エルガドの頼もしい王国騎士の仲間たち

※注意事項※

・本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」全編のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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王国に所属するハンターであり、観測拠点エルガドに駐在して王国をモンスターの脅威から防衛する、誇り高き王国騎士たち。今回は彼らの中から、エルガドの砦の会議場前でいつも会うことができるルーチカ、ジェイ、エルツの3名の騎士をご紹介したいと思います。ルーチカやジェイは作中で盟勇として共にクエストに赴くことができますが、それとは別に彼らも王国騎士として、それぞれ相異なる得意分野やバックボーンを持ち、騎士団の任務やクエストで活躍しています。本記事ではそんな個性豊かで頼もしい、王国騎士の仲間たちのことを知っていきましょう。

 

ーーーー目次ーーーー

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1.クールとハイテンションの二刀流・王国騎士ルーチカ

 

まずは王国騎士砲術隊のルーチカさん。ルーチカといえば、ふだんは冷静なのに狩場では性格が豹変してしまうという二面性を持った人物として有名ですね。彼女の暴走機関っぷりに関しては、盟勇として彼女にクエストに同行してもらったときにこれでもかというほど窺い知ることができますが、拠点でお話しするときには、クールで勤勉な王国騎士としてのルーチカのことをたくさん知ることができます。

 

我々のエルガドでの最終目的は メル・ゼナの討伐です。同時に王域生物の拡大を食い止めることです。

エストを遂行することも大事ですが 同じくらい、原因の調査も必要です。日々の勉強は欠かせません。

[後略]

(マスター★1 ルーチカ)

 

エルガドにいる王国騎士は、王国をモンスターの脅威から守るハンターであると共に、王域生物の異変を追究する「調査隊」の一員でもあります。したがってその仕事を全うするうえでは、モンスターたちの変化を見落とさないようにするために、その生態についての勉強は欠かせません。

 

ルーチカは特に勉強熱心でその手の知識が豊富な人物でして、これは彼女の勤勉な性格によるのみならず、彼女が遠距離武器の使い手である砲術隊、いわゆるガンナーであることとも関係があるような気がしますね。かつては「ガンナーは知識が8割」とも言われたもので、モンスターについての知識と視野の広さが特に求められる武器種ですから、そういう意味でもルーチカが好んでモンスターの勉強に励んでいるのは、何となくピッタリだなぁという印象です。

 

バハリが新種の生物「キュリア」を捕獲してエルガドに持ち帰ってきた際にも、その見た目に関してはすこぶる微妙な反応を見せながらも、勉学に勤しむ身として興味を示している様子。

 

新種の生物を捕獲されたのですね。それは学術的にとても価値のあることです。
バハリ様ほどではありませんが 私も勉学に勤しむ身。興味があります。あとでお伺いさせていただきます。

…あの見た目はあまり好ましくはありませんが…これも、調査のため。割り切れます。本当です。大丈夫です。

(マスター★3 イソネミクニ亜種後)

 

いつもはつとめて冷静なルーチカが、最後の一行にあるように、キュリアのインパクトのあるルックスに抵抗を覚えつつもなんとか慣れようとしているのが何だか可愛らしいです。……で、それと同時に、勉強家であるルーチカは、おそらく大型モンスターに限らず色々な生物のことについてよく知っていると思うのですが、件のキュリアはそのように様々な種類の動物を目にしたことがあるであろう彼女をして「見た目がヤバイ」と思わせるのですから、やはりこの生物はモンハン世界の中でも相当に異質な存在であることもこの会話から分かりますね。

 

狩場ではないときのルーチカは真面目で落ち着きのある、凛とした人物ですが、それと同時に彼女は、会話の端々にとても柔らかで優しい表情を見せるときもありまして、色々と話を聞いていくと、王国を守るという調査隊の使命や、騎士として自分が担う武器や、エルガドの騎士団の仲間に対して、彼女は深い愛情を秘めている人物であることが見えてくるんですよね。そのことが特によくわかる、ルーチカの台詞の中でも筆者が特に好きな台詞をご紹介しておきましょう。

 

○○様は武器がお好きですか? 物騒な意味ではなく…お気に入りの武器はありますか? という意味です。
私は今使っている武器を非常に気に入っています。お手入れをし使い込むほど、体に馴染むのです。

どんな物でも、誠意をもって使い続けると持ち主に応えてくれます。これは、経験からの結論です。

(マスター★2 ルーチカ)

 

勉強熱心で、物事を理屈で捉えるのが得意であろうルーチカが、「誠意を持って使い続ければ武器が持ち主に応えてくれるのは、経験からの結論」だという、ソフト的な側面の強い話を熱く語ってくれるのが筆者としては特に印象的で、ルーチカの人物像を決定づける台詞の一つだったんですよね。彼女が王国騎士となって以来の、武器との歴史性を感じられるといいますか。表面上こそ淡々と話しているように見えるものの、私自身も彼女と同じくボウガンを一途に使い込んでいるハンターの端くれなものですから、仕事道具に対する愛情が言葉の裏から滲み出て伝わってくるのですよ(しみじみ)。

 

エルガドでも時々、騎士団の会議場の裏で彼女の持ち武器のヘビィボウガンを丁寧にお手入れしているルーチカを見ることができます。

 

 

主人公が近くに居てもまったく気がつかないほどに、武器の手入れに集中しています。モンスターを前に何かと熱くなってしまう狩場でのルーチカの様子とは、特に正反対な光景にも見えるのですが、ある意味では狩場で得物を握るとテンションが上がってしまうというのも、それだけ自分の武器に誠心誠意向き合っているゆえなのかもしれません。うん……そうなのか……?

 

ちなみに、この台の上に置いてあるヘビィボウガンは王国騎士シリーズの武器で、「王国騎士重弩プライド」という名前の武器。「プライド」とはずばり「誇り」という意味でして、偶然か必然か、騎士団の仕事を誇りとして日々鍛錬を怠らない、ルーチカに相応しい名前の武器だと思います。

 

さて、そんなルーチカさんですが、彼女の職務への誠実さと知見の広さは王国騎士団内でも高く評価されているようでして、作中でフィオレーネがメル・ゼナの一件で病床に伏している期間には、ルーチカは比較的若手の騎士でありながら、提督ガレアスの副官という重役であるフィオレーネの仕事の代理を務めています。

 

私…自分はあまり動揺しない性格だと思っていましたが……先ほどから、手の震えが止まらないのです。
フィオレーネ様が倒れたことで、ここまで恐怖を感じるなんて… まだまだ鍛錬が足りないようです。

治療についてはお任せいたします。私は、フィオレーネ様のお仕事を代理で片づけます。

(マスター★4ライゼクス後 ルーチカ)

 

騎士としてのルーチカの優秀さが改めてよく分かるシーンですが、一方でルーチカ自身としては、フィオレーネが倒れたことに動揺を隠せない自分自身の未熟を少し情けなく思っている様子でもあります。エルガドにおけるフィオレーネの精神的支柱としての存在感は非常に大きなものですから、致し方ないといえばそうではあるのですが、そのような時でもなるべく冷静でありたい、というのは彼女のストイックさの表れです。

 

ルーチカはこの一件の前から、職務に際して無理が過ぎるところのあるフィオレーネを特に心配している様子がありました。

 

フィオレーネ様がムチャをなさるのは いつものことです。ですが、提督がお怒りになるのは珍しいですね。
たしかに、フィオレーネ様のがんばりすぎる姿に、たびたび心配をさせられることはあります。

がんばり以外の他意がないことも存じていますが…自分自身をもっと大切にしていただきたいものです。

(マスター★2緊急前 ルーチカ)

 

日頃から勤勉なルーチカであればこそ、王国騎士としての使命に真剣過ぎるあまり己の身を削ってしまう、というフィオレーネの心境に共感できることは多いのでしょうし、そしてそれと同時に、自分を追い込みすぎて壊れてしまうところまで行ってしまわないか……と案ずる気持ちも人一倍大きいのでしょうね。ルーチカから見たフィオレーネは王国騎士の先輩にあたりますが、ルーチカにとってのフィオレーネは目標とすべき尊敬の対象であると同時に、自分と気質が似ている部分があるからこそ心配でもあるという、そんな感じの存在なのではないかなぁと思います。

 

