エルガドに集う実力派ハンターたち

※注意事項※

・本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」全編および、一部シリーズ他作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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本記事ではエルガドの調査隊に所属するハンターである、ファロフランの二人をご紹介していきます。彼女らは王国騎士というわけではなく、あくまでも本業は猛き炎と同様、個人で活動しているハンターです。王国の異変の解決のために、王国騎士団の内外を問わず優秀な人材の力を借りたいというガレアスの方針で、調査隊にはハンター達も参加しています。ガレアスに協力を依頼されるというだけあって、彼女らの実力は間違いなく本物。詳細なプロフィールこそ不明ではありますが、モンハン世界でも数少ないとされている、マスターランクのハンターであると見てよいでしょう。本記事ではそんな2人のとても個性的な人物像や、王国騎士ではなく同じハンターだからこそ聞ける面白い話の数々を見ていきたいと思います。

 

ーーーー目次ーーーー

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1.孤高を愛する謎めいたハンター・ファロの心の扉

 

まずは孤高のハンター・ファロさんのお話から。エルガドの研究所の脇でいつも一人で佇んでいる、とてもミステリアスな雰囲気を感じさせる人物です。彼女の装備している防具はアケノシルム一式ですが、「傘をさしている人は傘の陰で少し顔が見えづらくなる」という傘のイメージを、ファロの孤高さや謎めいた人物像に重ねているのかもしれませんね。……うん、我ながらさすがにこじつけが過ぎるかな……。騎士のような装いながらとてもオシャレで良いですよね、アケノシルム装備。

 

あら…? 君って、さっきまでフィオレーネと一緒だったハンターね。……ふふ、なるほど。

最近ちょっと退屈しかけてたところだけど、ここでの調査も少しはおもしろくなるかもしれないわね。

興味があろうとなかろうと、最近のエルガドでは君の噂話が聞こえてくるの。

どれも大した武勇伝だと思うけど… 私としては、その噂のすべてが本当の話であることを祈るわ。

だって、そうでないと 張り合いがないもの。そうでしょ? …ふふ。

(エルガド到着直後 ファロ)

 

彼女は自分の心の内をなかなか他人に掴ませないような、独特の駆け引きが会話の中にある人なのですが、エルガドに新たに訪れた主人公に対して特別興味を示しているようで、自分の好敵手として期待しているようなそぶりを見せます。

 

ファロは「孤高のハンター」という通称のとおり、積極的に他人と絡むよりは一人で行動することを好んでいます。他人に全く関心がないとか、人見知り、人間嫌いであるとかということではないようですが、他人と相互に深く干渉しあうことを避けているような様子があります。

 

向こうで何かが起こったようね…。調査報告、楽しみにしてるわ。

もちろん、気にならないと言えば嘘になるけど…私、一人が好きなの。何をするにも、ね。

(マスター★2緊急前 ファロ)

 

他のハンターと共に狩りに行く、ということもほとんどないようですが、その点に関して言えば、カムラの里のアヤメに似ていますね。……というよりも、キャラのデザインといい雰囲気といい、カムラの里とエルガドとの対比において、ファロは明確にアヤメの対になるような人物として描写されていると思います(知り合いなのかどうかは不明ですが、アヤメの過去の設定的におそらく2人が会ったことはないはず)。

 

アンタは、狩りのとき、ひとりで行く方が多い? それとも仲間を集めて行く?

アタシはこう見えても、人と一緒の狩りだと 気を遣っちゃう性格でさ…。

「迷惑かけないようにしなきゃ!」とか「回復してあげなきゃ!」とか、それで、ひとりで行くことが多かったな。

でも、自分がいいと思う狩りをやってれば みんなには貢献できてるはずだし、あまり気を遣わずに楽しむべきだよ。うん。

(集会所★2 アヤメ)

 

アヤメがあまり他のハンターと狩りに行かない理由は、仲間と一緒だと何かと気を遣ってしまい気疲れしてしまうからということでした。ファロは自分が1人での行動を好むことについて、その理由を明確に語ることはありませんが、アヤメと同様の理由がある可能性も大いにありますし、後述する彼女の他の台詞からも、彼女の思うところを何となく推し量ることができる部分があります。その点については随時、ご紹介していくこととしましょう。

 

この状況…王国にしてみればちょっと面倒かもしれないけど、ハンターにとっては願ったりよね。

おかげで、しばらくはヒマをしないで済みそうだわ。それに…口には出さないけど、君も同じ考えでしょ?

ふふ…♪ ちょっと意地悪だったわね。ただの冗談よ。聞き流してちょうだい。

(マスター★2 ファロ)

 

主人公がエルガドでどのような活躍を見せてくれるのかに興味津々の彼女は、主人公のハンターとしての闘志に火が点くところを見たいのか、その内心を見透かしたような感じでちょっぴりからかうような発言をしてきます。気になる人物にちょっかいをかけるミステリアスなお姉さん……良い………。というのはさておき、この台詞は同時に、エルガドに来て間もない主人公への遠回しな応援でもあるように思います。

 

カムラの里を離れ、新しい任地として訪れたエルガドで皆からの信頼を得るためには、ここでハンターとして実績を作らなければならない。そのためにはたくさんの仕事が欲しい。不慣れな新天地で焦る猛き炎の気持ちに、同じ調査隊の先輩のハンターとして迂遠な言い方ながらも理解を示すという、彼女なりの気遣いであるようにも思います。他人に対して一定の距離を保ち、なかなか心の内を分かりやすく見せてはくれないところがある人物でありながらも、どこか優しさを秘めているような、そんな感じのする人なんですよね。

 

一方でこれから強敵の狩猟に挑む主人公に対しては、敢えて挑発的な言葉をかけるシーンもあったり。

 

ただでさえ獰猛なルナガロンが、さらに凶暴化してるのなら…並のハンターには厄介な相手かもね。でも、君は違うでしょ?

