サンブレイクでもヒノエ・ミノト姉妹は最高のヒロインでした

※注意事項※

・本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」全編および、一部シリーズ他作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

ーーーーーーーーーー

 

本記事ではカムラの里の受付嬢姉妹・ヒノエとミノトについて取りあげていきます。サンブレイクでは物語の主役はエルガドということもあり、カムラの里の住民の台詞量は基本的にはエルガド組よりは少ない傾向にあるのですが、ヒノエやミノトに関しては別格で、サンブレイクのお話においても、彼女たちの精神的な成長や変化が本当に丁寧に丁寧に描写されているんですよね。今回はそれらを考察していきたいと思います。

 

本記事の内容は以下のライズ時代の記事を前提に書かれております。ずいぶん前の記事なのでだいぶ文章の拙いところはありますが、適宜ご参照くださいませ。


mhrisecharacter.hatenadiary.jp

mhrisecharacter.hatenadiary.jp

 

ーーーー目次ーーーー

ーーーーーーーーーー

 

1.ミノトの精神的な成長を見届ける

 

まずはミノト編から。サンブレイクのミノトの最初の成長が見られるのは、主人公がエルガドに出発するのと時を同じくして、王国騎士ロンディーネを食事に誘ったというエピソードです。

 

ロンディーネさんにお聞きしましたが、フィオレーネさんは、王国でも名うての騎士様だそうです。

しかし、かく言うロンディーネさんもかなりの実力をお持ちだと思うのですが 私などは、と謙遜されるばかりで…。

一緒にしては失礼かと思いましたが、その…優れた姉を持つ妹の気持ちはとてもよく、わかりますので…。

その旨をお伝えしましたら、少しお近づきになれたと言いますか… 今度、お夕飯を一緒に、と約束を…。

わたくしとしたことが、つい勢いで大それたお誘いをしてしまいました…。わたくしの作る料理、お口に合うでしょうか…。

(マスター★1 ミノト)

 

幼少期のミノトは今にも増して極端な人見知りで、里の人たちと話すのを恥ずかしがっていつも姉のヒノエの後ろに隠れてしまうような性格であったため、それを見かねたヒノエが、間に入ってお話しをするというようなことを幾度となく積み重ねて、ようやく皆に馴染むことができたという過去があります。今のミノトが里の仲間と仲良しなのは、むろん本人の人柄が好かれているのもありますが、そのきっかけに関しては昔のヒノエの努力によるところが特に大きかったのです。

 

しかしながらこのロンディーネの件に関しては、ヒノエの介在なしにミノトが自分から他人により近づこうとしているんですよね。ミノト本人は「優れた姉に対する尊敬/劣等感」という所にシンパシーを感じ、つい考えるよりも先に言葉が出てしまった……という様子ですが、彼女は無意識の内で、ロンディーネと気持ちを共有することを通じて自分の精神的課題と向き合うこと、今までの無力な自分(と彼女自身が思い込んでいる)の殻を破ることを求めていたからこそ、こうして新たな一歩を踏み出せたのではないかな。

 

ミノトの姉に対するそうした劣等感というのは、ライズのストーリーでは「双子であるにも関わらず今まではヒノエしか発現していなかった共鳴の能力を、ナルハタタヒメとの接触によって自分も発現した」という出来事によって払拭されたかのような描写が作中ではなされていたのですが、筆者はライズ時代のミノトの記事で、その解決方法には少なからず危うい部分があるということを指摘しました。

 

つまり、共鳴能力を発現したこと、つまり「姉と同じものを持つことができた」ことによって喜ぶというのは、ある意味では「自分と姉とを比較する」という思考回路自体が変わったわけではないということであり、いずれまた何か重要な事がらに関して自分とヒノエとの間に大きな差があることを感じたときに、同様のコンプレックスが再燃してしまうのではないか。双子だからこそ一層気になってしまうというのは分かるけれども、自分とヒノエとを比べてどうこうということではなく、ヒノエはヒノエ、ミノトはミノトでそれぞれ別の良いところがあるのだから、「自分にしかない長所・個性」を自覚することこそが、真に姉への劣等感を克服するということなのではないか、ということです。

 

で、サンブレイクではまさにその点について、ミノトが少しずつ気づき始めるような会話があるんですよね。

 

マイドさんが 受付嬢の資格試験を受けられるそうで。

マイドさんにはいつも大変お世話になっていますし、及ばずながら試験勉強のお手伝いをしています。

わたくしも試験前は懸命に勉強しました。わたくしは、本を一度読んだだけですべて理解できる姉さまとは違いますので…。

けれどマイドさんは「すっごく勉強したミノトさんなら、私がわからないところが よくわかると思うニャ」と…。

わたくしの不器用さが どなたかの役に立つことがあるのですね。驚きましたが…少し、嬉しいです。

(マスター★5 ミノト)

 

ヒノエのような何でもすぐできてしまう要領のよい天才型というよりは、最初は全然できなくても、コツコツと地道に努力して上手になるタイプのミノトであればこそ、他人のつまずきや落ち込む気持ちに対して敏感なセンサーを持ち、それに共感し、助けてあげることができる。彼女の不器用さは「姉と比べて欠けている部分」などではなく、むしろヒノエにはなくてミノトにはある「長所」になり得るもの。姉を尊敬する気持ちが自己否定に反転することなく、自分には自分の良いところがあるという風に、ミノトが変わりつつある瞬間です。

 

そしてそれは同時に、ヒノエには出来て自分には出来ないことをわざわざ全て自分も出来るようになる必要はないということであり、自分がどうしても苦手なことはヒノエに任せる、ということについて、無用な躊躇いを抱かずに済むようになっていくということでもあります。

 

あの方…バハリさんとおっしゃいましたか。先日、百竜夜行について聞かせてほしいとわたくしを訪ねていらっしゃいました。

けれど、その…あまりに早口でまくし立てられるものですから、わたくし、困惑してしまいまして…

その… つい「姉さまにお聞きください!」と言ってしまいました…。

いくら動揺していたとはいえ、姉さまに対応を丸投げするだなんて…!

今からでも、わたくしがご説明をしに行くべきでしょうが… でも、できれば、それは……。

…今回ばかりは 姉さまに甘えても、よいでしょうか…。

(マスター★4 ミノト)

 

押しの強いバハリからの質問攻めに困惑してしまい、対応をヒノエに任せてしまったというミノト。まぁ、ただでさえ人見知りの激しいミノトにとって相手が悪すぎるというのはありますが、それを差し引いても、これが以前のミノトであれば、「訊かれたのは自分なのだから自分がきちんと回答しなくては……」と無理を押して説明しに行こうとするか、ヒノエに丸投げしたはいいものの、後になって「自分はヒノエ姉さまがいないと何もできない……」等々と言って落ち込むか、おそらくこのどちらかなんですよね。

 

しかしながら今回は、「無理なものは無理と認めて素直に姉に甘える」ということに対して、引け目を感じるようなことがなくなってきている様子が窺えます。自分と姉の違いを優劣ではなく個性として考えられるようになったからこそ、自分にはできないことをできないと割り切ることが怖くなくなった……「共鳴」の能力がヒノエにしかないことをずっとコンプレックスに思っていたかつてのミノトからすれば、これはかなりの成長と言えるところです。そしてこれは、王国との交流を機に、「見知らぬ土地に足を運ぶ」という本来ならば彼女が苦手とすることに一歩踏み出してみたからこその経験であり、ライズ時代ではできなかった、サンブレイクならではのミノトの成長描写とも言える部分ですよね。

 

……で、ミノトの姉に対する劣等感というのは、昔から何に対してもすぐに要領を掴んですんなりと出来てしまうヒノエがあまりにも眩しすぎる存在であったからというのが何よりの理由ではありますが、そもそもミノト自身の性格からして(ある意味では、そうしたヒノエの存在も彼女の性格に影響している部分があるかもしれませんが)、彼女自身の自己評価が過剰に低いんですよね。何事にも根気よく真面目に取り組む努力家で、他人に対しては人一倍優しい……というのは、誰にも代わることのできないミノトの素晴らしい長所です。

 

