【芸術の都】カムラの里のアートな人たち その1

リオレウスの絵)

※注意事項※

・本記事は「モンスターハンターライズ」全編のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・本記事は、2021年12月17日発売の「モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録」発売前に執筆されたものです。
 したがって今後公開される公式設定は、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)可能性がありますことをご了承ください。

・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。
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モンスターハンターライズ発売以来、このブログを作るべくたくさんの里の人たちの会話を聞いていく中で、筆者はふと次のように思いました。

 

「カムラの里、芸術のセンスある人多すぎん……?」

 

会話可能な全NPC、計50名にも満たない人数の中に、あまりにも芸術の才がある人が多すぎるのです。芸術家密度(?)がとても高い。芸術の都と言われるパリウィーンにも引けを取らないほほど、カムラの里もアートな人たちにあふれています。

 

芸術と言っても色々ありますし、カムラの里の人たちも大変多彩な才能を持っていて一度に全てを紹介し切るのは困難ですから、テーマごとに分けて、1~2テーマにつき1記事という形で紹介していくことにしましょう。本記事では「絵が上手な人」部門をピックアップしていきます。

 

ーーーもくじーーー

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①ゴコク

カムラの里で絵を描くのが上手い人、と言われたら、なんといってもまずはこの人。

 

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(集会所☆1 ゴコク)

ハンターさんがクエスト受注時に見ているモンスターの絵、公式のイラストレーターさんによるステキなイラストですが、これはゲーム中では「ゴコクが描いている」という設定になっています。受注書以外にも、クエスト中の右上に表示される敵アイコンや、ロンディーヌから交易で購入できる、自宅に飾るモンスターの掛け軸の絵などにもゴコクの描いた絵が使われています。

(ロンディーヌから買える掛け軸はおそらくカムラの里の生産品でしょうから、里外に輸出するためのものをおすそ分けして貰っている、ということなのでしょうか?)

 

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(ゴコクの描いた「オロミドロ」)

トリッキーな動きと広い攻撃範囲で多くのハンターを苦しめているそしてスラアク使いの間では神として崇められているらしいあのオロミドロでさえ、ゴコクの手にかかれば何だか可愛らしいモンスターに見えてしまいます。モンスターの特徴を捉えつつも、ミニチュア感のあるデフォルメがステキですね。

(↑↑ オロミドロ100体倒して未だに最小金冠が出ないの図)

 

ゴコクもかつてはフゲン、ハモンと共に活躍していた凄腕のハンターでしたから、長年培われたモンスターへの観察眼と、ゴコクの愛嬌たっぷりな雰囲気との融合と言えるのではないでしょうか。個人的には、モンスターの絵ももちろん好きなのですが、〇〇ガスガエルなどの環境生物の絵もかわいいなーと思います。カエルの垂れ目がとくに。

 

絵を描く時のゴコクの様子について、ミノトは次のように語っています。

 

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エスト依頼書にあるモンスターの絵は、ゴコク様が描いておられます。

実際のモンスターの姿を思い浮かべて精神を統一し、集中力が最大になったときに「えいやっ!」と一気に描き上げるそうで。

「あ、集中してらっしゃる」と思ったら、いつでも受け取れるように準備をして待っております。

(集会所☆1 ミノト)

 

集中力を高めて一気に描き上げる……スポーツなどでよく言われる「ゾーン」に入っているかのような勢いです。カムラの里にはコピー機という技術はないでしょうし、クエスト依頼書1枚ごとにモンスターのイラストを手描きしているのでしょうか。モンスターの絵を描くという行為は、ゴコクにとっては仕事と趣味を兼ね備えたものなのかもしれませんね。

 

集会所でミノトを観察していると、まれにどこからともなく現れた書類を手で掴むという動作をすることがあり、最初は超能力か何かかと目を疑いましたが、おそらくゴコクがイラストを描いた依頼書をミノトが受け取っている、ということなのでしょう。

 

それから、先日配信のイベントクエスト「泥土の進軍」のクエスト説明文などにもある通り、マルチプレイでのあいさつやコミュニケーションとして使える各種スタンプも、ゴコクの描いたものであることがわかりますまたオロミドロの話してる…。以下はそのイベクエで貰えるスタンプです。花火の色があざやかでとても綺麗! ロンディーヌやカゲロウの商店の絵も夏祭り感満載です。

