて、だんだんと「秘密」感が薄れてきてしまっています。まぁ、里の大人たちもセイハクの気持ちは汲んでくれるでしょうから、彼の望まない規模の人にまで「セイハクが最近頑張ってるぞ」等といたずらに話して回った結果コミツにも伝わってしまう、というような事態にはならないとは思いますが。

 

で、ヒノエからセイハク用の弓を依頼されたハモンは、最近のセイハクについて次のような一言。

 

○○。おぬしが強くなる理由は、なんだ。

ワシを駆り立てたのは、50年前 里を襲った災禍だった。おそらく、フゲンも同じだろう。

いや、たいした話ではない。セイハクの新しい弓を用意してやってくれとヒノエに頼まれてな。

人が強くなろうとする理由は それぞれなのだなと 改めて思っただけのことだ。

(マスター★5 ハモン)

 

話の流れがだいぶ唐突ではありますが、「コミツを守りたい」という一心で修業を始めたセイハクの動機を、かつて百竜夜行から里を護るために立ち上がった自分やフゲン、また今まさに王国と里を護るために最前線で奮闘する主人公のそれと同じ次元で考えて、セイハクの熱意ある努力にハモンさんが加工の腕で応えようとしている感じがたまらんのだよなぁ。

 

子どもたちが自分なりに考え抜いて決意したことを決して笑ったり軽く扱ったりせず、大人もそれに真剣に向き合っていく雰囲気といいますか、これはライズ時代の記事で書いたような「里の組織内の役割分担」の話にも感じられることですが、大人と子どもの間にあまり必要以上に線を引いていない感じが良いんですよね。

 

と、そんなわけでハモンさん特製の、今までよりも弦の張りが強い弓を手に練習に励むセイハク。コミツを守れる一人前の弓使いへの道程はまだまだこれからですが、自分専用の新しい弓を手にしたことで、彼も上達を実感しているようです。

 

ハモンさんに、弓を譲ってもらったんだ。前は、ヒノエ姉ちゃんのおさがり使わせてもらってたんだけど。

ついに、オレ用の弓ってヤツ。まあ、まだ子ども用だけど…。でも、これでも前よりは強い弓なんだぞ。

この調子でどんどん強くなって、「何があっても、オレがコミツを守る!」って言えるくらいになったら、コミツに…

……ハッ!!

ち、ちげーし! 告白なんかできねーし! つーか今でも、何があっても絶対守るし! 危ない目になんか、あわせねーし!

(マスター★6 セイハク)

 

いいね、その意気ですよセイハクくん。大好きな誰かのために強くなりたいというモチベーションを持つことができるのは、決して恥ずかしがることではない素晴らしいことだと思います。

 

それにしても、セイハクがこれまで使っていたのはヒノエのおさがりということらしいですが、今の弓よりも弦の張り加減がゆるく入門用の武器と考えられること、また子どものセイハクの体格でも扱えたということから、ヒノエから譲ってもらったその弓はヒノエが最近まで使っていた物とかではなく、ひょっとするとヒノエ自身がセイハクくらいの歳のときに弓を練習していた時に使っていたものなのでしょうか……?

 

ヒノエやミノトの年齢については少なくとも数十歳以上というだけで明確にはされていないものの、彼女らは里の中でも50年前の百竜夜行を体験している人物であり、手記にあった「巫女」という存在が彼女らのことであるとするならば、その時には既に大人であったということになりますから、もしセイハクの言う「ヒノエ姉ちゃんのおさがりの弓」がヒノエが幼少期に使ったものであるとするならば、彼女が弓を初めて手に取ったのはそれよりも前ということになります。

 

しかしながら、ヒノエやミノトが武器を使うのは里守としてであり、その里守制度が整備されたのは50年前の百竜夜行よりも後のことですから、彼女らが弓やランスを練習し始めたのは大人になってから(ライズ時代のヨモギからは、ミノトがランスを選んで練習した動機は「百竜夜行でヒノエ姉さまを守るため」という話も聞くことができる)ということになるでしょう。そうすると、「ヒノエのおさがりの弓」って一体……?

