第5弾アプデストーリーが神すぎたので考察とか感想とか色々したためる記事

 

※本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」の、第5弾アップデートを含む全編のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。

 

ついにやってきました、サンブレイク第5弾アップデート! 本記事はその内容についての感想や考察を書いていきます。ストーリーについては、本記事内におおまかな内容を揃えておいたほうが色々書いたり考えたりする時に都合がよいので、物語をおさらいしつつという感じでやっていきます。もう早く本編に行きたくて仕方がないので、いつもの前置きとかは全部カットして、さっそく以下の記事本編をどうぞ。

 

ーーーー目次ーーーー

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1.アマツマガツチ討伐前

 

第5弾アプデのお話は、アマツマガツチ襲来の報を受け、自ら討伐に赴こうとするカゲロウをフゲンが引き止め、主人公とウツシに正式に討伐依頼を出すところから始まります。

 

[前略]

カゲロウ:

ヨモギ殿は、この真実については 何も知りません。伝えるべきか否か、ずっと迷っておりました。

ですが…もうそのことはよいのです。それがしは…それがしからすべてを奪い去った、あの龍を討つ!

 

フゲン:

カゲロウ、ならぬ。

 

カゲロウ:

なにゆえですか、里長殿! 百竜夜行での屈辱を知るあなたならば、わかってくださるはず!

 

フゲン:

ああ、わかっている。怒りに任せて立ち向かえば、どれだけ悲惨な結果を招くか…ということがな。

だから俺は○○に託したのだ。ただまっすぐに、憎悪にとらわれず 里を守ってくれる猛き炎にな。

 

カゲロウ:

ぬぅ…。やむなし、ですな…。

[後略]

アマツマガツチ討伐前 ストーリーより抜粋)

 

嵐龍への憎悪のままに、自ら討伐に行きたいと申し出るカゲロウを、フゲンが厳しくも優しく諭します。フゲンはカゲロウの姿に50年前の自分の姿、ハンターとして百竜夜行に立ち向かうも、里の崩壊を防ぐこと叶わなかった自分の姿を重ねているのでしょう。あるいは、今回の百竜夜行にて、宿敵マガイマガドの狩猟を現役のハンターである主人公に託し、自らは加工屋としての役目を全うすることを――つまりは、今のカゲロウとはちょうど逆の道を選んだ、旧友のハモンのことが思い浮かんだのかもしれません。

 

(里★3百竜後 ハモン)

倒すべきモンスターに最も縁がある者が、必ずしもそのモンスターを倒すのに最も「相応しい」者とは限らない。無為に「家族」を死なせることはしたくないとカゲロウを止める、フゲンの言葉は冷静です。里長の説得により、一応は「アマツマガツチの討伐は猛き炎とウツシに託す」ということに話がまとまります。

 

出発前に、同行するウツシに話しかけに行くと、いつもは「愛弟子との狩猟最高ォォォォ!!」な彼が、とても神妙な面持ちです。

 

…というわけで、今回の討伐は俺と一緒だね。

キミと共に行けるなんて、教官として喜ばしい限りだけど…相手はヨモギちゃんとカゲロウさんのカタキ…アマツマガツチだ。

ふたりだけではなく、滅ぼされた人々の想いも背負って、かならず討伐しなければね。

アマツマガツチ討伐前 ウツシ)

 

今回に限った話ではありませんが、いつもはとにかく賑やかなウツシが、こういう大切な場面ではパリッとした緊張感のある雰囲気に切り替わるのは、さすが猛き炎を鍛え上げた教官ですね。カムラの里のみならず、ツキトの都の人たちの想いも背負って戦おう、と意気込みます。

 

一方で、これまた出発前にカゲロウに話しかけると、どこかやりきれない様子の会話を聞くことができます。

 

姫みこ様…ヨモギ殿を護り 逃げ延びてほしい……という、主君の遺言は成し遂げました。

それがしに残されたことは、多くの同胞を、主君を奪ったアマツマガツチへの復讐…。

とはいえ、里長殿のお言葉もごもっとも。怒りに任せたそれがしでは、あやつには太刀打ちできないでしょう。

しかし、しかし…。……ぬぅ。

アマツマガツチ討伐前 カゲロウ)

 

いつもは沈着なカゲロウが、いつになく冷静さを失っています。彼の事情を考えれば、それも無理もないこと。カゲロウにとっては、仇敵アマツマガツチの討伐を猛き炎に託すということは、彼の冷静な部分はそれを望ましいことと思う一方で、ツキトの都のハンターとしての部分は、自らの最後の使命と信じることを自分の手で果たし得ないという、歯がゆさを感じているとも思います。

 

カゲロウは百竜夜行から里を救った主人公に、「これからもその力で里を守ってほしい」とかつて言ったことがあります。それは彼自身の主人公への尊敬であり、彼の第二の故郷への愛情であると共に――邪推を承知で言うならば、「自らの故郷を災いから守ることができなかった自分」と主人公とを比べての、どう消化することもできない劣等感や嫉妬なのかもしれない。主人公に決戦を託すことは確かに理に適っているけれども、自分はもはやハンターとしての最後の人たちをも、振るうことは許されていないのか……と。

 

けっきょく彼はその後、主人公たちが到着するよりも先に獄泉郷に赴き、単身アマツマガツチに挑もうとするわけなのですが……そういう事態になるフラグのような台詞を、集会所受付で会話するミノトを始めとして、実は色々な人が立てまくっています。思ってたより多かったのでさすがに全員分は割愛しますが、ここではカゲロウやアマツマガツチと縁の深い、タドリの台詞を紹介しておきましょう。

 

またもアマツマガツチがあらわれました。それも、カゲロウが第2の故郷として愛す、カムラの里にです。

かつて目の前で主君を奪われたカゲロウが、胸に抱く憎悪たるや、いかばかりか…。

私も憎きアマツマガツチの名を聞いて、強い怒りを覚え、身を震わせました…。

…それゆえにカゲロウが心配でなりません。自らが仇を討つと思い込んでいないか、と。カゲロウは責任感の強い男ですから。

アマツマガツチ討伐前 タドリ)

 

タドリがカゲロウを友として慕っている大きな理由であるところの「責任感の強さ」が、この際は却って心配となるタドリ。後にその不安は現実のものとなります。

 

また、カゲロウを追って獄泉郷に駆け付けることになるヨモギは、実は主人公の出発前の時点で、主人公に狩猟地がどこになるのかを聞き出そうとしてるんですよね。

 

あ、○○さん! 聞いたよ! とんでもない古龍が出たんだってね!

