【芸術の都】カムラの里のアートな人たち その2
※注意事項※
・本記事は「モンスターハンターライズ」全編のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・本記事は、2021年12月17日発売の「モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録」発売前に執筆されたものです。
したがって今後公開される公式設定は、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。
ーーーーーーーーーー
本記事は以下の記事と同じシリーズの続編記事となります。内容に連続性はございませんので、本記事からお読み頂いても問題ございません。
mhrisecharacter.hatenadiary.jp
さて、今回はカムラの里のアートな人たちシリーズ第2弾。前回は絵が上手い人をご紹介してきましたが、この里には絵以外にもまだまだたくさんの芸術の才能に溢れています。本記事では詩人のシイカと、集会所案内人のかたわら庭師をやっているハナモリの2名をご紹介。
ーーーもくじーーー
ーーーーーーーーー
①シイカの個性的すぎる詩
まずはシイカからご紹介していきましょう。彼女は何よりもまず、里で話しかけたときの「わたしは詩人…」というボイスが非常に印象的なキャラクターですね。肩書きが「詩人」であるところからして、詩を書くというのはおそらく彼女の本職で、作中で特に描写はありませんが、里の内外で詩集などを売って生計を立てているということなのでしょう。
詩を生業とできるほどの才幹と技術があるのだから、シイカの作る詩はさぞ美しく素晴らしいものなのだろう……と思うところなのですが、彼女の詩のセンスはなんかこう、非常に変わっているんですよね。一般に詩というと、格調高く美的・抒情的な短い文学作品、という印象を私は持っていたのですが、シイカとの出会いにより私はそのイメージを根底から覆されることになりました。
以下、シイカさん詩集という感じで、彼女が作中で披露してくれる詩を一挙にまとめてみましたので、一つずつ順番に鑑賞していくことと致しましょう。
あら、○○。正式にハンターになったそうじゃない。とりあえずは、おめでとう。
まあ、あなたは頭よりも体を使う方が向いていると思っていたから、いい選択じゃないかしら。
私は今までと変わらず、心からあふれ出る言葉をつむいで詩を生み出していくわ。
「ハンターとして歩み出す君よ。進め、狩猟のデコボコ道よ。焼け、おいしいこんがり肉を」
……ハンターになったあなたへ贈る詩よ。私ほどの詩人になれば、こんなステキな詩もあっという間に作り出せちゃうの。
ああ、私は…。百竜夜行よりも、自分が持つ底なしの才能が恐ろしい…。
(ハンター登録後 シイカ)
詩の部分にはこの色をつけてわかりやすくしています。プレイヤーがハンター登録を終えた後、さっそく詩を1つ作ってくれました。この時はハンター就任のお祝いということもあってか、(素人の評価で恐縮ですが)王道的な明るさで韻律も良く、作中で披露されるシイカの詩のなかではかなりまとも寄りの作品だと思います。
モンハン世界でこの詩がどれくらい上手い扱いなのかは不明ですが、「私ほどの詩人になれば~」とか「百竜夜行よりも自分の才能の方が怖い」などと言っているあたり、シイカはかなりの自信家の様子。ややマイペースな印象も受けますが、それくらいのメンタルの強さがなければ彼女の独自のセンスを発揮していくことはできないでしょうし、百竜夜行が来ている中でも詩人という職を続けていくこともできないでしょう。
米穀屋のスズカリも言っていることですが(別記事参照)、百竜夜行という災禍に抗うには確かに特別の対策をしなければならない一方で、普段の生活を丸ごと変えてしまうのではなく、可能なかぎり「いつもと変わらないカムラの里」を維持していくことも他方では大切なこと。
何が起きても「いつもの里」の姿が不変的にそこにあり続けるということが、里の人たちにとっては大きな精神的支柱になります。そういう意味ではシイカの存在は、災禍が迫っているからこそカムラの里に必要な「心の余裕」を教えてくれる存在の一人であると言えるかもしれませんね。
……あと、最初の「あなたは頭よりも体を使う方が向いてる」という一文、主人公の運動能力を褒めてもらっているような気がする一方で、なんだか脳筋というかちょっとおバカ扱いされているような気がしないでもありません。まあ、そういうことを笑って言い合えるだけの関係性という設定ですから、応援の裏返しとしてのいじりということで受け取っておきましょう。
さて、作中で披露されるシイカの作品にはカムラの里の誰かを題材にしたものが多く、彼女の新作の詩にはその時々のストーリーの中心人物がよく登場することになります。時事を把握して作品に生かすのも詩人の心得ということなのでしょうか。たとえば里クエストのウツシ教官のチュートリアルクエストを終えた時には、彼のことを次のように詠っています。
ウツシ教官が考えたクエストに行ってきたらしいわね。その表情から察するに、難なく終わった感じかしら?
