ハモンとイオリの家族の絆/オトモ広場を吹く新風

※注意事項※

・本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」全編および、一部シリーズ他作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』および2023年9月29日発売『HAUNTING OF THE SUN モンスターハンターライズ:サンブレイク 公式設定資料集』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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本記事では加工屋のハモン、オトモ雇用窓口のイオリ、アイルー頭領のコガラシ、オトモ広場管理人のシルベ、修練場管理人のセキエイについて、サンブレイクでの会話を取りあげていきます。前半はライズの物語以来、少しずつ距離を縮めつつあるハモンとイオリのその後のお話を、後半はオトモ広場の個性豊かな仲間たちのエピソードや交友関係についてのお話にフォーカスを当てていきましょう。

 

ーーーー目次ーーーー

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1.ハモンとイオリの不器用で温かな家族愛

 

先日イオリが、ヒノエとミノトから熱心に話を聞いておってな。何かと思えば、エルガドの話とのことだ。

ヨモギやコミツまで集まってきて… 子どもたちは皆、興味津々だな。

まあ、若い時分はなんでも新しいものに興味が湧くものだろう。

…時間があるときでいい。おぬしも、イオリたちにエルガドの話をしてやれ。

特に、おぬしは第一線のハンターだ。ヒノエらとは違った話もできよう。

(マスター★4 ハモン)

 

まずは加工屋のハモンさんとオトモ窓口のイオリくん。ハモン、イオリについてはこれまでの記事でも色々な話題の中で取りあげてきましたが、今回は彼らの家族関係について、以前のナギの記事で語り切れなかった分のお話がメインとなります。イオリのオトモ窓口の仕事関連については、以下の記事もお好みで併せてご覧下さい。

 

mhrisecharacter.hatenadiary.jp

 

ハモンは里と王国との交流が始まって以来、エルガドに足を運んだ里の仲間が持ち帰ってくる王国の土産話を、孫のイオリや里の子どもたちが熱心に聴いている様子を見かけるようになりました。外の地域との交流も増え、里の若者がさまざまな目新しい物事に興味を持つようになったことをハモンは好ましく感じているようで、孫想いな彼は主人公にも、イオリに外の話を聞かせてあげてほしい、と思っている様子。

 

いずれイオリも里の外へ出ることがあるやもしれん。いや…おそらく、あるだろう。あやつは、息子らによく似ておるからな。

そのときには、いろいろ教えてやってくれ。

本来なら親に託すべきなのだろうが、あの2人は少々のんびりしたところがあるからな…。おぬしの方が適任だろう。

まあ…もちろん、まだまだ先の話だがな。

(マスター★3 ハモン)

 

イオリがいずれ里の外に出るかもしれない未来については、ハモンはその成長を見守りたい気持ちもありつつ、「まだまだ先の話」と言っているところを見るに、大切な孫が自分のもとを巣立っていくことには、やはり一抹の寂しさも感じているようです。特にハモンとイオリは、お互いのことをずっと大切に想ってきた家族でありながらも、イオリのオトモの仕事のことでその関係がギクシャクしてしまっていた時期が長く、それが氷解して仲直りができたのはつい最近のこと。

 

そしてハモンは今も、今まで孫の仕事を認めてあげられなかったことへの引け目や、孫の選んだ道を改めて応援することへの照れくささから、なかなかイオリの前で素直になることが出来ないようですから、これからもっとイオリとの絆を深め、他愛もない話や対話を重ね、孫のためにしてやれることを増やし、祖父としての自分も一皮むけていくための時間がまだまだほしいのだ……というのが、口には出さないハモンの本音なのではないかなぁと思います。

 

それにしても、ハモンはイオリ関連の話になると、主人公のことをイオリの親……というほどの年齢ではないにせよ、話しやすい先輩というか、年上のきょうだいのような人というか、そういう感じの存在として見てくれているフシがありますよね。イオリとの関係が良好になった後のライズ時代の会話でも、「イオリとゆっくり話しながら食事をしたいが、2人きりでは雰囲気がぎこちないので主人公を加えて3人で集まりたい」というような頼みを主人公にしていましたし。

 

…帰ったか。

活躍は聞いておる。ウツシが里中に語ってまわっているからな。

ずいぶん忙しくしているようだが くれぐれも、武具の手入れは怠るなよ。

…それも、言うまでもないか。まあ、ゆっくりしていけ。

(マスター★3 ハモン)

 

エルガドから里帰りしてきて主人公に対しても、ハモンはそのハンターとしての実力や働きぶりに絶対の信頼を置いているにも関わらず、いざ久しぶりに顔を見ると、あれこれと心配してついお節介を焼きたくなってしまう自分がいることをハモンは言いながら自覚している様子。オトモガルク普及のために各地を旅しているイオリの両親(ハモンの息子夫婦)のポジションに近いところに主人公が在る、と言うとやや語弊がありますが、自分とイオリの心を繋いでくれたもう一人の家族、というような間柄に思ってくれているような気がするんですよね~。

 

そもそも「家族」という話からしても、血縁上の家族という部分にあまり拘りなくむしろ里全体をひとつの家族として、皆がそれぞれの得意な仕方で子どもたちを見守って育てていこう、という雰囲気があるからこそ、ハモンが主人公に対してイオリに親身になってくれるようお願いする、みたいなこともごく自然と行われるのでしょうし(生まれがカムラの里ではないヨモギが、里の皆に愛されて元気に育っている様子を見てもそう思います)、誰もが何でも一人で抱え込まないように、というカムラの里の温かさを感じる場面でもあります。

 

ちなみに当のイオリ本人は、里の外についてどう思っているかというと…?