しかしながら、ライズ時代の記事でも書いたように、彼女はその性格が強すぎるあまり自分に対して要求するところのものが過多であり、「自分はこれができるようにならなければ」「自分がこの人の力にならなければ」と何でもかんでも一人で抱え込み、「自分がしなければならないこと」の範囲を無意識の内に、本来ならばとても一人では手に負えないようなところまで拡げてしまうことがあるんですよね(当然ながらそれはミノトの能力の不足のゆえに手に余っているというのではなく、これがヒノエでも誰であったとしても、そもそも一人で全て何とかできるようなものではないということです)。

 

その結果、ミノトの中では「それを果たせなければ自分に価値を見出せない」ということになってしまうのですから、彼女は自分自身に課した必要以上に高すぎるハードルを前に、一人で擦り減っていってしまう……ということになるのです。なのでミノトは「自分を褒める」「頑張った自分を休ませる」までの距離が、ものすごく遠い人なんですよね。

 

で、ミノト自身はそうした自分自身の中の危うさをどう思っているかというと……それに気づくまでには少し時間がかかっているといいますか、なんと言うかね~、妙に鈍いところがあるんですよ。サンブレイクの主要キャラの一人である王国騎士のフィオレーネは、ミノトに非常によく似ている部分があるのですが、そんなフィオレーネがメル・ゼナとの交戦時の負傷を抱えたまま無理を押して職務にあたっている姿を見て、ミノトは次のようにコメントしています。

 

○○さん…。ご無事でしたか。メル・ゼナに襲われたと聞いておりましたので…。

古龍の襲撃を受けたにも関わらず 被害ゼロとは、おそれ入ります。さすがはツワモノですね。

それにしても…フィオレーネさんはおケガをされたというのに、あいかわらずご多忙の様子。

お休みになった方がいいと思うのですが、そうはいかないのでしょうか?

(マスター★4 ミノト)

 

この台詞、一見すると「ミノトは "無理をしすぎることは良くない" と分かったからこそ、フィオレーネもそうならないように心配している」という風に思えるのですが、自分と非常に似たタイプの性格の人間を前にして変に冷静であること、自分の言葉が自分に対してわかりやすく特大ブーメランであることに全く気が付いていない様子を見ると、ここでのミノトはおそらくまだ、自分の性格を明晰に理解できているわけではないというのが筆者の解釈です(後述の★6の台詞で、ようやく自分の性格に自覚的になってきたような様子があることも根拠の1つ)。

 

もしミノトがこの時のフィオレーネの立場であれば、同じように体調が悪くても自分の仕事をやり切るまで休もうとはしないと思いますから、責任感の強さのゆえに無理をしてしまうフィオレーネの心境には本来ならば共感できるところも多いはずなのですが、ミノトはこれが他人のことになった瞬間に、「休んだ方がよいのでは?」と不思議なほど鈍くなってしまい、「フィオレーネさんも自分と同じなのかもしれない」とはならないんですよね。それは裏を返せば、この時のミノトはまだそれだけ自分自身の内面に対して鈍いということでもありますし、また一つには、他人に対しては「休んだ方がいい」と冷静に判断できるのに自分に対してはそうはならないという、ミノトの中のダブルスタンダードが無自覚のうちに露呈していると言える部分でもあります。

 

ちなみに、同時期のヒノエのフィオレーネに対するコメントがこちら。

 

○○さん! ご無事で、よかったです。

メル・ゼナに襲われたと聞きました。調査隊を守るために、フィオレーネさんは、おケガをされたそうで…。

軽傷ということですが、ケガはケガ。くれぐれもムリをなさいませぬよう、見守ってあげてくださいね。

(マスター★4 ヒノエ)

 

フィオレーネの体調を気遣うヒノエですが、彼女は身近にミノトという存在がいるからか、「軽傷」という言葉の裏に少なからずフィオレーネがガマンしている部分があること、フィオレーネがミノトと同じく頑張り過ぎるタイプであること、自分自身に対してあまり優しくできない性分であることを、何となく見抜いているような感じがしますよね。しかしながら、そういう性格の人間に対して「もう十分頑張っている」「休んだ方がいい」などと直接伝えるのは必ずしも良いことばかりではなく、むしろより一層追い込んでしまったり、本人の意志を否定することになって傷つけてしまうこともある。それを分かっているからこそ、ヒノエは主人公に対して「そばで見守ってあげてほしい」と念押ししているような気がするんですよね。

 

ライズ時代のヒノエは、真面目で努力家、何事にも丁寧で誰に対してもとても親切というミノトの長所を誰よりもよく知っているからこそ、自己肯定感が低く自分を追い込みがちなミノトの気持ちが却って難解に思われて困惑してしまい、「ミノトは自分の誇りだといつも伝えているのに、ミノトは表情を曇らせてしまう……」と、妹のことが大好きであるがゆえのすれ違いを起こしてしまっているような様子もありました。

 

しかしながらここの会話は逆に、フィオレーネを気遣う言葉を通して間接的に彼女のミノトへの理解度の高さを見せてくれるものとなっており、ヒノエがミノトのことを本当に大切に想っていること、そしてひょっとするとヒノエの方も、ミノトの美点の中に潜む危うさを少しずつ紐解いて、以前よりも更にミノトのことを理解しつつあるのかもしれない、ということを推測させてくれるものになっていると思います。

 

で、ミノトが少しずつ自己理解を深めてきたなぁと感じられるのは、ストーリー終盤のこちらの台詞において。

 

エルガドでの調査も ひと段落したそうですね。少しはゆっくりできるのではありませんか。

わたくしも、「役目を果たすのは大事だけど 休息をとることも必要でゲコ!」と常々、ゴコク様に言われております。

…○○さんの姿を見ていると その言葉の意味が、よくわかりました。

今後はわたくしも、全力で休息を取ります。○○さんもぜひ しばし里でゆるりとお過ごしください。

(マスター★6 ミノト)

 

ゴコクに言われている言葉の意味が、他ならぬ主人公の姿をつうじて身に沁みて実感できるようになったというミノト。「猛き炎」がそのハンターの道において何よりも大切にしてきたことは、ただ災禍の元凶を絶つことさえできればよいというのではなく、「自分が帰るべき人たちのところに必ず無事で帰る」ということでした。カムラの「家族」と共に災禍に立ち向かう中で確固たるものとなったその信念は、一切喋らないにも関わらずフィオレーネにも共に狩りをする中で伝わってゆき、騎士の使命のために率先して自らの身命を捧げることを厭わないフィオレーネの危うさを変える要因のひとつにもなりました。

 

ウツシ教官も言っていたように、役目を果たせれば自分はどうなってもよい、ではなく、自分自身も無事であってこそ、皆は平和を喜んでくれる。家族や仲間のことを思えばこそ、徒らな自己犠牲をせずに自らの役目を果たすということを考える。自分が皆のことを想うのと同じように、皆も自分のことを想ってくれている。主人公の活躍する姿からそうした価値観を吸収することができたからこそ、ミノトは「頑張れない自分は無価値だ」と思い詰めるようなことがなくなり、疲れたときにはきちんと休むことに引け目を感じなくなったのだと思います。

 

ミノトの長所は今もそのままに、ちょっとずつその角が取れてきていて、ライズ時代のイブシマキヒコの件の時の落ち込みようから比べると、見違えるほど成長したなぁ……と、筆者はしみじみと喜びを感じています(?)。サンブレイクに入って、メインの舞台がカムラの里からエルガドに移っても、こうしてカムラの里側のキャラクターの成長も引き続き描いてくれているというのは、本当に作り込みが丁寧ですよね~。

 

さて、ここからはまた別の話。ミノトはサンブレイクでは、ヒノエと共に定期的にエルガドの観光に来ていますが、何を隠そう彼女といえば、とにかく外出が苦手で人見知りも激しいという性格。いちおう、最終的には彼女なりにエルガドを満喫してはいるようなのですが、そこに至るまでには紆余曲折がありまして。以下、順にミノトの経過(?)を見てまいりましょう。

 

○○さん…! あっ、いえ、見知った顔を見かけて 少しほっとしたというか…。

この、知らぬ方ばかりの場所… 姉さまがいなければ、わたくし5分と立っていられません。

姉さまはもう、こちらの方々と すっかり打ち解けていらっしゃるのに、わたくしは…。

…いえ、あいさつすらまともにできないわたくしが、完璧な姉さまと比較するのがそもそも間違いです。

わたくしは、わたくしなりに 少しずつ、皆さまと距離を縮められるようがんばります…。

(マスター★1 ミノト)