カムラの里でやってきたことに比べたら、たいしたことはないわよね。それとも、私の買いかぶりかしら? …ふふ。

(マスター★4緊急前 ファロ)

 

これは決して嫌味などではなく、カムラの里の百竜夜行を根絶した英雄であり、新天地エルガドでも着実に実績を積み重ねている主人公のことをファロは高く評価しているからこそ、その実力が常に限界を超えて成長して行くところを見せてほしい……と、ファロなりに主人公の活躍を楽しみにしているのだと思います。或いは自分が認めた相手だからこそ、この程度の安い挑発に動揺するような人であってほしくない…という、逆説的な心理からこういう試すような言動を主人公にしているのかもしれませんね。いやかわいいかよ。

 

……と、ファロはこのような感じで、主人公に対しても自らの内心をそう易くは掴ませないような謎めいた態度を取りつつも、一方でライバルとして、期待の新星として、あるいはそれ以上の何かとして、主人公のことを認めてくれるような人物です。

 

で、彼女が他人と接するにおいては、このような言わば「近すぎない距離感」みたいな感じのものがちょうどよい関係性であり、その点、多少のことでは動じない不思議な落ち着きのある主人公は、ファロにとっては結構居心地のよい相手でもあるようなのですが、逆にエルガドにはこの境界線を易々と踏み越えてくる人物が若干1名おりまして、ファロはその人物のことを少し苦手というか、気が合わないと感じているようです。

 

今回の件、私は遠慮しておくわ。調査隊に恩を売るにはいい任務だけど…。ちょっと面倒なのよね、彼って。

ああ、心配しないで? 別に悪い人じゃないと思うの。ただ、私とは少し気が合わないってだけよ。

(マスター★2アンジャナフ前)

 

 

おかえりなさい。もしバハリと話したなら、私の気持ちも少しは分かってくれるかもしれないわね。

…ふふ。想像してみて? あの人と私、いかにも気が合わないって感じでしょ?

(マスター★2アンジャナフ後 ファロ)

 

なんというか……「やっぱりね」という感じですよね。バハリは初対面の相手などにも自分からグイグイいくタイプの人ですから、あまり他人に深く干渉されたくないファロとは少し相性が悪そう。もちろんその点については、ファロ自身は「どちらが悪いというのでもなくただ気が合わないだけ」という形でバハリのスタイルを尊重していて、彼女の大人の対応が光ります。

 

バハリが一連の調査を終えてエルガドに戻ってきた際には、次のようなコメント。

 

あら…戻ってきちゃったのね、彼。でも、それで研究が進むのならしょうがないかもしれないわね。

それに、君っていう新しいお友達もできただろうから、私がバハリの相手で面倒な思いをすることもなさそう。

なんだか押し付けるみたいで悪いけど、これも調査のためよね。ふふ…。

(マスター★3ファロ)

 

バハリが主人公に興味を持つようになったことで、自分が少し気楽になるだろうと安心する様子のファロ。……というよりは、何となくですが、バハリと主人公の出会いがこれからどのような化学反応を起こすのかを、遠目から楽しみにしているようにも思えます。

 

こんなことを言いつつ、ファロはバハリが押しかけてきたらなんやかんやきちんと構っていたようですから、苦手とはいえども親切に接しているんですよね。一方のバハリにしても、彼の専門であるモンスターの生態研究の話をする相手は決して誰でもよいというわけではないでしょうし、ファロ本人は遠慮したいと思っていてもバハリが彼女を話し相手として選んでいたのは、それだけファロのハンターとしての実力と知見を彼が頼りにしていたということでもあるんですよね。

 

ファロとは作中で狩猟を共にする機会がないため、惜しいことにその実力をこの目で確かめることはできないものの、彼女がハンターとして多くの経験値を積んできていることが分かる台詞はいくつもあります。その中でも、筆者の特にお気に入りの会話を以下にご紹介しておきましょう。

 

ねえ、メル・ゼナを目の前にして、君は少しでも… 相手を怖いと思った?

強大なモンスターと対峙して 正しく恐怖を感じることができたなら、それはいいハンターの証明だと思うわ。

その感覚は麻痺させないことね。そういうハンターの本能って、いつもいろんなことを教えてくれるから。

(マスター★4 ファロ)

 

どんな相手に対しても臆せずに立ち向かうというよりも、モンスターに対してきちんと恐怖を抱くことが肝要なのだという、ベテランのハンターである彼女ならではのハンターの本質論です。あるいは、実力と功績のあるハンターに対してひょっとすると抱かれがちな「英雄」というぼんやりとした幻想に対する、ある種のアンチテーゼとも言えるものでもありますね。

 

メル・ゼナと遭遇した主人公に対して、やけに改まったようにそういう話をするあたり、ファロは今までのハンター歴の中で、「モンスターを正しく恐れるという感覚を麻痺させてしまった」ハンターを、何人も周りに見てきた経験があるのかな。ファロは主人公のことを何かと気に入っているようですから、そんな主人公がまさか、モンスターの強さを見誤るという愚を犯すようなハンターではなく、きちんとそういう感覚を持ち合わせている人であったことに、内心で安堵する気持ちもあるのかもしれません(この会話は、後に彼女が、主人公となら一緒に狩りに出てみても良いかもしれないと思うようになることの伏線の一つかも?)。