 

○○さんやヒノエさんたちが エルガドの話をたくさん聞かせてくれるから 里の外に行ってみたいって人、増えたよね。

ボクは、うーん…少し興味はあるけど… 何しに行くのかって話になると難しいなぁ…。

オトモガルクを広めるのは お父さんとお母さんがやってるし、ボクがそれをするのはちょっと違うかな…。

それよりは、里でオトモたちと一緒に過ごす方が向いてる気もするなって。

…あ、もちろん里の外を見に行く、とか お父さんとお母さんに会いに行く、とかで 出かけたりはしてみたいんだけどね。

(マスター★6 イオリ)

 

イオリとしては、観光や両親に会いに行くという目的で里の外に少し旅をすることには関心はあるようですが、カムラの里を出て仕事をするということは今のところはあまり考えていないようです。

 

現在のカムラの里のオトモ雇用窓口の運営の中核を担っていたり、オトモたち一人ひとりの個性を大事にして成長を生み出していくオトモ広場の雰囲気を作っているのはイオリですし、イオリの両親によってオトモガルクの狩猟法が各地に広まれば、その本家本元であるカムラの里への注目も集まりますから、イオリはカムラの里にこそ、今の自分のやるべきことがあると信じているようです。祖父のハモンにとっては、これは思わぬ朗報かも?

 

で、それはそれとして、イオリは里の外で活動をしている両親のことも気になっているようでして。元々2人は百竜夜行の前に一度カムラの里に帰って来られるかもしれなかったのですが、モンスターの危険に伴う移動制限で帰って来られなくなり、百竜夜行の終息を見合わせながら帰郷の予定を立てる……はずだったのですが、異変の影響で王域生物がカムラの里地域に出没するようになったためにモンスターの危険が収まらず、イオリの両親はなかなか里に戻る目処が立たない日々が続いています。

 

お父さんとお母さん、そろそろ一度帰ってこられるかなと思ったんだけど、王国域のモンスターが出ちゃったからね。

おじいちゃんが「もうしばらく戻ってくるな」って連絡したみたい。

ちょっと考えたんだけど… ボクがもっと強くなって ボクから会いに行く方が、いいのかも?

別にさびしいとかじゃないんだけど… ずっと会っていないから。久しぶりに会いたいな、とは思うんだ。

ボクが強くなって悪いことはないだろうし ○○さんのいない里を守る助けにもなれればいいなって。

(マスター★4 イオリ)

 

イオリの言葉を尊重して、あまり本心を詮索するようなことはしたくはありませんが、百竜夜行に王域生物の異変と矢継ぎ早に情勢不安が重なる中で、長らく両親の顔を見られていないというのは、やはりイオリは寂しく思うところもあるのではないかな。イオリも優しく聡明な人ですから、里やエルガドの皆が王国の問題の解決に日々奔走しているからこそ、自分だけが弱音を吐くのは申し訳ないと考えて、自身のそうした気持ちを今は伏せているのではないか…と思っています。

 

手紙でのやりとりは今も継続していますから、お互い元気にやっているということの連絡は取れているようですが、やはりこういうのは実際に顔を合わせてこそ、お互いが生きているということを実感を以て確認できるというもの。

 

カムラの里は「里の外に出るのは自分の身を自分で守れる力と判断力を身につけてから」という方針ですが、イオリのチャージアックスの腕前は折り紙付きですから、里守としての訓練を続けていればそう遠くないうちに、彼の方から両親に会いに行って、カムラの里でどんな出来事があったか、両親が旅先でどんな活動をしているか等々、積もる話をする機会もあるかもしれませんね。

 

さて、一方のハモンも、里を出て世界各地を旅している息子夫婦や里の外に興味を持っているイオリなど、カムラの里が外の地域との繋がりを徐々に増やしていることについては、里の歴史を知る者として感慨深いものがあるようです。

 

ワシが若い頃は、里のことだけで精一杯で 里の外なんぞには、興味を持ったこともなかったが…。

息子らの世代からか、ぽつぽつと外へ行く者が出だしてな。

今やついに、他の地域と積極的に行き来するようになりおった。

これが、新しい風というやつか…。時代は変わるものだな。ワシも、年を取るわけだ。

(マスター★6 ハモン)

 

以前の百竜夜行は50年前ですから、ハモンはちょうど現役の気鋭のハンターとしてバリバリ活動していた時期に、ちょうどこの災禍を体験することになったわけですよね。百竜夜行でカムラの里を半壊に追い込んだマガイマガドを死に物狂いで撃退し、その後も倒壊した里の建造物の修復や、里守制度の発足に伴う彼らの為の武器の製作など、カムラの里の復興のための仕事に若い頃のエネルギーの全てを捧げてきたのがハモンの半生。里の外にまで目を向ける余裕は当然なかったでしょうし、特に百竜夜行が過ぎてからしばらくの間は、その被害状況の大きさからしても、カムラの里は他の地域との交流を持ちづらかったであろうことは想像に難くありません。

 

