駆け出しハンター・ウナバラの船出
※注意事項※
・本記事は「モンスターハンターライズ:サンブレイク」全編および、一部シリーズ他作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。
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本記事では駆け出しハンター・ウナバラについてご紹介していきます。エルガドに集うハンターの中でも若手であるウナバラは、拠点マップでもしばしば広場を行ったり来たりしれはクエストボードとにらめっこしている活動的な印象の人物ですが、一方で新米ならではのさまざまな悩みを抱え、作中での主人公との出会いからそれを乗り越えていくという大きな成長が描かれているキャラクターでもあります。ハンターという存在を語るには欠かせない、彼のさまざまなエピソードについて取り上げていきましょう。
ーーーー目次----
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1.若きハンターの葛藤と衝突、そして成長
へぇ、君が噂の凄腕ハンターか。…悪いけど、ここはオレの方が長いんだ。
先に大穴の謎を解き明かすのは オレの方だと思うよ? ま、お互いがんばろうぜ、凄腕さん。
(エルガド到着直後 ウナバラ)
初対面のウナバラは、嫌味というほどではありませんが、何かこう高を括ったような態度で主人公に接してきます。後述するように、これは特に彼が性格に難があるというわけではなく、彼も彼で駆け出しハンターなりに、色々と思うところがあるんですよね。早く実績を立ててエルガドや王国に自身の名を少しでも知らしめたい、と意気込んでいるところに、後から鳴り物入りで主人公が調査隊に召喚されたのですから、既に実力と名声を備えたハンターである主人公と、未だ無名のハンターである自分自身の立場を見比べたときに、なんか気に入らない、というような気持ちを主人公に対して抱いてしまうのは、若いハンターであれば仕方のないことです。
初期のウナバラの主人公に対する感情は、対抗心と尊敬と嫉妬とが入り交じったような感じでして、主人公にバチバチな態度を取り繕ってはいるものの、うっかり本音が漏れるようなシーンも多々あるんですよね。
なあ、噂の凄腕さん。ひとつ聞いてもいいか?
もし、どうやっても太刀打ちできないようなモンスターと対峙したとき、どうすれば…いや、君ならどうする?
…っと、待った、待った! やっぱり今のはナシ、答えなくていい!
ち、ちゃんと自分で考えるさ。オレだって、一人前のハンターだし!
(エルガド到着直後 ウナバラ)
カムラの里の英雄、凄腕ハンターとされている主人公に、自分がどうしたら早く実力のあるハンターになれるかのヒントを聞きたいけれど、同時に主人公に対して自分の未熟なところを曝け出したくない、下に見られたくないという気持ちもあるウナバラ。それっぽい感じで主人公に話題を振ろうとするもウッカリ素の自分が漏れてしまい、慌てて質問を取り消しています。
フィオレーネと共に緊急クエストを完遂した主人公に対しては、先を越されたことを悔しがる場面も。
ビシュテンゴ亜種を狩猟したんだって? ちくしょう、うらやましいな…。オレ、まだ出くわしたこともないんだよ。
こんなことなら、無理やりにでもついて行けばよかったぜ。
でも、こっから挽回してやるぜ…! 先に王域三公とぶつかるのは、このオレの方だっての…!
(マスター★2 ウナバラ)
自分と近い存在への対抗心というのは、大きな成長の糧になるものでもありますが、ともすれば逆に自分自身を追い詰めてしまうもの。主人公にどんどん置いて行かれている……と焦りを露わにするウナバラですが、彼と主人公との違いに関しては現在の実力が云々という以前に、そもそもハンターとしてのキャリアがどれくらいなのか、ハンターを始めた時の周りの環境や状況がどうであったのか等、両者の辿ってきた経歴それ自体がまるで異なるわけですから、経歴的には先輩にあたる主人公に対して、彼が劣等感を抱く必然性はどこにもないというもの。彼が主人公との差を気にしてしまうのは、後述するような諸々の理由があるためで、その気持ちは非常によく分かるものなのですが、駆け出しの時期であるからこそ、彼には等身大の自分をむしろ大切にしてほしいところでもあります。
そしてウナバラ自身も、主人公の活躍を見届ける中で、少しずつ本来の自分に向き合うようになっていきます。
やっぱり、君が救出任務を任されたか。覚悟はしてたけど…正直に言えば、少しだけショックだぜ…。
でも、それが今のオレに対するギルドの評価ってことか。ちくしょう、どうしたら分かってくれるんだ? オレの実力…。
(マスター★2アンジャナフ前 ウナバラ)
既に実績のあるところにばかり次の依頼がどんどん回って来る、という一種の循環構造について、ハンター個人としては無念や不満が募らないというわけでもないでしょうが(むろん、それは本件に王国や周辺地域の人々の安全が懸かっているからこそ、またハンターは人々を守るための捨て石ではなく、ギルドは狩猟に向かうハンター自身の命の保証も考えなければならないからこそであり、ウナバラ自身もそれは理解していると思いますが)、同時に自分自身の客観的評価というところにも、少しずつ考えが及ぶようになってきているのが窺えます。
さすがだぜ…。緊急の依頼でも、確実に仕事をこなしてみせるんだからな。
どうすりゃそんなにうまくいくんだ…? これからもっと、君のこと いろいろと見習わせてもらうぜ!