 

 

小ネタですが、このミノトがりんご飴を持っている絵は、ミノトの記事で紹介した「りんご飴屋の看板をミノトが作った」という、コミツから聞けるエピソードに基づいていると思われます。コミツは元々ゴコクに頼む予定だったのを、ゴコクが用事で不在だったので困っていたらミノトが助けてくれた、という経緯がありますから、ミノトが看板を作ってくれたことはコミツ経由でゴコクも知っていたのかもしれませんね。こういうきちんと伏線がある小ネタ大好きだ~。

 

ゴコクの絵の腕前は、カムラの里を訪れた客人たちにも里の人たちから伝聞されるほどのもので、ロンディーネと共に交易商として里を訪れたチーニョの耳にも、ほどなくして情報が入っている様子。

 

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(集会所☆3 チーニョ)

チーニョたちはこちらの世界で言うところの西洋の国の出身ですし、絵を見ると風景を精彩に丁寧に描く画風でしょうから、いわゆる「和風」テイストで柔らかくデフォルメチックなゴコクの画風はかなり新鮮なものに映ったのではないでしょうか。

 

ちなみに、ゴコクはどうやってここまで絵が上達したのか、といいますと…。

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(集会所☆1 シイカ

なんと独学で身に付けたスキルだということです。ゴコクの天性の絵の才能もさることながら、これは長いハンター経験と練習の賜物ですね。ゴコクの絵は芸術的価値がつくものらしく、ホバシラによれば、里の外にも彼の絵の愛好家がいるとのこと。

 

ゴコクさんはとても絵がお上手なんですよ。せっかくですから、こちらからお願いして 少しですが、外にも卸しています。

密かに愛好家がいらっしゃるようで、いつも、スッと売れてしまうんですよ。

最近はミノトさんも絵を描き始めたらしいのですが、なかなか納得のいくものが描けないみたいで。

売り出してみましょうよ、と言っても断られてしまうんです。フフ。

(里☆5 ホバシラ)

 

(2022/6/22追記)ゴコクの絵を購入している人物がどこかにいるということですが、もしかしてこの人物はエルガドにいて、サンブレイクで登場する、みたいなこともあるのでしょうか。ライズのクエスト依頼書の絵はゴコクが描いているという設定ですが、体験版サンブレイクをやってみたところ、サンブレイクで新登場するモンスターたちのアイコン(ライゼクスとメル・ゼナ)も同じくゴコクのタッチでしたから、ひょっとするとゴコクの絵の愛好家はエルガドのギルド関係者の誰かで、ゴコクのテイストを真似して描いてみている…みたいな設定になったりするかもしれませんね。

 

②ヒノエ

さて、そんなゴコクと並んで「絵が上手い」と評されているのは、里の受付嬢ヒノエさん。

ヒノエがどんな絵を描いているのかはゲーム中では確認できていない(私が見落としているだけかもしれません。情報求ム!)のですが、先と同様にオトモ広場の船着き場のチーニョから、ヒノエの絵の才能に関する話を聞くことができます。

 

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最近、ゴコク殿とヒノエ殿に絵を習っていますのニャ。

あの、自由な筆の運び。そして鮮やかな色づかい。

ぜひ自分の技術に取り入れたいのですニャ。

でも集会所は、うさ団子のいい匂いがほんのりと漂っていて…。なかなか集中できないのですニャ。

(集会所☆6 チーニョ)

 

後で紹介するように、チーニョも本人は絵を勉強中……といいつつ、隣に並べられている絵からはその確かな腕前が伝わってきます。そんなチーニョにゴコクと並び称されるくらいの存在というわけですから、絵も相当上手なようですね。ミノトが「天才」と呼ぶだけあって多彩な才能を秘めているヒノエですが、あまりにも特技が多すぎるがゆえに、ゲーム内でそのすべてを確認できないというのがなんとも贅沢な悩みです。

 

絵ではありませんが、ヒノエさんのデザイン力という点なら、別のところからも確認できたりします。

 