……さて、ここまでは、拠点にいるときのルーチカのお話をしてまいりましたが、彼女と言えばやはり、狩場では性格が豹変してしまうという二面性のことについても触れておきたいところ。ルーチカ自身、クエストに赴いている際の自分のハイテンションモードについては、決してその間の記憶が飛んでいるというようなことはないらしく、むしろある程度は自覚しているようで、そうしたパンチが効きすぎている性格の故に騎士団の仲間が自分と狩りに同行するのを避けていることについても、苦い心当たりがあるようです。

 

私たち王国騎士には、任務とは別に自身の経験のために任意で受注できるクエストがありまして…
数人での受注が推奨されているので、仲間に声をかけてみたのですが、ことごとく断られてしまって困っていたのです。

……え? 断られる原因ですか? 私、狩猟となると感情が昂ぶって、少々荒っぽくなりますので…そのせいかと。

そういった状況のため、ご協力いただけると助かります。

(マスター★2 ルーチカ)

 

とはいえ、拠点のルーチカとクエスト中のルーチカの落差は、客観的に見るともはや「少々」どころの騒ぎではないのとは裏腹に、彼女自身はあくまでも「少々」の変化だという自己認識のようですから、周囲から実際にどう思われているかということとの間には、少なからず乖離があることもどうやら否めません。まぁ、この言い回しについては、主人公をクエストに誘うのに最初からドン引きされないようにという意図で少し差し引いた言い方にしたという説もなくはないのですが、騎士の活動に誠実な彼女がそこで意識的に話を割り引くというのも考えにくいですし、恐らくは素直にそう考えているように思われます。

 

フィオレーネ関連の台詞で見たように、ルーチカ自身は自分のことを「落ち着いた性格」というのをベースとして認識しているみたいですから、狩場で性格が変わるといっても、彼女自身の中ではそれほど大きく変わっているつもりではないのかもしれませんし、ルーチカの二面性は、彼女とそれほど付き合いがあるわけではない他人が見れば「別人のようだ」という評価になってしまうのだとしても、彼女自身にとっては「ルーチカ」という一人の人格の中にある別々の側面ということで、拠点の自分と狩場の自分とはその時々で相互に移り変わる連続的なものであるという認識になっているのだとすれば、やはり周囲がそう思っているほどにはルーチカは自分自身の性格の振れ幅を大きいとは思っていないのかな、という印象です。

 

先ほどの「ことごとく断られてしまって困っていた」という台詞であったり、彼女が自分の性格のことを相談する際に、「人が変わったようだと言われる」と、自分ではなく他人の目線を借りた言い方をするところからも、その様子がうかがえます。

 

○○様、クエストの同行依頼になります。

今回は少々難度の高いクエストを… え? 狩猟中の記憶…ですか? はぁ、もちろん覚えておりますが…。

狩猟中はつい感情が少々昂ってしまうだけであって、決して我を忘れているわけではないのですよ。

好きなことには、つい夢中になってしまう… それは○○様にもご経験がおありでは?

ご納得いただいたところで、話を戻しますと 今回も鍛錬の為に、クエストへのご同行をよろしくお願いいたします。

(盟勇同行クエスト★3受注時 ルーチカ)

 

他にも、狩場モードにおいても彼女の記憶は同一性を保ったまま持続していると彼女自身は語っており、また彼女自身にとっては自分の特質はそもそも「人格の豹変」として認識されておらず、あくまでも「好きなことにはつい熱中してしまう」ということの範囲内のものとして理解されており、別段おかしいところはないと彼女は感じているようです。

 

つまりはルーチカ自身にとっても、自分の性格の変化は無意識的なものということになるわけですが、そうなるとなおさら彼女自身にとっては悩みのタネになってしまうんですよね。無意識というのは自分の中の自分で制御しきれない部分といいますか、自己の中に潜む厖大な他者性とでも言いうるようなものですから。自分のことなのに自分でも適切に対処することが難しい部分が原因で、騎士団の仲間が自分を避けてしまうというのは、「なんで……?」ともどかしい気持ちにもなりますし、寂しくもあるところ。

 

狩猟中のハイテンションは自分にとっては恐らくそれが自然体で、最も狩りに集中できるコンディションではあるものの、一方でそれが周囲を怖がらせているというのであれは看過することもできず、しかしどうやってそれをカンペキに自制するのかというのもそれはそれで困るところで、さてどうしたらいいものか……と、彼女が悩むのも無理はありません。

 

ルーチカはクエスト中の自分の性格については無意識的で、客観的に捉えきれてはいない部分があるとはいえ、そうした自分から見た自分と他人から見た自分との間にはどうも少なからぬ乖離があるらしい、ということについては既に自覚をし始めてはいるようですから、その点に関してはやはり彼女の明晰さが表れているところ。そしてそんな自分の現状をどうにかして変える一歩を踏み出してみようということで、ルーチカは王国騎士団の他のメンバーに、狩猟中に気持ちが昂るのを自制すべきかどうかということを相談してみたようです。

 

私事で恐縮ですが、クエスト中に人が変わったようだと言われる件について 相談があります。
フィオレーネ様に相談したところ、「自制心を育てることは大切。制御できるよう鍛錬をするべき」とおっしゃいました。

ですが、アルロー教官は「今のままでいい、それが自分のスタイルなんだ」とおっしゃいます。

私、非常に悩んでおります。どちらのご意見が正しいのでしょうか…。

(マスター★4 ルーチカ)

 

フィオレーネとアルローの考えは、どちらもすごくよくわかるんですよねぇ。フィオレーネの方は現在のルーチカのことを心配して、少し抑えた方がいい、という意見を述べたようです。騎士団の中でもルーチカの性格に理解のある、フィオレーネ自身やアルロを筆頭とした年長者の面々はともかくとしても、他の騎士たちがルーチカをその性格故にクエストに同行するのを避けるという状況が続いてしまうことは、彼女の騎士団内での人間関係にも少なからず支障をきたすことになりかねません。また、狩場で自分の感情をコントロールするというのは、フィオレーネ自身も作中でガレアスの叱責を受けて以来心掛けてきたことであって、これは彼女自身の学びから出てきた言葉でもあるわけですよね。

 

一方でアルローは、ルーチカはそのままでいい、と考えている様子。アルローも最初こそルーチカの二面性には困惑したようですが、今では「狩場での興奮を拠点にまで引きずることなく、きちんと気持ちの切り替えができる」という部分をむしろ肯定的に評価しています(アルローの記事参照)。彼は騎士団の中でも特に、ルーチカの性格を美点として捉える見方が強い人物ですね。

 

まぁ、狩猟中にまったく回復行動をしないというのは教官的にはどうなのかという話もあるんですが、盟勇を同行させたクエストで戦闘不能になった彼女を助け起こした際に渡してくれるアイテムに「支給用大粉塵」があるので、回復アイテムを持参してはいるんですよね一応。その他にも、攻守のフォローとして「不屈」を装備に採用していたり、移動が遅く回避が苦手なヘビィボウガンにはシールドパーツを付けていたりと、実は狩猟準備の段階では結構防御面にもこだわっていたりするところがあるので、ルーチカの性格は単純な猪突というわけではない、というのがアルローの評価なのかも。

 

アルローは、それが本人の結果に結びつくのであればわざわざ各々の持ち味を矯正する必要はない、という自由さを重視する教官です。ルーチカが今のままが最もその実力を発揮できるのであれば、それを変えなくてもよいと考えているのでしょう。彼女のことを怖がっている騎士とはひとまず今は無理にクエストで組もうとせずとも、主人公を含め、彼女の個性に受容体のある人間と共に狩猟の経験を重ね、本来の実力を以て成果をあげてゆけば、「どうもルーチカはあれが自然体でベストの状態らしい」と周囲にも認められていくようになるはずだという、長期的な目線を含んだ意見という感じですね。

 

双方とも違うベクトルで同じくらいルーチカのことを考えているだけに、却ってルーチカはますます、自分がどうするべきか迷ってしまっている様子。ルーチカは最終的に提督のガレアスにも相談をして、結論に辿り着いたようです。

 

…私事で恐縮ですが、クエスト中に人が変わったようだと言われる件について 結論が出ました。
提督に相談したのです。「自分が一番集中できる状態が一番いい」というご意見を頂きました。

私、理解できました。大切なのは、狩猟を成功させること。そのための最善を考えればよかったのです。

私は今のスタイルのままでいようと思います。気持ちの昂りをそのままに狩猟へおもむく所存です…!