なんか里長やカゲロウさんもこわ~い雰囲気だったし…でも、○○さんなら大丈夫だよね!

ちなみに、そのおっかない古龍が出た場所って、どこ…?

…ふむふむ。なるほど。うん、わかった。……あ、なんでもないよ! 気を付けて行ってきてね!

アマツマガツチ討伐前 ヨモギ

 

後に判明するように、ヨモギは幼い頃の記憶がかすかに残っているという話がありますし、フゲンの元に主人公とカゲロウが呼ばれて何やら深刻に話し込んでいて、その後のカゲロウの様子もどこか不審に思われたことから、おそらくカゲロウがアマツマガツチを自ら一人で討伐しに行く気であることを感付いていたのでしょう。そこで、正式に討伐依頼を受けた主人公に、何の気ない振りしてその龍の居所を聞き出したということになるわけです。

 

ちなみに、アマツマガツチのストーリーで新規の世間話が追加される里の住民は結構多いのですが、皆そろって真面目な内容を話す中で、なんか一人だけノリがおかしいヤツがいるんですよね。

 

聞きましたよ。アマツマガツチが出ちゃったらしいですね。いやぁ、恐ろしいなぁ。

あっ、○○さん。武具の準備は整ってますか?

何せ、相手は嵐龍ですからね。いちばんテンションが上がる武器で挑みましょう。

アマツマガツチ討伐前 ナカゴ)

 

はい。みんなのアイドル、ナカゴさんです。まず出ちゃったって何だよ出ちゃったって。どう考えてもそういうレベルのモンスターじゃないですし、ナカゴもそれは知っていると思うんですが、この台詞ではなんかオバケくらいの感覚で扱われてます。「いやぁ、恐ろしいなぁ」とか言ってますが、全然恐ろしがってるように見えないんですがそれは…。しかも主人公に勧めているのが「テンションの上がる武器で挑みましょう!」ですからね。まあテンション上がる武器防具使いましたけど。ジンオウガ武器重ね着とユクモ重ね着とお団子イヤリング。

 

まあ彼の意図を汲むならば、暗い顔をして主人公を不安にさせるよりは、絶対に勝つと信じて明るく送り出そうという、ナカゴなりの気遣いだったのかな。ナカゴは基本的に変な人なんですが、1つ1つの行動の理由に関しては、かなり仲間想いなところがあるんですよ。……ま、この後シリアスな話になるので、ナカゴの話はいったんこの辺にしときましょう。

 

それから、アマツマガツチ討伐前後ではエルガドの方でも、タドリ以外にも新規会話が増えている仲間が多数おりまして、猛き炎の故郷を守る戦いを応援してくれます。全員分ではありませんが、何名かご紹介しておきましょう。

 

……破滅の龍神か。厄介だな。里長フゲン殿から子細、連絡を受けている。

生まれ育った故郷を失うことが どれほどの痛みと悲しみを生むことか…。私もその苦しみを味わった。

我らにとって恩義あるカムラの里の危機は 決して他人ごとではない。…必ず止めてほしい。よろしく頼むぞ。

アマツマガツチ討伐前 ガレアス)

 

自身もかつて故郷を失ったことがあるガレアスならではの、重厚かつ温かい言葉。故郷のことについて「私もその苦しみも味わった」と、彼にしては比較的ストレートに感情表現をしているのが特徴的な台詞で、主人公への信頼を感じさせてくれます。

 

おう、話は聞いてるぞ。アマツマガツチとはまたどえらい相手だな。

でも、おまえさんなら心配いらないだろ? 自信がみなぎった、いいツラしてるぜ。

エルガドのことは俺らに任せて、思いっきりぶちかましてきな!

アマツマガツチ討伐前 アルロー)

 

主人公が負けるとは毛ほども思っておらず、自信満々に送り出してくれるアルロー教官。頼もしい限りです。アマツ緊急クエストのパーティは固定で、王国騎士の盟勇を連れて行くことは当然ながらできず、カムラの里で迎え撃つことになるのですが、それでもなんというか、エルガドの仲間も心は一緒に戦ってるって感じがして良いんですよね。

 

タドリから話だけは聞いていたけど、まさかアマツマガツチがまた現れるとはね。まだまだ謎が多い古龍だ。

謎が多いってことは研究が足りてない証拠。つまりは俺の出番ってわけだ! 早くサンプルを手に入れなくちゃね!

もう分かるよね、○○? さあ、チャチャっと倒してきてよ! 期待して待ってるからね!

アマツマガツチ討伐前 タドリ)

 

なんというかまあ……いつものバハリって感じで何よりです。倒す前からサンプル扱い。お土産楽しみにしてるからね~のノリ。捕らぬ……いや、古龍は捕獲できませんから、言うなれば討たぬ古龍皮算用です(?)。ひょうきんタイプの天才はこういう感じになるという宿命なのか、バハリの台詞もどちらかというとナカゴ寄りですよね。でも、これだけ研究のことを言っているということは、アマツマガツチの生態研究を進めることで後の被害を減らすという使命に燃えているということですし、主人公が勝つ前提という感じで自信満々なのは、やっぱり嬉しいかな。

 

2.アマツマガツチエスト中

 

話を戻しまして、お次はいざ、アマツマガツチとの決戦に赴いた時のお話。どうにか今一歩のところでカゲロウに追いつき、アマツマガツチに捨て身で戦わんとする彼の背中を引き留めることができたヨモギ

 

 

ここでカゲロウが持っている剣、おそらくニンジャソードですよね。

 

 

このニンジャソードというのはライズ時代、カゲロウから依頼されるサイドクエストをクリアすることで製法を教えてもらえる片手剣であり、ニンジャソードはツキトの都のハンターの武器、カゲロウがかつて使っていた武器なのだということが、ここで正式に判明するわけです。ニンジャソードは切れ味ゲージが一般的な武器と比べてかなり特殊な部類ですから、それは同時にツキトの都の独自の技術や文明を示すものでもありますね。

 

いきなりの余談でしたが、また話をヨモギに戻しましょう。

 

ヨモギ

カゲロウさん!

行っちゃ…ダメ…

 

カゲロウ:

ここは危険です 早く戻って――

 

ヨモギ

私が止めなきゃ 行くんでしょ!?

 

カゲロウ:

わかってください!

あの龍は…あの龍だけは討たねばならんのです!

これは…あなたにとっても…!