そこから月日が経ち、若い世代の中から里の外に足を踏み出すものも現れるようになり、そして今や王国との友好関係を中心にさまざまな地域と繋がることができるようになり、皆がカムラの里にはない新しいモノに触れられる機会がどんどん増えてきました。百竜夜行からの解放と共に、里の若い世代にとっては特にこれからの可能性や選択肢が広がりつつあることを好ましく思うことと同時に、50年前の大敗の記憶を胸に里の存続を懸けて災禍を闘ってきた時代が幕を引いてゆくことへの、別れの気持ちでもあるのかな。ひとつの時代を生き抜いてきた達成感の一方で、時の大きな歩みを神妙に受け止める――というような心境でもあるように思います。

 

とはいえ、そう言っているハモン自身も、こと加工技術のことに関しては、今でも永遠に若さや貪欲さを失わせてはいない様子。

 

今、ハモンさんからのご依頼で 王国の加工技術に関する書物を集めているんですよ。

以前、王国からいらした加工屋さんが見慣れぬ技を使っていらしたとかで… 詳しく調べておられるようですね。

ハモンさんは すでに比類なき腕をお持ちなのに、まだ新たな技術を追ってらっしゃるとは…。

いや、そういう方だからこそ、あれほどの職人になられたのでしょうね。本当に、頭が下がります。

(マスター★3 ホバシラ)

 

ホバシラは以前にも、百竜夜行の砦にマガイマガドを分断するからくりを造るという話が出た際に、ハモンに依頼されて各地のからくりについての資料を収集していました。他の加工屋が彼のもとに学びに来るほどの超一流の技術を身につけてなお、自身も常に新しいものや未知のものを学び、取り入れていく彼の勉強家なところを、里の中でも特によく知っている人物の一人がホバシラなんですよね。

 

ハモン自身の次の会話からも、どこまでも今の自分に満足せず、己の腕を磨き続ける姿勢を崩さない向上心という若さを彼が保ち続けていることが窺えます。

 

50年前の百竜夜行でしぶとく生き残った甲斐があったというものだ。おぬしという英雄の活躍を見られたからな。

猛き炎の物語… あの世へのいいみやげ話になる。先に逝った里の連中も、さぞ喜んで耳を傾けるだろう。

…勘違いするなよ。まだ死ぬつもりはない。少なくともあと50年は生きねば、つくりたい物をつくりきれんのだ。

(「滅浄の裁き」クリア後 ハモン)

 

あと最低でも50年……。ハモンならなんか平気でありえそうなのが一周回って怖い……というのは若干失礼かもしれませんが、畏敬の念をこれでもかというほど抱かせてくれる堂々たる宣言です。

 

「あと50年」というこの数字は、ちょうど以前の百竜夜行から今日に至るまでの時間と同じ。ハモンがこれまで百竜夜行のことで背負ってきた無念や使命感の重さなのだろうな……。マガイマガドの出現という未曽有の事態に、全滅は免れたものの里を半壊に追い込まれたこと、そのマガイマガドを粉骨砕身の想いで撃退するも、これを仕留めるには至らなかったこと。そして百竜夜行の発生の謎は、結局その時にも分からず仕舞いであったこと。次こそはこうはなるまいという一心で、フゲン達と共にカムラの里を率い、支えてきた50年間

 

この禍いを根絶して積年の悲願を叶え、百竜夜行という軛(くびき)から解放された今であればこそ、ハモンの心は真の自由を手にすることが出来たのでしょう。もう災禍に囚われることなく加工技術の求道者としての目標を追い続けることのできる、彼の次なる人生はまさにここから始まった、と言えるのやもしれません。終わりなき探究を続ける彼の生き生きとした姿を、これからも末永く目に焼き付けていきたいところです。

 

ちなみに、彼の宿敵であるマガイマガドについてですが、MRストーリーをひと通り進めた方はご存じのように、エルガドの調査の途上で怨嗟響めくマガイマガドが城塞高地に出現したという情報がカムラの里に届けられた際に、ハモンがこれを自分の手で狩りに行こうと殺気立つ、という一幕があります。

 

(MR100緊急クエスト前 フィオレーネ)

ハモンは百竜夜行の際には、自身は加工屋としてのバックアップに徹してマガイマガドとの決戦を主人公に託す、という覚悟ある冷静な決断を下す姿を見せていただけに、怨嗟マガイマガドへのこのハモンの反応は少し意外でもありました(主人公の活躍を見て、フゲン共々元ハンターとしての魂に火が点いていたから、というのもあるのかもしれませんが)。

 

しかしながら、「自分はもう第一線で戦える立場ではないと悟り、狩場を退いて別の生き方に身を落ち着けていたとしても、いざ因縁の相手が現れたという報を聴けば、悔恨と復讐の炎はどうしようもなく燃え上がってしまうものである」という命題は、後のカゲロウアマツマガツチのエピソードにも通じるもので、人間と災禍との深遠極まる関係を描くライズシリーズの、重要な一側面でもあるんですよね。……とはいえひとまず、本当にハモンが単身狩りに行ってしまってその身に何かが起きてしまう、というような事態を避けることができてひと安心というものです。

 

2.共に調査任務を行う頼れる先達・コガラシ

 

○○殿、里を出て、新たな地へ参られるそうでござるニャ。フゲン殿から聞き申したニャ。

モンスターの異変については、拙者も周辺を調査するでござるニャ。引き続き、よろしく頼むニャ。

(エルガド出発前 コガラシ)

 

続いてはアイルー頭領のコガラシさん。フゲンやハモンらと並んで里の重鎮であり抜群の統率力でオトモ偵察隊をまとめるコガラシは、サンブレイクでも引き続きモンスターの調査任務を受け持っており、ウツシやロンディーネ達と共に、主にカムラ地域周辺の王域生物の調査や追跡にあたっています。