(マスター★6 ルーチカ)

 

素の性格が繊細で優しい彼女であればこそ、自分が周囲からどう思われているかを色々と気にしていたルーチカでしたが、「自分が狩猟に集中できるように」というガレアスの言葉を受けて、「クエストを成功させるための最善の道は何か」という、騎士としての本来の問いに立ち返ることができたルーチカ。王国騎士の使命に誇りを持つ勤勉家である、彼女らしい結論であると思います。

 

自分が探していたものを発見することができたといいますか、彼女の中では少しずつ結論が固まりかけていたけれど、いまいち自信が持てずにいたところにガレアスが手厚い後押しをしてくれて不安が吹っ切れたといいますか、とにかく気分も晴れ晴れとした様子で、拠点にいながらにして、会話の最後の方で狩猟モードのルーチカの片鱗が少しばかり顔を出してきていますね。うんうん、やっぱりルーチカはこんな感じで、落ち着いた物腰の中に熱いソウルを秘めている姿が一番ステキです。

 

ちなみに、ルーチカは主人公と共に無事に調査クエストを終えた際に、仲間の騎士から次のようなことを言われたりもしているようです。

 

(盟勇同行クエスト★3受注時 ルーチカ)

 

ルーチカが狩場で豹変するのがびっくりして怖いという気持ちは分からないでもありませんが、なんとなく仲間の騎士たちの言動からは、「これで自分たちが一緒に行かなくて済む」やら「テイの良い厄介払いができた」といった思惑を感じないでもありません。ルーチカは変わっているところはあるとはいえ実力・知識共に申し分ない優秀な騎士ですし、自分と異なる気質の騎士と行動を共にすることで得られるものも多いでしょうから、あまり彼女のことを避けてほしくないなぁという気持ちもありつつ、危険と隣り合わせの狩場では仲間同士の相性も重要ですから、強いるようなものでもないというのがなかなか難しいところ。

 

ルーチカ本人としては、そうした自分に対する仲間の反応に特に不満や言いたいことがあるというわけではないようで、むしろ狩猟に同行してくれる主人公に対する、純粋な感謝の気持ちの方が大きいようです。

 

(盟勇同行クエスト★3クリア時 ルーチカ) 

ルーチカも人間関係で戸惑うことは多いでしょうに、自分を避ける同僚のことを責めるような方向に思考が振れたりしないのはやはり人ができています。主人公やフィオレーネ、アルロー等々、自分の気質のことを理解してくれる仲間との狩りを今は大切にして、彼女なりに王国騎士団の中でうまくやっていけると良いですね。……それにしても、「あまり感情を表に出すのが得意ではない」というのはなんというか……。う~ん………。

 

さて、そんな感じでギャップが非常に魅力的なルーチカさんですが、「狩りの時になると性格が変わる」以外に、彼女にはもう一つ、意外な一面があるんですよ。

 

[前略]
王国騎士ルーチカ殿は…。

じつは…。

すごい大食い!

カムラの里のヒノエちゃんと張り合えるくらいの量を食べるニャ。

でも本人は大食いを隠しているみたいニャ。外ではほかの人と同量におさめて 自室でいっぱい食べてるらしいのニャ。

ヒノエちゃんもルーチカ殿も そんなにいっぱい食べるのに どうしてスタイルを維持できているニャ…?

[後略]

(マスター★1 フカシギ)

 

でた。エルガドの大食い担当(?)はこの人でした。同じくカムラの里の大食い担当であるヒノエの方は自身の大食いをまったく隠していないのと比べると、ルーチカは自分が大食いであることをあまり人に知られたくないという性格なのが対照的。茶屋のアズキの台詞からも、ルーチカの食生活を間接的に窺い知ることができます。

 

エルガドでのうさ団子作りも カムラの里に負けず劣らずやりがいがありますニャ。

喜ばしいことに、当店のうさ団子はここエルガドでも好評をいただいておりますニャ。

ヒノエさまほど大量注文される方はさすがにいらっしゃいませんでしたが…。ますます、やりがいができましたニャ。

(マスター★2 アズキ)

 

フカシギによれば「ヒノエと張り合えるくらいの量を食べている」にも関わらず、アズキによれば「ヒノエレベルの大量注文をする人物はさすがにいなかった」とのこと。もちろん、ルーチカはうさ団子だけを食べているわけではなく普通の食事も取っているでしょうから、うさ団子を食べている本数だけでいえばヒノエには並ばない、ということではあると思うのですが、それにしてもルーチカもうさ団子のことはいたく気に入っていますから、常人よりは遥かに多く注文しているハズ。

 

恐らくルーチカはヒノエのように一度にまとめて数十本セットを購入したりするのではなく、皆と一緒に食事を取る際は茶屋で通常量を注文、自室でお腹を満たす際は夜間にこっそり茶屋に赴くか、ルームサービス等を通じて出前的な感じで注文……という感じで何度かに分割して注文することで、自分が大食いであることを周囲にあまり悟られないようにしているのかも? という印象です。

 

とはいえ、茶屋を運営している側のアズキがそうした注文履歴やら会計事情やらを知らないということもないでしょうし、また彼女はお客様を大切にする気遣いのできる人物ですから、恐らくアズキもルーチカがお団子を大量購入していることは把握していても、彼女自身が大食いを恥ずかしがって隠している心情を慮り、話を合わせる形で「ヒノエほど大量注文している人はいなかった」と主人公には説明したのかもしれません。アズキさん、やはりデキる大人……!

 

話を戻しまして、拠点の砦の上でも時々、ルーチカが仁王立ちしながらうさ団子を食べているところを見かけますが、彼女はうさ団子をとても気に入っているようでして、主人公にもその話をしてくることがあります。

 

○○様、質問があります。うさ団子について、どうお考えですか?
おいしくて、腹持ちがよく、色味もいい。なるほど、貴重なご意見に感謝します。

いえ、特に意味はありません。私の所感と比較をしたかったのです。私も同意です。…お腹が空いてきました…。

(マスター★5 ルーチカ)

 

ここのルーチカさん、主人公の食の好みに興味があったにしても、何だかやたらと迂遠な言い回しをしているようにも見えますが、これはおそらく「うさ団子って美味しいですよね」といきなり話を振ると、自分が食べることが大好きな人だという印象を持たれるのではないかと思って少し恥ずかしい気持ちになってしまったため、わざわざ先に主人公に聞くという感じで話を切り出してきた、というのが筆者の解釈です。いやかわいいかよ。

 

ルーチカはエルガドで出会った直後から、カムラの里の文化についても非常に興味を持ってくれていますから、エルガドでの仕事がひと段落した暁には、ぜひ里の茶屋のうさ団子も食べにきてもらいたいところ。そうなれば里の米穀屋がますます大変なことに……。盟勇クエストでこそ特殊会話は発生しませんが、ヒノエとも話が合うのではないでしょうか。ヒノエは毎日うさ団子50本を買うのが恒例になっていますから、里の人たちは大食いの女性を見慣れているので、ルーチカもカムラの里に来れば、「たくさん食べることは恥ずかしいことじゃないんだ」と思ってもらえるのではないかしら。

 

1人の人間の中にいろいろな一面があっていい、というのは、ルーチカを見ていると特にそれを強く感じさせられます。彼女にはこれからも、二面性という自身の個性を大切にして、自分の信じる道を突き進んでほしいですね。

 

 

2.ガレアス提督に憧れる新米王国騎士・ジェイ

 

続いては王国騎士のジェイ。最近エルガドに赴任してきた若き王国騎士である彼は、身体を鍛えることが好きで隙あらば筋肉の話をするところや、ウツシ教官と抜群に性格が噛み合ってしまったところなど、何かとおもしろネタに事欠かない人物ですが、最年少で王国騎士になったという抜群に優秀な経歴の持ち主でもあります。

 

王国騎士団の先輩たちの中でも、ジェイが特に憧れているのが提督のガレアス。初対面の自己紹介の時からさっそく、彼の並々ならぬガレアス愛(?)を窺い知ることができます。

 

はい! オレは、提督の未来の右腕こと王国騎士ジェイです! 気合と元気はじゅうぶんです!

…っと、もしかしてあなたは…! カムラの里の「猛き炎」さんでは…!?

うおぉ…本物だ…! あ、自己紹介が先ですいません! これからよろしくお願いします!