 

……まぁ実際のところ、仮にヒノエが数十年以上前の幼少期に使っていた弓だとすると、カムラ製の質のいい弓ともいえどもさすがに経年劣化は免れないでしょうから、それをセイハクに使ってもらうというのも無理がある話。

 

現実的に考えられるのは、里守制度が設けられて以後、ヒノエが全くの素人の状態から弓の扱いを覚えるとなった際に、弦を引くのが比較的容易なジュニア用の弓から練習を始めて弓を射る感覚を身につけていったため、その時使っていた弓が残っていてセイハクに譲ることにした、という感じの経緯なのではないかと思います。

 

加工屋で色々な弓を見てみると、元々カムラの弓は大人用(ハンターや里守用)のものでも他の弓と比べて比較的コンパクトで扱いやすいサイズのようですから、大人が入門用に使う弓をそのまま子どもに渡しても問題なく使える、というのは十分あり得そうなんですよね。……まぁ、弓の話はこれくらいにしておきましょうか。

 

ちなみに、母親のワカナもセイハクの修行のことは前々から認知していて陰ながら応援していたようなのですが、主人公が里を離れてからというもの、前にも増してヒノエの弓の稽古を頑張っているということをある人物から聞いているようです。

 

ミノトにこっそり教えてもらったんだけど… ウチのセイハク、最近ますますまじめに弓の練習をしてるみたいなんだよ。

○○さんが里の外に行ったから 自分がコミツちゃんを守らないとー、とか あの子なりにいろいろ考えてるみたい。

ほんと、コミツちゃんには感謝しないと! あの子がなにかがんばるときは 決まってコミツちゃん絡みだしさ!

コミツちゃん…セイハクに、「お母さんのお手伝いする人、ステキ」とか言ってくれないかしら。

(マスター★5 ワカナ)

 

まぁそんなことだろうなとは思いましたよ。ヒノエ姉さまのあらゆる行動を把握しているとされるミノトですから、ヒノエがセイハクと共にこっそり何か練習しているのを知らない訳がありませんよね。……とはいえ、ヒノエとしてもセイハクの特訓のことは流石にわざわざ妹のミノトにまで秘密にしようとすれば逆に不自然さが出てしまいますし、責任感の強いミノトですから公然の秘密は間違いなく一緒に守ってくれるだろうということで、そもそも普通にヒノエ自身からミノトに話している可能性もあるわけですが。

 

さらに、ツッコミどころはそこだけではありません。一方のワカナもここまでセイハクのコミツ関連の行動や喜怒哀楽を見届けてきた経験をへて、多感な思春期の息子を見守る親としての心の余裕やら貫禄やらをあまりにも遺憾なく発揮してしまっている(?)ために、コミツにお熱な息子にやれやれと情けなくなるどころか、逆に「コミツにもっとイイ感じにセイハクを焚き付けてもらえないだろうか」などとワルいことを(冗談半分だとは思いますが)考え付いてしまっています。

 

そんなワカナについて、コミツからも次のような一幕の話を聞くことができます。

 

セイハクくんのお母さんに「いつもありがとうね」って言われたの。

「コミツ何もしてないよ、どうして?」って聞いたら、「コミツちゃんのおかげでセイハクががんばってるから」って。

どうして、セイハクくんががんばってるのがコミツのおかげなの? よくわかんない。○○さん、わかる?

(マスター★5 コミツ)

 

ワカナさん……それはコミツにはまだちょっと難しい話かもしれないよ……。ワカナさん、ライズ時代には「うちのセイハクがいつもコミツちゃんに迷惑をかけて申し訳ない」みたいなことを言っていましたが、その頃から比べるとアナタもずいぶん変わりましたね……。まぁ、謝罪の言葉ばかりではコミツとセイハクの友達としての距離を却って遠ざけてしまいかねませんし、感謝の言葉も交わす方がお互いにとって気持ちが良い、というのはその通りですが(コミツは「???」状態だけど)。いつかセイハクの気持ちが、コミツに伝わる日は来るのでしょうか……。

 

2.里の外に興味津々な冒険心あふれるコミツちゃん

 

あのね、ちょっと前にね、ハモンさんのところに新しいお弟子さんがきてたんだよ。

とってもキレイな女の人。カムラの里をとってもいいところだって言ってくれたの。コミツのりんご飴も、すごくおいしいって!

でね、そのときにね。里の外にもたくさんの人がいて、みんないろんな仕事をしてるんだよって教えてもらったの。

おもしろいおはなし、いっぱいしてくれたよ。また会いたいな。また来てくれるかな?

(エルガド出発前 コミツ)

 

続いてはコミツちゃん編。王国との交流が増えて以来、コミツは里の外の世界のことに興味が尽きない日々が続いています。コミツがロンディーネ以外で最初に知己を得た王国の仲間は、ハモンのところにカムラの加工技術を学びに来ていた加工屋のミネーレさん。ただ里の技術を吸収しに来ただけではなくカムラの里への愛がとても強いミネーレは、りんご飴を通じてコミツともすぐに打ち解け、ワクワクするような王国の話をたくさんコミツにしてくれたようです。

 

コミツは主人公が王国に旅立つことを淋しがる様子がありましたが、同時に主人公がたまに里帰りした時に、彼女にとって未知に溢れた外の世界の話を聞かせてくれることを心の支えにしています。

 

あっ! ○○さん、こんにちは!