 

自己の能力を過信し、相手となるモンスターの力量を慎重に推し量ることを忘れ、狩猟するどころか逆に返り討ちに遭ってしまう……。もし、共に狩場に立つ味方のハンターがそのような人物であったとしたら、安心して背中を預けるということなど決して不可能ですし、根はとてもお人好しのところがあるファロであれば、モンスターに立ち向かいつつも、同時にその仲間のフォローにも奔走することになるでしょう。そうして気疲れしてしまうくらいなら、一人で狩猟をする方が狩りに集中できる。——彼女がふだん他のハンターと滅多に行動を共にしようとしない理由の一つには、ひょっとするとそういう気持ちもあるのかもしれません(あるいは、既にそういう状況を経験したことがあるのかも)。もちろんこれは筆者の推測の域を出ないもので、ファロがカムラの里のアヤメと対になるような人物である、という描写にも少し依存した考察ではありますが。

 

前述のバハリとの関係についても、自由人で人付き合いでは前のめりがちなバハリとは気が合わないと言いつつも、話しかけられた時には毎度毎度きちんと応えてあげる優しい一面を見せていましたし、他の会話を見てみても、主人公やフィオレーネのことを何かと思い遣っていたりと、本来他人に対してはとても優しい人物だと思うんですよね~。

 

……と、そのようなわけで、ファロはハンターとしても一人での活動が多かったわけですが、ゲームシステム上はともかく世界観上でいえば、一人で狩りに行くよりも複数人で狩りに行く方が、(よほどの実力差がない限りは)互いに協力し合えるぶんモンスターに対して有利に立ち回ることができるはずです。そのような中で、自分の実力のみで多くの実績を残し現在の位置にあるファロの能力は、やはり只者ではありません。エルガドの当面の目標であったメル・ゼナを狩りに行く主人公に対して、彼女は次のようなコメントをしています。

 

今回の討伐は、王域生物の調査で誰よりも功績を挙げた君と…、それに 調査隊を守り抜いたフィオレーネのものよ。

あら、重圧になったのならごめんなさいね。そんなつもりじゃなかったの。

それに…安心していいわ。君が失敗したときは、代わりに私がメル・ゼナを狩ってあげるから。

(マスター★5緊急前 ファロ)

 

最後の一文、おそらくファロの性格からすると、彼女が期待を寄せている主人公の心を焚き付けるために、あえてこのような言い方をしているのだと思われますが、もしもの場合として実際に彼女がメル・ゼナを狩ることになったケースを想像してみると、なんかこう……それはそれで普通に狩って帰ってきそうな感じがしますよね。ファロの実力をこの目で確認することができないのは残念ですが、彼女もガレアスにその実力を認められて、調査隊に参加している凄腕のハンター。少なくとも彼女がメル・ゼナに敗退している姿というのはあまり想像できません。

 

それもそのはず、ファロは以前、提督の直属部隊として機密性の高い重要任務を担う王国騎士、いわゆる「特命騎士」の認定を受けるように誘われたことがあるようで。その誘いに、彼女はどう応えたかというと……。

 

特命騎士の連中、何かを探ってるわね。まあ…意味もなくここに駐屯してるわけでもないから、当然なんでしょうけど。

それにしても…提督の直属で動く彼らを見てると、改めて思うわね。やっぱりあの役目、私はごめんだわ。

…ええ、そう。だいぶ前のことだけど、特命騎士の認定を受けるように 誘われたことはあるの。

もちろん、すぐに断ったわ。…ふふ。理由なんか、言わなくても分かるでしょ?

(マスター★5 ファロ)

 

特命騎士になるということは、それだけ王国や王国騎士団といった組織の中枢に加わることになるわけですから、そうした人間関係に身を置くことを好まないファロは、やはりというべきかその誘いをすぐに断ったようです。

 

むろん、特命騎士になった方がよいと他薦を受けるというのは実際のところ相当なもので、実際にファロが特命騎士になることがあったとすれば、その実力を以て大いに活躍することは間違いないと思うのですが、少数精鋭として上からの要求に結果で応えなければならないという特命騎士の特性それ自体が、ファロにとってはやりがいよりも苦手な気持ちが勝ってしまうようなものに感じられたのではないかな。

 

実際私たちの世界でも、そういう組織に適合できずメンタルが乙ってしまうケースというのは往々にしてあることですし、特に筆者の経験則でいえば、「自分がきちんと貢献しなければいけない、他人から求められたことに完璧に応えなければいけない」という感じで生真面目な人であればあるほど、本人の能力自体は十分なのに、精神の方がひとりでに潰れてしまう、みたいなことも結構あったりしますから。

 

以前(悲しいことにだいぶ前)の特命騎士の記事でも書いたように、特命騎士隊長セルバジーナと副隊長ラパーチェは、実力の高さもさることながら、自己肯定感が非常に高いメンタルつよつよ人間という特徴がありますから、特命騎士の任務を安定して継続するにはそういう特殊なメンタル(?)も実際のところ必要であると考えると、ファロが「自分には真似できない仕事だ」と認定試験を断るのも納得です。

 