いいだろ? …な? ダメなんて…言わないよな?
(マスター★2アンジャナフ後 ウナバラ)
バハリ救出の緊急依頼を颯爽と完遂した主人公を見た後は、彼の中でも良い意味での諦めがついたのか、主人公への純粋な憧れの方が強くなってきている様子。その後、ウナバラの目標であった王域三公の狩猟を無事に終えた主人公に、彼は改めて彼自身の心境と今後の決意を伝えてくれます。
君、本当に王域三公のひとつを狩ったんだよな…。もう、素直に尊敬するしかないぜ。
君の前で変に強がってた自分が 妙に恥ずかしいぜ。やっぱり…オレはまだまだ駆け出しだな。
今は、それが分かっただけでも 上出来ってことにしておくか。気持ち切り替えて、上を目指すぜ!
(マスター★3 ウナバラ)
今までは自分を実像以上に大きく見せようと、獅子の皮を被るような振る舞いをしていたところから、正しい自己認識を受け入れて精神的な再出発をするというのは、きっかけがあれば簡単にできるように見えて、実際にはなかなか難しいというのが人間のサガ。その意味で、主人公を一方的にライバル視して何かと張り合っていたかつての自分を「恥ずかしかった」と素直に認められる彼の精神的な器量には、少なからず非凡なものがあるように思います。
初期のウナバラが未熟な自分自身に何かと焦りを抱いていたのは、彼の周囲の人々の影響が大きく、ある意味ではそうやって自分のメンタルを保つしかなかった、という部分もあるんですよね。その大きな理由の一つが、彼の家系にあります。
うちは代々、ハンターの家系でね。家族の誰にも負けないデカいことをしたくて、わざわざここに来たんだ。
当然、結果を出すまで帰るつもりはないね。メル・ゼナはオレの獲物さ!
(エルガド到着直後 ウナバラ)
オレみたいに、ハンターの家系に生まれると面倒なところもあってさ。一人前になって、やっと家族から認められるんだ。
だけど知っての通り、ここでもまだ駆け出し扱いだよ。楽じゃないよな、ハンターって。
…でもさ、不思議とこの稼業は全然嫌いになれないんだよな。
今でも現役のオヤジやママたちの気持ち… なんだか分かる気がするよ。
(マスター★4 ウナバラ)
家族の誰にも負けない偉業を成し遂げるまでは帰らない、と大見得を切ってエルガドに進出したウナバラですが、ハンターとして一人前にならないと家族内でも肩身が狭い、というのは、彼のように特殊な家系に生まれた人物の、ある種の避けられない宿命と言えるものかもしれません。ことハンターという仕事に関しては、生の大自然の中でモンスターとの命のぶつかり合いを生業とする危険な稼業ですから、一人前と呼ばれるに必要な知識や経験の量は相当なものになるはず。
家族に認められるまでの道が遠いというウナバラの苦労は、それだけ彼が大きなハンターに育ってくれることを家族が期待しているということの裏返しではあるのですが、カムラの里のイオリやミノトの物語のテーマであった、「家族」という存在は必ずしも幸福や温かさといった肯定的なニュアンスを持つ存在であるばかりではなく、時に自らの悩みのタネになることもある……という命題が、ウナバラの家庭の話にも通じているような気がしますね。
しかしながら、ウナバラはハンター稼業それ自体を嫌っているわけではないようで、己の身ひとつで自然と対話するハンターのやりがいや、困難な狩りを終えた後の達成感など、この仕事でしか味わえない狩猟の醍醐味に彼は魅力を感じている様子。それと同時に、下の★4の会話では自分が駆け出しであると口にすることに特に引け目を感じなくなっているのは、自分と他のハンターとを比較してネガティブな気持ちになることがなくなってきているという、彼の成長を感じさせるものでもあります。
それにしても、ウナバラのご両親、未だ現役ハンターなんですね……すごい……。ちなみに、先述の通りウナバラ家ではハンターとしての実績が家庭内の地位に直結しているらしく、中でもある人物には他の家族の誰も頭が上がらないのだそうです。