ちょっぴり、おひさしぶりだね。里にいたときは毎日会ってたから すこーしふしぎなかんじがするよ。

毎日会えないのはさみしいけど、外のいろんなおはなしが聞けるのはうれしいな。

知らないことがいっぱいで、とっても楽しくて、ワクワクするよ。コミツもお外、行ってみたいなぁ。

(マスター★2 コミツ)

 

カムラの里をほとんど出たことがないコミツにとっては、里よりもずっと多くの人がいる王国の中~大規模の都市や拠点は新鮮なものでしょうし、エルガドにはコミツが「カッコいい」と憧れていた王国騎士の精鋭たちや、カムラの里にはない職業である船乗りやモンスター研究者の仲間など、魅力的な人たちが集まっています。

 

こと港町のエルガドに関しては、王国ならではの雰囲気や文化が在るばかりではなく、以前から交易で繋がりのあるカムラの里のモノにも出会うことができるのが特徴。特にコミツはロンディーネから、大好きなミノトの絵がエルガドにたくさん飾られているというのを聞いて、それを見に行きたいと思っているようです。

 

ねえねえ○○さん、エルガドには、ミノトさんの絵がたくさんあるってホント?

ロンディーネさんが言ってたの。でも、ミノトさんに聞いてもちゃんと教えてくれなくて。

コミツ、ミノトさんの絵、大好きなの。ミノトさん、「まだ未熟だから」って あんまり見せてくれないけど…。

エルガドに行ったら、いっぱい見られるの? いいな。コミツも見たいなぁ。

(マスター★3 コミツ)

 

ミノトはライズ時代には、自身の描いた作品を交易で輸出してみることをホバシラに勧められても頑なに拒んでいましたが、サンブレイクではエルガドにミノトの絵が広まっていたところを見るに、最終的にミノトの方が折れたという感じなのでしょうかね。ロンディーネの仲間で絵がとても上手なチーニョが、ミノトの絵を鑑賞していずれゴコクに並ぶ逸材だと嘱望していましたから、チーニョ自身かその話を聞いていたロンディーネ辺りが、ミノトの背中を押したのかもしれません(その辺りの経緯は以下の記事)。

 

mhrisecharacter.hatenadiary.jp

 

ミノト自身はそんなエルガドの状況を「自分の絵が余計に悪目立ちしている」と卑下しているのですが、実際のところ彼女の絵はエルガドでもチッチェ姫のクエストカウンターにいくつか飾られていたり、アイルーの研究員が泊まり込んでいると思われる研究所の屋根裏部屋にもあったりなど、むしろじわじわと好評を博しています。プレイヤーである主人公も、エルガドにゴコクやミノトの絵が置かれている光景には不思議と安心感を覚えるといいますか、これまで体験したことのない新しいモノに出会うというだけではなく、見知らぬ土地で自分が慣れ親しんだものに再会するというのもまた、旅の大きな醍醐味なんですよね。

 

それから、カムラの里のモノで海を越えてエルガドの地を踏んでいるものといえば、コミツが作って売っているりんご飴も、ロンディーネがウッキウキでエルガドに交易品として輸出しているのですよ。

 

あのねあのね。ロンディーネさんが、コミツのりんご飴をエルガドに持って行ってくれたんだよ。

甘くてとってもおいしいって大評判だったよ、って言ってもらったの。えへへ。うれしいな、うれしいな。

おいしいものを食べるのもしあわせだけど、作ったものをおいしいって言ってもらうのもしあわせなの。

またぜひ、って言ってもらったから コミツ、がんばってたくさんりんご飴つくるね。

(マスター★2 コミツ)

 

元々リンゴが大好物の郵便屋さんなどは特にコミツのリンゴ飴をいたく気に入っていたほか、ロンディーネがエルガドに戻っている時には、姉のフィオレーネに彼女自身が直接コミツのリンゴ飴を手渡す光景もあり、その魅力を熱弁しつつ、食べ方まで丁寧にレクチャーするような様子を見せてくれます。そしてフィオレーネが渡されたリンゴ飴をブラックホールに仕舞うまでがセット。

 