ウツシ教官…外見はとてもステキよね。でも中身はちょっと抜けてて…。そこがカワイイところだけど。
「雷狼竜のようにイケてる教官。とても優しくてみんなが好感。ちょっと抜けてて少々遺憾」
……ウツシ教官のことを表現した詩よ。彼のかっこよさと愛嬌を表してみたわ。
(里☆1 シイカ)
……なんというか、これは詩というよりもむしろラップなのではないでしょうか。「教官」「好感」「遺憾」とうまい具合に韻を……いえ、ライムを刻んでいます。
また3つそれぞれのリリックも、1つ目の「雷狼竜のように」の音を少し詰めて「りゅう」を「りゅ」、「よう」を「よ」と読み、3つ目の「ちょっと」の前に8分休符を1つはさむことで、いずれも音数が16となり、楽曲の1小節内にちょうど収まる(16分音符16個分=1小節)長さになってるんですね。
ラップもある意味では一つの文芸とも言えるのかもしれませんが、まさかシイカがスタンダードな詩のみならずラップにも精通しているというのは意外でした。そもそも、モンハンの世界にラップというカルチャーが存在しているという事自体がかなり驚き。……ひょっとすると、モンハン世界のラップのパイオニアは彼女だったりするのでしょうか。
続いて、里緊急オサイズチ討伐後の作品。
あら、○○。みごと、うさ団子の危機を救ったわね。私も大好物だから、礼を言うわ。
「みんなが大好き、うさ団子。材料来なくて大慌て。鎌鼬竜を倒したら… うさ団子が、もとどおり」
…今回の騒動を詩で表現してみたわ。ちなみに、うさ団子を作るときの曲に合わせてあるの。
……詩を作ったら、お腹が空いて来ちゃったわね。うさ団子をいただこうかしら。
(里☆2 シイカ)
うさ団子の曲に合わせて作られたというこちらの作品。試しにこの詩をメロディーに当てはめて口ずさんでみると、確かにうさ団子の歌にぴったり合うように作られています。楽曲の作詞を詩人や歌人などの文学の専門家が担っているケースは少なからずあると聞きますが(有名どころでいうと唱歌「赤とんぼ」など)、シイカもまた作詞の才がある様子です。シイカを三木露風あたりと並べるのは果たしていかがなものかというツッコミどころもありますが。
続きまして、里緊急アケノシルム討伐後の作品。
オトモたちが、里長に怒られてたわ。あの子たちが、勝手に大社跡に行っちゃった血気さかんなオトモたちね。
「里長怒った。めっちゃ怒った。背後で、たたら火、めっちゃ燃えてて、その姿はもう、地獄の大王」
……怒られていたアイルーが、イオリくんに泣きながら語っていたことをそのまま詩にしてみたけど、どうかしら。
まあ、里長も本気で怒ったわけじゃないわ。オトモたちを反省させるために、怒ってる芝居をしただけよ。
…でも、それがわかってる私たちでも その迫力には圧倒されっぱなしだったわ。「地獄の大王」は、言い得て妙ね。
(里☆3 シイカ)
先のウツシラップほど厳密ではありませんが、「もう」と「大王」などの部分は韻律が意識されており、一文ごとの文字数も16音で統一されているというテンポのよい構成になっています。
「『地獄の大王』は、言いえて妙ね。」と自分で自分の詩を褒めるのは相変わらず揺るぎないなぁという感じですが、一方でオトモたちを叱るフゲンについてのコメントは、詩人らしい観察眼を印象付けるものでもあります。
フゲンが怒っているのは感情を爆発させているわけではなく、彼らが無闇に里を飛び出して危険にさらされることがないように、彼らにブレーキをかけるための手段として行っているだけであるというのは、トップが強権的・抑圧的にならず自らの行動をコントロールして里をまとめているという、カムラの里の組織的な健全さをうかがわせるもの。シイカはそのことを教えてくれているわけですね。
彼女の言によれば、里の大人は皆そのことを理解しているということのようで、それもまたこの里における意識の共有の徹底、集団としての丈夫さを示すもの。フゲンの行動の真意を理解しているのは彼女のみではないということではあるのですが、物事の本質を汲み取ってこのように端的に言語化してくれるというのは、やはり詩人という彼女のポジションならではの台詞という感じです。
ちなみに、フゲンはこれの他にもう1回詩の題材にされていまして、それがこちら。
やっぱり、詩を考えてるときがいちばん心が落ち着くわ。
そうそう、里長のことを詩にしてみたの。ちょっと聞かせてあげるわ。
「その名はフゲン。我らが里長。頼れるみんなのオヤジさん。ガッハッハ! 里中に響く笑い声」
……里長の笑い声って、里の端から端まで届くのよね。とても力強いから、聞くと元気になるわ。
でも、近くでは耳がキーンってなるから、遠くで聞くのがちょうどいいかな。