とはいえ、王国騎士団との接点に関して言えば、ファロは「王国に所属して騎士として活動する」ことが自分の生き方に合わないと感じているだけで、決して彼らのことを嫌ったり、やたらに遠ざけたりしているわけではないんですよね。むしろ、特命騎士を含む王国騎士たちに対して、その中でも特にエルガドの中心的な存在であるガレアスやフィオレーネといった面々に対しては、その能力と精神とに彼女はとてもリスペクトを持っているんですよ。

 

調査のこと…私にも依頼が届いているわ。お互い、役に立つと分かれば 休みもなく求められる一方ね。

いえ、むしろ騎士団の力だけにこだわらず、私達ハンターも使うあの提督の柔軟さこそ…大したものかもね。

王国には体面にこだわる人も多いけど、彼はまるで違うようだわ。

目的のために何をするべきか、それを理解している稀有な人物ね。

(マスター★5シャガルマガラ前 ファロ)

 

ガレアスは異変の調査の実働部隊として王国騎士団を率いるのみならず、主人公やファロのように元々個人で活動をしているハンターにも協力を依頼し、調査研究や防衛を効果的に進めていますが、国家の論理からすれば「王国には王国騎士団という防衛組織が存在するのにも関わらず、"部外者"であるハンターの力も借りるというのは、騎士団の力量が不足しているという印象(ルーチカやジェイなどの若手の能力の高さを見るに、実際はそのようなことはないと思われますが、あくまで印象の話)を抱かせ王国の名誉に傷をつけてしまう、あくまで王国のことは王国騎士団のみで対処すべし」というような形式主義的な意見が出るのは当然のこと。

 

ガレアスはそういう中でも、騎士団の内外を問わず優秀な人材を集めて異変の調査に万全を期すべしという選択を貫き、最善の結果をもたらしました。彼の考え方はエルガドの部下たちにも自然と共有されており、王国騎士のエルツなども、「互いの立場やルーツは違っても、身一つで狩場に赴くという共通の体験をとおして通じ合い、協力できることを改めて実感した」という旨の話を主人公に聞かせてくれます(MR★5)。

 

ファロが何か特定の組織に所属することに抵抗があるのは、そうした組織内のしがらみや対立、国家の論理等々に振り回される可能性と付き合わなければならないことを避けているというのも一つの要因であるように思われますが、ことガレアス個人に関して言えば、どのような状況の中でも自分を保ち、本質を見失わない頑健な精神的骨格の持ち主として彼女は尊敬しているようですね。

 

それから、そのガレアスの副官である王国騎士フィオレーネについても、彼女の実力を高く評価しているシーンがあります。

 

例の生物…。以前から他のモンスターにも影響を与えていたかもしれないの?

それなら、もしかすると私もどこかで目にしてたかもしれないわね。でも、全然気にもとめなかったわ…。

さすがは提督の副官たる王国騎士、フィオレーネ…といったところかしら? あの立場にいるのも、納得かもね。

(マスター★3イソネミクニ亜種前 ファロ)

 

彼女に対する呼び方が「フィオレーネ」である辺りを見るに、ファロとフィオレーネは共に高い実力を持つ同年代のハンター(騎士)として旧知の仲である様子ですが、その上でなおファロはフィオレーネのことを、自分にはない能力と視野を持ち合わせる、ガレアスの副官という重役を占めるに相応しい人物として一目置いているようです。

 

そしてそれとはまた別の形で、ファロはどうもフィオレーネに対して何か特別の想いを抱いているようで、フィオレーネがメル・ゼナの攻撃を受けた影響で倒れてしまったという報せが入ったときには、ファロらしからぬ台詞を聞くことができます。

 

フィオレーネほどの騎士をここまで追い詰めるなんて…。キュリア…小さいのに恐ろしい存在ね。

ねえ君。フィオレーネのことでもし何か手伝えることがあったら、私に言ってくれても構わないわよ。

こういうときこそ、助け合いでしょ? 彼女が目を覚ますまで、エルガドがさらに一致団結してがんばらないとね。

(マスター★4ライゼクス前 ファロ)

 

ふだん他人に対しては少し精神的距離を置きがちであるファロが、彼女自身の口からすすんで「助け合い」という言葉を発するのは、珍しいシーンですね(もちろん、一人が好きであるということと、困っている人を放っておくということとはそもそも別の話ですから、"珍しい"という評価はファロにとっては心外かもしれませんが)。

 

フィオレーネの被弾は、ルナガロンのサンプルを運送しようとしていた他の調査隊の人々を庇ってのものでしたが、何をするにも一人で行動することを好んできたファロにとって、つねに仲間や王国のことを第一に考えて行動し、人々の安全を守るという重責を進んで引き受けようとするフィオレーネは、ある意味では「自分と正反対の道を歩む人間」なんですよね。

 

自分の身を挺してでも調査隊の仲間を守り抜くという、今の自分からすれば決してマネできないようなことを為したフィオレーネの使命感に心を動かされ、尊敬する気持ちと、そうして大きなものを背負うがゆえにしばしば自らを危険に晒すという、言わば「茨の道」を歩むフィオレーネを心配する気持ち……ファロの内のそうした感情が、彼女をして「助け合い」という言葉を引き出したのかなぁ~と思っています。

 

さらに言えば、二行目の「手伝えることがあったら、私に言ってくれても構わない」というやや迂遠な口ぶりも、彼女の少し屈折した心理を表現するものになっているんですよね。これは一見すると少し上からな言い方に見えるのですが、ここでのファロはむしろ、「自分から"フィオレーネの治療に協力したい"と言い出すことに少し後ろめたさを感じている」という心境にあるように思います。