うちの家族の中で、一番の大物を仕留めたのは誰だと思う? アニキでも、オヤジでもないんだ。
それに、若い頃の爺ちゃんでもない。…ママなんだよ。そんなわけで、うちじゃあ誰もママには逆らえない。おっそろしいぜ。
(マスター★2 ウナバラ)
おかん強すぎる……。ウナバラ母がどれくらいの実力を有するハンターなのかということは、後述する終盤の台詞で明らかになります。それにしても、細かい話ではありますが、ウナバラは自分の両親の呼び方が、母親は「ママ」、父親は「オヤジ」と統一性がないのが特徴的ですよね。この点については、母親のことを「おふくろ」と呼ぶのが時代に合わないから開発時にこういう設定にしたとか、ウナバラ自身が大人になるにつれて父親をパパと呼ぶのがちょっぴり恥ずかしくなったため変えたという事情があるとか、それらしい理由はいろいろ考えられそうですが、ひょっとするとこれは一家の中で最強のハンターである母親への、畏敬の念のようなものを込めてそう呼んでいるのかもしれません。
また、家族の話以外にも、新米ハンターとしてデビューしたウナバラに対する、周囲の一部のハンターからの彼に対する態度というのも、彼の気持ちを逸らせる一因になっていたようです。
全然そうは思えないけどさ… 君も最初の頃は、駆け出しのハンター扱いとか…されてたのか?
オレはもう、そればっかりでウンザリさ。だから舐められないように背伸びもしてたけど、ガラじゃなかったよ。
誰だって最初は駆け出しだもんな! でも、今はどう思われようが関係ないぜ。助かったよ。君のおかげで吹っ切れたんだ。
モンハン世界のハンター業界には、そういうちょっとした煽り合いで互いの士気を高めたり、反抗心を引き出すという仕方で遠回しに後輩の成長を促す、みたいな文化もひょっとするとあるのかもしれませんが、それを差し引いたとしても、この実力と実績がものを言う業界では、私たちの世界でも残念ながら往々にしてそういうことがあるように、能力の高いハンターに必ずしも相応の人格が備わっているとは限らないようで、持ち前の血の気の多さを自制できず、キャリアの浅い若手のハンター相手に見下した態度を取る、という方向にそれを発露してしまうような人間も少なからず存在する様子。
エルガドに関しては、フランやファロはそういう人物ではなさそうですし、ヘルブラザーズに関しては彼らから見ればほとんどのハンターはヒヨッ子になってしまうほどの別格のハンターですから、彼が異変の話を聞いてエルガドを訪れる前に活動していた拠点、彼の地元での話という感じでしょうか。
ウナバラもそうした安い挑発にやや乗ってしまいやすい気質ではあるようですが、舐めた態度を取られたら黙ってはいられないという気持ちも分からないでもありませんし、しかもそこで何か言い返せるだけの材料がまだ自分にはなく(新人ですからそもそもそれが当たり前なのですが)、相手の鼻っ柱を折ってやることもできないというのは、かなりもどかしい気持ちです。
その点、ウナバラが気になっている主人公の新人時代と言えば、何事もポジティブ思考なウツシ教官の愛のある訓練課程を経て正式にハンターとなり、里の家族みんなに温かく見守られながら、そして百竜夜行においては彼らと共に里を護るなかで、着実に成長を重ねてきたという経歴の持ち主。むろん、ハンターになったその日に百竜夜行のはじまりを告げられ、以後は運命づけられたかのように大きな災禍に立ち向かう道を歩むことになった主人公も、これはこれでなかなか無いレベルの苦労人ではあるのですが、自分を支え励ましてくれる大切な人たちが常に寄り添って歩んでくれたという点では、ウナバラの話を鑑みると、主人公はある意味ではかなり恵まれている部分があるとも言えるんですよね。
ハンターとしての君のやり方…いや、カムラの里の技と言った方がいいか? 正直、どれも興味深いぜ。
オレは古いやり方にこだわるより、うまい方法を取り入れたいんだ。君のこと、注目させてもらうぜ!