(里☆1 シイカ)
これはやや変則的ですが、日本的な7-5調を採用した作品。少し字余りもありますが、7音もしくは5音のかたまりに区切ることができます。
それにしても、近くで聞くと耳がキーンとなるほどの声量とはどれくらいのものなのでしょうか……。里長には大変失礼ながら「騒音」でググったところによると、ひとりの人間の大声は大体90デシベルと言われていて、同じデシベル帯には騒々しい工場内などが該当しているようです。フゲンの声量はおそらく常人のそれよりも大きいでしょうし、90デシベルどころでは済まないかもしれません。ちなみに、一つ上の100デシベル帯には電車が通る時のガード下の音などが該当しており……
いやまあ、里長をいったい何だと思ってるんだという話ではあるのですが(もちろんフゲンの力強さは、里のみんなにとって非常に頼もしい限りです)。シイカの座っている椅子は、フゲンがいつも立っているたたら場の扉前から近すぎず離れすぎずのちょうど良い感じの距離にありますから、彼の笑い声を聞くにはベストポジションなのかもしれません。
つづいて、いつもシイカの真正面でうさ団子を作っているヨモギちゃんを詠んだ詩です。
ヨモギちゃん、いつもがんばってるわね。元気で、笑顔で、作るうさ団子もとってもおいしい! …完全無欠だわ。
そんなヨモギちゃんを見ていたら詩ができたわ。ちょっと聞いてちょうだい。
「ヨモギ! ヨモギ! かわいいヨモギ! 元気じるしで、笑顔がマブシー! 栄養満点、うさ団子オイシー! フー!」
……うん。ヨモギちゃんを応援するすばらしい詩ができたわ。みんなに使ってもらいたいわね。
(里☆3 シイカ)
詩というよりは、アイドルを応援するときの掛け声みたいなのが出来上がったご様子。年頃の女の子には……いや、年頃の女の子でなくてもこれはちょっと恥ずかしいでしょう。しかも自信満々のシイカはこれを「みんなに使ってもらいたい」と考えているようで……ヨモギの命運やいかに。まあ、この詩を里の他の人が歌っているところが見受けられないところを見ると、「さすがにハズいのではないか」と後で周囲に制止されてしまったのかもしれません。
里の人を題材に詠んだ詩はまだまだあります。つづいてゴコクのことを詠んだ作品。
ゴコク様が描く絵は、味わいがあってステキだわ。独学で身につけたらしいから、すごいわね。
…そんなゴコク様の詩を作ったの。それでは、聞いてちょうだい。
「いつもニコニコ、ほっほっほっ。ゲコゲコゲコゲコ、ほっほっほ。ほっほっほーの、ほっほっほ」
……先日この詩をミノトちゃんに聞いてもらったら、「良いと思います」ってうなずいたの。
いつもの無表情だったけど、あれは押し寄せる感動を隠していたわね。
(集会所☆1 シイカ)
ゴコクのトレードマークである彼の笑い方、ほっほっほをひたすら並べて強調するという大胆な構成。果たしてこういう比較をしていいのかどうか分かりませんが、小学校の時に国語で習った、山村暮鳥の『純銀もざいく』を思い出させるものがあります。「いちめんのなのはな いちめんのなのはな……」と、ほとんど同じ文節が繰り返されるという詩です。
これに「良いと思います」と答えるミノトもミノトで、この返事は彼女の優しさゆえなのか、それともシイカのセンスを評価してのものなのか……真意は本人のみぞ知るというところ。そしてミノトは感情を顔に出しにくい人物とはいえ、この返答を「押し寄せる感動を隠していた」と確信して疑わないシイカもかなりのポジティブ思考の持ち主です。
そしてそのミノトについても、イブシマキヒコ初登場後の彼女の様子を心配してシイカは詩を作っています。
青い龍が出たせいで、みんな大慌てだったわ。特に、お姉さんが倒れたミノトちゃんがね…。
「ああミノトちゃん。"笑顔になって"と願ってみたけど…私、ミノトちゃんの笑顔を見たことなかった」
……ミノトちゃんの心情と、それを心配する私のことを表現した詩よ。
ああ、こんなつらい状況に限って、いい詩が生まれてしまうのね。なんて皮肉なのかしら。
(集会所☆4 シイカ)
里の雰囲気も沈み気味のなかで、「こんな時に限っていい詩が生まれる皮肉…」とやはりマイペースを崩さないシイカ。そういう自由なところが彼女の魅力なんですけどね。ミノトはヒノエとイブシマキヒコの共鳴の一件で、姉のために自分は何もできなかったと責任を感じすぎているところがあり、元気を出してほしい…と、シイカなりにミノトを心配しているのだと思います。
それに普段からクールだと、落ち込んでいる時にどのくらい落ち込んでるのか分かりにくくて余計に心配になるので、もうちょっと普段から表情豊かでいてくれたらなあ…という気持ちにもなりますしね。