 

ですので里を出発する時も、コガラシとは「見送る/見送られる」という関係というよりは、百竜夜行の時から引き続き、今度はお互いに違う場所から異変の調査を進めていく仲間、というような雰囲気の会話となっており、相変わらずの頼もしさを感じさせてくれます。

 

そしてそれと同時に、コガラシもまた主人公のことをその幼少期から知っている人物の一人ですから、初めて里の外に旅立つ主人公に、アドバイスや力強い激励の言葉をかけてくれるシーンも多々。

 

王域生物の襲来とは、穏やかではないでござるニャ。拙者らも、気を引き締めなければならぬニャ。

里の外で…かつ王国のモンスターとの対峙となれば、今までとは異なる狩りになるであろうニャ。

くれぐれも、油断なきようにニャ。

(マスター★2 コガラシ)

 

コガラシは里長のフゲンが現役のハンターであった頃から彼のオトモアイルーとして共に狩猟をしてきた人ですから、ハンター歴でいえば彼は主人公の大先輩なんですよね。若かりし頃のフゲンのチームはその抜群の実力で各地に勇名を轟かせたと言われており、またエルガドの歴史学者パサパトによれば、フゲンはかつて王国にも足を運び狩場を駆けていたようですから、恐らくコガラシもまた、主人公がこれから相対することになる王国のモンスターたちの強さを知っているのだと思います。

 

そんな王域生物たちを、慣れ親しんだ里を離れて新たな環境で狩猟するという試練のさなかにある主人公に対して、コガラシは次のような心構えを説いてくれます。

 

○○殿。戻っておられたか。狩りの調子はいかがかニャ。

慣れぬ環境で戸惑いもあるやもしれぬが、本来の働きができるよう、いち早く順応するのもハンターの資質ニャ。

そして、○○殿が本来の働きをできるための環境づくりに、労を惜しむ者はこの里にはおらんでござるニャ。

すなわち、おぬしが困った時には フゲン殿を始めとした里の皆に、速やかに相談するべきだという話でござるニャ。

(マスター★3 コガラシ)

 

主人公の内にまだまだ眠っている力を自らの手で引き出すことを後押ししつつ、そのためにも何か壁にぶつかったときのサポートは惜しまないと、温かい言葉で支えてくれるコガラシ。

 

ハンターの仕事は決して単独で成立するものではなく、物資の手配や拠点の設営、心身のケア等の多くの支えを必要とすることが前提であるようなものであるからこそ、困った時に闇雲に独りで解決しようとするのではなく、自分の周りにいる人たちがかけがえのない宝であることを理解し、そこに信頼を置き、然るべき仕方できちんと頼ることができるということがハンターの資質なのだ……というのは、ハンター個々人の技術やメンタルの強さという話とはまた別の側面の本質でもありますよね(そして、やはりサンブレイクのフィオレーネのストーリーに通ずる話でもある)。こういう話をさらっとしてくれるのを見ると、コガラシの存在感って大きいな~と改めて思わされます。

 

さて、コガラシはそんな主人公の王国での活躍を見守りつつ、自身は主にカムラの里周辺の調査任務に奔走していますが、実は本編の中で主人公のいるエルガドを一度訪れているんですよね。……といっても、コガラシも急務でそれほど長居はできなかったようで、ゲーム内で実際に会うことができるという訳ではなく世間話でのエピソードとしてのみその裏話を聞くことができます。

 

拙者も以前、フゲン殿の命を受け エルガドへお邪魔したでござるニャ。

しかし、急ぎの仕事だったゆえ、おぬしに声を掛けることもできぬまま すぐに別の場所へ向かったのでござるニャ。

それを、こうしておぬしの方から 訪ねてきてくれるとは… 嬉しい限りでござるニャ。

せっかくでござるニャ。エルガドや、狩り先でのみやげ話など、語って聞かせてはくれんかニャ。

(マスター★5 コガラシ)

 

エルガドでコガラシと会う機会がなかったのは惜しいところですが、こうしてエピソード上でだけでも、里の仲間が王国に行って活動している話を聞くことができるというのは嬉しいですね。

 

この時期でコガラシがエルガドに行く用事といえば、やはりフィオレーネが倒れた前後くらいでしょうか。立場上なかなか里を動くことができないフゲンの代理として病床のフィオレーネを見舞うのはもちろん、カムラ地域の状況の報告、緊急事態で人手が不足しがちなエルガドの調査隊に協力して任務を行うなどやることが山積みですから、コガラシもなかなか大忙しです。

 

コガラシにゆっくり近況報告ができるのも、目下の標的であったところのメル・ゼナを討伐し調査任務が落ち着いてやっとという具合になりました。コガラシも主人公のエルガドでの狩りの話を楽しみにしてくれていたようで、やはり彼もフゲン達と同様、主人公の活躍に己の狩猟魂をくすぐられているのやもしれませんね。

 

おお、○○殿。よくぞ参られたニャ。いや…おかえり、と申すべきであったニャ。

まさに八面六臂の大活躍、おぬしの名は、カムラの里の名とともに 王国へも轟いていると聞いたニャ。

フゲン殿もたいそう喜んでおいでだニャ。もちろん、ゴコク殿やハモン殿も… いや、里の皆が…でござったニャ。

もちろん、拙者もニャ。しかしなにより、おぬしの無事の帰りが何物にも代えがたい喜びでござるニャ。

(マスター★6 コガラシ)