 

他人との深い関わり合いをなるべく避け、仲間と助け合い、仲間の命を背負いながら何かを為すという立場に立ってこなかった自分が、フィオレーネのような覚悟も到底持ち合わせているわけではない自分が、こういう事態になってから「自分も手伝いたい」と協力的な人間の顔をするということを、自分の中で許すことができない。そういう後ろめたい気持ちが、ちょっぴり素直じゃない言い方として表れてきているような気がするんですよね。筆者の推測で補完している部分こそありますが、それでも言葉の端々から、ファロのフィオレーネに対する敬意が滲み出ている台詞だと思います。

 

フィオレーネたちに対してのこうした会話を聞いていくと、ファロは孤高を好むクールな人物という一面を持ちつつも、一方でエルガドの仲間のことをよく観察し、色々なことを考えている、とても人間味のある人物でもあることがよくわかります。改めて言うのもなんですが、ファロは決してただ単に他人を遠ざけているというわけではなく、むしろ「ちょっと離れたところから眺めたり見守ったりする」くらいが、彼女にとって心地の良い距離感なのだという、そういう感じなんですよね。

 

ここでこうしているだけでも 案外、いろんなことが見えるものよ。

加工屋に持ち込まれるいろんな素材、雑貨屋で買われていく道具に、クエストボードへ集まるハンター達…。

1人でそんな様子を眺めながら、今日はどんなクエストを受けようかって考える…。そんな時間を過ごすのが好きなの、私。

(マスター★3 ファロ)

 

ファロ自身も彼女なりに、このエルガドという場所や拠点の仲間たちに対して、一つの愛着を抱いているんですよね。そもそも彼女がこの調査隊に参加していること自体、王国の危機に関心を持っていることの証左ですから。そして、今までは個人での活動を貫いてきたファロの心境にも、作中でのさまざまな出来事を経て――先述したフィオレーネの一件はもちろん、猛き炎という一人のハンターとの出会いにも影響されて、少しずつ変化が訪れているようです。

 

まったく…相変わらず"引き"がいいのね、君は。

いつもおもしろそうなことを独り占めしちゃうんだから。

さすがの私も…、1人でいるより 君のあとを追いかけてみた方が楽しいかも、って気がしてきたわ。…ふふ。

(マスター★4 ファロ)

 

狩猟地で偶然メル・ゼナに遭遇するという猛き炎の主人公補正を羨ましがるファロさん。これまで長い間貫いてきた主義を自ら切り崩して変えてみることには幾ばくかの照れくささを覚えながらも、エルガドでの新たな一歩を踏み出すことに対しては、主人公の活躍がそれを自然と前向きにさせてくれたというような様子。この台詞ではまだ彼女自身も自らの意外な心境の変化にまだ動揺しているのか、「かも」と控えめな言い方に留めていますが、調査がひと段落した後の会話では、よりはっきりとその意思を打ち明けてくれます。

 

ここでは割と実績を残してきたつもりの私だけど…、君にはすっかり追い越されちゃったわ。

いつまでも他人の仕事ぶりにみとれたまま、のんびりとしてはいられないわね。

それにしても…私が今さらこんな気持ちにさせられるなんてね。自分でも、嬉しい驚きだわ。…ふふ♪

(マスター★6 ファロ)

 

君がまだ残るつもりなら… 私もあと少しだけ、ここでの任務を続けてみようかと思ってるの。

君の近くにいれば、まだまだおもしろいモンスターに出会えるかもと思って…ね。…ふふ、そんな予感がするの。

それに、君とならいつか一緒に狩りに出てみるのも楽しそうだわ。だからそのときは、よろしくね。

(マスター★6 ファロ)

 

主人公の活躍で自分の気持ちが動かされているのを「嬉しい驚き」だと言っているあたり、ファロはどこか心の中で、ある意味で自己完結してしまっていた自分に変化の風を吹き込んでくれる存在を求めていたフシもあったのかな。彼女がこれだけ素直に好意を示すのは今までにありませんでしたし、本来の穏やかで優しい表情を前にも増して見せてくれるようになったのはとても嬉しいですね。

 

ところで、本作には「盟勇」というシステムがありますが、「いつか一緒に狩りに行きたい」という明らかに何か示唆するような台詞を見るに、開発段階ではファロなども盟勇として連れて行けるようになる予定だったのでしょうか。彼女以外にも、作中でハンター現役復帰の意志を見せていたアヤメやハモン、発売前からその存在がピックアップされていた特命騎士のセルバジーナ、ラパーチェなど、盟勇として参戦しうるNPCは何名かおり、どこかしらのアップデートのタイミングで新たに盟勇として加わるのではないかと内心楽しみにしていたのですが、最終的には初期の12人のまま据え置きという形になりました。

 

まぁおそらく、そんなにいっぱい盟勇がいても誰を連れて行くかの選択肢が難しくなりすぎてしまうとか、盟勇同行時の台詞や特定の盟勇の組み合わせで発生する特別な会話などを1から作らなければならず大変であるとかで没にした、という可能性が高そうです。ゲーム内で共に狩りに行く機会がないのはとても惜しいところですが、来月発売の設定資料集などで、ファロや次に紹介するフランのハンター歴や得意武器などのプロフィールが明かされていることを楽しみにしたいです。もっとも、筆者はいったんブログ完成までは資料集を見るのはおあずけというセルフ縛りを課しているので、だいぶ先の話にはなってしまいますが……。

 

といったとことで、お次はフランのご紹介にまいりましょう。

 

2.心はつねに狩猟本能と共にあり――生粋の狩人・フラン

 

その装備を見れば分かるさ、君が今までどんな大物とやりあってきたのかってことがね!