ちなみにこの詩、これまでの作風と比べると特に韻律やリズム、形式が意識されておらず、「普通の文章じゃないの?」と最初は思ったのですが、ググったところ自由詩や散文詩といったように、定型をもたず、文章と詩の境界にあるような感じの詩のスタイルもあるらしいんですね。
シイカの詩が具体的にどこに分類されるのかは私もいまいちよく分からないんですが、文章の改行はゲーム内のテロップの幅の都合もあるでしょうし、より散文に近い文章の流れや伸びやかさを見るに、これは散文詩でしょうか。いずれにせよ、こういうのもまた一つの詩と言えるのだそうです。カプコンのテキスト担当の方はそんなところまで勉強しておられるのか…。
ちなみに、このような一定の形式にこだわらないスタイルの詩はもう一つ作られており、そちらはコミツちゃんのために作られたものとなっています。
飴屋のコミツちゃんが、私の詩を聞きに来てくれるの。
「聞くと、元気が出るから好き」だって。うふふ、子どもまで夢中にさせて… 私の詩は、世代を選ばず響いちゃうわけね。
そんなかわいいコミツちゃんに、詩を作ったわ。それじゃあ、聞いてちょうだい。
「はにかむ笑顔がかわいいんだ。いじわるするのは僕を見てほしいから。きみのことが大好きだから」
…コミツちゃんに恋する とある少年の気持ちを表してみたわ。
でも、秘めたる恋心みたいだから、この詩はそっとお蔵入りにしておくわ。
(里☆5 シイカ)
コミツちゃんに恋する少年とはもちろん、あのおにぎり屋の彼のことですね。先と同様、詩の定型を排した作風で、ミノトの時の詩よりも短文ごとの切れがはっきりしているため、こちらは自由詩に近いような印象を受けます。まあ、私も文学の知識はサッパリなので、この辺の分析はアテにしないでください。
それにしても、シイカの詩に興味を持つとは、コミツちゃんの英才教育(?)も順調に進んでいる様子。純粋なコミツがこのままシイカのセンスを吸収したらどうなるのか、というのは少し見ものではありますが、シイカの詩はなんだかんだで非常に親しみやすさがありますから人気があるのも分かります。コミツの飴屋から見てシイカはちょうど斜め前にいつも座っていますから、コミツもシイカが普段から気になる存在だったのでしょうね。
それから、ヒノエ・ミノトが2人とも共鳴をしている時期には、彼女たちを題材にこんな技ありの作品を披露してもらえます。
ヒノエちゃん、ミノトちゃん、同時に共鳴しちゃって…。2体の龍、しつこいわよね。
でも、あの姉妹はすっかり龍との共鳴に慣れちゃったみたいで、ときどき瞳の色が変わったままその辺を歩いているの。
「青い瞳と黄色い瞳。姉妹は龍と共鳴中。でも普通に歩いてるから戸惑っちゃう。ねえ、そのときって話しかけていいの?」
……と、まあ。今の私の気持ちを詩にしたら、こんな感じかしらね。
(雷神討伐後 シイカ)
こちらの作品は、前半部分は7775の7-5調でリズムを作りつつ、「でも~」の後半部分では一転して散文形式を取るというなかなかトリッキーな構成になっています。前半で作ったリズムを敢えて後半で崩すことで、ヒノエとミノトが共鳴中も普通に生活していることへの動揺や不可解さ、少し心配な気持ちを表現しているのでしょう。そして地味なところで、「きょうめいちゅう」と「とまどっちゃう」で語感を合わせるテクニックも盛り込まれています。
……と、いかにももっともらしく解説していますが、しょせんは素人の考察ですからあまり参考になさいませんよう。天才シイカの考えることは私にはわかりません……。
ちなみに、主人公ハンターも当然ながら里の一員ですから、村マガイマガドを討伐した時にシイカは主人公を題材にした詩を作ってくれます。しかも2つも新作を贈ってくれるのです。果たしてどんな詩になるのか、期待と一抹の不安がありますが……それがこちら。
マガイマガドを狩ったらしいわね。まあ、ハモンさんの「からくり」もあっての狩猟成功よ。ハモンさんに感謝しなさい。
もちろん、あなたの実力も認めてるわよ。そんなわけで、マガイマガド狩猟記念で、○○を称える詩を作ったわ。
「○○、○○よ。元気いっぱい、強いぞ○○。これからもがんばれよ○○」
……いい詩でしょう? いいのよ。感動して涙が溢れそうなら、遠慮なく流してくれて構わないわ。
(里☆5 シイカ)
○○、最近ますますハンターとしての威厳が増したんじゃない? そんながんばってるあなたに、詩を贈るわ。
「狩れ狩れ、○○よ。狩っちゃいな、○○よ。狩ればいいじゃん、○○よ」
……どう? 狩猟本能が刺激されて、今すぐ狩り場へと駆け出したくなったんじゃないかしら?