 

あ、○○さん…。おつかれさまです。ここが、エルガドなのですね。

……………………。

すみません、まだ、こちらの雰囲気に慣れなくて…。正直、帰りたい気持ちでいっぱいです。

(マスター★1 ミノト)

 

のっけからだいぶ心配な感じではありますが、ひとまずそばにヒノエがいることによって、一応まだギリ耐えてはいる様子。ミノトが苦手な気持ちを堪えて新天地への旅行に踏み切ったのは、やはり姉のヒノエがエルガド探訪に乗り気で、どうしてもヒノエ姉さまLOVEの方の気持ちが勝ってしまったため。シスコンの本能(?)には抗えなかったということで、幼い頃から人見知りだったミノトのことをよく知るゴコクも、今回の彼女の挑戦を気長に見守りたいと思っているようです。

 

最近、ヒノエとミノトもちょいちょいエルガドへ行くようになったでゲコ。

ミノトは最初ちょっと渋っとったけど ヒノエが乗り気だったし、ヒノエを1人で行かせるミノトではないでゲコ。

まだ人見知りしとるようだけど… まあ、きっとそのうち慣れるでゲコ。

おぬしも、あっちで見かけたら声をかけてやってくれゲコ。おぬしの顔を見ればきっと安心するでゲコ。

(マスター★2 ゴコク)

 

ゴコクも言うように、エルガドには主人公などミノトの馴染みの人物が他にもいますから、その意味では多少は安心はできますが、やはり彼女がエルガドに慣れるのにはまだまだ時間がかかりそう。一緒に行こうと誘ったものの新天地に苦心するミノトの様子を見て、ヒノエも「悪いことをしてしまったのではないか」と心配になっているようです。

 

ミノトは、まだエルガドには慣れていないみたいです。ミノトは私と違ってとても繊細ですから…。

無理に誘ってしまって、悪いことをしたかもしれません。嫌だというわけではないようなのですが…。

○○さん… お時間があるときはぜひ、私たちにも声を掛けてくださいね。

あなた様の顔を見れば、ミノトもきっと安心するでしょうから。

(マスター★2 ヒノエ)

 

いちど緊張が解けてしまえば、ミノトも「ヒノエ姉さまと一緒にエルガドに来て良かった」と思えるようになるはずですから、決して無理はして欲しくないのですが、今の状態としてはもう少しの辛抱といったところ。そんなミノトに転機が訪れるのは、王国のお姫様でありエルガドでは自分と同じ受付嬢である、チッチェ姫との出会いです。

 

○○さん。おつかれさまです。こちらでの生活はいかがですか?

わたくしもだいぶ、こちらの空気に慣れて参りましたし、少しずつですがお話しできる方も増えてきました。

先日は、フィオレーネさんが エルガドを案内してくださいました。

その際「チッチェ姫がカムラの里に興味をお持ちなので、よければ話をして差し上げてほしい」と言われたのですが…。

一体、なんと話しかければ…!? いえ、もちろんいい方なのだろうとは思っているのです。ですが…

ああ…… 外の世界って、本当に難しいですね…。

(マスター★3 ミノト)

 

出会いと言っても、やはり最初はこんな感じでして、フィオレーネらとの交流も経てエルガドの雰囲気には多少慣れてきたミノトですが、自分から初対面の人に話しかけるというのは、まだハードルが高いようです。

 

しかしながら当のチッチェ姫の方も、カムラの里から来てくれたミノト達に話しかけたいと思いつつも勇気が出ない……となかなか会話に踏み出せない様子を見せていたりしましたし、なんならフィオレーネも人見知りというほどではありませんが、客人であるミノト達をどうもてなせばよいものか……と緊張して肩に力が入っていたりやたらと脳内シミュレーションをしていたりしましたから(したがって上の台詞は、フィオレーネが無事に観光案内を終えられたことを知ることができるシーンでもあるのです)、ミノトほど極端な人見知りは珍しいにしても、似た者同士というのは結構いるものなのです。ミノトとチッチェ姫も、いざ話してみれば波長の合う部分は存外多そうですから、やはり肝要なのは最初の一歩…!

 

で、ミノトはチッチェ姫の雰囲気がカムラの里のある人物に似ていることに気が付き、少しずつ彼女に親近感を抱くようになってきます。

 

チッチェさんは、とてもステキな方ですね。いつも一生懸命で、かわいらしくて。

なんとなく、誰かに似ている気がしていたのですが…少しだけヨモギちゃんに似ているのですね。

あの、がんばりやで一生懸命なところや、意外とやることが大胆なところ…、じつは、所作がキレイなところですとか。

あ…お姫様に対してこういう言い方は 失礼にあたるでしょうか…。いけませんね、気をつけます。

(マスター★3 ミノト)

 

エルガドの茶屋のアズキさん同様、チッチェ姫はヨモギちゃんに似ている……と話すミノト。彼女はやはり他の人を観察する能力に長けていますから、チッチェ姫についても非常に的確に、素敵だなと感じたところを思いつくままに挙げています。ミノトはこうした人物評を「失礼かもしれない」と言っていますが、一方のチッチェ姫はエルガドでは姫ではなくひとりの受付嬢として皆に接して欲しいと思っておりまして、その意味では地位よりも人柄でチッチェ姫のことを見ているミノトは絶対に仲良くなれるハズなんだけど……! がんばれ、あともうちょっとなんだ……!

 

先日は、チッチェさんと姉さまと 3人でお茶をいただきながら、受付嬢の仕事についてお話をいたしました。

チッチェさん、王女という立場でありながら 国の危機にじっとしていられず、必死で受付嬢の資格を取られたとのことで…。

すばらしいお志ですね…。わたくしもいっそうがんばらなければと 身の引き締まる思いです。

…わたくし、ここで このようなお話ができる方に出会えようとは 夢にも思いませんでした。

最初は、里の外なんてと思っていましたが、少し……いえ、とても、嬉しいものですね…。

(マスター★5 ミノト)

 

ということで、ついに受付嬢ガールズトークの会の開催にこぎつけた時の台詞。ミノトとチッチェ姫は共に、受付嬢資格を取るために必死に猛勉強を重ねたという経験が共通していますし、同じ生粋の努力家同士、互いの志を知って励みを貰えるところも多くありそうです。

 

そしてまたチッチェ姫にとっても、同じ受付嬢同士でお仕事の話をしている時間は、姫のことをいったん忘れて心から受付嬢としての自分に没頭できる時間でありますから、これは双方にとって非常に実りあるものだったハズ。いやもう、ミノトが「嬉しい」という気持ちを口にしてくれたことが何よりも嬉しいよ……。

 

ミノトはこうしてエルガドでの交流を深めていく中で、自分がこれまで「里の外」に対して漠然と抱いていた先入観を、少しずつ改めていくことになります。

 

タドリさんという方は、とても優秀な薬師でいらっしゃるのですね。

カゲロウさんの古いお知り合いだとか…。言われてみればたしかに、少し似た雰囲気をお持ちのような気がいたします。

最初はここを、知らぬ方ばかりの土地、と思っていましたが、よくよく聞くと繋がりのある方も多いのですね。

フィオレーネさんやミネーレさんも。もちろん、アズキさんやナギさんのように、里から来ている方もおられますし…。

最初から「知らぬ方」などと決めてかかってはいけませんね。反省です。

(マスター★5 ミノト)

 

里の外の新天地ではまったくの初対面の人との出会いも多くあれど、一方で自分の友人の知り合いや、自分がこれまでに会ったことがある人物や、初対面でも自分と共通点のある人物など、自分に何らかの形で縁のある人の出会いもあるというもの。ことエルガドのようにカムラの里からそれほど地理的に遠くない地であれば、後者の場合もそれなりに多いというものです。新たな出会いというのも勿論良いものですが、カムラの里の周りの地域は自分が思っているよりも未知ではない、というのは今まで里の外への旅を避けてきたミノトにとっては新たな発見で、これは逆説的ながら今回初めて「未知の世界」に一歩踏み出してみたからこそ得られた経験ということになります。

 