(エルガド到着後 ジェイ)

 

新しい任地のエルガドで、自分の名前を皆に知れ渡らせよう! とはりきって自己紹介をするジェイ。ここで単純に騎士団の最高位である「提督」に自分がなろうというのではなく、あくまでも「提督の右腕」と、ガレアスから最も信頼を置かれるNo.2になりたいというあたりが、彼がいかにガレアスを敬愛しているかがよくわかります。この会話中で主人公に対しても「自分の自己紹介が先で申し訳ない」と謝辞を述べるなど、根っからの謙虚さは彼のチャームポイント。

 

エルガドにはつい最近赴任してきたということで、同じく着任したばかりの主人公にも、何かと気さくに話しかけてくれます。

 

○○さん! エルガドはどうですか? 気に入ってもらえましたか?

あ、まだ来たばっかりで あまり見て回ってないですよね。先走りすぎました!

少なくとも、提督のおそばで働けるので やりがいだけは、保証しますよ!

じつは、オレも最近エルガドに赴任してきた新人の騎士なんですよ。

一応、最年少で王国騎士になった男! って感じなんですけど、先輩方には全然かならないですね。

ってことで、○○さん! エルガド新人同士、よろしくです!

(エルガド到着後 ジェイ)

 

「ガレアス提督がいる職場はやりがいがある!」と熱弁するジェイ。この最前線であるエルガドの調査隊への参加というのは、ジェイにとっては「騎士として王国を危機から守りたい」というのと同じくらい、「ガレアス提督がいるところで働きたい」というモチベーションがあってのことなのでしょうね。

 

ジェイはとにかくもう隙あらばガレアスの話をするという感じでして、時折なんか愛が重いようにも思えなくもないのですが、それだけ彼はガレアスを尊敬しているということ。以下、ジェイがガレアスについて言及した台詞をいくつか抜粋して見ていきましょう。

 

○○さん、ちょっと。ほら、オレの髪形を見てくださいよ。…何か、気づきませんか?

フッフッフ…そう! この、剃り込み! 提督の髪形をコッソリ真似してます!

でもこれ、提督には内緒ですよ? なんでって…そんな…っ! はっ、恥ずかしいじゃないですか!

(マスター★3 ジェイ)

 

こういう「尊敬する人の何かしらをこっそりと真似している」みたいなやつって、特に誰に言うでもなく自分の心の内にだけ秘めておいてこそのような気がするのですが、昂る気持ちを抑えきれずについつい他人に言ってしまうのがジェイらしい無邪気さですね。……まぁ、普段の彼の言動を鑑みれば、彼の髪形がガレアスを真似したものであるということは、周囲の人も多かれ少なかれ察してはいるでしょうし、本人はコッソリと言いつつも実際はもはや公然の秘密と言えなくもないような……。

 

なんなら当のガレアスにしても、盟勇クエストの掛け合いを見るに、ジェイが何か自分を特別慕っていることには何となく気づいているようですから、ガレアス本人にすら隠すことができているのかどうかは怪しいところ。でもジェイ的には、ガレアスにこのことを知られるのは恥ずかしいみたいです……かわいいかよ

 

ビシュテンゴ亜種ですね! 提督からの依頼、ファイトです!

…さっき、提督が怒ってましたね…。提督が怒るなんて、珍しいですよ…。オレも指導を受けたい……ハッ!

いえいえ、なんでもありません! 気のせいですよ、独り言です! さぁさぁ、レッツゴー! いきましょう!

(マスター★2緊急前 ジェイ) 

 

フィオレーネを叱咤するガレアスを見て、あろうことか「自分も指導を受けたい」と言い出すジェイ。自分が尊敬する人物に叱られれば、むしろ気持ちがしょげてしまいそうなものではありますが……。むろん、ガレアスのそれは大切な部下であるフィオレーネの安全を気遣ってのものであり、ただ感情に任せて怒鳴りつけるという種類のものではないのですが、だからこそというべきなのか、ジェイもそのことを理解した上で、ガレアスから愛の鞭(?)を受けたいらしいです。うん………。

 

バハリさんはすごい人なんですけど、自由な人というか… ちょっと変わり者というか…

すぐに、どこかへ出かけては提督にご迷惑を…いえ! オレがそう思っているとかではなくて!

そ、そうだ! バハリさんを助けてもらったお礼に これ受け取ってください!

このフクズクの衣装は、王国に伝わる古い時代の騎士の鎧を模したものなんです。

…あの、さっきの件なんですけど オレが言ったこと内緒にしておいてくださいね! 絶対ですよ!

(マスター★2アンジャナフ後 ジェイ)

 

研究者としては優秀ながらも、自由奔放な行動でガレアスを悩ませがちなバハリに対してのジェイのコメント。ジェイは自身は特にバハリのことを苦手と感じているようではなく、あくまでも尊敬するガレアスに迷惑をかけているという点において「もうちょっとなんとかならないものか」と思っているようです。

 

若干愛が重いような気がしなくもありませんが、ガレアスの仕事の大変さを分かっているからこそ、悩みの種を増やすバハリの行動が気になる気持ちは分からないでもありません。が、本人も少し失言だったかもしれないと思ったらしく、口止め料(?)的な感じで主人公にフクズクの衣装をプレゼントしてくれます。軽率だったかもしれないと素直に自分の発言を省みることができるのは彼の美点ですが、果たしてその埋め合わせがそれでいいのかそれで。

 

それから、バハリの行動に関しては、毎度毎度ギリギリまで無茶をすることもさることながら、たとえ窮地に陥ったとしても救出が手遅れになる前には絶対に救助要請が届くという点に関しては、ジェイも尊敬(?)しているようです。

 

(マスター★3 ジェイ)

まぁ、引き際を弁えているからといって無茶をしてよいということにはなりませんから、ぜひともジェイには彼の真似をしてほしくはないところですが、己の力量を正確に把握するという点については、新人の騎士であるジェイも学ぶところはある……あるのか……? 

 

それから、ジェイの夢はガレアス提督の右腕ということですが、現在の王国騎士団でガレアスの副官を務めているのは、ジェイの先輩であるフィオレーネです。彼女のポジションはジェイの目標とする地点であり、ともすれば形式上は、フィオレーネは自分のライバル……とも言えなくはないわけですが、そのフィオレーネについて、ジェイは次のように話しています。

 

提督とフィオレーネさんって、お互いに信頼しあっていて すごくあこがれます…。

提督がすごいのはモチロンですが そんな人に認められるだけの実力があるからこそ、信頼されてるんですよね。

くぅ~…あこがれます! いや、あこがれてるだけじゃダメだ! オレは、提督の右腕になりますよ!

(マスター★5 ジェイ)

 

フィオレーネの存在は、ジェイにとっては対抗心というよりも、むしろ憧れの対象であるようです。フィオレーネとガレアスとの厚い信頼関係は、フィオレーネ自身の高い実力と、騎士としての高潔な精神があってこそのもの。言わばジェイにとっての理想的なロールモデルです。ジェイは大きな夢を持ちながらも、自分よりも実力の高い人物を純粋に「すごい!」と称賛して自分の目標とできる、さっぱりとした性格がとても気持ちのよい人物ですね。

 

……さて、そんな感じで「ガレアス提督リスペクト!」なジェイですが、ジェイがいつの頃からガレアスに憧れていたのかといいますと、彼が王国騎士になる前からとのこと。彼が王国騎士の道を志し、そのための鍛錬に取り組むようになったのも、いわば「ガレアスを追いかけて」という形になります。結果として彼の努力は実を結び、王国騎士の最年少記録というちょっとした偉業をも達成することになるわけなのですが、そこに至るまでには前途多難の道のりがあったようです。

 

…提督って、渋くて強いし すごくカッコイイですよね…。オレ、騎士になる前からあこがれてるんです。

騎士になるのは、親に反対されてたんです。危険だから…って。でも、諦めずに結果を出すことで、認めてもらいました。

肉体改造のために 毎日意識がなくなるまで筋トレしたり、食生活にも気を配ったり…がんばりました。

エルガドに配属が決まったときには 本気で叫んじゃいましたからね。ガレアス提督、リスペクト!