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うさ団子ではなくクリップの右下をご覧ください。里の受付の横においてあるお裁縫の数々、ヒノエが暇なときに作っているのだと思いますが、見る度に「これウチにも欲しいな~」と思います。とくにアイルーの顔がついている毬(?)なのかぬいぐるみなのか、詳しいところは分かりませんが、アイルーのきょとんとした表情がいいですよね。裁縫が上手い=絵が上手いとは必ずしもならないとは思いますが、ヒノエの手先の器用さや可愛らしいセンスがわかる小ネタです。

 

ヒノエは自分でも飽き性だと言っている(ミノトいわく、やり始めたことをすぐに極めてしまいやることがなくなるらしい)ため、ヒノエは作中以前の時期には絵を練習していた時期があったものの、今はそんなにやっているわけではない、ということなのでしょうか。彼女の絵が見られないのは惜しい限りです。

 

もしかしたら、公式Twitterなどで公開されているイラストのいずれかは、ゲーム中ではヒノエが描いているという設定のものがあったりするかもしれません。そのあたりご存知の方がいれば、ぜひ教えてください m(_ _)m

 

ちなみに、絵が上手いゴコクとヒノエは、カムラの里の中でも勘の鋭い天才肌タイプであり(集会所☆4緊急百竜夜行の前でも、この2人は「何か嫌な予感がする」と今後の展開のことを言い当てているんですよね)、センスというか、物事の捉え方もなんか近いところがあるんですよね。以下の台詞をご覧ください。

 

(集会所☆2緊急前 ゴコク)

集会所☆2の緊急クエスト、狩猟対象はヨツミワドウなのですが、この子をミノトは「ゴコク様に似ているモンスター」と言っているんですね。ゴコクはテツカブラのテッカちゃん(ヨツミワドウと同じく両生種)と仲良しであり、飼い主はだんだんペットに似てくるというのもよく聞く話ですからミノトの言うところは非常に腑に落ちるのですが、そのミノトの「ゴコク様に似ている」という情報だけを耳に挟んだゴコクはまさかの「タマミツネ」というセレクト。

 

まあ、ものの捉え方というのも自由ですから、ゴコクが自分をタマミツネに似ていると思うならそれはそれで良いと思いますが、筆者としては「タマミツネに似ている人」と言われたら、例えばテニスの王子様の不二先輩(伝わって)とかそういう感じの人を想像するもので、おそらくこれに同意していただける方も多いかと思います。そういう意味では、ゴコクもなかなか独特な着眼点をしているなぁというところなのですが、実は彼と同じ感性を持っているのがヒノエでして。

 

○○さんのご活躍ぶり、ミノトから聞いておりますよ。
この間は、緊急クエストで飛び込んできた「ゴコク様にそっくりなモンスター」を難なく狩猟されたとか…。

…はて、ゴコク様にそっくりなモンスター? あの方はいつも悠然とされていますから、タマミツネですか?

(集会所☆2 ヒノエ)

 

なんとヒノエの方でも、「ゴコクに似ている」としていの一番にタマミツネの名前が挙がっています。これはおそらく、私の感性がまだまだ2人に追いついていないということなのでしょうね……精進したいと思います。

 

 

③ミノト

絵の実力に関してはある意味ゴコクよりも有名な(?)ミノトさん。ミノトの絵はのちほど改めて紹介しますが、彼女自身は自分のことをあまり絵が上手いと思っていないようで、なかなか上手く描けない……としょんぼりしている様子をうかがうことができます。

 

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ゴコク様が描いているクエスト依頼書の絵を見ると、わたくしも創作に対する情熱が湧き上がってきます。

それで、たまに描き上げてはみるのですが、やっぱり不器用なもので、なかなか思うように描けません。

ヒノエ姉さまのように多芸でなくても構わないので、せめて一芸くらいは秀でたものが欲しいものです…。

(集会所☆1 ミノト)

 

彼女が「天才」と崇めているヒノエ姉さまはとても絵が上手なので、姉とは対照的になかなか画力が上がらない自分にちょっと引け目を感じている様子。それでも諦めずにトライしているあたりは、さすがの努力家のミノトといったところです。

 