そんなわけで、コミツにもぜひいつかエルガドや王国を観光しに行って欲しいところではあるのですが、里の外ではモンスターに遭遇する可能性もありますから、やはり手放しにそう言うことはできないのが実情。コミツ自身も「里の外に出かけてみたい」とフゲンに相談したことはあるのですが、「自分の身を自分で守れるようになったら」というのがカムラの里のルールなのです。

 

あのね、ヒノエさんやミノトさんもエルガドのおはなしをたくさん聞かせてくれるんだよ。

コミツも行ってみたいなって里長に行ったら「自分の身を守れるようになったら」って言われたの。

コミツ、いっぱい鍛錬するね。それでいつか、ヒノエさんやミノトさんみたいに強くなるの。

そしたら、エルガドにいる○○さんに会いに行けるね。コミツ、がんばるよ。

(マスター★3 コミツ)

 

コミツちゃん…….˚‧º·(ฅωฅ*)‧º·˚. 

 

主人公に自分の足で会いにいくために強くなりたいだなんて、キミはなんて健気で良い子なんだ……。コミツちゃんの純粋な温かい心が沁み渡るよ……。

 

コミツはカムラの里の里守のなかでもトップクラスの実力者であり普段から仲良しのヒノエやミノトに特に憧れているようで、武器としては「りんご飴に似ているから」という理由でハンマーを気に入っており、詩人のシイカ改めハンマー使いのシイカさんに日々稽古をつけてもらっているようです。

 

○○さん、あのね。今コミツ、ハンマーの特訓をしてるの。シイカさんに教えてもらってるんだよ。

イカさん、すごいの。シイカさんがハンマーをふりおろしたら、ドーン! ってなって、地面がビリビリー! ってするの!

ゴコクさんも、シイカさんのハンマーはとってもすごいって言ってたよ。当たると、ふっとぶんだって!

コミツもいっぱいいっぱいがんばって、いつか、シイカさんみたいな すごーいハンマー使いになりたいな!

(マスター★4 コミツ)

 

イカさん、そういえば以前の百竜夜行の遠征のとき、ハンマーのホームラン攻撃をゴコクにフレンドリーファイア(?)してかち上げてましたね……(以下の記事参照)。もちろん真剣に戦っている最中に偶然攻撃があたってしまったわけで決して故意ではないのですが、シイカ本人は吹っ飛ばしてしまったゴコクを見て「おもしろかった」と何ともマイペースなコメントを零す胆力の強さを見せてくれました。もちろん、そんな軽口を叩けるほど仲が良いからではあるのですけどね。

 

mhrisecharacter.hatenadiary.jp

 

パワー系の詩を得意とするシイカにパワフルな打撃が持ち味のハンマーというのは何だかんだ割とイメージ通りなところはあり、彼女自身もかなりの腕前を持っている様子。そしてそんなシイカにハンマーの極意を伝授してもらっているコミツも、実は非凡な狩猟の才能を秘めているようでして、そのポテンシャルはウツシ教官をも驚かせるほど。

 

 

もちろん、その才能はこれから大切に育ててこそ十全に開花するものですから、コミツが今すぐに天才ハンターになれるというわけではないにせよ、これは将来が非常に楽しみです。……そしてそれと同時に、これでは「コミツを守れる男になりたい」ということを目標にしていたセイハクの立場が若干怪しくなるような……まぁ、それはそれで、一人ですべてを完璧にこなせるハンターというのはいないわけですから、お互いに持ちつ持たれつという関係で仲良く2人で狩りに行くということで良いと思いますが。

 

ちなみに、コミツの狩猟の天賦の才に関しては、あの王国騎士ロンディーネすらも舌を巻いています。

 

コミツ嬢も、里の外へ強い関心を持ってくれているよ。

エルガドへ行かせるにはさすがにまだ幼いと 里長が止めていたが。

私が責任を持って連れていくことも考えたが「自分の身は自分で守れるように」との教えのようだからな。

私は、彼女の成長を見守ることにするよ。…しかし、コミツ嬢もさすが里の子だ。大変に筋がいいね。驚いたよ。

きっと、そう遠くないうちに己の力で里の外へと踏み出すことだろう。フフ、楽しみだ。

(マスター★5 ロンディーネ)

 

ロンディーネも里の外に興味津々なコミツの様子を見て、騎士である自分が護衛しながらコミツをエルガドに連れて行くことは考えたようですが、里長であるフゲンの意向を尊重し、里の教育方針に準することにしたようです。

 