きっと、あたしが知らない相手ともぶつかり合ったはずだよな。

うらやましいなあ! おい、カムラには一体、どんなモンスターがいるんだ? 今度ゆっくり聞かせてくれよ! な?

(エルガド到着直後 フラン)

 

屈強なハンター」というサンブレイクでは他に類を見ない肩書が非常にインパクトのあるフラン。初対面の主人公にも待ってましたという感じでフレンドリーに話しかけてくれる懐の深い人物で、「まだ見ぬ強いモンスターに出会いたい」という熱い魂を持つ豪放な性格。彼女の装備している防具はリオレイア一式。リオレイア陸の女王と呼ばれるモンスターですから、ワイルドなフランのイメージにピッタリですね。

 

あたしに言わせりゃ、王域生物だろうがなんだろうか、モンスターは結局、モンスターさ。

どこに何が出たとか、ギルドの都合はどうでもいい。あたしはとにかく、デカい相手とぶつかり合いたいんだ!

(マスター★1ヨツミワドウ前 フラン)

 

フランもまた王国の調査隊に参加しているハンターですが、彼女が調査隊に加わった一番の動機は、「デカいモンスターとの出会いを求めて」ということみたいですね。もちろん、王国の異変が云々というところに全く関心がないというわけではないでしょうが、王域の調査を進めていけば、必ずや強大なモンスターとの出会いがある、というところに彼女は調査隊の魅力を感じている様子。調査隊の仲間の中でも、特にハンターらしい純粋さを備えた人物だと思います。

 

ライズ-サンブレイクを通じて、猛き炎を含む主要人物たちが狩りに赴く基本的な動機は「故郷(カムラの里・王国)を護るため」である場合がほとんどでしたから、フランのように「ハンターの仕事の中で色々なモンスターとぶつかり合う楽しみ」を一番のやりがいとしているハンターというのは、モンハン世界全体では恐らく結構な割合で存在していて一般的な価値観のひとつなのでしょうが、本作に限っては実は結構レアなんですよね(もちろん前者に類するキャラでも、狩場の雰囲気に充実感を得ている描写は多くありますから、このやりがいはハンターの共通言語であることは変わらないようですが)。

 

そんな彼女でも「王国を護る」ことを理念とする王国の調査隊に参加しているというのは、調査に際してより実力のあるハンターを募るため、「人格的に問題がなく調査隊の本分をきちんと守ってくれさえすれば、各々が調査隊に参加する個人的理由は問わない」というようなガレアスの方針があるのだと思われますが、あるいはそれ以上に、フランのようなハンター然としたハンター、王国騎士のように帰属という縛りのない、ハンターとしての純粋でニュートラルな思考を持つ人物をも積極的に迎え入れることで、王国騎士が多数を占めるがゆえにともすれば視野に偏りが生じやすい調査隊の実働部隊の中に多様な視点を確保するというねらいもあるのかもしれません。

 

実際、キュリアの謎を追うストーリー終盤では、「キュリアにメル・ゼナ以外の別の宿主がいるかもしれない」という推測の元で調査隊が行動する際に、フランはこのようなコメントをしています。

 

もしもキュリアに別の宿主がいるって可能性があるなら、そいつは一体どんなモンスターなんだろうね。

でもさ…普通に考えて、前のヤツとは違う別のメル・ゼナってこともあり得るだろ? …さあて、何が出てくるのかねぇ。

(マスター★5キュリア調査前 フラン)

 

ここでフランは、王域内には複数個体のメル・ゼナが存在することを踏まえて、「新たな宿主となる別個体のメル・ゼナを探して飛んでいった」という可能性もあることを指摘しています。結果論としては当初の見立て通り、キュリアの真の宿主であるガイアデルムを突き止めるに至るわけですが、調査以前の時点では事の真相は誰にとっても明らかではないわけで、「キュリアを追った先に調査隊が探し求めているところのまだ見ぬ元凶が必ずしもいるとは限らない」という考えを頭の片隅に持っておくことは、調査研究の前提となる仮説の設定を見誤らないために非常に重要なこと。こうした冷静な意見は、フランの経験値と立場によってこそ可能なものでもあると思います。

 

いずれにしても、一人のハンターとしてのやりがいを見出して調査隊に参加しているという意味では、フランもまた「さまざまな理由で調査隊に参加した人々が共に力を合わせて王国の異変を解き明かしていく」という、エルガドの連帯の形を象徴するキャラのひとりですね。彼女はどんな時でも「モンスターとの勝負を楽しむ」という精神を忘れない人物で、その会話の端々において、本作が単なる「モンスターの脅威から人間社会を守る」という物語ではなく、狩猟本能においてモンスターを狩猟する「モンスターハンター」という作品である意義を思い出させてくれます。

 

近ごろ、妙に手応えのあるモンスターがうろついてると思ってたけど…やっぱり気のせいじゃあなかったみたいだね!

あたしにとってはさ、いつ何が出てもおかしくないっていう、この感じ…! この緊張感、ちょうどいいくらいだよ!