集会所で仕事の合間にもよく絵を練習していますよね。あれです。多くのハンターが一度は聴いたことがあるであろう、「描きます!!……………んあ゛あ゛!!」みたいなボイスがついているしぐさです。たまに普通にびっくりします。

 

シャカシャカと一生懸命筆を走らせるものの、出来上がりに納得がいかずにぐしゃぐしゃと紙を丸めてしまい、そのまま「コホン……」と、何事もなかったかのように業務に戻る……というなかなかシュールな光景なのですが、彼女の悪戦苦闘ぶりがよく伝わってきます。

 

集会所でミノトと持ち場が近い人たちも、彼女が絵を描いている様子が気になっているようで、次のような話を聞くことができます。

 

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(集会所☆1 ゴコク)

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少し前に、ミノトさんに「雑貨屋に、絵筆は置いていませんか」って聞かれたのニャ。

 店では扱ってないけど、使っていない筆が家にあるから上げるニャ、って言ったらとっても喜んでくれたニャ。

…あ、表情ではわかりにくかったけど、喜んでくれた気がしたニャ。たぶん。

ゴコクさんが絵を描いているのを見て描きたくなったみたいだニャ。ゴコクさん、絵がとっても上手だからニャ。

ミノトさん、一生懸命練習してるニャ。見せてって言っても、恥ずかしがって見せてくれないけどニャー。

(集会所☆1 マイド)

 

ミノトのすぐ隣で仕事をしているマイドですら絵を見たことがないということですから、相当ガードが固いみたいです。頑張って練習している姿をいつも周りの人見ていますから、絵が下手だからという理由で笑いものにする人なんてカムラの里にはいないと思いますが、まあ自信がない絵はなかなか他人に見せる気にはならないですよね。かくいう筆者も絵心ゼロの人間なので、ミノトの気持ちはすごくよくわかります。

 

そんな中、情報屋のフカシギはミノトの絵を実際に見ることができたらしく、彼女の絵の腕前についての情報を聴くことができます。さすが情報屋の調査能力。

 

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ニャンとフカシギ。謎の情報屋、ただいま参上…だニャ。

フム、ではカムラの里の裏情報その5をオヌシに伝えようではニャいか…。

集会所の受付嬢ミノトちゃんは…。

画力が… その、残念というか… ハッキリ言って、へたっぴ!

ある日、チラリとのぞいでみたら、二日酔いで疲れ切った表情のゴコク様を描いていて…。

これは似ているニャ! ……と思ったら、本人はヨツミワドウのつもりだったのニャ。

まあ、似てはいないけど、あれはあれでスゴイ味があったニャ。好きな人は、ハマるかも…?

……ニャンとも驚愕の情報だったニャ。では、次の情報更新は、ヒノエちゃんからの緊急クエストをクリアしたあとだニャ。

(里☆4 フカシギ)

 

「ミノトがなかなか描いた絵を見せてくれないんだよね~」ということが何らかの形でフカシギの耳に入り、これを調べなければ情報屋の名がすたるぜ! 的なノリになって自分でこっそり調査しに行った…という感じなのでしょうか。ガードが堅いミノトの絵をどうやって見ることができたのかは不明ですが、風の噂で~とかではなく、きちんと自分の目で確かめに行くところがプロ意識を感じます。

 

「上手くはない」という情報を正直に伝えたい気持ちと、あまりミノトを悪く言いたくないという気持ちが葛藤しているのが滲み出ていて好きな台詞です。フカシギは色々な情報を教えてくれるキャラですが、このミノトの情報の時だけ、前置きに「じつは…。」といういつもの定型の一文がないという特徴があり、フカシギにとってもある意味すごくインパクトのある出来事だったことが窺えます。

 

しかしながら、「あれはあれで味がある」というフカシギの分析は的中しているようで、同じくミノトに絵を見せてもらったらしいチーニョも、彼女に秘められた絵の才能について言及しています。

 

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 わたくし、絵画をたしなんでいるもので…。集会所にいるという絵の上手な方に話を聞きたくて、会いにいきましたニャ。