(マスター★2 ジェイ)

 

このジェイの台詞、モンハンの世界観的にも地味に重要な台詞だと思うんですよね。この世界の「ハンター」というのは多くの人にとって憧れの職業であり、強大なモンスターたちが棲息するこの世界で人類が自分たちの生存圏を守っていくために必要不可欠な存在でありますから、その全体数がどのくらいなのかという話はさておいても、ハンターというのは決して「珍しい」という類の職業ではないように思われます。

 

それに加えて、プレイヤーがゲーム内で訪れることができるのは基本的には「拠点」であり、同じハンターの仲間やギルド関係者、調査員等々が集まっているのは勿論、ハンターという存在を間近で見慣れている人も多いですから、ともすれば「ハンターは人類社会の中でもトップクラスに危険な職業」であるという認識が麻痺しがち。特にライズにおいては、主人公の故郷であるカムラの里は、百竜夜行の防衛に備えてハンター資格を持たない所謂「一般人」の中でも里守として武器を扱える者もおり、しかも揃いも揃ってスーパーカムラ人の集まりですから、なおさら「モンスターと対峙するということの怖さ」という世界観上重要なはずの観念が忘れられがちでもあります。

 

そんな中でジェイの先の台詞は、モンハン世界において「自分の子どもがハンターになることに反対する親」という存在もいるのだ、ということをきちんと示してくれているといいますか、「モンスターを狩猟することはとても危険である」というニュートラルな感覚に立ち返って、世界観のバランスを取ってくれるものであるような感じがするんですよね。

 

ジェイの親御さんが彼のハンター志望について反対をしたのは、もちろんひとえに息子の安全を第一に想ってのことではあると思いますし、あるいはこれは一つの推測の域を出ませんが、ジェイは今でこそ王国騎士団の元気印とも言えるような人物ですが、昔はそれほど身体が丈夫な子というわけでもなかったのかもしれません。

 

いずれにしても、たとえ本人の希望にそぐわなくてもハンターになるのをやめさせたいという気持ちは十二分に理解できるところではありますが、それでもハンターの夢を諦めたくはないジェイは、「自分がハンターとして無事にやっていけることを認めてもらいたい」と肉体改造に励んだようです。

 

その結果として、親御さんにもハンターになることを認めてもらうことができたジェイ。親御さんは彼の努力の結果のみならず、そこまでしてでもハンターになりたいという熱意をも受けとめてくれたはずです。その過酷なトレーニングのお陰で王国騎士としての今があるわけですから、ジェイが自分自身の筋肉を誇りにしているのはただ鍛え上げた筋肉を見せつけたいからというわけではなく、まさにその鍛錬の結果としての丈夫な身体こそが、彼を王国騎士の道に導いてくれたもの、彼が今ここにいることができる理由そのものだからということになりますね。

 

(マスター★6緊急前 ジェイ)

決戦を控える主人公に、ジェイがかけてくれる力強い激励の言葉。努力の人である彼を象徴する言葉でもありますし、ひょっとするとこの言葉は、かつて彼が王国騎士となった時に、ガレアスから貰った言葉なのかもしれません。

 

そんなジェイの自慢の筋肉は、本編中の重要な場面でも大いに活躍を見せてくれます。

 

た、大変です…フィオレーネさんが! フィオレーネさんが、倒れてしまいました…!

うう…オレ、薬については全然知らないので…どうしたら…。なにか、できることは……。

……そうだ! オレ、おでこに濡れタオルを乗せる係をします!

水をたくさんくんできますし、タオルもしっかり絞れますんで! よっしゃ、任せてください!

(マスター★4ライゼクス前 ジェイ)

 

メル・ゼナの攻撃を受けて倒れてしまったフィオレーネを看病しようということになり、自分は薬のことはよくわからないからと、「水をくんできて濡れタオルを用意する係」を率先して引き受けるジェイ。重病の人の看病をするというのは思った以上に体力を使う仕事ですから、ジェイの手が空いているのならば適任であることは間違いない……ハズ。狩猟の方に筋肉を使わんかいというツッコミは受け付けておりません。王国騎士の仲間ならばフィオレーネのことが気がかりなのは当然のことですし、本人もいたって真面目に取り組んでいますから。

 

フィオレーネさん、回復する目途がたって本当によかった…。

○○さん、薬の材料集め本当にありがとうございます。

おでこの濡れタオルを替えるたびに苦しそうな顔が…ツラかったです。本当にツラいのは、ご本人なんですけど。

(マスター★4エスピナス後 ジェイ)

 

こういうシリアスな場面ではきちんと気遣いのあるしっかりとした台詞が聴けるので、なんだかんだ言ってやっぱりいい子だな~ってなるやつ。

 

フィオレーネさんが復活しました! 毎日100杯、バケツの水を届け続けて本当によかったです…!

水入りのバケツを運び、濡れタオルを絞り 起きないようにそっと額に置く…。オレ、筋肉があって本当によかった…!

そしてメル・ゼナの討伐ですね。王国の脅威の排除…。王国騎士として筋肉…いえ、胸が震えます。

さぁ、○○さん! どちらの筋肉が上か 分からせてやりましょう!

(マスター★5緊急前 ジェイ)

 

フィオレーネが無事に復帰したことを喜ぶジェイ。なんと彼は看病のために、毎日バケツ100杯もの水を運んだということですから、これだけの重労働を最後まで完遂しえたというのは、やはり彼の鍛え上げられた筋肉でこそなせる業に他なりません。……まぁ、フィオレーネがいくら高熱を出しているとしても本当に毎日バケツ100杯もの量が必要だったのかという点には限りなく大きな疑問が残りますが、この際はそういうツッコミは野暮というものです。大事なのはハートですから。

 

濡れタオルと優しいハートでフィオレーネの病状を快復させたジェイの活躍は、チッチェ姫も知るところとなっています。

 

(マスター★4エスピナス後 チッチェ姫)

この台詞、チッチェ姫の記事で取りあげたときには、「チッチェ姫はエルガドの皆のことをマメに観察していてすごいなぁ」という素直な感想を抱いていたのですが、ジェイがどう考えても多すぎる水を運んでいるのを目撃した上で「ジェイはよく看病してくれている」とコメントしていると思うと、なんか途端に見方が変わるといいますか、じわじわとおもしろくなってくるといいますか……ジェイの気持ちだけは人一倍あるんだけどいまいち計算が苦手なところも良しとするチッチェ姫の器の大きさに謎の感動すら覚えてきます。

 

それから、ジェイの筋肉は原理は不明ですがセンサー機能を持ち合わせているようでして、深淵の悪魔の影響でエルガドの天気が悪くなってきた際には、何か悪い兆しを事前に感知することもできるようです。

 

…あれ? なんだか、凄く天気が悪いですね。

…おっかしいなぁ。バハリさんの天気予報だと、今日は晴れだったのに…。

なんとなく嫌な予感がします…。これは野生のカン…ではなく、オレの筋肉のカン、です。

(マスター★5シャガル後)

 

筋肉のカンって一体なんなんだろう……。筋肉を鍛えに鍛え上げると、最終的に大自然と一体化したりとかするものなんでしょうか。いずれにしてもその予感自体は的中しているのですから、ジェイの筋肉センサーはあなどれません。

 

それからジェイといえば、彼はカムラの里のウツシ教官と非常によく噛み合ってしまったことでよく知られています。これはもちろん、両者ともにポジティブで明るく、元気すぎてちょっとやかましな性格である点で波長が合ったというのが何よりの理由ですが、それ以外にもウツシ教官が大切にしている信念と、ジェイがハンターになる上で身体作りに懸けてきた想いとが一致しているから、というのもあると思うんですよね。

 


先にもお話ししたように、ジェイは元々身体が弱かったところから、筋トレや栄養管理といった厳格なトレーニングを重ねて王国騎士になることができたという来歴の持ち主。そんな並々ならぬ努力を蓄積してきた彼だからこそ、「ハンターにとって必要なものは技術よりも何よりもまず丈夫な身体作りだ」という信条を掲げてハンター指導をしているウツシには、尚のこと親近感を抱くのではないか、と思うんですよね。

 

そもそもウツシが指導において身体の健康を大切にしているのは、「ハンターは体が資本」という根本をよく理解しているからということに留まらず、彼がこれまで主人公やタイシのようなハンター志望者のみならず、元々非戦闘員であるところのカムラの里の住民たちの多くを「里守」として防衛に参加できるようにするための訓練を行った経験もあるから、というのもあると思うんですよね。

 

カムラの里の皆は元より健康体で普段から力仕事で身体をよく動かしている人も多いとはいえ、モンスターを狩猟するためにとくべつ身体を鍛える、というトレーニングを積んだ経験のある人間はほとんどいないハズ。いわゆる「一般人」であるところの彼らにいきなり武器を渡して扱い方を指導したとしても、それでモンスターと渡り合うことはできません。