 

ガイアデルムを討伐して里に帰った際には、コガラシもようやく安堵の表情。これまではお互い次の任務がある中での合間の再会という形でしたから、なすべきことを一通り終えて初めて、カムラの里に帰ってきたという実感も湧くというものです。

 

おかえり、という言葉に若干の照れというかぎこちなさがあるのは、コガラシにとっても今回の調査が、百竜夜行の時とは一味違う新たな体験であったからであるように思います。カムラの里の皆で強固な協力体制を築いて闘ってきた百竜夜行とは異なり、此度の異変においては里と王国とに亘って超地域的な防衛を行っています。

 

コガラシも昔からその成長を見守ってきた里のハンターである主人公を外の世界に送り出し(ライズ冒頭のヒノエの話によれば、カムラ出身の有望なハンターが新たに誕生するのは本当に久しぶりのことであったようですから)、互いに遠い場所に在りながらも同じ目的のために一丸となって仕事をこなしていく……というのは、今までのカムラの里ではあまり考えられなかったような変化です。

 

これまで里を率いてきた重鎮のひとりとしての立場から、また主人公に対する親心のような気持ちからも、長らく王国を本拠地としていた主人公が故郷に羽を伸ばしに帰ってきてくれた今を、コガラシはしみじみと噛み締めているのではないか……という感じがいたしますね。

 

3.サンブレイクでたくさんお喋りできるようになったシルベ

 

コガラシさんがボクたちにも ○○さんのお仕事について少し教えてくれたニャ。

難しい話はよくわからなかったけど、とってもこわーいモンスターの狩りをしてるってことはわかったニャ。

里の外にも、つよーいモンスターがいっぱいいっぱいいるのニャね…! ブルブル、こわいニャ…。

○○さんは、ずっとずっとこわいモンスターに立ち向かい続けてて ほんとにほんとにすごいニャ。

(マスター★3 シルベ)

 

続いてはシルベ。彼に関してはさっそくながら、サンブレイクでの彼の台詞については個人的嬉しいポイントを語っておきたく思いまして。シルベはオトモ広場管理人という職務上、「世間話」の会話パターンの中にオトモ広場の各施設についての説明をする会話がストーリー進行度に関わりなく常に複数あったため、そのぶん上位までのストーリーでは物語進行度で変化する台詞が少なく、会話のバリエーションが少ない、というのがあったんですよね。

 

一方のMRストーリーでは、カムラの里のキャラクターは進行度が上がるたびにほとんどのキャラに1~2つの新たな会話パターンの更新があるという形になっており、それに伴ってシルベはライズ時代以上のペースで色々な台詞が聴けるという、NPC大好き勢の筆者にとっては非常に素晴らしい状況になっているのです。

 

特にサンブレイクでは、以前は管理人として言及するに留まっていたオトモ広場の仲間たちについて、彼らとシルベとの普段の交友関係を知ることができるという、これぞライズシリーズらしいと言える台詞が追加されています。以下、順にそれを見てゆきましょう。

 

からくり蛙のお手入れも、オトモ広場管理人の大事なお仕事ニャ。

でも、ボクだと手が届かないところがあってニャ。この前はロンディーネさんが手伝ってくれたニャ。

キレイなお洋服が汚れてしまうニャ、って言ったんニャけど、ロンディーネさん「そんなこと、気にしたことがない」って。

ロンディーネさん、カッコいいニャ~。カナリーノさんとチーニョさんが自慢する気持ちがよーくわかるニャ!

ロンディーネさんに、お礼がしたいニャ! カナリーノさんとチーニョさんに相談してみるニャ。

(マスター★2 シルベ)

 

シルベの管理人の仕事のひとつにはオトモ広場の清掃というのがあり、オトモたちが特訓で利用している広場中央のからくり蛙も、シルベの手でいつも綺麗に保たれています。シルベの体格的にからくり蛙の高いところの掃除はなかなか苦労していたようなのですが、彼はこれも管理人の仕事として、文句ひとつ言わずにまったく手を抜くことなく責任を持ってこれまで取り組んでいたようです。

 

―—で、そんなシルベが陰ながら苦労している様子を偶然目撃し、颯爽と手を差し伸べたのは交易商もとい王国騎士のロンディーネさん。高級騎士でありながらも実質を伴わない形式に対しては関心を示さず、困っている仲間をどのようなことでも助けたいという誠意を何よりも重視するロンディーネさん、あまりにもイケメンすぎる……。カナリーノ達にとって彼女は間違いなく自慢の上司です。

 

しかしながら、ロンディーネも王国騎士としての多くの任務を抱える身であり、からくり蛙を独りで整備するシルベを見かけたのもたまたまその日は職務の合間とタイミングが重なったためであると思われますから、そのような中で常にシルベの仕事を手伝うということにもまいりません。そこで、ロンディーネはシルベのためにある品を里の外から取り寄せたようです。

 

ロンディーネさんが、「からくり蛙の掃除に使うといい」って掃除用具をくれたんだ。

長い柄の先にぞうきんを取り付けたみたいなの。「シルベが苦労しているようだったから取り寄せてみた」って。

高いところの掃除が大変だったんだね。いつもちゃんとキレイになってたから ボク、全然気がついてなかったよ…。

シルベ、すごく喜んでた。道具も里の物とは違う形でとっても便利だったよ。…そうだ、おじいちゃんにも見せてあげようっと。

ロンディーネさん、優しい人だよね。ちゃんとお礼もしなきゃ。シルベと一緒に考えるよ。

(マスター★2 イオリ)