さて、そんな感じでエルガドに着々と馴染みつつあるミノトではあるのですが……やはり、慣れ親しんだカムラの里の居心地の良さにはどんな場所も敵わないようで、エルガドの旅を楽しむ一方で、カムラの里に帰りたがる様子を見せることもあります。

 

エルガドは、活気があってよいところですし 皆さん、本当に親切にしてくださいます。

けれどわたくしは、もともと外に出るのがニガテなので… やはり、里にいるのが一番落ち着きます。

最初に比べれば エルガドにもずいぶん慣れましたし それなりに楽しんではいるのですが。

それでも、里の居心地の良さとは比べるべくもありません。…○○さんは、いかがですか。

(マスター★5 ミノト)

 

脅威が去り… エルガドの皆さまの表情も、明るくなられたように思います。

これもひとえに○○さんのお力あってのこと。本当に、おつかれさまです。

今回の件は落ち着きましたが、今後ともエルガドと里…いえ、王国と里との協力関係が続くとよいと思います。

……さて。では、そろそろ帰りませんか ○○さん。

エルガドは好きです。好きですが… それでも、やはり里が一番落ち着くのです。こればかりはしかたがありません。

(マスター★6 ミノト)

 

この揺るぎないインドア派の魂はまぁ、さすがとしか言いようがありません……。しかも主人公も一緒に連れ戻そうとしてるし。とはいえ、旅先の土地のそういう落ちつかなさというのはよく分かりますし、エルガドはエルガドで居心地は良いとしても、慣れ親しんだふるさとには何物も代わることはできません。その点については、(やたらと帰りたがるところを除けば)姉のヒノエの方も同じ気持ちのようです。

 

エルガドはとても賑やかでよいところですが やっぱりカムラの里が一番ですね。

もちろん向こうも楽しいんですけど… 里に帰ってきて、皆さんの顔を見るとすごくほっとするんです。

ささ、○○さんも、せっかく帰ってこられたんですから たくさん、ほっとしてくださいね。うふふ。

(マスター★4 ヒノエ)

 

外の世界がどれだけ楽しいものであったとしても、やはり故郷の存在は、彼女らにとっては特別なもの。これからもカムラの里を大切にしながら、色々な地方へ足を伸ばしてみてほしいと思います。

 

ちなみに、ミノトと外の世界といえば、彼女はウツシ教官と共に盟勇としてクエストに連れて行くと、日ごろの運動不足を指摘された挙句クエスト終わりにきっついランニングをさせられそうになったり(ライズ時代のミノトの台詞にも、運動不足がバレるとフゲンやウツシから地獄のトレーニングを提案されるという旨のものがあった)、本気でハンターを目指してみるよう催促されたりするという受難を被ることになります。

 

 

むろん、外出を好まない性格のミノトはハンターになるつもりは毛頭ありませんし、ウツシもそこまで無理強いをするわけではないのですが、3行目以降のウツシのなんかよくわからないハイテンションがとにかくオモシロい掛け合いなので、まだ見たことがない方は必見です。

 

それから、ミノトとエルガドといえば、やはり彼女の個性的な絵がエルガドで非常に人気を博しているという点(おそらくロンディーネの手引きで、ゴコクの絵と共に交易でエルガドに渡ったのだと思われます。ロンディーネさんまじグッジョブ)。チッチェ姫のクエストカウンターやバハリの研究所の屋根裏部屋など、いたるところでミノト画伯の絵を拝見することができます(しかも後者に関しては、ストーリー進行度に応じて違う絵が見られるという謎の徹底ぶり)。このことに関して、ミノトは次のように話しています。

 

○○さんはご存じでしたか…? わたくしの絵が、その… こちらで、人気だと……。

先日、こちらの方にサインを書いてほしいと頼まれまして…。何かの署名かと思ったら わたくしの絵を好いてくださっていると…。

以前、ロンディーネさんが わたくしの絵が王国で人気だ、といったことをおっしゃっていましたが…

てっきりその、よく言ってくださっているだけだと思っておりましたので…。まさか、本当に…?

あ、あんな、わたくしの、つたない絵を、どうして…!? お、恐ろしいです…!

(マスター★2 ミノト)

 

ミノト自身は自分の絵の出来栄えをあまり高く評価していませんでしたから、エルガドで自分の絵が好評であることには、嬉しさよりも恐怖が勝ってしまったようです。まあ、ミノトの絵がユニークであるということは否定はできないとしても、それはそれとして一つの世界観を持っているところや、ヒノエ姉さまだけは何故かとんでもなく綺麗に描けるところに才能の片鱗が見られたりするなど、少なくともミノトの絵には見るべき点が豊富であることは確かです。

 

なので、先のロンディーネの話も「自分に対する他人からの評価は自分が思っているよりも素直に受け取ってよいものだ」というような仕方で、ミノトが自己評価の厳しい性格を少しでも和らげるための気づきになったらいいなと思ったのですが……里に帰った後のミノトの話を聞くに、彼女の思考はむしろどんどん深みに嵌っていってしまっているようです。

 

まさかエルガドで、わたくしの絵があのようなことになっているなんて…。

ああして見ると、わたくしの絵の未熟さが余計に際立つばかりで…。改めてゴコク様に 絵を教えてくださいとお願いしたのですが…

「ミノトはワシに教わるよりも のびのび自由に描いたほうがいいでゲコ」と、言われてしまいました。

のびのび描くなんて、そんな…。○○さん… 自由とは、一体なんなのでしょうか…。

(マスター★3 ミノト)

 

そんな哲学的なことを急に訊かれても……。うーん、その手の話はあれかな、ベルクソン(※)案件かな……。

 

※アンリ=ベルクソン(1859-1941)。フランスの哲学者。主著に『時間と自由』。

 

ゴコクの絵が上手いのはもちろんなのですが、ミノトの絵は単純に上手とか下手とかいうよりも、彼女にしか出せない深い味わいが評価されているのですから、ミノトは変に誰かを真似しようとするよりも、そのままでいいと思います。ぜったいに。

 

ちなみに、それらの絵の作者がミノトであるということがエルガドで知られるようになると、彼女の絵の愛好家から、「目の前で絵を描いて欲しい!」という希望を聞くこともあるようでして。

 

先ほど、こちらの方に声を掛けられまして。

「らいぶぺいんてぃんぐ」というのをしてほしいと言われたのですが、その「らいぶぺいんてぃんぐ」というのは…?

………!! 人前で、絵を!? そういう芸事なのですか!?

ぜっ、絶対にダメです、やりません。そんなことできるわけがありません。丁重に、お断りしておきます…!

(マスター★6 ミノト)

 

冷静に考えて、「ライブペインティング」という文化というか概念というか、そういうのが人々の間で確立している王国というのは、本当に最先端の文化レベルですよね。王国の中心地である王都に実際に足を運ぶことができないのが、本当に悔やまれる限りです。……で、ただでさえ自分の絵が大々的に広まっているのを恥ずかしがっているミノトですから、あろうことか人前で生で絵を描くなどという催しに首肯するはずもなく、残念ながら作中でミノトのライブペインティングを拝むことはできませんでした。あまり無理強いするのも良くはありませんが、うーん……見たかったなぁ……。

 

……て、画伯から話を戻しまして、このような感じでミノトはモンハンライズからサンブレイクにかけて大きな成長を遂げた、素晴らしい魅力のある本作のヒロインの1人であるわけですが、カムラの里を離れて遠くエルガドの地で活躍する主人公に対しても、カムラの家族として、幼馴染として、特別な思い入れを抱いている様子。

 

○○さんが里を出られてから、ヒノエ姉さまは少しさびしそうです。

姉さまは、考え事をしているとき うさ団子の本数が増えますので すぐわかります。

わたくしですか? わたくしは別に…。さびしいというよりは、あるべき姿がそこにない違和感、と申しますか…。

○○さんも、カムラの里から急に桜がなくなったら戸惑うでしょう。それと同じことです。

(マスター★2 ミノト)

 

ヒノエのようにストレートな感じではないのですが、なんかこう、若干ツンデレ的な好意を抱いているんですよね。上述のエルガドで会った時の会話でも、あわよくば主人公を里に連れ戻そうとしていましたし、大好きなカムラの里の「いつもの光景」のなかに主人公がいないのが、やっぱり寂しいのかも。

 