 

武器を担ぎながら動き回れる体幹を鍛えるため、長時間の狩猟や防衛でも注意力や思考力を鈍らせないため、モンスターの攻撃に被弾しても大きなケガに繋がりにくくするため、身体のみならず精神面の元気も維持するため……等々の理由で、狩猟の訓練の一歩手前の、基礎的な身体作りは非常に重要。そしてある意味では、幼少の頃は体が丈夫ではなかったジェイは、そうしたカムラの人たちと同じようなスタートライン――或いは、体質的にはそのもっと後ろから――王国騎士への道を歩み始めたわけですから、ウツシが伝えるハンターの本質というのが、一層身に沁みて理解できるのだと思うのです。

 

さて、少し話は変わりまして。先ほどのバケツのくだりなどを見て頂いてもなんとなくお分かりのように、ジェイは身体は動かすのは得意なのですが、勉強の方は少し苦手なようでして、彼自身もその点を、少しばかりコンプレックスにも思っているようです。

 

王国騎士としての名に恥じないよう 鍛錬と見回りを毎日欠かさずおこなっています。

ルーチカさんは勉強も熱心にやっているみたいですけど…ううぅ~。オレ、頭使うのは得意じゃないんですよ…。

そのぶん体を動かしてエルガドに貢献するので…。だ、ダメですかねぇ…?

(マスター★1 ジェイ)

 

ジェイはとにかくまず身体を鍛えることで騎士になることができたということもあり、性格的にも一つのことにまっすぐに熱中するタイプに見えますから、筋トレとは対照的に勉強が苦手だというのも無理はありませんが、騎士団の直近の先輩でありとても向学心の強いルーチカを見ると、どうもそんな自分が情けないという気持ちもある様子。

 

(マスター★1 ルーチカ)

そしてそのルーチカの方も、やはり「ジェイももう少し勉強に興味を持ってくれたら…」と思うところはあるようで。身体を動かすのが得意なこと自体は良いことですが、知識を付けることでその体力を狩り場で何倍にも有効に生かすことはできますから、ルーチカの考えはもっともです。それにルーチカとしても、彼女はその性格の振れ幅ゆえに周囲から避けられがちなところがありますから、同じ若手の同僚のジェイと共通の話題が一つできたら、と思っているところもひょっとすると(筆者の完全な推測ですが)あるのではないかしら。

 

ちなみにジェイの方は、ルーチカには少々苦手意識があるようでして。というのは、特に勉強関連の理由というわけでもなければ、人として好きではないとか反りが合わないみたいなギスギスした話というわけでもなく、ルーチカが彼の姉に非常によく顔が似ているからということらしいんですね。で、そのジェイのお姉さんがどういう人物なのかといいますと……。

 

[前略]

王国騎士ジェイ殿は…。

じつは…。

絶対に逆らえない姉がいる!

とっても気の強いお姉さんで、対抗するために筋肉を鍛えているというウワサも聞くほどニャ。

そして、ルーチカ殿の見た目がお姉さんと似ているのニャ。

だからジェイ殿は ルーチカ殿と話すとき、心なしかビクビクしているニャ。

(マスター★3 フカシギ)

 

フカシギからの情報によれば(どこからそんな情報持ってくるんだ)、ジェイのお姉さんはとても気が強く、弟のジェイは頭が上がらないような関係だということらしいです。「姉に対抗するために」という部分はさすがに噂が人づてに流れていく中で話が盛られているものだとは思いますが、ジェイに姉がいてしかも絶対に勝てないというのは個人的には非常に解釈一致です。ジェイとしては、そんな姉によく似ている人がエルガドの同僚にいるのですから、困った偶然というものです(もちろん、ジェイもルーチカも誰も悪くないのですが)。

 

拠点にいるときのルーチカとジェイも、少しだけ年齢差があることもあってか、なんとなく姉と弟に近い関係性が見えるんですよね。

 

この奥に調査隊員のガトリンって子がいるの 知っていますか?

あの子、テンションというか… オレとノリが似てて、話し出すとすごい盛り上がっちゃうんですよ。

話し込みすぎてると、ルーチカさんが鋭い視線を向けてくるので そこで解散するまでがセットです。

(マスター★4 ジェイ)

 

ガトリンとジェイ、確かに雰囲気が似ているところがありますから、話合うだろうなぁ。まあ、仮にも王国騎士なのにそんなに勤務中に雑談していていいのかという話はありますが、そんな感じでガトリンと話し込んでしまうジェイを、ルーチカが視線で注意して解散になるというのがお決まりの流れのようです。少し調子に乗っちゃうこともあるけれど、本気で叱られるラインは絶対に踏み越えないように引き際を弁えているあたりは、気が強いお姉さんのおかげで鍛え上げられた(?)ジェイの要領のよい弟ムーブな感じがありますね。

 

自分が勉強にあまり力を入れていないことについても、どこかルーチカからはあまり良くない目で見られているような……と、何かとルーチカ相手には委縮しがちなジェイでしたが、作中の終盤では、2人の関係性に少しばかり変化の兆しが見られるようになります。

 

オレ、気づいたんです。提督って、モチロン凄腕の騎士ですけど それだけじゃなく、頭脳も明晰なんです。
そんな提督にあこがれてるオレはというと… 体を動かすことならできますが 考えることは大のニガテです。

…勉強から逃げ続けるオレを ルーチカさんが冷ややかな目でみるのも これじゃあ当たり前ですよね……。

なので、オレは決めました。ちゃんと勉強もします!

ニガテなことから逃げないように ルーチカさんにお願いして教えてもらおうかなぁ…?

(マスター★6 ジェイ)

 

なんとジェイくん、憧れのガレアスに少しでも追いつくために勉強にもきちんと励むことを決心し、ルーチカに勉強を教えてもらえないだろうかと思っているご様子。……まあ、そのルーチカに頼む理由というのが、いわば彼女に対する自分の恐怖心(?)を逆にモチベーションにするというものなのですから、精神的距離が縮まっているとは言い難いところはあるのですが……。

 

とはいえ、先のジェイへの対応を見るにルーチカは面倒見が良さそうですし、勉強を教えてほしいと頼まれれば結構喜んで応えてくれるようなタイプだと思いますから、むしろこれをきっかけに、ジェイも「ルーチカさんって実は優しい人なんじゃ?」と気づく可能性は大いにありそうです。勉強のことを楽しそうに語るルーチカにつられて、ジェイもだんだんと勉強への苦手意識がなくなっていく……いつしかそんな構図も見えそうですよね。

 

ジェイは勉強は苦手と言っていますが、そもそも興味自体がないというよりは、「出来た方がカッコ良いとは思ってるんだけどなんかとっつきづらくて……」という感じですから、その苦手意識に風穴をあけるような何か最初のきっかけさえあれば、あとは彼の目標とする人物に向かってまっしぐらというタイプに見受けられます。

 

筋肉を鍛えて最年少王国騎士の記録を達成したその並々ならう努力と根性で、次に目指すは文武両道の王国騎士。尊敬するガレアスの右腕となれるような実力ある騎士に、これからもまっすぐに突き進んでいってほしいものです……いや、ジェイならきっとなれるはず!