 

ロンディーネは交易商としての商品知識を活かし、カムラの里にはない「柄付きのぞうきん」——いわゆるモップと思われる西洋式の掃除用具を取り寄せ(エルガドには船の甲板を掃除するブラシも見受けられますから、王国には恐らくモップもあったのでしょう)、からくり蛙を楽に掃除するために是非とも使ってもらいたいとシルベに提供したようです。

 

目下の騎士としての任務が在りながら、身近な仲間の苦労にも気づきつつここまで手厚く力になってくれるロンディーネの視野と優しさも素晴らしいもの。彼女は部下のカナリーノがからくり蛙に修行でお世話になっているのもありますから、何らかの形で恩返しをしたい、という気持ちもあってのことなのでしょう(加えて、里の仲間ひとりひとりが誇りと専門性を持って担当している銘々の役割や仕事の領分を尊重しつつ、その上で互いに自分の得意分野を通じて皆で助け合うという、カムラの里の気風の影響をも感じさせるような行動でもあります)。

 

そして、イオリくんの反応がこれまた優しいんだよなぁ…。ロンディーネが直接用事があったのはシルベであるとはいえ、オトモ窓口の仕事をしている自分にもからくり蛙は関係があるモノだし、何より自分の大切な友人の力になってくれた人には自分も一緒に恩返ししたい……という心意気が温かいですよね。この時はちょうど当のシルベの方も、何かロンディーネにお礼がしたいと思案の真っ最中でしたから、これまた意気投合してステキなアイデアが練られたに違いありません。

 

シルベとイオリのエピソードは、さらに後日シルベの方からも聞くことができます。

 

オトモ広場のお掃除も、オトモ広場管理人の大事なお仕事ニャ。

でも、ボクがお掃除してるといつもイオリくんが一緒にお掃除してくれるニャ。

ボクのお仕事なんだけど… 「一緒にやると早く終わるよ」ってニャ。

イオリくんは、お掃除も上手ニャ。一緒にやると、ほんとにあっという間に終わっちゃうニャ。

だから、ボクもいっぱいイオリくんのお手伝いをするニャ。

(マスター★4 シルベ)

 

シルベが自分の知らなかったところで掃除で苦労していたことを知って「気づけなかったことが申し訳ない、自分も手伝おう」と考えられるイオリくん、ほんと優しいんだよなぁ……あとイオリが掃除上手なのはなんかめっちゃ解釈一致……。少しこじつけかもしれませんが、「家族」をいろいろな面から題材としたライズシリーズにおいて、「普段当たり前になっていることを決して当たり前と思わず、その裏にある大変さをお互いに理解し合いやるべきことを分かち合う」というイオリの姿勢は、現代の私たちの世界の「家事」などの話にも通用する題材のような気がいたします。

 

まぁ、「いつも」というシルベの話から察するに、イオリの性格ならば先のモップの件よりも以前からシルベの掃除の手伝いをしていたようにも思えますが、それはそれでイオリも自分の仕事がありますから毎回シルベの清掃に合流できるわけではなく、体格的に高いところに手が届く自分がいない時にシルベがどのようにからくり蛙を掃除していたのかということについて、先のモップの件を通して彼が苦労していたことに気づいたので、お礼の気持ちを込めてより意識的に時間を作ってシルベを手伝うようになった、という話とも考えることができます。

 

責任感をもって仕事をやり抜こうとするシルベ、気配りに富んでいて順調にカムラの里に馴染みつつあるロンディーネ、何事にも素直で周りの人をとても大切にするイオリと、三者三様の良いところやオトモ広場の皆の団結力が感じられる、非常に好きな台詞のひとつなのです。

 

続きまして、これまで話してきたようにオトモ広場の仕事をバッチリこなすシルベですが、冒頭の台詞にもあったように彼は怖いモンスターが苦手であるという一面があります。これは、元々オトモアイルーだったものの狩りが不得手でオトモ広場の窓口業務に転向し、そこで天職を見つけたエルガドのナギにも似ているところがありますね。シルベもイオリとは長い付き合いがあるようですから、ひょっとするとナギと同じように、オトモとして狩りの道に進むか、重要な後方支援の仕事の道に進むかということを相談して、今の仕事にあるという来歴の持ち主なのかもしれません。

 

で、そんな彼はある日、セキエイの元に出かけた際にちょっとした悲劇に見舞われることになります。

 

この前、闘技場のセキエイくんのところに 遊びに行ったのニャ。

そしたら、ウツシ教官が新しいモノマネの練習をしてて… すっっごい鳴き声がしたニャ!

ボクの毛がうわーって逆立って 尻尾がかってにビーンってなって、体中がビリビリビリーってしたニャ!