(里☆6 シイカ)
……ヨモギの時もそうですが、ひたすら名前を連呼されるというのはなかなか恥ずかしいものがありますね……。これでハンターネームが「ウルトラマン」とか「ああああ」とかだったら、輪をかけてシュールな作品になっていたことでしょう。筆者のハンターネームが普通に「しーな」だったのは命拾いしたと言えるかもしれません。
まあ、詩の部分をいったん置いておけば、「あなたもすごいけど、ハモンさんのおかげでもあるわね」というのは流石シイカらしい冷静さを感じる部分ですね。彼女は基本的に表裏がない人でしょうし、そういう友人からの正直な感想は、強敵を狩猟しても驕る心を持たないようにするために非常に大切だったりします。もちろん、主人公を褒めてくれているところも、言い方はクールですが本心からのコメントだと思いますから、ありがたく受け取っておくことといたしましょう。
さて、彼女の詩には里のみんなだけではなく、ライズのストーリーで戦うモンスターたちも登場します。里ストーリーでは、ゴコクにマガイマガドの絵を見せてもらったシイカがその感想を詩にしてゴコクに伝えたというエピソードがあり、その詩の内容がこちらです。
マガイマガド、ゴコク様が絵に描いていたから見せてもらったわ。
とんでもなく凶悪な顔つきだったわね。体が真っ黒なのも、悪そうな感じに拍車をかけているわ。
…で、その絵を見たときにね、マガイマガドについて詩が浮かんだの。それじゃ、聞いてちょうだい。
「マガイマガド、まがまがしいど。マガイマガド、外見こわいど。マガイマガド、マジでヤバイど」
……この詩を聞いたゴコク様は、一筋の涙を流して「シイカは天才ゲコ…」と呟いたわ。
ああ、私は自分の才能が恐ろしい…。
(里☆4 シイカ)
一応、里にとってはマガイマガドを伴う百竜夜行、そして主人公にとってはマガイマガドとの決戦を控えているはずなのですが、マガイマガドよりも自分の才能のほうを恐ろしいと感じるという彼女のこの絶妙な緊張感のなさを見ていると、なんかマガイマガドも大した敵ではなさそうという気持ちすら湧いてきます。
この詩、ゴコクが涙を流して感動したとのことですが……まあ、ゴコクもゴコクで色々と天才みたいなところはありますし、天才同士の間でしか伝わらない会話に私の平凡な感性が追い付いていないというだけなのかもしれません。あるいは……ミノトといいゴコクといい、絶対に褒めてくれそうな人を選んで新作を最初に聞かせているのではないか、というのは少々ひねくれすぎでしょうか。
つづいて、捜索中のイブシマキヒコのことを詠った作品がこちら。
青い龍の行方はいまだに分からず…。うーん、早くなんとかしたいのに、もどかしいったらないわね。
このもどかしさを、詩で表現してみたわ。
「ヘイ! 出てこいよ青い龍! びびってんのか青い龍! 龍! 龍! 龍! 龍! 青い龍ー!」
……もどかしい気持ちが、そのまま勢いに変わって詩になってしまったわ。
でも、これでいいの…。感情の爆発… それが詩を作るということなのよ。
(集会所☆5 シイカ)
イブシマキヒコの行方が気になるあまり、「青い龍」をひたすらごり押してくるという大胆な構成。シイカの作品では珍しく荒々しい雰囲気があり、それについてはシイカ自身も「もどかしい感情の爆発」と自認している様子です。
ここまでくると詩というよりは、重低音が鳴り響くような音楽の歌詞という感じであり、これが本当に詩と呼ばれうるのかどうか怪しいところですが………それでもよく観察してみると、この作品は一見はちゃめちゃに見えて、全体の音数はきちんと7-5調のリズムに沿って作られているれっきとした定型詩なんですね。混沌の中にさらっと秩序を忍ばせてしまうあたり、やはりシイカの才能は畏るるに値すると言わざるを得ません。
さて、ここまでの諸作品では様々なタイプのカオスを覗かせてきたシイカの詩ですが、実は作中でもザ・詩らしい詩というか、「これガチで良い作品なんじゃね?」と思われるような作品を披露してくれる機会も少しあるんですよ。
具体的には、里☆6の時に1作品、百竜の淵源討伐後に1作品と、聴ける機会が1回しかなくて非常に忘れられやすいのですが、シイカからお願いされる依頼サイドクエストを達成した時のコメントで1作品、あわせて3作品あります。
こうして、ここでお茶を飲んで、お団子を食べたりしている時間が何よりの幸せだわ。
この幸せな時間を、詩にしてみようかしら。
「木陰は爽涼にして 風声颯々 幼童の朗笑に 我が心神は快なるかな ああ風雅なる家郷 天佑あれ」
……う~ん。イマイチね。
(里☆6 シイカ)
私、思いついてしまったの。私の詩をもっと世の中に広めるためにはどうすれば良いのか。
大きなものは目立つわよね。つまり、大きな筆を作って詩を書けば 目立つに決まっているわ。
ああ、詩意外にこんな才能もあるなんて…。なんだか申し訳ないわね。
というわけで、大きな筆を作るための素材を集めに行ってちょうだい。
私は、とっておきの詩を考えておくわ。
↓
あら、素材を集めてくれたのね。ありがとう。
ただ、私としたことが良い詩が思い浮かばないのよ。
「恵風よ 翆嶺越えて悠遠に 花香と飛べ 我が清雅の詩 那由多の心に百花と咲け」
……う~ん、やっぱりイマイチね。
ああ、筆の作り方だったら、何かの役に立つかと思って、加工屋のハモンさんとナカゴさんに伝えておいたわ。
もし気になるのなら、見に行ってみたらどうかしら?