ミノトが主人公に対して抱いている感情は複雑なもので、里の英雄として(ヒノエ姉さまの次に)尊敬の対象というだけではなく、彼女がイブシマキヒコの件で「苦しむヒノエ姉さまにその場で何もしてあげられなかった自分は無力だ…」と落ち込んでいた時には、その実力を以てイブシマキヒコを撃退しヒノエを共鳴から解放させることができた――ヒノエを笑顔にすることができた主人公に対して、羨ましい気持ちというか、一種の嫉妬のような気持ちも抱いていたんですよね。そしてサンブレイクに入ってからの今のミノトにとっての主人公は、自分が変わるための一つの道標のような存在でもある。

 

そういう色々な感情の入り交じる中で、ミノトが「主人公が里にいないのが寂しい」という気持ちをほんのりと見せてくれるのは、ミノトが少しずつ心を開いてくれている感じがして、とても感慨深いものがあるんですよね。

 

○○さん、おかえりなさいませ。戻っておられたのですか。

わたくしのことはお構いなく。どうぞ、ヒノエ姉さまやほかの皆に元気なお顔を見せて差し上げてください。

皆、○○さんのことを とても気にされていましたから。

わたくしはその… お元気そうなお姿が見られただけで もうじゅうぶん、安心できましたので。

(マスター★4 ミノト)

 

MR4の時期には、エルガドの調査隊が初めてメル・ゼナに接触したという情報がカムラの里にも届いていたのか、主人公の安否を里の皆が心配していてくれていたようです。とりわけミノトに関しては、淵源ナルハタタヒメの時も、主人公が帰るまで食事が喉を通らないというほど心配してくれていましたから、このメル・ゼナの時も主人公ならきっと大丈夫だろうという信頼はありつつも、頭の片隅では心配性が発動して気が気ではなかったハズ。

 

主人公の無事な姿を見て、安堵のあまりつい張り詰めていた気持ちが綻んでしまうみっともない自分を見られるのが恥ずかしいから……と、あえて「自分のことはおかまいなく」と主人公にそっけない対応をしてみせているのが本当にかわいいと思います。ハイ。

 

日々ハンターの仕事に追われる主人公の身体を気遣って、夕食に誘ってくれる場面も。

 

○○さん、おかえりなさいませ。

里を出られてしばらく経ちますが、きちんとお食事は取られていますか。

ハンターたるもの、栄養摂取にも気を遣うべきです。よければ今度夕ご飯を、ご一緒にいかがですか。

○○さんがいらっしゃれば ヒノエ姉さまも喜ばれるでしょうし、わたくしもまあ……多少は。

(マスター★4 ミノト)

 

ミノトの手料理といえば、姉のヒノエの美容と健康を守るために三食とも徹底的な栄養管理がなされていることに定評がありまして、作中で聞ける話ではヨモギちゃんもミノトの作る料理を食べたことがあるらしく、「すごく美味しかった」と話していました。ミノトから主人公にこうした誘いをかけるのは珍しいことですが、里の外で多忙な日々を送る主人公をそれだけ彼女が心配していることの証左でもあり、また先日ロンディーネに自分の手料理を振る舞って喜んでもらえたことで、少し自信がついたからというのもあったりするのかな~と思っています。

 

まぁ本人曰く、主人公を誘う第一の目的はヒノエ姉さまが喜ぶからという所にあり、ミノト自身はあくまでも「多少」らしいのですが……。しかしながら、「わたくしは別に……」から始まり「多少は……」と、進行度に応じてちょっとずつこの形容詞も進化(?)してきているんですよね。

 

○○さんのご活躍はハンターズギルドにも伝わっているようで ゴコク様がご機嫌です。

姉さまもとてもお喜びでしたし、もちろん里長もです。ウツシ教官は、言うまでもなく。

わたくしも、○○さんがほめられるのはわりと嬉しいと…思います。

(マスター★6 ミノト)

 

ガイアデルムを討伐して主人公がギルドから大きく評価されているという報を聞いたときには、「わりと嬉しいと…思います」とのコメント。「多少」から「わりと」への本っ当に微妙なパワーアップですが、ほんのりと素直な感情になってきている感じがあります。

 

かつては自分を無力と呪う心境から、ヒノエを笑顔にし、またイブシマキヒコから彼女を救った主人公に対して、先述のように純粋な尊敬とは言えない複雑な気持ちを抱いていたのが、今では自分の長所/短所、自己否定や劣等感についてのモヤモヤが少しずつ整理されてきたことによって、主人公の実績が周囲から認められることについても、より純粋な気持ちで喜べるようになったこと、そしてそれはミノトの中ではある種の新しい体験であって、彼女自身もそうした自分の前向きな変化に少し驚いていて、慣れない感情に戸惑う部分もあるからこそ、素直に気持ちを伝えることにまだ少しためらいがあることが、この台詞の裏にある気持ちなのかなぁ…と思っています。

 

ミノトが作中で一番デレてくれる(?)のは、やはりサンブレイク最終盤の次の会話。

 

数々の脅威を退けたあなた様は、まさにハンターの頂(いただき)に立つ存在…。まこと誇らしく思います。

女神であるヒノエ姉さまと比べれば いたらぬところも多々あるとは思いますが…

わたくしなりに精いっぱい、あなた様を支えていく所存です。これからも、そばにいさせてくださいませ。

(「滅浄の裁き」クリア後 ミノト)

 

原初を刻むメル・ゼナの一件を終えた後にかけてくれるこの言葉、すごく清々しさがありますよね。彼女の優しさやまじめさ、そしてヒノエ愛は今もそのままに、自分のことに自信がついて、迷いがなくなったという雰囲気があります。「これからも、そばにいさせてくださいませ」の未だかつてないまっすぐな感じとかもう……やべえわ(語彙力)。

 

ちなみに、ここでミノトがヒノエ姉さまのことを「女神」などと形容しているのは、以前の記事でもお話ししたように、おそらく原初を刻むメル・ゼナの「鬼神」に対抗したものであると思われます。なんでそこ張り合おうと思ったんだよ。これからもそのままのミノトさんでいてください。

 

 

2.ヒノエ姉さまは永遠のヒロイン

 

続いてはヒノエさん編。ライズシリーズのヒロインである彼女は、サンブレイクでフィオレーネという新たなる強キャラが参戦し、以来何かとヒロイン論争の渦中にある(?)根強い人気を誇る人物でございますが、当のヒノエはサンブレイク編に入ってから、物語の主たる舞台はカムラの里ではないにも関わらず、むしろヒロインパワーが格段に上がっておりまして。まずはエルガドでの活動の合間にカムラに里帰りをした際の、次の会話をご覧ください。

 

おかえりなさい、○○さん。おつかれさまです。

エルガドでのお仕事には、もう慣れましたか?

ヒノエはまだ、あなた様のいないカムラの里に慣れません。

でも…帰ってらっしゃったあなた様が以前より、ずっとたくましくなられていて、ちょっと感激しています。

これはこれで、いいですね。新たな発見です。うふふ。

(マスター★2 ヒノエ)

 

まだマスターランクの序盤も序盤だというのに、早くも郷愁を掻き立てられるような台詞です。エルガドでの主人公の活躍を応援してくれているはずなのに、むしろヒノエを寂しくさせたくなくてカムラの里に帰りたくなっちゃう。

 

ヒノエはエルガド観光中に旅先の人たちとの交流(および、ウツシ教官が里中に言いふらしている愛弟子の自慢話)から、新天地エルガドでの主人公の活躍について、すべてと言ってよいほどの話を耳にしている様子。

 

○○さん、おかえりなさい。エルガドでのお仕事は、いかがですか?