(マスター★1 ウナバラ)
初対面時、主人公の出身であるカムラの里の技に興味津々であったのも、主人公の故郷や珍しい狩猟法への純粋な関心というのとは別に、「いち早くハンターとして成果を上げられるコツ」みたいなものに目を引かれて安易に手を出したくなってしまうという、心の焦りもあったのかなぁ~と思っています。でも今のウナバラなら、ハンターとしての成長というのはそういうことじゃない、というのはきっと誰よりもよく分かっているハズ。今後の更なる躍進に期待ですね。
2.実はアノ人のオタク(?)です
さて、そんなウナバラくんですが、実は彼はエルガドで活躍する王国騎士たちに強い憧れを抱いているんですよね。彼自身が王国騎士になりたいというわけではないようなのですが、王国騎士団といえば国家直属の凄腕ハンターが集まる超エリート集団ですから、駆け出しの彼にとっては特に魅力的で眩しい存在に映るというもの。
狩猟技術の訓練で、アルロー教官と一緒に行くんだって? ふぅーん。
正直うらやま……、いやいや! オレだって、ひとりでいくらでも訓練できるし、向上心のカタマリだし!
(里帰り前 ウナバラ)
主人公がアルロー教官と共に訓練に向かうという話を聞きつけた際には、「正直うらやましいぜ」と言いかけて口をつぐんでいます。王国騎士団に憧れているという気持ち自体は特に隠すようなものでもないような気がしますが、これも彼なりの強がりなのでしょうか。あるいは、そういう自分の好意をあまり悟られたくないタイプなのかもしれませんね。
そして、王国騎士の中でもウナバラが特に魅力を感じている相手が、王国騎士フィオレーネです。
え…っ!? あの依頼、騎士団のフィオレーネさんが一緒なのか? いろんな意味でうらやましいぜ…!
あのさ、それってオレも同行するはずだったりしない? …しない、か。
(マスター★2緊急前 ウナバラ)
いろんな意味ってなんだよいろんな意味って。主人公がフィオレーネと同行するという話を聞いただけでこの動揺ぶり。もはや王国騎士団がというよりもフィオレーネ個人に対する想いの方が比重が強いような気がしますが、とにかくウナバラはフィオレーネに対して特に心を寄せているようで、緊急クエストの任務でフィオレーネと度々共に狩猟を行う主人公に、羨望のまなざしを向けてきます。
オレ…オレ、全っ然くやしくないし! 君がまたフィオレーネさんと一緒に大仕事でも…そんなに、気になんないし!
じっとしてられなくて、ついウロウロしちゃうくらい うらやましいワケじゃないからな!
(マスター★3緊急前 ウナバラ)
ウナバラがいつもエルガドのクエストボードの前を行き来しているのは、どのクエストに行こうか考えているからなのだろうと思っていたのですが、この時ばかりは理由が違ったみたいです。フィオレーネ本人への好意や主人公への嫉妬を必死に隠そうとするも結局焦って隠せていないこの感じ、完全にカムラの里のセイハクくんと挙動が一緒なんだよな……(ミハバはもう少し竹を割ったような性格)。
それにしても、幼馴染のヒノエに相棒のフィオレーネ、そしてハンターに憧れのあるコミツちゃんと、その人に想いを寄せている人が他にいる人物からの好意と信頼を一身に受けることになるというのは、主人公もどうしてなかなか罪作りな人物といいますか、やっていることはハンターとしての実績を積み上げているだけなので別に何一つ悪いことはしていないんですが、正直ちょっとだけ申し訳ない気持ちにならないでもありません。いや、謝ったらそれはそれでダメか……。
で、とにもかくにもフィオレーネのことが気になるウナバラくん。彼女がメル・ゼナとの交戦後に突然倒れてしまった際には、とうぜんウナバラも気が気ではない様子です。
フィオレーネさん、大丈夫なのか? …いや。大丈夫なわけ、ないよな。ホント、自分の無力さが情けないぜ…。
せめてオレは、治療法が見つかるまで エルガド周囲の警戒を続けるよ。
メル・ゼナや他のモンスターに、フィオレーネさんがいるこの場所を襲わせるわけにはいかないからな…!