 

ヨモギ

カゲロウさん…

 

カゲロウ:

さらばです

どうかお元気で

 

(ムービー「忠義の士」 一部抜粋)

 

カゲロウに死んでほしくない気持ちで一杯なのに、相打ちを覚悟でもアマツマガツチに挑もうとするカゲロウの覚悟と、怒りと、そして執念を目の前にして、どうすればよいのか困惑し、言葉を失ってしまうヨモギ

 

ちなみに、ここでどうしてヨモギ獄泉郷に駆け付けるのが間に合っているのかという話なのですが、後で話を聞いてみると、彼女はロンディーネに船を出してもらっていたようなんですね。カゲロウが忽然といなくなってしまったという話を聞いたのち、大慌てでオトモ広場の交易窓口に駆け付けたヨモギのことを、イオリとロンディーネが話してくれます。

 

○○さんとウツシ教官が アマツマガツチを討伐に行ってすぐ、カゲロウさんが姿を消しちゃって…。

それを聞いたヨモギちゃんが、ロンディーネさんの船を借りて カゲロウさんを連れ戻してきたんだ。

とにかく、みんな無事で本当によかった…。○○さん、ウツシ教官、里を救ってくれて、本当にありがとう。

アマツマガツチ討伐後 イオリ)

 

アマツマガツチの討伐、おみごと。カゲロウ殿も無事に取り戻せてよかった。

貴殿たちが討伐に向かってすぐ、カゲロウ殿が姿を消してね。そこへヨモギ嬢が私の元へ駆けてきたんだ。

アマツマガツチが現れた場所まで行きたい」…と言うので、最も速度が出て、頑丈な船で送り届けたという次第さ。

反射的に、嵐も超えられる船を持つ私を頼った…。やはり、ヨモギ嬢は聡明な女性だ。チッチェ姫を思い出したよ。

アマツマガツチ討伐後 ロンディーネ)

 

ヨモギの判断力を称賛するロンディーネ。彼女もヨモギからの突然の頼みで驚いたことでしょうが、彼女が頑丈な高速艇を出してくれたおかげで、どうにかカゲロウの命も救われました。ロンディーネはライズ時代、カムラの里が百竜夜行に直面している当時、騎士として防衛に助太刀をしたいけれども、フゲンからは「お客人にケガをさせるわけには……」という理由で、また祖国の女王陛下からも、危険なことはしないでほしいと直々に止められていて、カムラの里の危機に力を貸すことができない、と悩んでいるところがありました(むろん実際は、彼女は交易商として、物資の供給の面で大きく里を支えてくれたのですが)。

 

そんなロンディーネが、今回の一件ではヨモギに船を提供し、それが結果としてカゲロウの生命を救うことになった……という形で彼女にも見せ場があるというのは、ライズ時代を踏まえた粋な演出だな~と思います。

 

さて、ロンディーネはヨモギの行動に感心して「チッチェ姫を思い出した」と言っていますが、ロンディーネはヨモギとカゲロウが、亡国ツキトの都のお姫様と臣下であったことを知っているのでしょうか。

 

当のヨモギ自身が自分の過去について既に知ることとなった今となっては秘密にするようなことでもないということで、里の皆には一通りの事情が離されているでしょうから、恐らくロンディーネも何らかの形で知らされているように思いますが、もしそうであれば、彼女は今回の一件にカムラの里の結束のみならず、王国騎士として、一国の姫と忠臣の絆というところにも思いを馳せているのやもしれませんね。

 

さて、その船を以てどうにかカゲロウに追いついたものの、ひとりでは彼を最終的に引き返させるには至らなかったヨモギ。彼女は自分自身が赤ん坊の頃から、カゲロウが自分を護り、育て、見守ってくれたという記憶を持っていますから、そんな大切な恩人であるカゲロウと、これで永遠の別れになるということを望みません。しかし彼女は同時に、カゲロウがアマツマガツチに懸ける並々ならぬ想いに触れることになります。しかもその想いの中には、他ならぬヨモギ自身のことも含まれている……。

 

ここで彼を引き留めることは彼の気持ちを軽んじることなのではないか、むしろ自分自身の発言の方が、この際は却って無責任な発言なのではないか……と、彼女はこの一瞬の間に葛藤しているように思われます。

 

 

カゲロウに戦って死んでほしくなんかない、でもどうしたらよいのかわからない、このまま死地に赴くカゲロウを見送るべきなのか、でも自分は……。そうして揺れ動く自分の気持ちを諦めさせるがごとく、「さらばです」と言ってアマツマガツチに剣を抜くカゲロウ。その悲壮な背中に向かって、ぐしゃぐしゃな気持ちの中から溢れ出た――カゲロウに一番伝えたかった言葉は「ありがとう」でした。

 

 

これはヨモギにとって、カゲロウとの決別の言葉となる覚悟を持って口にした言葉だったかもしれない。しかし結果的にはその言葉によって、カゲロウの心を支配する呪いは解け、彼は自分の生きるべき道をいま一度見定めることになります。

 

アマツマガツチ接近の報を聞いた時は、ヨモギを護って安全な場所まで連れて行くという亡き主君との約束を果たした自分にとって、嵐龍がカムラの里に迫る今、これを討伐して災禍に消えた主君と同朋の復讐を果たし、愛しき第二の故郷を守り抜くことこそ、かつて自分の故郷を守れなかったという十字架を背負った自分の――故郷を失ったことで「一度死んだ」はずの自分の、死に場所なのだとカゲロウは腹を括っていた。

 

しかし、本当はそうではないと彼は目醒める……自分の人生の意味について、気づき直すことになるんですね。自分の居場所はヨモギのそばにあり、これからもずっとヨモギを支えていくことこそが自分の生きるべき道なのだと。そして彼は冷静さを取り戻し、アマツマガツチの討伐を猛き炎とウツシに託すことになります。

 

ここで、アプデ前のPVお披露目の時点では、筆者は「カゲロウとも共闘になるのではないか」と最初は思っていたんですよね。アマツの緊急クエストはウツシと共に挑むクエストですが、本来なら2人まで連れて行けるところを1人だけなので、まだ空いている「2人目の枠」にカゲロウが参戦し、一緒に戦ってくれるのではないかと淡い期待をしていました。

 

実際は特にそういうことはなく、まあ予想が外れたという点では残念と言えば残念ではあるのですが、一方でむしろその方が、カムラの里らしくて良いなぁと納得している部分でもあります。カムラの里の基本的な理念は、各々が自分の役割を通して助け合い、災いに立ち向かうこと。自分の力の及ばないことは無理して独りで抱え込むことなく、それが得意な者に託せばよい。そして自分は自分にしかできない、なすべきことをなせばよい。