…なんて、聞かなくても知ってます。エルガドでのあなた様の評判も 全部、耳に入ってますから。

皆さん、あなた様のことをとってもほめてらして… ヒノエはとってもお鼻が高いですよ。

(マスター★5 ヒノエ)

 

ヒノエもつねにエルガドにいるわけではないでしょうに、なんという情報収集力……。そしてその際にはここぞとばかりに(?)、ヒノエが知っている主人公の幼少期のエピソードをお返しとして話してあげているとのこと。

 

この格好、こちらでは珍しいようで。よく声を掛けていただきます。

カムラの里から来たと言うと 皆さん口を揃えてあなた様の話をしてくださるんですよ。

他の土地の方から、私の知らないあなた様のことを聞くというのは なんだか不思議です。

お返しに あなた様の子どもの頃のお話をしたら、大変喜んでいただけましたよ。うふふ。

(マスター★3 ヒノエ)

 

主人公の過去というと、詩人のシイカが言っていた「主人公は昔から頭を使うより身体を動かす方が好きだった」という褒めているのか何なのかよくわからない話くらいしか作中では聞けませんが、ハンター修行時代のこととか、もっと昔の赤ん坊の頃の話だとか、話すことは尽きないというところでしょうか。まぁ、その話がガレアスとかアルローにももれなく伝わっていると思うと少し恥ずかしい気はしないでもありませんが、主人公に対してエルガドの皆がより親しみをもって接してもらえるようにという、ヒノエなりの気遣いなのかもしれませんね。

 

そして、ヒロインパワー爆上がりの片鱗は次のような台詞にも。

 

あら○○さん、おかえりなさい。がおー。

…うふふ。これは、ウツシさんに教えてもらったジンオウガのモノマネですよ。がおー。

似てませんか? でも、ウツシさんに絶対本気でやっちゃダメって言われてるので これで許してくださいな。がおー。

(マスター★3 ヒノエ)

 

かわいすぎか??????? 

 

初見でこの台詞を見たとき、何が起きているのかマジで分からな過ぎて頭がショートした記憶があります。それは反則ですってヒノエ姉さま。聞くところによると、ヒノエはたまたま修練場でウツシ教官がモノマネの練習をしているところに出くわし、彼のもっとも得意なモンスターであるジンオウガのモノマネを伝授されたようです。ヒノエはどんなことでもあっという間にマスターしてしまう天才ですから、すぐさまそれをモノにした……ようなのですが、ウツシからは本気でモノマネをすることを禁じられてしまい、結果としてこのようにヒノエにかわいいワンコ属性が付与されることになったようです。ウツシ教官グッジョブ。

 

で、なぜウツシが本気のモノマネを禁じたのかといいますと……。

 

先日姉さまは、ウツシ教官が修練場でジンオウガのモノマネを練習されているところに遭遇したそうです。

せっかくだから、という教官の謎の誘いでモノマネを指南されたらしく…そしてあっという間に会得してしまったとのこと。

ところが教官には「絶対本気でやっちゃダメ」と禁じられてしまったそうです。

わたくしにだけはと内緒で見せてもらいましたが…さ、さすがは、姉さま…。恐ろし…いえ、すばらしい、出来でした…。

(マスター★3 ミノト)

 

ヒノエのモノマネは、ヒノエ姉さま全肯定のミノトすらも一瞬「恐ろしかった」と言いかけるほどのクオリティだったようで、里の人たちを驚かせてしまう危険があるからということで封印されているようでした。本家本元のウツシ教官も、自分のモンスターのモノマネは里の皆に百竜夜行でモンスターが迫ってが来たと勘違いさせてしまうから、という理由でモノマネの練習をずいぶん自粛していたわけですが、そのウツシをして「絶対に本気でやっちゃダメ」と言わしめるほどなのですから、確かにこれはやらない方が賢明というものです。でもちょっと見てみたいような……。

 

………と、このような感じでサンブレイクに入ってからヒロイン度爆上がりのヒノエさん。主人公がエルガドに旅立って以来、自らの心の支えである主人公が自分のもとから離れていってしまうことを寂しく感じているようで、何かちょっとした独占欲のようなものを見せてくれるんですよね。以下、盟勇クエストに誘ってくれるときと、エルガドでの調査が佳境に入ってきた時期の、ヒノエの台詞を見てみましょう。

 

[前略]

私、○○さんがハンターになった暁には、ぜひご一緒したいとずっと思っていたんですよ。

うふふ、ヒノエのささやかなお願い、叶えてくれますよね?

(盟勇同行クエスト発生時 ヒノエ)

 

おかえりなさい、○○さん。エルガドでのお仕事、大変そうですね。

そうだ。今回のお仕事が落ち着いたら ひさしぶりに、一緒にお買い物しましょう。

一緒にお買い物して、一緒にうさ団子を食べて、たくさんお話しするんです。

約束ですよ。それまで、ヒノエはここで 首を長ーくして待ってますからね。

(マスター★4 ヒノエ)

 

ライズ時代に書いたヒノエの記事で、ヒノエは物腰柔らかで親しみやすい人柄である一方で、どこか自分の本心を見せないような謎めいた部分がある……という旨の話をいたしました。

 

カムラの里の皆から「優しく朗らかなお姉さん」として慕われていることや、数十年おきに百竜夜行という災禍に見舞われては再興を遂げてきたカムラの里を昔からずっと見守ってきたことから、カムラの里の「太陽」として皆を元気づけ、励まし、安心させるという役目をひとり心の中で担ってきたヒノエ。しかしそれは同時に、彼女がイブシマキヒコとの共鳴による苦痛を顔に出さないよう必死にこらえていたように、ヒノエ自身が他人に対して案外甘え下手であるという形としても表れてくることがありました。

 

そんなヒノエにとって、カムラの里の「もう一つの太陽」である猛き炎は、彼女が精神的に寄りかかることができる稀少な人物のひとりです。そんな主人公に対して、自分の心の柔いところを人に見せるのに慣れておらずニガテなヒノエは、気持ちを伝えるのにちょっとした演技のようなものを絡めているといいますか、つまり「いつもと違うちょっぴりわがままなヒノエ」を主人公の前で演じてみせて、そんな自分のお願いに主人公は優しく応えてくれる……というある種のロールプレイ的なやりとりをすることによって、その自ら演じた自分自身を通じて本心を満たし、主人公に甘えているのではないか……という風に見えるんですよね。

 

それから同じ系統の台詞でいうと、エルガドで会ったときの会話では、たまには主人公をひとりじめしたいというよりストレートな内容のお願いをしてくれます。

 

ここエルガドでもあなた様のお力が必要とされているのは、本当に嬉しく、 誇らしい気持ちでいっぱいなのですが…

たまには一緒に、ゆっくりお茶をいただく時間などがあるといいな、と思ったりもするのです。

今や、救国の英雄となられたあなた様をひとりじめするなんて、と怒られてしまうかもしれませんけど…

…少しくらい怒られてもいいので、一緒にお茶、しませんか?

(マスター★6 ヒノエ)

 

「みんなには申し訳ないけど……」というこの絶妙な控えめさが、逆にその裏にある「それでもヒノエのお願いを聞いてくれますよね?」という彼女のエゴを感じさせるものになっていて大変良い……ですし、新天地で主人公の人間関係が広がっていっても、共にカムラの里で育ち、多くを乗り越えてきた自分たちの関係は特別なんだっていうことを確かめたい感じなのがね、もうね、良いです(脳の限界)。

 

そして、主人公を郷愁に駆らせて仕留めようと(?)するのが★6の里での会話。

 

○○さんは、里の英雄から ついに王国の英雄さんになられましたね。もはや、里の炎が照らすは里のみならず…。

もう、私たちだけが知っている○○さんではなくなったようで ほんの少しさびしい気もいたしましたが…

たとえこの先、あなた様がどこでどんな功績を成されても、里で一緒にいた時間がなくなるわけじゃありませんものね。

だから、あなた様はずっとずっとヒノエの英雄さんです。おかえりなさい、ヒノエの英雄さん。

(マスター★6 ヒノエ)

 

その会話の流れで最後に「おかえりなさい、ヒノエの英雄さん。」は完全にもう正ヒロインの風格なのよ。主人公の活躍の場が広がっていくのを応援して、気持ちよく送り出したいという気持ちと、自分たちの絆は不朽であるとわかっていても、やっぱりこれまでずっとそばにいて、自分の心の支えであるところの主人公が離れるのが寂しい、里に戻ってきてくれるのがこの上なく嬉しいという気持ちが入り交じっていて……こんなのを聞いてしまったらもう一生カムラの里から出られなくなっちゃうじゃないですか。サンブレイクになってからのヒノエさん、会話一つひとつの内容の破壊力が以前よりも増したような気がするんですよね。

 

ちなみに、ヒノエはこうして主人公が里の外へ活躍の場を広げていくのを寂しがるところもあれど、主人公がまた新たな活躍の場に旅立つ暁には、どこまででもきちんとついていくつもりらしいです。