フィオレーネの容態が気になって仕方がない心境はあれど、せめてモンスターへの警戒態勢を続けてフィオレーネとエルガドを守りたい、と意気込むウナバラ。自分にもっと力があれば……と己の未熟を嘆くばかりではなく、気持ちを切り替えて自分なりに出来ることを見つけて実行しようとしているのは、ウナバラの成長を感じますね。
タドリの薬のお陰でフィオレーネが復帰した後も、彼はフィオレーネの体調を人一倍気遣っていました。
凄いんだな、あの薬の効き目って。フィオレーネさんの颯爽と歩く姿…。前とまったく変わりないぜ。
でも、メル・ゼナを相手にしても大丈夫なくらい、体力は回復してるんだろうか…?
正直言って… メル・ゼナが現れたってことよりも、オレはその方が気になるよ。
(マスター★5緊急前 ウナバラ)
相変わらずフィオレーネの姿にすっかり見とれているのはさておき、この台詞はとても良いシーンですよね。
エルガドのベテランハンターの一人であるファロは、「モンスターを正しく恐れることができるのは良いハンターの証拠である」ということを話していましたが(ファロの記事参照)、ここでのウナバラはまさにその通り、彼自身が憧れてやまないフィオレーネのことを決して「フィオレーネさんなら大丈夫だろう」と神格化せず、メル・ゼナは万全を期して臨まなければ勝てない相手であることきちんと理解して、彼女のコンディションを心配しています。ウナバラがハンターとして、堅実で冷静な判断が出来ている証左であり、フィオレーネにまた怪我をしてほしくないという、彼の一途な想いも込められた台詞でもありますね。
3.駆け出しハンターの未来は広がる
さて、メル・ゼナを討伐したことでひとまずの落ち着きを得たエルガド。王域三公をすべて制覇した主人公を見て、ウナバラ自身の目標も改めて定まったようです。
今まではさ…他のハンターから「経験不足だ」って若造扱いされるたびにすぐ噛みついてたんだ。
でも、君を見てきて痛感したよ。くぐり抜けてきた修羅場の数ってのが、そのままハンターの実力を示すんだな。
だからこれからも、オレはひたすらクエストをこなしていくぜ! 少しでも早く、君に追いつきたいからな!
(マスター★5 ウナバラ)
これまでの自分自身の反省点について、改めて主人公に語るウナバラ。ハンターとしての成長にはどのみち近道はないのだから、今の自分が経験不足であることは決して恥などではなく、他人の目線を意識しすぎる必要もない。いたずらに背伸びをして他人に対抗することよりも、災禍に立ち向かう主人公が常にそうであったように、自分の目の前に現れる壁に只管向き合い、全力で飛び込んでいけばよい……ということで、今のウナバラは主人公を一つの目標として、コツコツとクエストの実績を積み重ねていくという決意を固めたようです。
エルガドはその後、異変の真の黒幕である超大型古龍・ガイアデルムの討伐に臨むことになるわけですが、こうした強大な存在との出会いも、ウナバラの成長に大きな刺激を与えていくことになります。
あのさ、本当に…古龍なのか? 改めて話を聞いてみても、まだ信じられないよ…。
オレ、ここで王域生物の調査に参加できただけでもすごいことだと思ってたけど、今度はまさか…古龍だって?
こいつはとんでもない経験だぞ…! オレのハンター人生、君との出会いで本格的に始まったって感じがするよ!
(マスター★6緊急前 ウナバラ)
エルガドの調査研究を深淵の悪魔との決戦にまで導いた主人公というハンターに、ウナバラは何やら運命めいたものを感じている様子。あれですかね、初代ポケモンのアニメで、旅立ちの第一話で遥か空の彼方に悠然と輝くホウオウを見つけたサトシみたいな心境でしょうか(そうなのか?)。
それにしても、ガレアスは王国騎士団外のハンターの登用に関しては、主人公やファロ、フランと一応ヘルブラザーズのように既に実力のあるハンターを募って調査依頼をしているのかと思っておりましたが、ウナバラのような若手のハンターに対しても、同様にクエストを出していたんですね。まぁ、MRレベルのハンターは今回はたまたまエルガドに複数人集まっているというだけで世界観上はかなり稀少な存在ですから、メル・ゼナのような超一級のモンスターに限らず幅広く王域生物の調査を行うためには様々なハンターの力を借りたいというのがあってのことでしょうが、新人のハンターは完全に蚊帳の外というわけではなく、若手のハンターから熟練のハンターまで、各々の出来る範囲のことで協力して調査を進めている感じが良いなぁ。
……と、そんな感じで強大な古龍と渡り合う主人公を慕ってくれるウナバラですが、古龍を狩った経験のあるハンターは、実は彼のもっと身近なところにもいるようです。
君には狩れないモンスターなんかいないんじゃないかって思えるよ。オレが知る限り、最高のハンターだぜ!