あれが、王国のモンスターかニャ!? こわい、こわいニャ…。思い出すだけで まだ震えちゃうニャ…ブルブル…。

(マスター★5 シルベ)

 

ウツシ教官がそこで何のモノマネを練習していたのかは定かではありませんが、彼の弟子であるタイシの話によると、ウツシは主人公がMR★3昇格の緊急クエストで初めて狩猟することになるガランゴルムのモノマネを、主人公がMR★3に昇格した直後の時期ですでにタイシに披露しているほど新規モノマネの習得を盛んに行っているんですよね。

 

その理論でいくと、MR★5のこの時期にウツシ教官が練習していたのは、おそらく主人公がMR★5昇格の緊急クエストで狩猟したメル・ゼナなのではないかと思われます。そうなると、ただでさえ怖いのが苦手なシルベにメル・ゼナは刺激が強すぎる……特にどちらに非があるというわけでもなく偶然の出来事ですが、シルベにとっては軽く災難でしたね。ウツシが来ていることを事前に認知していたセキエイも、シルベには申し訳ないことをしたと思っているようです。

 

オトモ広場管理人のシルベくんとは 管理人同士、よく情報交換をするのニャ。この前も、ここに来てくれたのニャ。

でも、たまたまそのとき ウツシ教官が王国のモンスターのモノマネを練習してて…。

シルベくん、鳴き声を聞いただけで ひっくり返っちゃったニャ。

ここでしょっちゅう聞いてるボクでも びっくりするもんニャ。初めて聞いたら、そりゃそうなるニャ…。

ちゃんと確認しておけばよかったニャ。シルベくんには、悪いことをしたニャ。

(マスター★5 セキエイ)

 

ウツシ教官のモノマネはフゲンやハナモリらの話を聞く限り、声だけ聞くと本当にそのモンスターが近くにいるのかと誤認してしまうほどクオリティが高いだけに、彼自身も里の皆を驚かせてしまわないよう、練習の際はかなり気を遣っているのですが、カムラの里もそれほど広い敷地ではありませんから、やはりこうして意図せぬタイミングで誰かと場所がかち合ってしまうことを完全に防ぐことは難しいもの。こうしたエピソードにも、ウツシの涙ぐましい努力の跡が垣間見えます。

 

しかしながら、シルベはそんな感じでモンスターに苦手意識を持つところはあっても、主人公がそれを狩猟した話を聞くことは好きなようで、王国での冒険について話を聞きたい、とワクワクしながら言ってくれる場面も。

 

今日は、○○さんがエルガドで狩りをした話を聞きたいニャ~!

ボク、モンスターが出てくるお話は怖くてちょっぴりニガテニャけど…

○○さんはとっても強いから ボクでも安心して聞けるニャ。

あ、でもすっごく強いモンスターの話は やっぱりちょっと怖いニャ。すこーしだけ おもしろい感じで話してくれないかニャ。

(マスター★6 シルベ)

 

シルベは優しい性格だからこそ、「モンスターがすごく強くて攻撃がめちゃめちゃ痛かった」みたいな話を聞くと、その痛さに生々しい想像を働かせすぎてしまって怖くなる、という感じで共感性の強いところがあるのかな。それはもちろん彼の長所の一つでもあるのですが、反面それ故に他の人の話を聞くのが大変なこともあるわけです。

 

ちょっとだけ面白く脚色して欲しい」という彼の考えた折衷点は、里の英雄であり家族である主人公の話は聴きたいからというのみならず、自分の中の怖いモンスターへの苦手意識はあったとしても、実際に狩り場でそのモンスターと対峙したハンターの苦労や大変さをなるべくないがしろにしたくない、というリスペクトが感じられると同時に、主人公に個人的な事情でのお願いをするという、ライズ時代にはあまり見せることのなかったシルベのパーソナリティといいますか、彼の自我が珍しく前面に出ていて、シルベの台詞の中でも特に良い会話だな~と筆者は思ったりしています。

 

 

 

4.カムラ修練場を世界に届けたいセキエイ

 

エルガドは調査拠点だから 修練場がないって聞いたニャ。

ということは…○○さんが特訓したくなったときは、これからもここへきてくれるってことニャ?

いつでも来て、いっぱい特訓してってニャ! エルガドの人も連れてきてくれれば ここの修練場も大盛況ニャね!

(マスター★2 セキエイ)

 

最後は修練場管理人のセキエイ。彼も言っているように、調査のための機関である騎士団砦や研究所等がその設備の大半を占めるエルガドには、修練場を設置するだけのスペースがなく、サンブレイクでも武器の練習の際はカムラの里のセキエイの所にお世話になりますから、彼もまたエルガドでの主人公の活躍を支えた立役者なのです。主人公が王国に旅立って寂しくなってしまっても、修練場を利用する際は里帰りをするということで、セキエイは思わぬ偶然を喜んでくれているようです。

 

さて、上の台詞の最後の一文にもあるように、セキエイは彼が手塩にかけて丁寧に整備しているカムラの素晴らしい修練場を、他の地域のハンター達やギルドにも宣伝したい! ということで、かねてから広報活動を頑張っていました。そしてサンブレイクではついに、王国の人に修練場を広める機会が訪れることになります。

 

この前、闘技場に来てた エルガドの教官のアルローさん…

闘技場の用事だとかで あれから何度かカムラの里に来てて、修練場にも立ち寄ってくれたニャ。

「ここは設備も充実してるし なにより、よく管理されてるな」ってほめてくれたニャ。

この修練場のよさが 王国の人にも伝わったニャ! うれしいニャ~!

しかも、アルローさん すっごくカッコいいニャ! また来てくれないかニャ~?