 

またしても、○○さんの勇名はギルドへと高く高く響き渡りました。

こうなっては、ほかの場所も○○さんのことを放ってはおかないでしょう。

大丈夫ですよ。ヒノエはどこへでもお伺いします。

きっと、ミノトも。ウツシ教官は…言うまでもありませんね。うふふ。

(マスター★6 ヒノエ)

 

自分だけではなく、ミノトやウツシ教官もまた、主人公の旅先にはもれなくついていくだろうとのこと。傍から見ればやや過保護なのではないかとも思わないでもありませんが、百竜夜行に王域生物の異変にと、今まで数々の困難を共に乗り越えてきたのですから、今まで当たり前だったことがなくなってしまうこと、「主人公の戦いをそばで見守り支える」のができなくなることが、ヒノエにとっては心苦しいということでもあるのかな。外出の苦手なミノトは若干複雑な気持ちなのではないかとか、ヒノエはうさ団子茶屋がない街に行っても大丈夫なのかとか諸々の懸念はありますが、カムラの家族の中の良さが窺える温かい一幕ですね。

 

それと、これはサンブレイクに限った話ではありませんが、ヒノエの特徴として、ひとつの会話の中で「私」と「ヒノエ」という2種類の一人称が入り交じるというのがあるんですよね。

 

一応、これはヒノエミノト姉妹の両方に共通する特徴で、ミノトの方も一人称で「ミノト」と言うときがあるのですが、ミノトの場合は自分の目標や信念、大事な局面での覚悟を述べる際や、今後の決意表明をする際に改まった言い方として使う(※)という感じで使用場面が決まっており、普段は滅多に「ミノト」と言うことはなく、「私」を基本的に使います。

 

※ライズではイブシマキヒコ百竜夜行の直前や、淵源ナルハタタヒメ討伐後に今後も主人公を支えたいと挨拶をする時の台詞等々いくつか。サンブレイクでは自分と同じ受付嬢であるチッチェが王国の姫であることを知って驚き、彼女のためにも王国の危機を救いたいという内容を述べるクエスト選択画面でのボイス。

 

逆に一人称が複雑なのがヒノエの方で、彼女も大半の場合には「私」が一人称なのですが、文脈の所々で……筆者が思うには、とくに何か大きな感情や心の動きを伝えたいときに、一人称「ヒノエ」を使うことがままあるんですよね。

 

※ライズ時代の台詞での例↓↓

(「百竜ノ淵源」討伐前 ヒノエ)

思うに、こういう時のヒノエは「主人公から見た二人称」として、「ヒノエ」という一人称を使っているような気がします。主人公はゲーム中の会話では無言もいいところですが、実際そこで繰り広げられている光景に即して言えば、当然ながらヒノエに対しては「ヒノエさん」などと呼びかけているわけで。「二人称」という語は単に「自分(一人称)の会話や行為の相手」という文法上の意味で用いられるのみならず、「自分がその人に意識を向け、呼びかけ、深く関わり合う特別な対象」というような意味も内包されていまして、「わたし」の眼前に浮き立って現れる「あなた」という位置にある存在が二人称なわけです。

 

ヒノエは自ら「ヒノエ」という一人称で話すことによって、主人公にとっての二人称の位置に自分を現れさせている。自分と主人公がお互いにとってかけがえのない存在でありたいという彼女の想いが、こうした言葉遣いに表れているのだと思います。やっぱり嫁だったか……。

 

それから、最終アプデの原初メル・ゼナのクエストクリア後、サンブレイクのストーリーを全て終えたあとの会話では、ヒノエにしてはちょっと珍しいテイストの話を聞くことができます。

 

どんな危機にも決して怯まず立ち向かう…。あなた様のそんな姿に勇気づけられた方は 数えきれないほどにいるでしょう。

何を隠そう、私もそのひとりです。風神龍の一件のとき、つらい中でも笑顔でいることができました。

あなた様の炎のような生き様が、みなの心に明かりをともし、笑顔の花を咲かせる…。

花々を照らす、優しい灯火。○○さんは、まさに花篝(はなかがり)…ですね。

(「滅浄の裁き」クリア後 ヒノエ)

 

この時のヒノエは、当時は里の皆を心配させまいとあれだけ必死にガマンしていた(実際、医者のゼンチなど一部の人以外には気づかれていなかった)イブシマキヒコとの共鳴について、過去形ではあれども「つらかった」と本音を打ち明けているんですよね。ヒノエ自身も、そのことは自分の心の中に隠していたという自覚があるようで、ここでは甘え下手ゆえに自分で自分を演じていたような所のあった今までの振る舞いとは違い、主人公に救われている自分、主人公に寄りかかりたい自分というのをここでは素直に表現しているのが、ヒノエの中でも精神的な進展があったんだなぁ…ということを感じさせてくれます。ミノトにしてもヒノエにしても、物語の主軸がエルガドに移ったサンブレイク以降のストーリーにおいてもそうした色々な変化があって、ライズシリーズのヒロインとして本当に本っ当に丁寧に描写されているのが筆者はすごく嬉しいです。

 

さて、ここからはおまけのエピソード。ヒノエさんといえば、1日にうさ団子を50本以上も平らげる大食いで知られていますが、サンブレイクに入ってからも勿論、その食べっぷりは健在。カムラの里からエルガドへの長い船旅でも、たくさんのうさ団子をお供にしていたようです。

 

エルガドで行くことになったとき ヨモギちゃんとオテマエさんにうさ団子をたっくさん注文したんです。

だって、里からエルガドへ行って、エルガドを見て回って、またエルガドから里へ戻るんですよ。

その間、うさ団子なしで過ごすなんて、私には耐えられませんから。

でも…よくよく考えたら、エルガドには、アズキさんの茶屋があったと思い至りまして…。

それゆえ、持っていくのは行きの分の60本ほどですみました。大荷物にならず、よかったです。

(マスター★1 ヒノエ)

 

「60本ほどですみました」というよくよく考えると意味の分からないパワーワード。……といいつつ、ヒノエ姉さまの食欲のスケールにはもうすっかり慣れてしまったせいで、「ヒノエさんならまあそのくらいだよな」と納得してしまっている自分がいます。ヨモギちゃんも感覚がおかしくなりすぎて主人公に「30本くらいでいい?」とか言ってたからな……。

 

で、カムラの里から持参したうさ団子を完食した後は、もちろん今度はエルガドのアズキの茶屋で再びうさ団子を購入しています。

 

おかえりなさいませ、○○さん。

うふふ、驚かせてしまいましたか? ヒノエが、エルガドに来ましたよ。

こちらはとても賑やかなところですね。見たことのないものがたくさんあって ヒノエもウキウキしています。

せっかくですから、お買い物してきますね。まずは…船旅で少しおなかが空いたので うさ団子を買いに行ってきます。

(マスター★1 ヒノエ)

 

カムラの里とエルガドのうさ団子食べ比べの会が早くも始まろうとしています。それだけうさ団子を食べてよく途中で船酔いしなかったなぁとも思わないでもありませんが、ヒノエが楽しそうでなにより。エルガド到着時点でちょうど「少しおなかが空いた」という状態だったということですから、ヒノエ(もしくはカムラの茶屋のみなさん)は、カムラからエルガドまでの航海時間を計算して、事前に持っていくお団子の量は何本がジャストなのかを精密に計算していたことになります。なんでそんなことができるんだ……。

 

それにしても、エルガドで会った時でも、主人公に対するヒノエの第一声は「おかえりなさいませ」なんですね。もはや口癖となっていてつい言ってしまうのかもしれませんが、どんな場所であったとしてもヒノエが主人公の帰るところになってくれているっていうのがね、もうすごく好きです。ハイ。

 

とにもかくにも、エルガドの茶屋で嬉々としてうさ団子を購入するヒノエさん。こちらの茶屋を営んでいるアズキは元々カムラのオテマエの弟子のひとりで、うさ団子茶屋の里外への店舗展開においてオテマエが自信を持って送り出したほどの実力の持ち主。エルガドの茶屋は直近の百竜夜行よりも前から開業しているお店ですから、ヒノエがアズキのうさ団子を食べるのは久しぶりの機会となります。

 

○○さんは、こちらのうさ団子 もうお召し上がりになりましたか?