 

3.忠義のベテラン中間管理職・エルツ

 

この拠点は、メル・ゼナ調査の第一線として 王国からの期待を背負っている。

君に重圧をかけるつもりはないが…提督はこの出会いが、よりよい結果に繋がることを望んでおられる。もちろん、私もね。

おっと…少し固い話になってしまったかな? ハハハ、申し訳ない。どうもこういう性分でね。

いつか食事でもしながら、ゆっくり話そう。その方がリラックスできる。そう、君の故郷の話も聞いてみたいしね。

(エルガド到着直後 エルツ)

 

続いては王国騎士のエルツ。ルーチカやジェイの先輩にあたる彼は、作中で盟勇として共に狩猟する機会こそありませんが、王国騎士の実力者として様々なクエストで活躍をしており、若手の騎士たちの統括や育成にも努めています。エルガドの騎士の中では年長組であることもあり、騎士らしい紳士的で落ちついた物腰が特徴。

 

後進の育成に熱心なエルツは、王国騎士ではないが高い実力を持つハンターである主人公が調査隊に加入してくれることを、若い騎士たちにとっての良い刺激になるからと特に歓迎をしてくれます。「猛き炎」という二つ名(?)の響きも気に入っているようで、彼の台詞には再三、主人公をこの名で呼ぶシーンが見られますね。

 

私はここでの調査を通じて、まだ若いルーチカやジェイには よい経験を積んで貰いたいと思っている。

特に、騎士団の枠にとらわれず 君のようなハンターと接することは、彼らの得がたい財産になると思う。

そうした意味でも、こうして協力し合えることを感謝するよ、「猛き炎」。

(エルガド到着後 エルツ)

 

彼がこの「猛き炎」という響きをどうして気に入っているのかは本人の口からは語られませんが、頼もしい印象を感じさせるものは確かにありますし、王国騎士ではないハンターとの交流というものを、彼自身もとても楽しみにしているのだと思います。

 

……で、上層部の指令を的確に実行し、後輩騎士たちの面倒を見るという彼の役割は、つまるところ中間管理職というポジションになるわけでして。しかも彼の上司といえば、当然ながらあのガレアス提督になるわけですから、提督と部下たちとの橋渡しをつとめるエルツの心労はもちろんお察しの通りです。

 

我々騎士団も本格的に動き出すことになるだろうが、こんなときに君のようなハンターがいてくれるのはじつに心強いよ。
上からの期待に応えて結果を出しながら、自分よりも若い騎士たちにも目を配り、彼らの自発的な成長をうながす…。

決して楽ではない責務だが、それだけに日々のやり甲斐を感じるよ。…え? 板挟み…? いやぁ、まさか。ハッハッハ!

(マスター★2 エルツ)

 

今の仕事にやりがいを感じている、ということ自体は嘘ではないとしても、それに伴う気苦労について言及されたエルツは笑いながらも見るからに顔が引きつっています。以前の記事でも書いたように、ガレアスは実際はとても部下想いの優しい人物ではあるのですが、いかんぜん物静かで何を考えているのかわかりづらく、リーダーとしての厳格さも同時に備える人ですから、エルツが何かとプレッシャーを感じるのも無理はない話です。

 

口数の少ないガレアスの思考を少しでも多く読み取ろうと努力した結果、エルツはちょっとした特技を身につけたようで……。

 

さすがだ、すばらしい働きだよ! これで王国にとっての大いなる脅威を排除できた。

本当に…ありがとう。ともすれば、提督からのお言葉が少なかったように思えたかもしれないが、理解して欲しい。

提督も気を抜けないお立場なのだ…。だが、君への感謝と信頼は間違いなく確かなものだよ。

大丈夫だ。信じてくれ。自慢することではないかもしれないが、私は提督の表情を読むのが得意なんだ。

(マスター★5 エルツ)

 

メル・ゼナ討伐後のエルツの台詞。メル・ゼナ討伐の悲願を達成はしたものの、今回の異変の黒幕に心当たりがあり警戒を解く様子を見せないガレアスに代わって、主人公に謝辞を伝える場面です。ガレアスの表情を読むというこの特技、本人曰く「自慢することではない」ということらしいですが、うーん……あのガレアスの考えるところを汲み取ることができるのは素直にすごいという気持ちと、なんかこう絶妙に生々しい話であまり聞きたくなかったという気持ちと、両方を感じさせるものがありますね……。

 

とはいえ、ガレアスにしても誰にしても完璧な人間というのはいないわけですから、提督の口数が少なくても騎士団がよく運営されているのは、管理職としての彼の手腕があってこそというのは間違いありません。……というか、総指揮を執る提督が寡黙なのにどうやって騎士団の組織が問題なく回っているのかというのはよくよく考えてみるとかなり疑問な部分ではありましたから、蓋を開けてみればこうしたエルツのような存在の活躍が大きいということがわかるわけですね。

 

細部のことにまで提督のトップダウンの指示を必要としていないという点や、ガレアスの言葉が足りないところや手が回らないところをきちんと部下がフォローしてくれることで、統率が崩れたり雰囲気が悪くなったりしないという点でいえば、チームとしてはむしろ健全な状態と言えるのかも……うーん、そうなのか……?

 

とまあ、上司にも部下にも気を回して色々と苦労の絶えないエルツではありますが、むろん彼自身はこの責務にあることを嫌がっているというわけでは決してなく、むしろ誇りを持って職務に励んでいる様子。騎士団の年長者として、たびたび仲間のことを気にかけています。

 

この私から見ても 稀有なハンターである君に、ぜひ尋ねたい。

我々騎士団の…いや、特にジェイやルーチカの働きぶりはどうだろう?

2人ともまだ粗削りなのは否めないが… それでもこの調査隊に参加しているのは、確かな技量と素質が認められてのこと。

彼らには騎士として、それらをもっと磨いて欲しいと考えているんだ。そこでぜひ、君の見立てを聞いてみたいと思ってね。

(マスター★4 エルツ)

 

彼の後輩であるジェイやルーチカについて、その仕事ぶりはどうかと主人公に尋ねるエルツ。王国騎士団の枠を超えてハンターが協力体制をとる今だからこそ、他のハンターから見たより客観的な意見を貰い、後進の育成に生かしたい、ということのようです。王国騎士として王国に仕えるハンターは、元々個人でやっていたところから中途で加入するケースもあるのかもしれませんが、その多くは最初から「王国騎士」としてのキャリアを積んでいるはず。そのぶん、上官がその評価をするとしても騎士団内での尺度に偏りがちなところは否めないでしょうから、騎士ではないハンターとの交流は、若い騎士たちを預かるエルツにとっても貴重な機会です。

 

そして同時に彼自身も、1人のハンターとして、自分が若い頃に主人公のようなハンターに出会うことができていたら……と、ジェイやルーチカを羨ましく思う気持ちもあるようですね。

 

君の技術…そして誇り高いハンターの精神は、ルーチカやジェイにとっても日々の刺激となっているようだ。
彼らは恵まれているな。私も、もっと若く血気盛んだったころに 君のようなハンターに出会いたかったよ。

…いや、ぜいたくは言うまい。今の私は若い騎士たちを育てる機会を得られた。何よりも、そのことを喜ばしく思うよ。

(マスター★6 エルツ)

 

今でこそ堅実で落ち着きのある立ち振る舞いが印象的なエルツも、若かりし頃はもっと尖っている時期もあったりしたのでしょうか。過ぎた時間を生き直すことはできないと分かっていても、自分の「もしも」に時には思いを馳せたくなるというもの。騎士団の支柱としてエルガドの調査隊を支える彼の、積年の経験と苦労を感じさせる台詞です。

 

「猛き炎」のような存在は稀有であるにしても、王国騎士の枠組みを超えた様々なハンターとの交流は、騎士たちにとって大きな糧となるハズ。今回の異変の調査のような大きな仕事の際には、指揮系統の問題はあるにしても、王国騎士外のハンターの登用というのが、旧来以上に積極的に行われていくようになる気がしますね。

 

場面は変わりまして、続いてはフィオレーネが倒れてしまった際の台詞。

 

参ったよ。メル・ゼナが現れたかと思えば、次はこの状況だからね…。

急報を受けたロンディーネも すぐに駆けつけてはくれたが、その心中は、いかばかりのものか…。

こういう時こそ、私のような立場の者が何気なく声をかけて、元気づけてやれるようでなければいけないな…。

(マスター★4ライゼクス前 エルツ)

 

フィオレーネが病床に伏している時期には、管理職としての振る舞いについて熟考する様子のエルツ。倒れたのが提督の副官ともなれば、ガレアスを始め上層部の騎士たちはその業務のフォローに追われるのは致し方ありませんが、そうしている内にフィオレーネやロンディーネを気にかける方まで手が回らなくなってくると、彼女ら当事者たちの精神的な孤立を招いてしまうものでもあります。「騎士団のみんなが付いている」ということがきちんと彼女らに伝わるためには、自分のような立場の者のフットワークが重要なのではないか、と考えているようですね。

 

非常に仲間想いなエルツですが、一方で彼自身は、自分はこういう時にやたらと話が固くなってしまうということを少し気にしているフシがありますから、ここは彼としても一皮むけたいところ…!

 

そしてその後、無事にフィオレーネが回復し、騎士団の全員が健在でメル・ゼナ討伐の時機を迎えられた際には、早くもしみじみと感動を噛みしめている様子。エルツは特に人一倍、味方に誰も犠牲を出すことなく調査隊の使命を全うしたい、という想いが強いんですよね。

 

フィオレーネ殿を含め、騎士団のただ一人も欠けることなく このときを迎えられるとはな…。

メル・ゼナ討伐は、我らの悲願…。それが目前に迫る今の私の気持ちをどう表現すべきか…分からないほどだ。

…いや、今はまだやめておこうか。すべては無事に戻ってからだな。

では、準備が出来たら任務開始だ。皆も私も、君を心から称賛できるときを楽しみにしているよ!