 

カゲロウはいくら現役時代は凄腕ハンターだったとはいえ、十数年のブランクを気合いだけで埋め合わせるというのはさすがに無理があり、今戦っても命の保証はありません。なればこそアマツマガツチの討伐を2人に託し、自分はアマツマガツチの嵐からヨモギを護り、そしてこれからも、生きてヨモギのそばにあり続ける。一切の雑念なくここで「退く勇気」を発揮できるのは、やっぱりさすがのカゲロウさんだなぁ…。再確認した自分の生きるべき道を、自分は胸を張って歩むべし……と、彼は心を決めるのです。

 

 

ライズ時代のカゲロウの記事で、カゲロウの覆面は、彼が自分の過去に対して感じている「罪の意識」の象徴なのだというような話をした覚えがありますが、その話でいくと、このシーンでその覆面が取れるというのは、彼の執着と後悔が晴れたということ、過去ではなく今を見つめているということを、比喩的に表しているということになりますね。まあそれでいくと、里に戻ったらまた覆面をしているのはなぜなのかという話になるのですが……うん、単純に恥ずかしいんでしょう、たぶん。それにしても、やっぱり噂通りのイケメンだったなァ……そのままずっと覆面外しておけばいいのに……。

 

そして、未だかつてない熱い流れで始まるアマツマガツチ戦ですが……まさか、ウツシ教官がヌシ・ジンオウガを連れてくるとは思いませんでした。

 

 

ジンオウガにとってのアマツマガツチは、MHP3以来の因縁の邂逅。しかもヌシの力を手に入れてのリベンジマッチであり、アマツマガツチと互角に渡り合っていると言ってもよいほどの、凄まじい空中戦を繰り広げることになります。しかも最終的に操竜もできる。かっこいいぞー!

 

しかもここでヌシ・ジンオウガっていうのが良いよね。元は百竜夜行の影響下で発見されたヌシ個体の脅威を、今度はこちらが活用する形でアマツマガツチという第二の脅威を退ける。今やエルガドにも引き継がれた、ハモンの「災いをもって、災いを制す。」という言葉。カムラの里らしい戦い方がまさにここでも体現されていると思います。

 

(傀異強化チュートリアル ミネーレ)

この乱入ヌシ・ジンオウガとの共闘という展開は、淵源ナルハタタヒメに乱入してくるマガイマガドのセルフオマージュでもありますね。…とはいえそれ以前に、「メインモンスターが牙竜種でラスボスが海竜種系の古龍」という構成が、そもそもライズがP3を意識している部分でもあると思うので、正確に言えばオマージュの上にさらにオマージュが重なっているという感じでしょうか。なんかすごそう。

 

ところでこのヌシ・ジンオウガさん、どこから来たのでしょうね? というのは、ヌシ・ジンオウガの登場の予兆を察知して一時的に狩猟エリアを離脱したときのウツシ教官の台詞的に、彼はこの乱入してくる個体をいざという時のために前々から用意していた(たとえば、百竜夜行の大ボスを特殊な方法で捕獲するなどして)というわけではなく、近くにヌシ・ジンオウガが来ていることを察知して、それを何らかの方法で(ウツシ教官がすごすぎるせいでどうやってるのか分からない部分が多すぎるな…)獄泉郷の方に誘導したのではないかと考えられるからです。

 

 

そこで考えられる説の一つが、アマツ戦の乱入ヌシ・ジンオウガは直近の風神龍・雷神龍による百竜夜行の影響でヌシ化したジンオウガの残存個体ではなく、アマツマガツチの嵐の影響によってヌシ化した個体なのではないか、ということ。

 

これは、「アマツマガツチが来たら百竜夜行も発生するのではないか」という話とも関連する事柄ですね。実際アマツマガツチが百竜夜行を発生させ得るのかというと、このモンスターが(少なくとも本作では)イブシマキヒコ・ナルハタタヒメを凌ぐ脅威であるとされていることから、原理的には発生しうるのでしょう。実際P3時代には百竜夜行ではありませんが、霊峰のジンオウガがアマツに住処を追われるという実績(?)もあるわけですから。

 

しかし一方で、作中での新規追加された世間話の中には、少なくともアマツマガツチが百竜夜行を発生させるかもしれないという旨の発言は見られなかったため、うーん…何とも言えないというところ。獄泉郷付近で発生する百竜夜行が奇跡的にカムラの里への進行ルートを外れていた、ということも考えづらいですし、今作のアマツの激烈な強さを見るに、ゲーム内での名称は「アマツマガツチ」なんだけど普通の通常個体と言うのは厳しいような気がするというか、もはやモンスターを追い立てるとかそういう次元の話ではないレベルでヤバい香りがしますから、「今回の個体のアマツがあまりにもヤバすぎて百竜夜行すら起きない」と、ひとまず説明しておくほかなさそうな気はします。

 

で、少なくとも獄泉郷の近くにいたジンオウガの個体は、嵐の猛威に力尽きるよりもむしろヌシ化するということになって、それを察知したウツシによって狩猟エリアに連れられて来た、そして縄張り争いのような形でアマツと相まみえることになった……という感じになりそうですかね。ヌシ・ジンオウガの乱入も、熱い展開のための予定調和であるように見えて、ウツシはこれまでの百竜夜行の経験から、「アマツマガツチは嵐を起こす=モンスターのヌシ化はありえるのでは?」として、ヌシモンスターの力を逆に借りることができる可能性をあらかじめ考慮していたのではないか、という可能性は十二分に考えられます。

 

とはいえ、この説を支える明確な根拠はゲーム内にあるわけではなく、ジンオウガも含めイブシマキヒコの嵐の影響を受けたヌシ個体は各地で健在ではありますから、アマツマガツチとは関係なく以前からいたヌシ個体が来た、という線も全然あり得る話。むしろその場合は、ヌシ・ジンオウガは獄泉郷に降臨したアマツマガツチのことを「かつて自分を苦しめた嵐の主(=イブシマキヒコ)」なのではないかと思い、果敢に戦いを挑もうと付近に出没していた、ということになるやもしれません。そうなると今度は、ヌシ・ジンオウガという存在を介してイブシマキヒコ・ナルハタタヒメとアマツマガツチの間に繋がりができたということになりますから、これはこれでなかなか熱い展開ですね。

 

あと、ヌシ・ジンオウガもそうなのですが、盟勇がウツシ教官であるというのも、実はしれっとジンオウガ vs アマツマガツチの構図なんですよね。使っている武具の素材もジンオウガ、オトモガルクの名前もジンオウガ由来、一番得意な物まねもジンオウガ、そしてフクズクたちからもジンオウガとして認識されてますから。むろん、ウツシが盟勇として指名されたのは、里守の中で最も狩猟の実力が高く、主人公と共にアマツマガツチを討伐する任に相応しいとフゲンが判断したからですが、そのウツシがジンオウガと繋がりがあるというのは、単なる偶然とも思えない縁を感じます。

 

3.アマツマガツチ討伐後

 

さて、そういうわけで無事にアマツマガツチを討伐し、カムラの里を守り抜いた主人公とウツシ。カゲロウとヨモギと、みんなで一緒に、平穏を取り戻したカムラの里への帰還を果たしました。

 

フゲン:

みごとだ、○○! よくぞ嵐龍を討伐したな! カゲロウの故郷の無念も、晴らすことができた!