ゴコク殿の絵は、じつにみごとですニャ。モンスターの特徴をしっかり捉えていて、しかしどこか可愛らしい…。

ミノト殿の絵は… ご本人は「下手の横好きです」と言っておられましたが、なかなかどうして。

まだまだ荒いところはありますが、いずれゴコク殿に追いつける逸材と見ましたニャ。

…おっと。わたくしも修行中のくせして、少々ナマイキを言ってしまいましたニャ。

(集会所☆4 チーニョ)

 

絵を見せるのを恥ずかしがっていたミノトでしたが、集会所を訪れたチーニョと絵の話になったときには、彼女も自身の描いた絵を見せていたみたいですね。そして先述の通り、チーニョは自分では修行中とは言っていますが、クリップの絵からもわかる通りその腕前はなかなかのもの。そのチーニョから見ても、ミノトの画力はかなり可能性を秘めているように見えるみたいです。

 

余談ですが、チーニョはここまでずっと「集会所の絵が上手い人」でゴコクの話をしていたのが、先ほど会話クリップを紹介した集会所☆6の会話で急に「最近、ゴコク殿とヒノエ殿に絵を習っていますのニャ」と、ヒノエの名前を出すようになります。おそらくミノトと絵の話をするなかで、ミノトが「自分よりヒノエ姉さまの方が絵が上手だ」みたいな感じで、ヒノエのことをチーニョに教えていたという可能性が高そうですね。

 

さて、数あるミノトの絵の中でも最も有名な絵と言えば、やはりこちらではないでしょうか。

 

 

「いや、そうはならんやろ」と誰もがツッコミたくなるこちらのイラスト。イブシマキヒコとナルハタタヒメ、ヒノエとミノトの共鳴のようすを描いた絵ですが、ヒノエ姉さまだけ明らかに解像度が違います。ヒノエだけ見れば、少女漫画なり百合漫画なりの表紙と言われても全然おかしくないクオリティ。大好きな姉の絵だけは相当練習したということなのか、はたまたミノトの目には実際に世界がこのように映っているということなのか……。

 

そもそもヒノエとミノトは双子で外見も似ているわけですから、ヒノエがこんなに綺麗に描けるなら自画像もそれなりに上手く描けると思うのですが……まあ、彼女は自分自身のことをあまり高く評価していないという性格もあり、それも含めてミノトらしいといったところ。

 

しかしながら、こけしみたいになっている自画像や、上の方でぐるぐる回っているナルハタとマキヒコ、その2体に食べられそうになっているアイルーやガルク、なかなか味がありますよね。チーニョやフカシギの評価もよくわかります。脱力感があってほっこりする絵柄でありながらも、対象の特徴をかなり的確に拾ってデフォルメしてるんですよね。右下から咲いている花の描写もなかなか見事です。これは今後の伸びしろにかなり期待できそう!

 

④チーニョ

先ほどから何度も名前が出ていますが、ロンディーネと共に交易商としてカムラの里にやってきたアイルーのチーニョも、相当な絵の実力者。本業の仕事と並行で、カムラの里の人たちと交流して絵の技術も向上させたい! と考えている勉強熱心な子です。

 

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わたくし、絵画をたしなんでおりますニャ。とはいえ、まだまだ初心者なので、ニャンとも、お恥ずかしい限りですニャ。

しかし、ロンディーネ様が「いろいろな人に見てもらうことが上達への一歩だ」と言ってくださって…

交易の場に何点か飾ってもらってますニャ。ゆえに、売り物ではないので、見るだけでお願いしますニャ。

(集会所☆1 チーニョ)

 

自分の作品を他人に見せる、というのはなかなか緊張するものですが、他人からの評価を貰えることや、それがきっかけで色々なものを吸収できたりすることは、非常に成長に繋がります。ロンディーネ、さすがの的確なアドバイスですね。

 

先ほどミノトの項で、今まで頑なに自分の絵を恥ずかしがって見せようとしなかったミノトが、チーニョには絵を見せていた…という話をしましたが、もしかしたらそれは、「上手になるためには自信がなくても自分の作品を見てもらう」というチーニョの勇気ある姿勢に触れてのものだったのかもしれません。作中でははっきりと示されていませんが、こういう風に伏線を読み込んでいくのも楽しいですね。

 

さて、そんなチーニョの描いた絵は、これまでもクリップを紹介するときに何度も見ていますが、改めて拡大して見てみましょう。

 