普段「マガイマガド、まじでこわいど」「龍! 龍! 青い龍ー!」「かわいいヨモギ!」みたいな詩を作っている人とは思えない、この語彙の豊富たること。里☆6の方は「そうりょう」「そうそう」「ようどう」「ろうしょう」と韻律を重ねてリズムを作りつつ、後半の伸びやかなフレーズで里の平穏を愛おしく思う心が表現されています。サイドクエストの方も、字余りを含みつつ7-5調で統一されており、それが生み出す推進力が魅力的です。
いずれも詩の王道を行くような堂々たる作品であるように私には思われるのですが……シイカ本人は「イマイチ」と評価しているんですよね。それが彼女の独特なセンスのゆえなのか……
それとも彼女にとっては、こういう定型的・伝統的ないわゆる「王道」の詩というのは既に通り過ぎてきた道、つまり今更こういうものを作るまでもないというような詩であって、むしろ詩という芸術をどこまで変形・発展し拡大することができるかの挑戦をする、前衛的・実験的な作品をこそよしとする段階に―—―つまり文芸の遥か最先端に、彼女はもう突入しているのかもしれません。
まあ一応、集会所ストーリーの最後の詩、つまり淵源を討伐した後に詠んだ詩だけは、王道の詩でありながら、自分でもそれなりに評価しているようです。それがこちら。
「さらば古龍よ。百竜夜行よ。カムラの里に花が咲く。笑顔という名の花が咲く…」
うん、75点…くらいかしら。キレイにまとまりすぎているけれど、心に染みいる優しい詩だわ。
この詩は、あなたに贈るわね、この詩が生まれたのはあなたのおかげだもの。当然よね。
(淵源討伐後 シイカ)
75点というのを高いと思うか低いと思うかは人それぞれですが、色々な意味で詩の天才であるシイカ自身が75点も付けているくらいですから、まあ高いと見てよいのでしょう。少し種目は違いますが、75点というのはプレバト!!の俳句なら1回で特待生になれるレベルの才能アリですからね。
※「プレバト!!」:TBS 木曜19:00~
まあ、人に贈ろうとしている詩をわざわざ本人の目の前で自己採点し、しかも100点とか90点とかならまだしも75点という、何とも言いがたい絶妙な点数をつけて贈ってくるというのは、あいかわらずマイペースなシイカ節が炸裂しています。まあ、シイカは主人公を褒めるときも、ストレートに称賛するのではなく毎回どこか一癖あるというのが通例ですし、今回の詩も彼女なりの好意としてありがたく頂いておきましょう。
最後にちょっとした小ネタを2つほど。1つ目は、ライズのストーリーで「オープニングムービー ~ ヒノエとの買い物が終わり集会所でウツシの写真を撮るまで」の間は、たたら場エリアの面々は「ヒノエさんとの買い物が先だよ」的な感じで、プレイヤーをストーリー進行に誘導するような淡々とした会話の人が多いのですが、シイカはちょっと面白いセリフがあるんですね。
静かに…! ちょっと、話しかけないで。私いま…ステキな詩が思いつきそうなの。
○○は、ヒノエちゃんとお買い物中でしょ? 私はいいから、そっちに行ってあげなさい。
(ゲーム開始直後 シイカ)
シイカに話しかけたところ、彼女の頭のなかで新たな詩が生まれそうだったらしく、「静かに…!」と会話を制止されてしまいました。動物の赤ちゃんが卵から孵るのを見守るようなテンションです。きっと、彼女にとっては詩も生き物だということなのでしょうね。それっぽいことを適当に言ってるだけです。
2つ目は、里守として戦うときの彼女の武器。何だと思いますか?
なに? 百竜夜行が来るの? …じゃあ、ちょっと詩を作るのは中断して 砦に行く準備をしないとね。
……あら、何よ。その意外そうな顔。私だって里の一員なんだから、里守として出陣するわよ。
こう見えても私はね、ハンマーを使わせたらなかなかの腕前なのよ。
しばらくは「詩好きのシイカ」ではなく「ハンマー使いのシイカ」よ。さあ、修行の成果を見せるときだわ。
(里☆3百竜前 シイカ)
シイカの得物はなんとハンマーです。意外、というのも変な話ですが、狩猟笛とかスラアクとか、なんとなく芸術家っぽい感じの武器かなぁと当初は予想していたので、シンプルイズベストを地で行くハンマーというセレクトは少し驚きました。
まあ、詩にしても「龍! 龍! 龍! 龍! 青い龍ー!」などの作品を爆誕させるセンスの持ち主であったり、サイドクエストのときは自分の詩を広めるために「大きいものは目立つからデカい筆で書けばいい」というド直球すぎるアイデアを思い付いたりと、詩人ながらなかなかワイルドで豪快な感性を持っているところを見ると、ハンマーとの相性はけっこう良いのかもしれませんね。
ちなみにこの時の百竜夜行では、シイカがハンマーの一撃でゴコクにフレンドリーファイアをかますという珍事が起きた模様。
砦の中の防衛、ごくろうさま。でも、外で里守をやるのも大変だったわよ。普通に怖かったしね。
じゃあ、そのときの模様を詩にして伝えるわ。