 

カゲロウ:

感謝いたします、○○殿。そして、怒りにまかせて無謀な行動に出てしまったこと…お詫び申し上げます。

 

ヨモギ

もう! アマツマガツチが出てきて、カゲロウさんがいなくなったって聞いて、ホントに怖かったんだからね!

この姫みこ様が「行っちゃダメ!」って言ってるのに、無視するんだから! ダメでしょ! めっ!

アマツマガツチ討伐後 ストーリー抜粋)

 

ヨモギちゃん、「この姫みこ様が言ってるのに、ダメでしょ! めっ!」なんてかわいらしくいばったフリをして見せていますが、こういう感じでヨモギちゃんが茶化したように自分の気持ちを伝えているときは、大体の場合ほんとうは感情がこみあげてこみあげて仕方がないところを、ぐっと堪えて気丈に振る舞っているときだと相場が決まっているので、たぶん内心では今にでも泣き出したり、甘えたりしたいとこなんだろうなぁ~~と勝手に想像してみたり。想像ですけどね。

 

ところで、カゲロウはヨモギに「姫みこ様」についてのことを何も知らせていなかったのに、ヨモギがどうしてそのことを知っているのかというと……?

 

カゲロウ:

お、お許しを…。しかしヨモギ殿は、どうやってそのことを…?

 

ヨモギ

…なんとな~く、覚えてたんだよね。赤ちゃんのときのこと…。だから 最初からボヤ~ッとわかってたし…。

あと、ちょっと前にカゲロウさんの手紙を 郵便屋のセンリさんが落としててね。

落ちた拍子に封が空いて、文面が上を向いてたから…見るつもりはなかったけど もう目に入っちゃって…。

 

[中略]

 

ヨモギ

故郷や、お母さんのことは悲しいけど… でも、カゲロウさん。私は、だいじょうぶ。毎日が幸せだよ。

カゲロウさんや、里長や、○○さん…カムラの里の家族が みんなで見守ってくれてるから。

 

カゲロウ:

……ヨモギ殿。知らぬ間にご立派になられて…。それがしは、うれしゅうございます。

 

ヨモギ

カ、カゲロウさん!? ひょっとして、泣いてる!?

 

フゲン:

ガッハッハ! よろしい! 万事、これで解決だ!

アマツマガツチ討伐後 ストーリー抜粋)

 

センリ…… お前だったのか……

 

わ た し で す

カゲロウがヨモギにどう伝えるのか、というのは個人的にかなり注目していたのですが、まさかの偶発事故で伝わってしまったというオチ。まあ、ヨモギ本人が元々幼い頃の記憶があり、その辺の真相を明かすのはそもそもがもう時間の問題だったという感じですから、これで結果オーライ、と言ってよいのかもしれません。そして、故郷への責任から前のめりに暴走してしまったカゲロウのことも、意外すぎる形で真実を伝えることになったハプニングも、高らかな笑い声でぜんぶ包み込んでくれる里長が優しい。

 

アマツマガツチ討伐後の、里のみんなの台詞もいくつかご紹介しておきましょう。

 

○○さん! ヨモギおねえちゃんってね、むかし、お姫様だったんだって!

でも、ヨモギおねえちゃんは「今までどおり、私は茶屋のヨモギだよ」…って言ってた。

うん、そうだよね。ヨモギおねえちゃんは、ヨモギおねえちゃん。何も変わらないから、それでいいよね。

アマツマガツチ討伐後 コミツ)

 

コミツちゃん……あなたはなんていい子なんだ……。ヨモギよりも年下であるコミツにとっては、自分が生まれた時からヨモギは里にいましたから、当然ながらヨモギの出自については彼女は知らないわけですよね。ずっと年上のお姉さんとして慕ってきたヨモギが、本当は実はカムラの里で生まれたわけではないということを知って、コミツが動揺しないということはないでしょう。それでも、カムラの里の家族としての絆を大切にして、「ヨモギおねえちゃんは、ヨモギおねえちゃん。」と言い切ってくれるコミツちゃん…… カムラの里はこれからも安泰ですね。

 

ヒノエは驚きました。まさかヨモギちゃんが、赤ん坊の頃に起きた 災いの記憶を覚えていたなんて…。

だけど、ヨモギちゃんは笑顔で、毎日が幸せだと言ってくれました。里の家族が見守ってくれているから、と…。

寂しい気持ちもあると思いますが、大丈夫。これからもヨモギちゃんには、私たち家族がついていますから。

…少し、お腹が空いてきました。ヨモギちゃんの茶屋に、うさ団子を50本ほど買いにいこうかしら? うふふ。

アマツマガツチ討伐後 ヒノエ)

 

アマツマガツチを退けたこと、まことにめでたきことです。

すべてを受け入れ、それでも幸せだと笑顔でいてくれるヨモギちゃんの姿に、ミノトは不覚にも涙しそうになりました。

安寧…それがどれほどありがたいものか、こたび改めて実感しました。それもこれも、あなた様のおかげですね…。

アマツマガツチ討伐後 ミノト)

 

以前は里の中でも特に機密事項とされていた、ヨモギとカゲロウが里を訪れた経緯を前々から知っていた2人。ヨモギ自身が真相を知っていたことには驚きつつも、彼女がカムラの里の日々を幸せだと言ってくれたことに感銘を受け、これからも家族として、彼女を支えることを誓います。里の皆がきっと、いや間違いなく、同じ想いでいてくれるんじゃないかな。

 