(マスター★4 フラン)

 

強力なモンスターが王域を闊歩している状況……というのは、もちろん王国の平和という観点では決して好ましい状況とは言えないわけですが、激しい勝負が期待できる強敵を常に求めているハンターからすれば、これほど闘志に火が点くシチュエーションはなかなかありません。

 

フランのこうした発言は決して不謹慎というわけではなく、むしろこうした逆境において意欲やモチベーションを高く持つことができ、自分自身や周囲の仲間を鼓舞することができるバイタリティこそがフランの持ち味であり、ひいてはガレアスが王国騎士ではないハンターたちに対して、調査隊の雰囲気づくりにおいて期待していたことの一つでもあるように思うんですよね。

 

ルナガロンだろ? 王国領でならやり合ったことあるけど…キュリアのせいで暴走してるなら、あたしの経験は無意味だろうね。

でも、だからこそおもしろいんだよな! 狩猟ってのは、やっぱモンスターとの出たとこ勝負が一番楽しいんだからさぁ!

(マスター★4緊急前 フラン)

 

平時とは異なるモンスターの動向についても、「おもしろい」とコメントするフラン。幾度となく人間の予測を超えた動きを見せる大自然の複雑さをありのまま受容し、そこに自分を順応させていくことを狩りの本義と心得るというのは、まさに生粋のハンターの感性ですね。そしてそれを可能としているのは、作中で直接お目にかかることこそできないものの、数多の狩猟を乗り越えてきた彼女の確かな実力に他なりません。

 

ストーリーで初めて王域三公が登場する時にも、調査隊の目標が云々というよりも、ガランゴルムが自分の好敵手となることを期待する気持ちのほうが強い様子。

 

いいね、いいねえ! だんだんと近づいてきてるじゃないか、王域三公!

待ちきれないねぇ、ガランゴルム! あたしはとにかくクエストに出まくって、そいつのこと、探し回ってみるとするよ!

(マスター★2アンジャナフ後 フラン)

 

 

君、うらやましいなぁ! 結局あたしはガランゴルムを見つけられもしなかったよ。

もちろん、帰って来たら話は聞かせてくれるんだろ? ヤツがどんなにデカくて、どんなに強かったかって、約束だぞ?

(マスター★3緊急前 フラン)

 

ここで話されている、王国領内でルナガロンの狩猟経験があるほどのフランが、同じく王域三公であるガランゴルムについてはあまりよく知っていないというのは、世界観的には結構重要な描写ですね。というのは、王域三公というのは今回の異変調査に際して設定された括りという意味合いが強く(異変の影響で特に王国を脅かす危険のある3種という意)、ルナガロンとガランゴルムには本来直接の関係はないからというのも勿論そうなのですが、ガランゴルムは本来は森林の深くなどに棲む温厚で臆病な性格のモンスターで、今回のような生態系への異変や、あるいは縄張り争いでもなければ、自分の棲み処を大きく移動するということもめったにないモンスターです。

 

となれば、フランほどのベテランのハンターでも、生息域を広くもつルナガロンとはやりあったことがあっても、先述のような生態をもつガランゴルムのことは詳しく知らない、ということは(彼女がエルガドに来る以前は王都近くなどでハンターをしていたのであれば特に)大いにあり得ることなんですよね。むしろフランのこの台詞があるからこそ、作中でのガランゴルムの行動がその本来の生態に即したものではないということがよりピックアップされるということでもあり、この辺りの裏付けの細かさは流石だなぁと感心します。

 

ちなみに、フランはとにかく強大なモンスターと出会って狩猟をすることを楽しみに調査隊に参加していますから、その拠点であるエルガドが「観測拠点」と呼ばれていることについては、少しばかり含むところがあるようです。

 

王国はここを "観測" 拠点なんて 呼んでるみたいだけど…あたしはその言い方、ニガテなんだよね。

なんだかお行儀がよすぎるっていうか、力が湧いてこないっていうか…。物足りないっていうか…。

だから、いい呼び方が閃いたら 提督に教えてやろうと思ってるんだ。待ってろよ~、提督!

(エルガド到着直後 フラン)

 

エルガドは調査研究の総合的な拠点でありますから、この呼び方は対外的にもやむなしと言ったところではありますが、フラン自身はもっと胸が躍るような名前であってほしいということで、「観測拠点」に替わる名称をずっと考えているようです。果たして、ガレアスには聞き入れてもらえるでしょうか(ないな……)。

 

それにしても、ガランゴルムの狩猟に赴く主人公にあとで感想を教えてほしくて、「約束だぞ?」とワクワクしながら帰りを待つこの少年のような無邪気さ、本当にたまらんですね。フランと主人公は、同じハンターとして調査隊に参加しているということから何かと意気投合しているようで、お互いの装備を披露し合ったりもしているようです。

 

へぇ~! 相っ変わらず趣味のいい装備、見せつけてくれるじゃないか!

あたしも好きだよ、そういうの。またなんか作ったら見せてくれるんだろ? 楽しみにしてるからさ!

(マスター★2 フラン)

 

君の故郷、カムラの里ってのは たたら製鉄が有名なんだっけ? いいなぁ、すっごく気になるよ!

ここでの調査が落ち着いたら、いつか武器でも鍛えてもらいに行かないとな! そのときは案内頼むよ! いいだろ?