「里守奮迅。私もハンマー、ぶんまわし。ゴコク様、ふっ飛ばしちゃってごめんなさい」
「ゲコォー!」って飛んでいくゴコク様、すごくおもしろかったわ。…もちろん、わざとじゃないわよ。
(里☆3百竜後 シイカ)
非常にシュールな光景で面白いのですが、ここでうっかり笑ってしまうとゴコクに若干申し訳ないような……という気もありつつ。彼にとっては少し災難でしたね。正直ちょっと見てみたかった。
まあ、集団で戦う以上はお互いの攻撃も当たってなんぼという文化だとは思うのですが、最終的に「おもしろかった」で済んでいるあたり、ゴコクの寛大さには恐れ入ります。シイカとゴコクは特に感性が似ていて気が合うようでしょうし、フレンドリーファイアしても明るく帰って来れるというのは何よりなことです。
②ハナモリと里の桜
さて、シイカの方はここで一区切りといたしまして、お次はハナモリのご紹介。
子の里には桜がいっぱい咲いてるだろ。何を隠そう、あれを植えて育てているのはこの俺なんだ。
元は、じいちゃんがこの仕事をしててさ。俺、子どもの頃からじいちゃんに付いて回ってたから、すっかり覚えちゃって。
花はいいよな、見てるだけで心が穏やかになる気がしないか? ま、わりと手はかかるんだけど。ハハ。
(集会所☆1 ハナモリ)
ハナモリは集会所の案内人でもあるのですが、彼の本職は庭師。カムラの里のたくさんの桜の木を管理しているのは彼なのです。毎日手入れをするわけではない(時期にもよりますが)ので案内人と仕事を兼ねている、ということなのでしょうが、たたら場エリアの茶屋~集会所の建物のあたり一帯をぐるりと囲むように桜の樹がたくさん植えられており、そして建物の中にも桜がありますから、それを一人でやるというのはかなり労力のいる仕事でしょう。
植木の仕事は彼の祖父から受け継いだものということですから、里の桜はずっと昔からハナモリの家系によって手入れされ、大事にされてきたということなのでしょう。祖父と孫というと、ハモンさんの家系では孫のイオリは祖父とは違う道を選んでいますから、彼らとちょうど対照的な境遇の家系として描かれている、という側面もあると思います。
彼の育てる桜はもちろん里の人たちからも「綺麗だ」と非常に人気でして、彼らの心の拠りどころでもあるでしょう。とくに集会所の面々から、カムラの里の桜へのコメントを聞くことができます。
この里にはたくさん桜が咲いてるニャ。
ハナモリさんのおじいちゃんがお世話してた桜を、今はハナモリさんがお世話してるニャよ。
私が生まれたときから… ううん、きっと生まれる前からずーっと変わらずキレイなのニャ。
(集会所☆5 マイド)
里の桜、とてもキレイだニャ。植物を愛するハナモリが、いつも精魂込めて世話してるからニャ。
フフ、人は見かけによらないニャ。あたしも植物についてわからないことがあるときは、いつもハナモリに聞くニャ。
この種類は水を控えた方がいい、とか この種類はたっぷりめに、とか… さすが、とっても詳しいニャよ。
ちなみに、ハナモリはああ見えてとっても甘党ニャ…。甘めのうさ団子にさらに砂糖をかける勢いニャ…。
(集会所☆3 オテマエ)
オテマエの台詞を見るに、茶屋ではうさ団子の材料のいくつかを自家栽培しているのでしょうか。ハナモリは桜にかぎらず植物一般について幅広い知識があるようで、オテマエは植物の育て方に関して、彼の知見を全面的に頼りにしているようです。
ハナモリが幼いころに彼の祖父から教わって体得した知識もあるでしょうし、彼自身も植生に興味を持ち、その勉強を積み重ねて得たものもあるでしょう。里の桜はハナモリと彼の祖父の努力と経験の上に美しく咲いていると思うと、なかなか感慨深いものがあります。
たたら場の屋根やオトモ広場の木からカムラの里の周囲の森林地帯を見渡しても、確認できる範囲では自然に咲いている桜の木というのは見当たらないため、桜という植物は決してありふれた存在ではないでしょう。里の桜はおそらく人工的な植樹、つまりもともと桜の苗木なり種なりがあってそれを里の建物の周りに植え、世代を超えて地道に育ててきた結果として現在のような桜がある、ということなのでしょう。
船着場のすぐ隣にある集会所の周りに植えた、ということは、特に船を使って外の地域からカムラの里を訪れる人々にとって、この桜が里の顔になって人々を出迎えてほしいという意図があるのでしょうね。百竜夜行の収束と共に人の往来も増えたら、ぜひ色々な人にハナモリの育てた桜を見に来てほしいものです。
外の地域の人にとっては、この桜を見るためというだけでもカムラの里を訪れる価値がある、といっても過言ではないほど、植物の専門家としてのハナモリの手腕は確かなもの。それゆえ外の地域では、彼の育てている花の苗が欲しい、という需要も絶えないようです。
里の外では、ハナモリさんの育てた花の苗も人気なんですよ。
ただ…遠い場所だと着くまでに傷んでしまうこともあるようです。
輸送方法を改善しなければ…。荷卸しが終わったら、ハナモリさんのところへも相談に行ってみます。