ヨモギも、自分の過去のことが全く気にならないということはないかもしれませんし、寂しいと思う気持ちもあるかもしれません。先日までのカゲロウがそうであったように、記憶や過去、想い出に縛られるというのは人の宿命のようなものであり、たとえヨモギが自分の両親やもう一つの故郷のことを時々気にしてしまうことはあっても、それは今の家族であるカムラの里の皆を否定することではありません。むしろ、そうしてこみ上げてくる正直な、繊細な気持ちを優しく受け止めてくれるのが、里の家族であるはずだと思います。

 

カゲロウがヨモギを連れて逃げ延びた先がカムラの里であったのは、偶然のことだったかもしれないけれど、そこで温かな「家族」に恵まれて、結果的にヨモギにとって大きな幸福であったと思います。もちろん、カゲロウにとっても。

 

あのときヨモギ殿が来てくれなければ、それがしはアマツマガツチに討たれていたかもしれません。

怒りに囚われ、周りが見えなくなっていたそれがしを、姫みこ様が救ってくださったのです。

そして、アマツマガツチを倒してくれた○○殿とウツシ殿。改めてお礼を言わせてください。

おかげで、それがしの心は、長き憎しみの呪縛から解き放たれました。今はまこと、雲が晴れたかのような心地です。

アマツマガツチ討伐後 カゲロウ)

 

今まではカゲロウがヨモギの命の恩人であったように、今回の一件を通じて、カゲロウにとってもまた、ヨモギは命の恩人となりました。呪縛に囚われて周りが見えなくなっていた、とカゲロウは言っていますが、それだけ彼がヨモギや、ヨモギの両親や故郷のこと、そしてカムラの里のことを大切に想っているということは、ヨモギにこれ以上ないほど伝わったと思いますし、そのことは彼女も嬉しく思っていると思います。隠し事をすることもなくなったということで、2人の絆がこれからもっと深くなってゆくと良いですね。

 

特にカゲロウにとっては、ヨモギはカムラの里の家族としての「ヨモギ殿」であるのと同時に、肉親の代わりの後見人の目線、彼女を護りたいという気持ちから「姫みこ様」でもあるのかもしれないけれど、個人的には今回の一件で、お互いの気持ちもぶつけ合ったし、貸し借りみたいなのもなくなったしということで、ヨモギが段々と大人になっていったら……いやまあ、今でも中身はじゅうぶん大人なんですが、大人になっていくにつれて、対等の仲、みたいな感じでお互いを思うようになってほしいな~なんて、別に考察とか何も関係なくただ私個人の趣味なんですが、そういう風にも思ったりしています。

 

……ところでお顔、また隠しちゃうんですか……(まだ言ってる)。

 

愛弟子! 師弟の絆で、嵐龍の討伐成功…だね!

圧倒的な脅威を前に、ひるむことなく勇敢に立ち向かうキミの姿… いま思い出すだけでも胸が熱くなるよ!

○○。俺の自慢の愛弟子。俺の誇り。これからも、その活躍を見守らせてくれ!

アマツマガツチ討伐後 ウツシ)

 

アマツ討伐後のウツシは、またいつも通りのハイテンションです。文字を見てるだけで脳内再生できちゃう。うんうん、やっぱりウツシ教官はこうでなくちゃね。ちなみに、ウツシ教官は例によって、里に帰ってからというもの愛弟子の戦いぶりを里中に自慢しまくっていたようで、お隣のアヤメさんからその様子について聞くことができます。

 

アマツマガツチも倒したそうだね。まあ、アンタがやったことなら驚かないよ。とりあえず、ごくろうさま。

それより、帰って来てからずっと、ウツシ教官の愛弟子自慢が止まらなくてさ。以前にも増してアンタの話ばかりだよ。

…まあ、うれしそうだからいいけどね。

アマツマガツチ討伐後 アヤメ)

 

ウツシ教官のハイテンションとアヤメのクールな感じの落差がすごいったらないのですが、曰くうれしそうだからいいということらしいです。それにしても、ウツシ教官も共に狩猟に行って大活躍だったのに、あくまでも愛弟子の方を自慢しまくるというのは、謙虚というか一途というか……本当に凄い人です、彼は。

 

それからもちろん、エルガドの方でも、カムラの里を応援したり、心配してくれたりした仲間がたくさん。

 

アマツマガツチの一件、聞きましたよ。なんでもカゲロウが、ひとりで挑もうとしたとか。…とんだ無茶をしましたね。

生真面目ゆえ、多くのことを抱え込んでいたのでしょう。しかし、姫みこ様に心配をかけるなど、何よりの不忠。

久方ぶりにカゲロウのもとを訪ねてみます。積もる話もありますし、姫みこ様にもお目にかかりたいですからね。

アマツマガツチ討伐後 タドリ)

 

責任感の強いカゲロウが、ひとりで無茶をしないかと案じていたタドリでしたが、不運にも的中してしまいました。結果的に主人公たちによって嵐龍が討伐され、カゲロウも無事に帰還したことが、まずはなによりですね。カゲロウに「何よりの不忠」と言っていますが、これは特に不機嫌であるというよりも、共に故郷の想い出を持つ長年の友人なりに、彼の故郷への責任感と忠誠心を労わっているのだと思います。カゲロウの生還には、タドリも心から安堵しているはずです。

 

あのアマツマガツチまで倒しちまうなんて たいしたもんだな! ウツシ教官も一緒だったんだろ?

まったく恐ろしいな、カムラの里ってのは。凄腕の猛者ばかり集まってやがる。

ここが落ち着いたらよ、ジェイでも連れて、いっしょカムラの里まで 武者修行にでも行ってみようかね。

アマツマガツチ討伐後 アルロー)

 

またまた登場のアルロー教官。以前からウツシ教官のことを「末恐ろしい」などと言っていた彼ですが、とうとう主人公とウツシでアマツマガツチを討伐してしまったということで、ますますカムラの里の実力が不思議でならない様子です。すごいでしょう、うちの教官。いつも教官が主人公のことばかり自慢するので、ここで対抗して私もウツシ教官のこと自慢しておきます(?)。

 

○○さん、アマツマガツチを倒してくれて 本当にありがとね!

あたし、カムラの里が大好きなんだ。万が一、何かあったら…って。やっぱ、少しは心配しちゃったよね。

今度カムラの里に遊びにいってみようかな。ひさしぶりにハモンさんにも会いたいし、あたしの成長ぶりを見てもらいたいしね!