(マスター★5 エルツ)

 

……と、そんな感じでエルガド調査隊の柱の一つを担うベテラン騎士のエルツですが、そんな彼自身にも、自らの大きな精神的支柱として信奉(?)する人物がエルガドにいるようで、その人物の話となると、普段の冷静な彼からは想像もつかないほど感情が昂ってしまうという一面があるのです。その様子がこちら。

 

姫様の受付嬢ぶりはすばらしいだろう? 全力で職務に当たられている、あのお姿… まことに健気でいらっしゃる。

感動を通り越して、こちらもひたすらに身が引き締まるというものだ…! 君もそう思うだろう?

(マスター★1 エルツ)

 

これだけ調査が順調であるのは 無論、君を含めた皆の尽力があればこそだろう。

しかしその精神的な柱として我々を支えておられるのは、やはり間違いなく…そう!

受付嬢たる姫様のあの、献身的なお姿…! ああして日がな一日立ち続けるなど、この私であっても困難を極めよう…!

なんとご立派な…! …うぐ。…うぅ……。す、すまん。目頭が…。

(マスター★3 エルツ)

 

エルツさん……? というわけで、彼はエルガドで受付嬢を務めるチッチェ姫のことを、尋常じゃないくらい敬愛しているんですよね。もちろん、チッチェ姫に対しては、他の騎士団についても王国の一臣民として同様の気持ちを持つものではあるのですが、エルツは特にそれが飛びぬけて強い様子でして、それは前線の負担を憂いて自らエルガドへと赴いた優しき姫君に対する深い忠誠心でもあるでしょうし、あるいは彼も王国騎士団の幹部として、王国でも女王陛下に近い立場にある人物の一人でしょうから、チッチェ姫の幼い頃からの成長を見守ってきたのだと思いますし、立派な行動力を備えるまでになった今のチッチェ姫に対する、ある種の親心のようなものでもあるのかもしれません。

 

そして何となくですが、輝かしい存在であるチッチェ姫から活力をもらうという点では、「推し」に近いような感情もあるような…。これまでの話も含め、エルツは普段は顔に出さないだけで、実はかなり感受性豊かな人なのかも? いずれにしても、騎士団の幹部としての多忙な任務をこなし、職務上で頭を悩ませることも多いエルツにとっては、自分自身の使命にまっすぐに向き合うチッチェ姫の存在が、自らの責務を果たすにおいて特に心の支えとなっているのでしょうね。

 

話は変わりまして、ここまでのお話では、エルツは苦労人の中間管理職というイメージを与えてしまいましたが、そうした騎士団の組織内部での役割という以前に、彼は熟練の騎士、非常に明晰で実力のあるハンターでもあるんですよね。そしてそのハンターとしての豊かな知見から、しばしば非常に本質的なことを言語化してくれる人物でもあったります。

 

かつての疫病…か。自分が生まれる以前のことのせいか、今まではどこか現実味の薄い 王国史の一端という印象でしかなかった…。

しかし、実際にフィオレーネ殿がそれに冒されていることを思えば、まさに私自身も当事者であることを痛感させられる…。

我々は、そうした歴史に名を残すほどのものを相手にしているのだな…。改めて、使命感に心が震えるよ。

(マスター★4 エルツ)

 

こちらの台詞、エルツ個人の気持ちのみならず、50年前の疫病よりも後に生まれた、数多くの若い騎士たちの率直な気持ちをも代弁するものであると思うんですよね。50年前に王国にもたらされた疫病は、本編でメル・ゼナとキュリアの関係を紐解くのに重要な出来事でしたが、それを実際に経験しているのはガレアスやアルロー、バハリやタドリといった当時から生きていた一部の面々であり、フィオレーネのことがあるまでは、彼らと他のエルガドの仲間とでは、疫病やメル・ゼナといった存在に対して感じるリアリティに大きな溝があったわけですよね。

 

50年前の疫病と同じ病気に騎士団の仲間が罹るということがなければ、王国騎士団には「王域生物の異変の調査と王国の防衛」という全体的な目標はあれど、ともすればそこに所属する多くの王国騎士たちは、自分たちが何と戦っているのか、王国を何から守るのか、王国騎士団は何を見据えているのか……といったことについて、その具体性を見失い、自分たちの相手にするものが何か絵空事のように感じられ、それが士気にも影響してしまうかもしれない。そういう空気を敏感に感じ取り、最前線のエルガドにある自分たち騎士団の使命とは何かを再発見してみせたこの台詞は、エルツならではの巧みな言語化ですよね。

 

頭では理解していたつもりだが、こうして君と調査を進めていると 改めて思うことがあるんだ。

私と君、生まれや立場も違えど… 己の身ひとつでモンスターへ立ち向かうことに変わりはない。

つくづく、ハンターとはすばらしいものだ。互いのルーツなど問うことなく、つねに尊重し、協力しあえるのだからな。

(マスター★5 エルツ)

 

ライズ-サンブレイクはつくづく、こうして仲間と交わす何気ない世間話の言葉の中に、いくつもの名言が隠されている作品だなぁと思います。異なる背景を持つ者同士の出会いは、互いに相手のことを興味深く想う部分もある反面、心のどこかで身構えてしまう部分もあると思います。それは特に今回のように、文化圏を超えて、また王国騎士団の枠組みを超えて、異変調査のための本格的な協力体制を敷くという大きな話にもなれば、尚のことです。王国騎士団の、それも観測拠点エルガドの実働部隊という防衛の心臓部に、王国外からの人材を取り入れるというのは、今回こそ大成功の事例ではあるものの、事の成り行き次第では、必ずしもメリットの側に針が触れなかったとも限りません。

 

しかしながら、ハンターには狩りという共通言語がある。厳しい大自然と強大なモンスターを前にすれば、それに挑むハンターたちの間のあらゆる差異はもはや不問となる。立場だとか出自だとか、その他のいかなる社会的属性に関わらず、モンスターの脅威に敗れれば命を落としてしまうという点には変わりなく、だからこそ自分たちの生命と、自分たちが守るべきもののために手を取り合うことができるという、ハンターという存在の根底にある精神性を感じさせる台詞です。

 

「猛き炎」と王国騎士団の皆とが、「王国とカムラの協力体制」という連帯の中心点で共に働いているということ、そして自分たちは既にそうした形式を超えて、真に仲間としての関係を築き上げることができたのだということを、こうして言葉にしてくれるというのはとても感慨深いですね。

 

主人公は特に、故郷の家族のもとを離れて独りエルガドに赴任している身であり、いくら王国側からの招待であるとはいえ、新天地で自分という存在が受け容れられるかどうかと一抹の不安を抱えることもあったでしょうから、そこで新たに出会った騎士団の仲間たちと対等の絆を結び得たということは、とても嬉しいことなのではなかろうか……と、ガレアスよりよっぽど無口な主人公ハンターの気持ちを推し量ってみたり。

 

いやまぁ、主人公は台詞テキストがないだけで、先にあったようにエルツの中間管理職ぶりに対して「板挟み?」とかド直球で訊いているわけですから、実際のところはかなり会話中に踏み込んだ話を切り出してくる、中々のおしゃべりなのではないかという説が筆者の中であったりします。……とまぁ、それはさておきまして、エルツも仕事柄なかなか大変なことは尽きない様子で、あまり心労を溜めこんでほしくはありませんが、これからもその堅実さと聡明さで、騎士団の皆を支えていってほしいですね。

 

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ということで、本記事はこの辺りで〆とさせて頂きます。6月のボーナスアップデートのスペシャルプログラムもとうとう間近。アプデ前後でカゲロウ周りの記事をガッツリ書いて以来、傀異討究やらTAやらでブログがまたご無沙汰だったので、アプデ前に1記事間に合ってよかった……。サンブレイクの物語も終局を迎えることになるのは少し寂しいですが、最後に追加される新しい傀異錬成でまた環境が大きく動くような気がするので、サンブレイクの狩りはまだまだ続いていくような気がします。このブログも次回作までには……というかできれば年内には完成させたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました! また別の記事でお会いしましょう!