私、アズキさんのうさ団子を食べるのは 本当に久しぶりで…嬉しさのあまり、いつもの倍くらい注文してしまいました。

少し多すぎたかと思ったのですが、一口食べたらもう止まらないんです。あまりにも、美味…! いらぬ心配でした。

ああ、エルガドは本当にすばらしいところですね。ヒノエは感激しています。

(マスター★2 ヒノエ)

 

うん、まあそうなるだろうなとは思いましたよ、ええ。ヒノエはいつもヨモギちゃんの茶屋で50本セットを購入していますから、その倍ということは100本。ここに来てついに3ケタの大台に乗らんとしているということで、ヒノエのエルガド旅行はその記念すべき機会になりそうです。ひとまず、かねてから彼女を里の外への旅に誘いたがっていたロンディーネさんなどにとっては、エルガド観光をこうして心の底から楽しんでいるヒノエの姿を見てひとまず安堵、という感じかな?

 

そしてヒノエさんは、エルガドからカムラの里に帰る際にも、例によって今度はアズキの茶屋でうさ団子を大量注文し、長い船旅に備えています。

 

エルガドで食べるうさ団子もとってもおいしいですが、里へ帰ったあとのうさ団子は、本当に絶品です。

船旅で疲れた体をじっくり癒してくれるんです。まるで、噛むたびに自分の体もほぐれていくようです。

…え? もちろん船の上でも、エルガドから持ち帰ったうさ団子を食べていましたよ? それは、別腹です。うふふ。

(マスター★2 ヒノエ)

 

エルガドでうさ団子を食べ、エルガドからカムラの里に帰る船の上でもうさ団子を食べ、そしてカムラの里に到着したらまたうさ団子を食べ……いったい彼女の「別腹」はいくつあるのでしょうか。この一連の旅行中、ヒノエの胃腸が休まっている様子がまったく窺えません。これでいて更にミノトの作る食事も三食きっちり食べているんでしょ……?

 

またヒノエ個人のことのみならず、当然のことながら、ヒノエがエルガドに観光に来るとなれば、エルガドで食べる分と帰りの船のために買う分とでアズキの茶屋の売り上げ、および材料の消費ペースは爆発的に増加することになります。これに伴い、エルガドで作るうさ団子の材料がなくなってしまうのではないかと心配したミノトは、茶屋の経営を支えている関係各所に調整をお願いしに回っていたようです。

 

わたくしたちが…いえ、ヒノエ姉さまがここエルガドに来るようになってから、うさ団子の売り上げが激増したそうです。

うさ団子の売れ行きはこちらでも好調とはいえ 姉さまほどたくさん召し上がられる方などおられるはずもありません。

しかもこちらでは、久しぶりにアズキさんのうさ団子が食べられるとあって、姉さまの食欲は少なく見積もっても2倍増し…。

当面、うさ団子の材料を多めに運んでいただけるよう、オテマエさんとホバシラさんへお願いしておきました。

もちろん、アズキさんにもお願いを…。やりがいがある、と言っていただけて 少し、ほっとしました。

(マスター★2 ミノト)

 

これもアズキさんの茶屋とヒノエ姉さまのためとはいえども、こうして気を回して裏で色々と連絡を取る(しかも、ヒノエにあまり罪悪感を抱かせないように)というのは、ミノトもなかなか大変なものです。もっとも、そうしたミノトの心配りにヒノエが気づいていないということもないでしょうし、むしろミノトのそういう優しさや実直さ、何事にも丁寧に対応するところに、ヒノエは全幅の信頼を置いて意識的に甘えている、という見方も出来るように思います。

 

アズキに対してさすがに無理を言ってしまったのではないかと申し訳ない気持ちを抱いていたミノトでしたが、一方のアズキは自信に裏付けされたベテランの対応で、ミノトを安心させてくれます。イレギュラーな状況でも可能な限りすべてのお客様を喜ばせたいという彼女のサービス精神はもちろんのこと、ヒノエがアズキのお団子を食べるのが久しぶりであったのと同様に、アズキもまたヒノエがお客さんで来てくれるのはご無沙汰だったわけですから、アズキはかつてカムラの里にいた頃に経験したであろう、「大食いのヒノエに満足してもらうためにたくさんのうさ団子を作る感覚」を久方ぶりに刺激されており、ミノトが想像している以上に彼女は気合いに満ち満ちているのかもしれません。

 

アズキも基本的には物腰柔らかで淑やかな大人の女性なのですが、色々と世間話を聞いていると、「あぁ、やっぱりこの人もスーパーカムラ人の血を引きし者なんだな」と思わせるような部分が垣間見えることがあるからな……。

 

しかしながら、ヒノエがエルガドに来るようになったことでうさ団子の売り上げが激増したというのは、必ずしも彼女がたくさん買う分だけ増えているからというのみならず、いつも茶屋の横のベンチで美味しそうにうさ団子を食べているヒノエの姿を見て、エルガドの他の仲間も購買意欲を促されているから、という面も少なからずあるはずです。

 

そしてヒノエ自身も、そうしたいわゆる広告塔としての自分の役割(?)を自覚しているようで、日ごろ素敵なお団子を提供してくれるアズキの茶屋に恩返しをするために、うさ団子の魅力を伝えるための宣伝・販促イベントを自ら企画しエルガドで実施したとのこと。さて、それが具体的にどんな内容のものだったかといいますと……?

 

いつもの、里の桜を見ながらのうさ団子もよいですが、絵エルガドで海を見ながら味わう うさ団子もまた、格別です。

違った場所で、変わらぬ味を…。これも、茶屋の皆さんの努力あってのこと。私、もっと感謝の心をお伝えしたくて…

私が購入したうさ団子を、エルガドの皆さまに食べていただくという催しをおこなったんです。いい宣伝でしょう?

1本お渡ししては、私も1本食べて、1本お渡ししては、私も3本食べて… 1本お渡ししては、私も5本食べて…

皆さまがおいしそうに召し上がられる様子に 私もつい食が進んでしまって…想定より早くうさ団子がなくなってしまい、お開きに。

次やるときは、もっともっとたくさん買っておかないといけませんね。

(マスター★5 ヒノエ)

 

いやそうはならんやろ。上のスクショの部分、なんか突然シイカの詩でも唱え始めたのかと思って身構えましたわ。違ったけど。……それでまぁ、他の参加者の楽しそうな様子を見るに、茶屋の宣伝という当初の趣旨はいくらかは達成できていそうな感じはありますが、それにしても途中からは完全にヒノエのフードファイティング企画へと変貌を遂げています。ヒノエはうさ団子関係ではこれまでも、「うさ団子職人になろうと志願してオテマエに弟子入りしたもののお団子を作ったそばから自分で食べてしまうため即刻取りやめになった」など、明らかに自身の食欲をコントロールできていないフシが見受けられていたのですが、そうした過去の経験から、今回の企画のオチもある程度予測できたのでは……と思わないでもありません。

 

まぁ、本人は「いける!」と思って始めたのですから仕方のないことではありますし、実際うさ団子を皆に楽しんでもらうという目的はなんやかんや達成しているようですから企画そのものが失敗というわけではないのですが……ひょっとすると自身の大好物である「うさ団子関連の仕事」こそ、何でもすぐに達人の域まで極めてしまう天才ヒノエの数少ない苦手分野と言うべきものなのかもしれません。これはまさかの灯台下暗しだ……。

 

むしろヒノエさんは何か企画がどうこうというよりも、いつも通りうさ団子を美味しそうにバクバク食べている姿がもはや一番の販促になっているかもしれません。いや、間違いなくそうでしょう。ライズシリーズには他にも数名ほど大食い設定のキャラがいますが、間違いなくヒノエさんは永遠のNO.1です。これからもどうかそのままでいてください……カムラの里の食糧を食べ尽くさない程度に。

 

ーーーーーーーーーー

 

ということで、本記事はこの辺りで〆としたいと思います。この2人は特に筆者の思い入れの深いキャラクターということもあり、深夜テンションでがっつり書いた自分の文章の内容を翌日見直したところ若干きしょいと思われる部分も散見されたのですが、どこをどう直せばいいかというのも見当がつかなかったためそのまま投稿する運びになりました。カムラの里NPC編の記事も引き続き執筆してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!