アマツマガツチ討伐後 ミネーレ)

 

カムラの里で技術を学んで以来、ミネーレがずーっとカムラの里を大切に想ってくれているの、本当に嬉しいんですよね。ところでアマツマガツチ戦ではもちろん、ミネーレが編み出した「傀異錬成」で強化した武器防具も使いましたから、ここにもまた「災いをもって災いを制す」があるということに。彼女にしても他のエルガドの人たちにしても、いずれ王国の異変の調査と解決が落ち着いたら、ぜひ真の平穏を取り戻したカムラの里に遊びに来てほしいところですね。

 

おめでとう! 無事にアマツマガツチを討伐したってね。

現地にさっそく研究員を派遣しててね。サンプルを持ち帰ってもらう予定なんだけど 到着まではもう少し時間がかかるって。

ああ、待ち遠しい! 早く調べ尽くしたい! 楽しみすぎて、もう3日寝てないんだよ!

アマツマガツチ討伐後 バハリ)

 

毎回毎回オチ担当みたいな役回りにしてしまっているバハリさん。色々研究していて寝ていないのかと思いきや、アマツのサンプルの到着が楽しみすぎて寝れないという修学旅行前日みたいなことを言っています。それにしても、カムラにはここのようなモンスターを研究する施設はありませんから、カムラの里と王国とが今後も同盟関係であるというのは、今回のような場合に調査研究で協力体制が取れるというのは、里にとっても大きな助けになりそうです。とりあえずバハリはいったん寝てください……。

 

そして、最後にヨモギちゃん。

 

やっほ~、○○さん! 英雄の覇気がバシバシ出てるね! 今日もかっちょいいぞ!

いやぁ、それにしてもいろいろあったね。アマツマガツチのときは、カゲロウさんがいなくなると思って、ホント怖かったし。

でも、○○さんのおかげで ぜんぶ解決! これからも元気いっぱいにうさ団子をつくっていくよ!

私はね、本当に毎日が幸せいっぱい! だから天国のお父さん、お母さんも喜んでくれてるよね!

アマツマガツチ討伐後 ヨモギ

 

カムラの里と、ツキトの都と、二重のアイデンティティを持ちながらも、カムラの里のうさ団子職人としてこれからも生きていくことに、迷いはないヨモギ。出自や過去のことで色々と悩むのではないかと私も心配していただけに、彼女の晴れやかな表情には、私も安心すると同時にとても嬉しい気持ちになりました。天国の両親の遺志も、それでこそ叶うはずです。

 

少し迂遠な切り口ではありますが、過去作のように「モンスターのことで問題が起きているところにプレイヤーであるハンターが外から訪れて物語が始まる」のではなく、「里で育ったプレイヤーハンターが自分の里を守るために戦う」というライズの物語にとって、「家族」とか「故郷」というのはすごく大切なテーマなんですよね。

 

で、今回のヨモギにしても、「たとえ生まれは違う国だったとしても、たとえ血が繋がっていなかったとしても、ヨモギはカムラの里の家族で、ヨモギの故郷はカムラの里だ」というのは、この物語を締めくくるにふさわしいテーゼだと思いますし、もちろん私もそう思うのですが、そういう答えに辿り着くというのは、本人たちにとっては決して簡単なことではありません。

 

ヨモギだって、カムラの里の日々が幸せであるというのが本心だとしても、それはそれとして自分の肉親やもう一つの故郷についての気持ちをすぐに簡単に整理する、ということはできないでしょうし、そうして自分のアイデンティティに複雑な想いがある中でも、ヨモギがカムラの里という今の自分の家族に幸せを見い出すことができるのは、カムラの里がこれまでずっと彼女を温かく見守ってきたからこそ、いわば「家族であろうとすることによって家族になる」ということを一貫して大切にしてきたからこそ、ヨモギはそう思うことができたという、ある種の奇跡であるという側面もきっとあると思うんです。

 

カゲロウにしても、「貴女の故郷はカムラの里でよいのです」と伝えるということは、彼自身の中でカムラの里に対して芽生えた恩義や愛情の証左であると同時に、彼自身のツキトの都に対する想いに反するものであるという部分がある。そして彼自身も、カムラの里を第二の故郷として愛しているけれども、一方で第一の故郷への執着や、後悔や、怨念から自由であることができるかというと、彼は決して初めから、そうあることができていたわけではなかった。それは彼の精神の未熟でも何でもなく、人というものの宿命なのかもしれません。

 

「家族」とか「故郷」というものが、時には人の心を支え、愛し愛されることの喜びを与え、日々を豊かにするものでありつつも、一方で人の心を様々に縛り付けたり、長きにわたる呪いをかけたり、苦悩させたりするものでもあるということ(これはもちろん、ライズの時のイオリやミノトのお話も併せて)。

 

「家族」や「故郷」という繋がりは、血縁や出自などの自分で変えられないものによって全てが規定されるのではなく、人と人とがそういう繋がりであろうと意志することによってそうなることができるものである一方で、人はどうしようもなく自分の心の置き場所を「自分のルーツ」の中に探してしまうこと、それを意識してしまうことがあったり、何か客観的な結びつきを気にせずにはいられなくなったりしてしまうこともあるということ。

 

そうした、なんだか私たちの世界にも通ずるようなこれらのテーマの二面性というものが、ライズの物語の中にさまざまに散りばめられ、集約されているんですよね。

 

ヨモギに真相を明かすというところは、作中では「センリがうっかり手紙を落としてしまった」というオチにしていましたが、これは最後にくすっと笑って終わらせられるような明るい展開を作るという意味の他に、「本人の知らないルーツをカミングアウトする」ということについて、それをなすべきかどうか、どうするべきかということの答えを、この物語の中で決めたくなかった、という意図もあるのかもしれないなぁ。

 

そしてさらに、ツキトの都やカゲロウの物語は、本作シリーズの「モンスターの災いに立ち向かう人類」というテーマでいえば、カムラの里の英雄譚の「裏」をなす物語でもあるんですよね。モンスターが圧倒的な猛威を振るうモンハン世界において、今回カムラの里が百竜夜行の災禍を断絶せしめたというような勝利と平和は、世界全体で見れば決してあたりまえのものではなく、災いに打ち克って生き残る人々がいる一方で、モンスターの脅威を抑えうること敵わず、滅びの運命を辿る人々や文明も数多くある。

 

カムラの里とツキトの都は、また「主人公」と「ハンターとしてのカゲロウ」とは、お互いにお互いの運命をたどり得る可能性があったかもしれないのだという、光と陰、表裏一体の関係にあり、故郷ツキトの都の滅びに直面し、カムラの里で再起し、アマツマガツチに復讐を挑む……というカゲロウの物語は、まさしく本作でプレイヤーが歩んだ道の「裏」バージョンを見せるものであって、「モンハン世界の人類社会」という描写に大いに奥行きを持たせるものだと思います。