(集会所☆1 ホバシラ)
遠くの場所に運んでも傷まない輸送方法はないだろうか、とホバシラは思案のしどころです。これは裏を返すと、運んでいるうちに花が傷んでしまうほどの遠い地域にまでハナモリの存在が知られているということであり、ハナモリ本人は自分では何も言いませんが、じつは彼も隠れた有名人なのかもしれません。たしかに、カムラの里の桜は有名だと思いますから、「あのカムラの里の桜を育てている園芸の職人」という感じでハナモリの名も伝わっている可能性はありそうですね。
ちなみに、これは完全な私個人の期待なのですが、「里の外では…」というのは、これもサンブレイクの伏線だったりするのでしょうか。もし主人公が旅立った先で、「これはカムラの里の職人から取り寄せた桜の苗木なんだよ」みたいな感じの会話やイベントがあったりしたら、私としては大変嬉しいかぎりです。
また、ハナモリは里のみんなに植物のことをもっと知ってほしいということで、花の横にその花を紹介する看板を立てよう、と考えているようです。
花の横に小さい看板を立てて、これはこういう花だよ~って書いたらどうかなって考えてるんだけど…。
どうも俺は筆の扱いが苦手でさ~。絵も字も下手で、みんなに「読めない」って言われるんだよ。
うまいのは、断然ゴコクさんだな! クエスト受注書のモンスターの絵、あれもゴコクさんの手によるものさ。
う~ん、今度、看板づくりの相談してみようかな。読めない看板を立てても仕方ないしね。
(集会所☆5 ハナモリ)
私は里の桜の品種すら、ソメイヨシノなのか何なのか分からない程度の知識しかありませんから、ハナモリ監修の看板はぜひ拝見したいところ。それにしても、ハナモリは職業柄なんとなく手先が器用なのではないかという印象があったのですが、彼にもやはり得意不得意はあるものなんですね。
さて、少し話が変わりますが、ハナモリは里の人との人間関係でいえばウツシとのエピソードが多く、しかもその中で別の新たなる才能を開花させていたりします。桜だけに。
ある日、ハナモリがウツシ作のお面を並べていたときの珍エピソードがこちら。
この間、新しいお面を並べてたら急にモンスターの声がしてさ!
そりゃビビったのなんの! ついに百竜夜行がここまで来たか!? って。
慌てて振り返ったら、ウツシ教官が立ってたよ。アレだよ、モノマネ。ジンオウガの。
「腕がなまるといけないから、練習を…。今、ちょうどハナモリさんしかいなかったし」
……そっか~。俺しかいなかったしね。うんうん。
……って、イヤイヤ、俺ならいいのかよ! 割とひどくない? 俺の扱い。
ま、せっかくだから、いろんなモンスターのモノマネを見せてもらっちゃったよ。さすが、すごい洞察力だよな~。
(集会所☆3 ハナモリ)
……ウツシ教官、百竜夜行が始まって以来、ジンオウガのモノマネは「遠吠えで皆を驚かせてしまうから控えている」(別記事参照)と言っていたはずなのですが、自分とハナモリしか集会所にいなかった時は「ハナモリさんなら大丈夫やろ」的なノリでモノマネの練習をしていたようです。
ウツシのモノマネは本物同然のクオリティですから、当然ハナモリが驚かない訳はありません。お陰でとてもびっくりした、というエピソードを語ってくれているのですが、「……そっか~。俺しかいなかったしね。うんうん。……って、イヤイヤ、俺ならいいのかよ!」という、芸人さながらの見事なノリツッコミを披露。まさか彼に芸人の気質があったとは…。
ウツシは芸人でいえばボケ担当っぽいところがありますし、モノマネという強力な武器もありますから、ハナモリがツッコミを担当して2人で漫才をやれば、里の新たな名物になるのではないでしょうか。
まあ、「ハナモリさんなら許してくれるやろ」という判断をしたウツシもウツシですが、ハナモリの人となりが信頼されている証拠でもあると思うんですよね。「美しいけど手間がかかる」という桜の木を一人で真摯に世話をするという仕事だったり、集会所案内人(新人ハンターに集会所の利用について手取り足取り教える)という仕事だったり、大らかな性格のハナモリだからこそ務まっているような役割ですよね。
――というよりも、植物の好みや機嫌に合わせて必要なものを考え、丁寧に根気よく付き合っていくという感じて昔から植物と対面してきた経験こそが、彼の性格を作り上げているような気がします。
さて、「アートな人たち」シリーズその2はここいらでお終いとしたいと思います。ハナモリのエピソードに出てきた、ウツシが作っているモンスターのお面の話ですが、こちらについてもシリーズの続編記事で触れていきたいと思いますので、ウツシファンの方はぜひそちらもご覧ください。彼のお面についてはハナモリも色々コメントしているので、ハナモリは次の記事でも引き続きの登場となります。
それでは、ここまでお読み頂きありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!