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ほんとに初心者……?? もしかして美大基準でいう初心者ということなのでしょうか。今の時点でもすさまじい画力です。細やかで優しいタッチで、美しい風景を精彩に描いています。なんとなく水彩画的で洋風テイストの雰囲気がありますから、チーニョたちの母国は私たちの世界で言うヨーロッパの国々に近い文化があるのでしょう。

 

そしてよく見てみると、1枚目のクリップにある大きな4枚の風景画はおそらくいずれも過去作の冒険の舞台だった場所ですね。左上がXシリーズの拠点「ベルナ村」、中央上が3・4シリーズでおなじみ、超大型古龍に挑む際に搭乗する「撃龍船」、右上がP3rdの「ユクモ村」、右下は密林のキャンプでしょうか。2枚目のクリップでチーニョが手元で描いているのは、オトモ広場にいるからくり蛙の絵ですね。

 

モンハンを長くプレイしているハンターにはたまらない要素ですね。撃龍船からジエンモーランに飛び移ろうとして、ジャンプの位置がずれて砂の海に思いっきりダイブしたのは良い思い出です。あれ毎回落ちないかヒヤヒヤするんですよ。

 

チーニョの絵の題材になっているこれらの拠点の風景は、交易商としての仕事のなかでチーニョたちが実際に訪れたことがある場所のようです。

 

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わたくしは、絵を描くことが趣味ですニャ。行った土地で、印象に残ったものがあると夢中で描いてしまいますニャ。

ただ、夢中になりすぎて仕事がおろそかになってしまうのですニャ。

ロンディーネ様にも怒られてしまうし、気を付けないといけないですニャ。

(集会所☆2 チーニョ)

 

さすがにお仕事はほっぽらかさないで! ……と言いたいのはやまやまですが、気持ちはよくわかります。どの村も本当に綺麗なところですから。チーニョは絵のセンスがあるだけでなく、行った先々での体験を楽しめる感受性が豊かな子という印象を受けますね。各国を渡り歩いて仕事をする交易商は、もしかしたらある意味でチーニョの天職と言えるのかもしれません。

 

つづいて、作品棚の左下に積み上げられている絵も拡大して見てみましょう。

 

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左から順に、ガルク、からくり蛙の顔のアップ、ブンブジナ、アイルーとなっています。からくり蛙の絵の下に重なっている絵はさすがに確認できませんが、ここに積み上げられているのは、いずれもチーニョがカムラの里に来てから描いたものと考えられます。

 

おそらくですが、これらの絵はチーニョがゴコクに絵を習う中で描いたものだと思うんですよね。作品棚を見た限りの話ではありますが、チーニョのこれまでの作品はベルナ村やユクモ村といった拠点の遠景だったり、撃龍船やからくり蛙といった比較的大きなオブジェクトを中心とした周囲の光景であったりと、比較的風景画に寄った作風であることが察せられます。

 

一方でゴコクは、クエスト受注書のモンスターの絵であったり、カムラの里の人たちやアイルー・ガルクを題材にした各種スタンプなど、キャラクターの絵を得意としている人です。同じ絵描きといっても、作風的にはチーニョとほぼ正反対といってよいでしょう。

 

チーニョは彼に絵のテクニックを教えてもらう中で、自身がこれまであまり主体としてこなかった、比較的小さいスケール感で一つのキャラクターを描く、というスタイルにも造詣を深めていったのかもしれません。じっさい左下に積み上げられているチーニョの絵は、風景画の方には見られない滑らかな曲線が特徴的で、タッチを変えて描かれているような気がします。自分と異なる作風の人に出会い、新しいことに積極的に挑戦してゆく姿勢は私もぜひ見習いたいところです。

 

さて、本記事ではカムラの里の絵が上手な人たちを紹介してまいりました。ブログ開始以来、やたらとなっがい記事が続いていたので、今回は字数控えめな感じで書きました(それでも引用部分含め9,000字くらいあるわけですが…)。いかがでしたでしょうか。

「アートな人たち」シリーズは何記事かに分けて今後も投稿していく予定ですので、よろしければぜひそちらもご覧くださいませ。

 

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!