 

そしてそんな熾烈な世界の中で、人は死にゆく者から生きる者へと想いを繋ぎ、自分たちがこの世界に生きていたという証を託して生き続けているのだという、全体から見ればとてもちっぽけな人類の、強さというものがまた見出されてくるという所もあるんですよね。

 

そして単身アマツマガツチに挑もうとするカゲロウの戦いは、これまた「家族」や「故郷」を問うものでもあります。それらは「自分の帰るべき場所であり、生きてそこに在ること、そこに帰ることこそが自分の生きる意味なのだ」と思わせてくれるような精神的支柱である一方で、「自分の命を賭してでもそれを守ったり、その仇を討ちたい」と思わせるような引力を持つものでもある。

 

「独りで抱え込んで無茶をするのではなくみんなで戦う」という連帯を大切にするライズシリーズでは、作中で主人公がまさにそれを体現したところの、「生きて家族のもとへ、故郷のもとへ帰ること」を一つの答えとして出しているところもある(し、私もカゲロウが最終的に、護るべきヨモギ、愛すべきカムラの里という彼の居場所に帰り、共に生きてくれることを誓ってくれたのは嬉しかった)けれど、家族や故郷にかける想いの強さという点では上の2つのどちらも同じだと思うし、行動に移した場合の良し悪しはともかくとしても、その想いそれ自体の価値については、2つの間に何か軽重の差をつけることはしない……という落としどころにするのが、私としては好みかな。これはカゲロウもしかり、あるいはフィオレーネもまたしかり。

 

……と、ひとまずそんなところでしょうかね。また何か書きたいことが見つかれば、この辺のまとめについては付けたり足したりするかもしれません。

 

で、ここから全く関係ない話で申し訳ないのですが、上のヨモギの台詞について少し気になったのが、「モンハン世界って「天国」っていう観念があるんだ……」ということ。ふだん私たちも何の気なしにこの言葉を使っていますが、日本でこそ無宗教的な響きのこの言葉は、元を辿ればもちろん、西洋的なキリスト教の世界観に由来する考え方。筆者がモンハン世界に関して不勉強なだけかもしれませんが、モンハン世界は全体的に自然信仰的な考え方がベースだと思っていたので、天国という言葉が出るのは驚きでした。

 

一応、他の様々な宗教にも「死者の魂は鳥になる」みたいな類のものがあるように、「死」と「天/空」を結びつける発想は必ずしもキリスト教だけのものではないと思うのですが、「天国」とまで言い切ると、さすがにキリスト教の存在を無視するわけにはいかないんですよね……むずかしいゾ。

 

まあ、言うて仏教とかもあるみたいですし、いずれも私たちの世界と同じ名前で存在するわけではないにせよ、ひととおりの種類の宗教はあるってことなのかな……とはいえ、仮にそうだとしても、ツキトの都はどういう宗教体系なのかは分かりませんが(一応「巫女」という言葉があるのですから、カムラ地域と根本的な考え方の差異はないかも?)、自然信仰を地で行くっぽいカムラの里地域でもそういう観念があるというのは、かなり不思議だなぁと思います。

 

それから、次の最後の追加モンスターについても、いくつかそれを示唆する内容がありましたね。特命騎士の2人が、今もなおその存在を追跡しています。

 

我が見込んだ通りだな、猛き炎よ。アマツマガツチの討伐、みごとである。

特命騎士も任務を順調に進めている。進めている……のだがな。我はかつてない脅威を感じている…。

…いや、今はまだいい。まだ正確な情報が少ないのでな…。いずれ、しかるべき時に話すとしよう。

アマツマガツチ討伐後 セルバジーナ)

 

アマツマガツチちゃんの討伐、ありがと~♪ キミはやっぱり頼りになるね!

おかげさまで極秘任務も進んでるよ! くわしくはお話できないけど、女王陛下から直接お願いされてる大事な任務なんだぞ♪

このままだと王国が大ピーーーンチ! なーんて隊長は言ってるけど、完璧女子の私がいるんだから大丈夫に決まってるよね♪

アマツマガツチ討伐後 ラパーチェ)

 

アマツマガツチちゃんって言いづらくない? まあそれはさておき、王国の女王陛下からの直々の任務であるということは、ひとまずこれはPVの最後でチラ見せされた、特殊個体メル・ゼナとおぼしきモンスターのことと見て間違いはなさそうですね。

 

そういえば、今回アプデのもう1人の主役・傀異克服シャガルマガラは通常クエストでは塔の秘境に登場していますが、これも少し意味がありそう。

 

 

この塔の秘境というチョイスは、第一には過去作の「禁足地」以来の、決戦場型フィールドでのシャガルマガラ戦というオマージュを企図したものでしょう。それと同時に筆者が思っているのは、キュリアの影響を受けたシャガルマガラが、城塞高地を離れてこちらに来たのではないか、という説。

 

シャガルマガラはストーリーでは元々、MR緊急★5でメル・ゼナを討伐した後に登場するモンスターで、それ以降も基本的に城塞高地以外のマップには登場せず、いわば「メル・ゼナがいなくなった後の城塞高地の主」というオーラ出してるポジションだったんですよね。もちろん、この傀異克服シャガルマガラは本編で討伐した通常個体とは別の個体ではありますが、キュリアの影響が及ぶ圏内には生息していたわけですから、王域近辺のどこかにいた個体ではあるはず。

 

それが今回、はるばる塔の秘境までやってきたというのは、元々城塞高地を統べる古龍であるメル・ゼナに何かがあり、シャガルはそれとの衝突を避けて高地を離れた……という背景があるのではないかと思っているのです。あくまで推測の域を出ませんが……いずれにしても、次回の追加モンスターが楽しみですね。

 

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ということで、本記事はこの辺りで〆としたいと思います。昨日のPV感想記事のページをそのままこの記事に使う予定でしたが、夕方ごろから無心で書きつづけた結果思ったよりも長くなってしまったので個別のページにすることにしました。本記事はまた何か考察を思いついたら、随時加筆修正していこうと思います。ガーッと書いてそのまま勢いで投稿したため、何か記載ミス等があったり、書きたいことを詰め込みすぎて文脈がどっか行ってるみたいな部分もあるかもしれないので……。どうぞよろしくお願いいたします。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!

 

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