王国の中でも凄腕の現役騎士であるロンディーネの目線からしても、コミツの秘められた能力には大いに注目すべきところがあるようで、その成長をとても楽しみにしています。ここの「見守る」っていう言い方が、ロンディーネもすっかり里の家族の一員になって子どもたちに接している感じがして好きなんですよね。「そう遠くないうちに」とは言っても、年齢的にはやはりヨモギやイオリくらいになってからということをフゲンもロンディーネも想定しているでしょうから、この台詞はロンディーネがこれから先も何年、何十年とカムラの里をひいきにすること前提だったりするわけです。

 

里長がね。○○さんがエルガドに行って「可能性が広がった」って、言ってたの。

エルガドと協力することになって。ヒノエさんやミノトさん、ウツシさんもエルガドへ行って。

「行き来が増えて、より気軽に里の外へ行けるようになったし、いずれもっと多くの人が里に来るだろう」って。

コミツはまだお外には行けないけど… 今はみんなのおはなしをたくさん聞いて、本もたくさん読むといい、って。

○○さんは、エルガドでびっくりしたこととか、ある? コミツ、おはなし聞きたいな。

(マスター★6 コミツ)

 

そんなわけで、コミツはしばしの間は里で訓練を続けることになったわけですが、彼女も自分が「まだ早い」と里長に止められた意味を理解して、決して「どうしても早くエルガドに行きたい」と夢の実現を焦って無理を押し通そうとしないところが偉いんですよね。

 

コミツは以前の百竜夜行の時にも、自分たちの里をモンスターたちが襲ってくることの怖さについて真剣に向き合いこの災禍を受けとめてきたからこそ、「自分が自衛手段を持たずに他の地域に外出すること」がどれだけリスクや不安を伴うことかということを、災禍が収束した今でも肌で理解しているのだと思います。

 

エルガドの調査隊のハンターであるファロは、「モンスターを正しく恐れることができるのは良いハンターの証だ」と言っていましたが、その意味ではコミツもまた、ハンターとして(もちろん、彼女が将来ハンターになると決まったわけではないのですが)大切な資質を備えた人物であることが窺える会話ですね。

 

外の世界が果たしてどんな所なのか、皆の話を聞きながら想像や期待を膨らませる時間もまた、いつかかけがえのない想い出の一部になるというもの。コミツにはぜひとも、心の中のワクワクを濃いものにしてゆく今この時間をこそ引き続き大事にしてほしいと思います。

 

ちなみに、コミツの方はそんな感じで自分も里の外に出ることにかなり積極的なのですが、一方のセイハクはどう考えているかという事については、ワカナが次のように話しています。

 

あー○○さん! ちょっとちょっと、聞いたよ! 里の外に狩りに行くんだって!?

いやー、驚いたよ。ずーっと里で暮らしてきた○○さんが 里の外に出るときが来るなんて…。

なんか感慨深いねぇ。ウチのセイハクも、いつか大きくなって里を出ていくときがくるのかねぇ…。

…いや、セイハクに関しては里を出ていくことはなさそうだ。コミツちゃんがいる限りはね。

(エルガド出発前 ワカナ)

 

ワカナにとってもセイハクは大切な息子ですから、もし彼が成長して里を出る……みたいなことになったとすれば、もちろん母親としてそれを応援する気持ちもある反面、やはり寂しさもありますよね。ですから、コミツがカムラの里にいる限りはセイハクも里を離れないだろう、ということについては、ワカナも実は正直ちょっとだけ安堵する気持ちもあったりするのかな? それもまた、彼女の親心というところですね。

 

一方のコミツの方も、基本的にはカムラの里大好きっ子ですから今後も少なくとも当分はカムラの里で暮らしていくつもりのような気はしますが、それはそれとして彼女は里の外の地域にも興味があり、それらを巡って見て回る旅に出てみたい、とも思っているようです。……で、そのことについて、セイハクには何か考えがあるようで……?

 

なあ、エルガドって、どんなところだ? 王国の拠点ってことは、王国の人ばっかりいるとこなのか?

オレも、いつかは里の外に行ったりするかもしれないし、そのときにはコミツをバッチリ案内できるようにいろいろ調べ…

……ハッ!!

ち、ちげーし! 別に、オレがコミツと一緒に旅したいとか そんなこと、全然思ってねーし!

コミツも外に興味あるみたいだけど アイツ、危なっかしいし! それならオレがついててやらないとってだけだし!

(マスター★2 セイハク)

 

セイハクくん、いつか里の外に出られる年齢になったら、王国や他の色々なところにコミツと2人旅をしたいという夢があるようです。いいじゃないですか、青春を思うぞんぶん満喫してて。弓の修行を頑張る目的が、またひとつ増えましたね……!

 

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ということで、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!