(マスター★5 フラン)

 

武器防具が好きなフランは、主人公の故郷であるカムラの里の製鉄にも興味津々。里に行くことがあれば案内をしてほしい、と主人公にお願いしています。フランはこの他にも、研究所から依頼されたモンスターの生態記録の仕事について主人公に何度か協力を依頼したり(写真の依頼サイドクエスト)など、エルガドのハンター(王国騎士ではなく)の中ではかなり主人公と絡みが多めな人物。

 

上位までのストーリーではカムラの里でほぼ唯一のハンターとして里を護り、MRストーリーでは王国騎士団と行動を共にすることが多い主人公にとって、自分と同じくマスターランクの実力を持つハンターの知己を得る、という経験は貴重なものですよね。主人公本人は何とも喋らないので想像するしかありませんが、作中でフランとはかなり仲良くなっているようで、ガイアデルムとの決戦前には頼もしい言葉をかけてくれます。

 

深淵の悪魔…か、たしかに正体が分かってみれば、今までのことにもいろいろと合点がいくモンスターだね。

ま、エルガドのことは心配いらないよ。もし、キュリアがここまで来たとしても… ほら、あたしがいるからね!

よぉし! 誰がなんと言おうと、ここが最後の踏ん張りどころだ! うーん、いいねぇ! 気合いが入るよ!

(マスター★6緊急前 フラン)

 

エルガドの防衛は任せとけ! と背中を押してくれるフラン。ライズ-サンブレイク全体の特徴として言えることですが、このような形で主人公以外の仲間も違う役割において活躍している、という描写をきちんと盛り込んでくれるのは、個人的にはとても嬉しいんですよね。ガイアデルムという標的は、本来ならフランが調査隊に参加した一番の理由であるところの「強くてデカいモンスター」にまさしく相応しいものであり、フランも内心では勝負をしてみたいと思うところも大いにあるでしょうが、自分自身がガイアデルムを狩りに行くわけではなくとも、エルガドの護りは自分が預かるのだ、といつものように気合十分のフランさん、本当に頼もしいです。

 

……と、こんな感じで「勇猛果敢なカッコいいハンター」としての印象が強いフランですが、実は意外にもかわいいもの好きな一面があるようでして。後にキュリア命名されることになる、新種の小型生物が発見されたということを耳にした際には、かわいい動物であってほしいと期待を膨らませています。……でまぁ、ご存じの通り、キュリアというのは客観的に見れば、どちらかというとキモイ寄りの生物であったわけですが、これに対するフランの反応はといいますと……。

 

例のおもしろそうな話、あたしも聞いたよ! なんか新種が見つかりそうっての、本当かい?

楽しみだねぇ! そんなに大きくないんだろ? それ、カワイイといいなぁ…!

(マスター★3イソネミクニ亜種前 フラン)

 

 

よっ! おつかれさん。そうそう、バハリのとこ押しかけて、見せてもらったよ。例の不気味なアレ!

でも不思議なモンでさ、しばらく眺めてたら、ちょっとだけ… かわいく見えてきたような気がするんだ。

…変かな? あたしって。

(マスター★3イソネミクニ亜種後 フラン)

 

おそらくフランも、第一印象の時点ではあまり良い感想を抱かなかった様子ではありますが、そこから少しの間キュリアを眺めていた結果、なんかかわいく見えてきてしまったとのこと。キュリアに対して何らかの好印象を抱いているのは、エルガドの中では彼女とセルバジーナの二人だけということらしいですから(チッチェ姫談)、モンハン世界においては――少なくともエルガドにおいては、フランの感想は少し珍しい方のようです。

 

数多のモンスターと渡り合い、肝が据わっているフランの包容力がキュリアをも「かわいい」と思えるのか。それとも本当に元々の感性が独特なのか。真実は彼女のみぞ知る。…とはいえ、キュリアの生態の話を抜きにしていったん見た目だけで考えてみれば、フルフルのようにのっぺらぼう的な動物をかわいいと思うのはそこまで不思議なことではありませんし、それがさらに小型で赤色でつやつやの皮膚、さらに体格的にはパタパタと飛ぶための翼と宿主から精気を吸うための口だけが大きく発達しているというのは、なんとなく子どもや赤子を想起させる要素なのかもしれません。なので、キュリアがかわいいというのも決してわからなくはない……かも……。

 

フランとセルバジーナというのはエルガドのポジティブ担当の2大巨頭みたいなキャラでもありますから、キュリアのルックスについても良いところを見つけようと思えば見つけられる、というのはあるかもしれません。まぁ、その後判明するこの種の生態や、ガイアデルム討伐後の進化種の暴れっぷり、原初を刻むメル・ゼナをも狂騒させるヤバさなどを鑑みると……うん、やっぱり筆者としては、キュリアはかわいくないかも……。寄生生物として彼らなりに必死に生きようとしている、という点は認められるんですけどね。キュリアの生態が分かった上で、改めてキュリアのことをどう思うかというところもフラン達に訊ねてみたいものです。

 

 

記事サムネイルに使用していたこちらの写真も、マーケットに並んでいるパンをただ眺めているのではなく、とてもキュートなアイルーの顔のパンを眺めているように見えるかも? いずれにしても、こういう意外な一面があるのも素敵なところですね。

 

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ということで、本記事はこの辺りで〆とさせていただきたいと思います。9月に入り、サンブレイクの資料集や次回作情報も楽しみという時期になりました。本ブログにおいてはキャラクター考察のエルガド編がそろそろ終わりが見えているというところになっておりまして、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。9月中に1記事くらい、カムラ編の記事も1本書きたいですね。

 

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!