(マスター★3 セキエイ)

 

うおお! アルロー教官はたくさんの若手の王国騎士たちを指導して一流に育ててきた凄腕の教官ですから、いわばハンター育成の専門家であるところの彼に「ハンターや里守が訓練するための施設」を絶賛してもらえるというのは、かなり箔が付くことなのではないでしょうか。狩場で実際にモンスターを狩る主人公や里守、ハンター達だけではなく、彼らを支える縁の下の力持ち的なポジションで活躍をしている仲間が褒められるというのは、筆者としても嬉しいところ。

 

そして非常に個人的な話としては、セキエイの修練場の良さがアルローに伝わったのみならず、一方のセキエイの方にも、アルロー教官のシブい魅力が伝わっているのも非常に素晴らしいことだと思います。アルロー教官、カッコいいよな……!

 

あのアマツマガツチまで倒しちまうなんて たいしたもんだな! ウツシ教官も一緒だったんだろ?

まったく恐ろしいな、カムラの里ってのは。凄腕の猛者ばかり集まってやがる。

ここが落ち着いたらよ、ジェイでも連れて、いっちょカムラの里まで武者修行にでも行ってみようかね。

アマツマガツチ討伐後 アルロー)

 

アルロー教官は後にアマツマガツチの一件が無事に解決した際、主人公やウツシ教官をはじめとした底知れない実力を持つハンターたちを輩出するカムラの里を見て、自分たちもその秘訣に迫るため、カムラの里に修行の旅に出たいと思案するシーンがあります。アルローがカムラの里の強さに深く興味を持つようになったのは、セキエイがいつも丹精込めて手入れをしている里の機能的な修練場の存在を知ったこともその最初の大きなきっかけの一つなのではないかと思います。「また来てくれないかな」というセキエイの密かな願いも、近々叶う日が訪れそうですね。

 

それから王国の仲間では、カムラの里に常駐して王域生物の調査を行っている王国騎士のロンディーネも、狩猟のブランクを取り戻すためにたまに修練場で特訓をしているようです。

 

(盟勇同行クエスト★3クリア後 ロンディーネ)

アルロー教官やロンディーネのお墨付きがあれば、エルガドの騎士たちにもカムラの里の修練場をもっと知ってもらえること間違いなし。ここを利用する人が増えて、王国騎士の仲間たちと、カムラの里の里守たちが共に練習するような機会もあれば互いにとって良い刺激になるでしょうし、せっかくですからウツシ教官のモノマネ鑑賞会としゃれこむのも楽しいかもしれませんね。

 

しかしながら他の何にも勝る広告塔となるのは、やはりカムラの里出身のハンターである主人公の王国での活躍です。主人公が見習い時代にまさにこの修練場で特訓を積んでハンターへと成長したというエピソードは、王国の人たちにとって非常に心を動かされる訴求となるはずだとセキエイは見立てています。

 

○○さんはエルガドでも大活躍してるって、コガラシさんが教えてくれたニャ。

○○さんが みんなにすごいって言われると、ボクもとっても嬉しいニャ。

その○○さんが、かつてハンターになるために特訓をした場所! それがこの修練場!

いいニャ。すごくいいニャ。きっと王国の人の興味もそそるに違いないのニャ。

(マスター★4 セキエイ)

 

こうして熱心にカムラ修練場の情報発信のためのコピーライティングを考えている姿を見ると、集会所のマイドや魚屋のカジカのように、彼もまた商人の魂を持っているような気がしないでもないような……。この手の集客はどれだけ利用者の理性ではなく感情にアプローチできるかがカギですから、やはり主人公の名前は広報においても重要なものになるやもしれません。

 

いずれにしても、主人公が王国で高く評価されていることを喜んでくれるセキエイは、修練場の運営管理という形で主人公の地道な下積み時代をサポートし、応援してくれた人物でもありますから、今度は主人公が王国での活躍を通じてカムラの里の名を轟かせ、人の往来を増やすことによって里を豊かにする……という仕方で、セキエイや他の皆に恩返しをしていきたいというものですね。

 

里の英雄、そして王国の英雄になった ○○さんは語るニャ。

「里を出たあとも、特訓をするときには必ず修練場を訪れ、初心を忘れず己の腕を磨き続けました」

そんな風に、ハンターズギルドに宣伝とかしてくれると嬉しいなぁとか思ったりするニャ。

(マスター★6 セキエイ)

 

そして、大事な大事なハンターズギルドへのアピールも忘れてはいけません。サンブレイクでの修練場のからくり蛙は、猛毒狂竜ウイルス等のどう考えてもヤバい感じのブレス攻撃の発射にも対応するなど(もちろん、治療薬を完備する、それらの成分に抵抗力のあるモンスターの素材を利用して内部機構を作るなど安全基準は満たしているのだと思いますが)、およそ山あいの平和な里にこんな兵器同然の物があるとは信じがたいというレベルの魔改造を施されていることでも知られています。

 

ひいては、カムラの修練場はそうした難儀な攻撃を行う強大なモンスターへの対策を立てたいというマスターランクのハンターの需要にも応えられるような訓練施設、ということでもありますから、そうした情報が伝われば、ギルドからの評価も更に上がりそうな気がします(あまりの技術力に怖がられそうな気もするけど)。

 

カムラの里は百竜夜行を根絶させたことで、海路はもとより陸路での周辺の町村との行き来も今までより遥かに安心して行えるようになりましたから、ハネナガのように近隣地域からカムラの里に拠点を移してハンター活動をしたい、という人も今後増えてくるかもしれません。そこからまたカムラの里の次なるスターが生まれるかもしれませんし、そのためにもまずは、主人公とも協力してカムラの修練場の凄さをもっともっと有名にしていきたいところ。セキエイの遠大な計画はまだまだこれからも続いていきます……!

 

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ということで、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!