いや…でも、うちのママも昔、古龍とやりあったことがあるって言ってたような気がするな…。
まあ、今はそんなことどうでもいいさ! 君と同じことは、誰にもできっこない。オレ…自分のことみたいに鼻が高いぜ。
(マスター★6 ウナバラ)
ウナバラのおかんマジで何者なん……? 古龍の狩猟に挑めるということは最低でも上位(この上位ランクですら、ハンターの中でもたどり着けるものは少ないとされている)、ともすればマスターランクのハンターである可能性すらあります。しかも、この一連の古龍の話題はメル・ゼナの時ではなくガイアデルムの時に出ているところを見るに、彼がここで言うところの「古龍」とはガイアデルムクラスの超大型古龍を指しているように思われますから、ウナバラのお母様もひょっとすると、例えばジエンモーランであるとか、そういう感じの超デカいモンスターを狩った経験があるということに……?
……実際のところどうなのかは一切が謎に包まれていますが、そこまでの実力者ともなれば周辺地域ではかなりの有名人でしょうね。今も現役ハンターである彼女がもし王国領で活動しているのであれば、いの一番にエルガドに招待されているか、そうでなくとも自らエルガドに出向いて大いに活躍を見せてくれそうなものですが……そこはもしかすると、息子の活躍の場を自分が取ってしまうわけにはいかないという、親心の表れなのかもしれませんね。
それから、ウナバラはエルガドでの活動がひと区切りついたら、次はカムラの里を拠点にしてみたいと考えているようです。
オレ、近いうちにカムラの里を自分の拠点にしてみようかなって 思い始めてるんだ。悪くないだろ?
家を出てここに来たときみたいに… とにかく飛び込んでみないことには、自分を大きく変えられない気がするんだ。
だからさ、今度教えてくれよ。向こうはどんな地形があって、どんなモンスターがいるのか…。
それに、君が育ったカムラの里にはどんな人たちがいるのかも…ね。じゃあ、また話そう。楽しみにしてるよ!
(マスター★6 ウナバラ)
エルガドをヒノエミノトやウツシ教官が定期的に訪れるのと逆パターンで、エルガドの仲間がカムラの里を定期的に訪れるようになる、という仕様は、皆の世間話を聞いてみる限り開発段階では想定されていたような雰囲気が漂っているのですが、結果的に実装されなかったのが惜しいところ。特にウナバラに関しては、カムラの里に滞在して最近は永住を考えているハンターであるハネナガとの絡みを見てみたかったんですよ。これからの活躍が期待される若手ハンター同士、お互いにいい刺激になるのではないかな(ハネナガの極端な出不精がネックですが)。あとは、推し活つながりでミハバとか(?)。各キャラクターの後日談的な話も、もしかしたら資料集に載ったりするのでしょうか。大いに期待したいところですね。
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ということで、本記事での考察はこの辺りで〆とさせていただきます。キャラクター考察記事としては、SB資料集発売前に投稿する最後の記事となりました……といって来月以降特に何が変わるというわけでもないのですが。資料集発売後についてですが、先にネタバレをしてしまうのを好まない筆者としては、手元の収集した作中情報をもって人物考察記事を一通り書き終えてから、じっくりと資料集を楽しみたいと思っていますので、10月以降も引き続き「資料集未読」状態での執筆を進める予定です。
書籍のページ数的にもさっと読めるような量ではありませんから、自分も情報整理が追いつきませんし、読者の方にも発売当日にすぐ買うわけではない(お値段も内容相応のものですし)という方もいらっしゃるでしょうから、そういう方へ先に資料集のネタバレをしてしまわないようにということも考えて、そういう方針でいきたいと思います。ですので、今後の記事で「そこ資料集で明かされてるよ」的な部分を含む内容もあるかもしれませんが、その点に関してはご了承くださいませ。
ということで、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!