カムラのハンターは猛者ぞろい

・本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」全編および、一部シリーズ他作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』および2023年9月29日発売『HAUNTING OF THE SUN モンスターハンターライズ:サンブレイク 公式設定資料集』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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本記事ではカムラの里のウツシ教官、上位ハンターのアヤメ、ハンター見習いのタイシ、先輩ハンターのハネナガの4名について、サンブレイクでの会話を取り上げてまいります。猛き炎こと主人公だけに留まらない、カムラの里にまだまだ存在する猛者たちのことを見て参りましょう。

 

ーーーー目次ーーーー

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1.ウツシ教官、遍在しすぎていて複数人いる説が浮上

 

王国域のモンスター出現の報を受けて、里も王国と協力体制をとることになったよ。

周辺の調査に王国との連携… 俺も、少し忙しくなりそうだよ。もちろん、キミほどじゃないけどね。

今回の件は、まさしくキミの活躍にかかっているといえる!

責任重大だけど、重圧に思う必要はないよ。俺たちも協力は惜しまないし、エルガドにも王国のすごい人がたくさんいるからね。

皆で協力して、この困難に立ち向かっていこう! がんばろうね、愛弟子!

(マスター★2 ウツシ教官)

 

まずはウツシ教官。サンブレイクでのウツシ教官は、カムラの里と王国との連絡役やモンスターの偵察など、異変調査において幅広い任務で活躍をしています。ライズ時代は「猛き炎」の師匠として、新米ハンターながら百竜夜行という災禍に立ち向かう主人公を先達として支えてくれる立場でしたが、サンブレイクに入ってからは、主人公とウツシはそれぞれ異なる領域を担当して王国と里を取り巻く異変の解決のために奔走する「同じ高さの目線の仕事仲間」にもなったんですよね。もちろん、師匠とその愛弟子という関係は永遠のものですが、それはそれとして主人公とウツシの関係は、サンブレイクにおいて少しステップアップして、より一層深まったような印象を受けます。

 

エルガドのみならず王国の中枢部とも橋渡しを行うウツシ教官は、ゲーム中では行くことのできない王都にも足を何度か運んでいるようです。

 

最近はごくたまに、里長の文書を持って 王都に行くことがあるんだ。

エルガドも賑やかだけど、王都は一段とすごいよ。さらに賑やかというか、華やか。洗練されてる感じがするよ。

ホントはゆっくり観光したいんだけど 俺が王都に行くときって、まず間違いなく急ぎのときだから、難しいな。

王都、キミにも見せてあげたいなあ! いつかゆっくり見に行けるといいね。

(マスター★5 ウツシ教官)

 

モンハン世界でも恐らく屈指の先進都市である王都の光景を見られて羨ましい……とは言いつつも、ウツシもウツシで観光ができるほど余裕があるわけではなく、カムラの里とエルガドと王都を行き来する多忙な日々を送っています。で、その常軌を逸したタスク量のあまり、教官についてはさまざまなウワサが立っているようで……?

 

やあ貴殿。貴殿のおかげで今回の騒動も落ち着いてきたね。

里周辺の調査も、急ぎのものは減ったよ。ゆえに、こうしてエルガドへも顔を出す余裕が生まれたというわけだ。

…しかし、改めて考えると ウツシ教官は本当にすごい人だね。

彼は里で、私より多くの調査をこなしながら 頻繁にこちらへも顔を出し、ときには王都へ文書を届けに行くことすらあるという。

……なあ貴殿。貴殿の師は一体、何者なんだ…?

(マスター★6 ロンディーネ エルガド)

 

○○さん、おかえりなさい。エルガドでも大活躍みたいだね。

どうして知ってるの、って…? それは…ウツシ教官がみんなに言ってまわってるからだよ。

モンスターのモノマネをまじえながら臨場感たっぷりに語ってくれるんだ。オトモだちも大興奮だよ。

…それにしても、ウツシ教官ってすごいね。

里でも、タイシくんに訓練つけたり 里長やゴコク様から仕事を頼まれてたり すごく忙しいはずなのに、エルガドにも…。

教官、じつは3人くらいいたりして。………まさかね?

(マスター★5 イオリ)

 

カムラの里とエルガドとを行き来しつつ王国騎士としてモンスターの偵察や狩猟も行い、さらに交易商としての業務もこなすほどにやることが多いロンディーネでも驚くほどなのですから、ウツシの仕事量は少なくとも王国の女王陛下側近の騎士のそれに匹敵ないし凌駕するレベルのものであることが分かります。

 

ウツシがどの範囲の任務を受け持っているかということの全貌は詳しくは不明なものの、ストーリー後半でエルガドに来ているウツシから聴ける話によれば、彼は王国の上層部と共に極めて重要な指令を受けていたことが分かるんですよね。

 

お見事だ、我が愛弟子! メル・ゼナの討伐、さすがだよ!

ただ…ガレアス提督も言っていたけど まだキミには言えないことがあってね。それは俺も調査中のことなんだ。

だけど、これだけは言える。まだ、終わってはいないんだ…。油断しちゃダメだよ! 愛弟子!

(マスター★5 ウツシ エルガド)

 

待っていたよ、○○。ついに深淵の悪魔が相手だね…!

秘密にしていてごめんよ。愛弟子に言えなくて俺も辛かったよ…。悪意があって隠してたわけではないんだ。

不確かな情報は 人をいたずらに混乱させるからね。今回は特に、おとぎ話に関することだし!

でも相手がおとぎ話の悪魔だろうが キミなら大丈夫だって信じてるよ! なんていったって俺の愛弟子だからね!

(マスター★6緊急前 ウツシ エルガド)

 

異変の真の元凶である「深淵の悪魔」の捜索――これは、人々を動揺させないように、王国の一部上層部のあいだで内密に進められていた極秘任務であり、作中ではガレアス提督や女王陛下の直下で行動する精鋭部隊である、セルバジーナやラパーチェら特命騎士が主導で行っていたものです。恐らくウツシも特命騎士たちや(作中で登場はしないものの)王国諜報員のカガミと共に、各地の王域生物の動向を調査しながらガイアデルムの動きを探っていたのでしょう。いやもうどう考えても忙しいやん……。

 

それでいて、本人は新天地で調査隊主力として奮闘する愛弟子を立てるためか「前より忙しくはなったが愛弟子ほどではない」とあくまでもひたすらに謙虚で、疲れたような素振りも一切見せないのですから、そのプロ意識に対する尊敬と共に、本当に大丈夫なのかとますます心配は深まるばかり。一応、仕事がひと段落した際にはしっかり休みも貰っているようで、愛弟子と狩りを楽しむくらいの余裕はあるようですし、エルガドでもパサパトと交流を持ったりなどプライベートもそれなりに充実させている(?)ようなのですが、それにしてもどこにそんな体力があるのかと思わざるを得ません。

 

よほどそれぞれの仕事の手際がよいのか、仕事を楽しんでいて気持ちは前向きでいられるからなのか、あるいはイオリの言うように、実際に複数人いるなり分身するなりしているのか……あ、もしかしてウツシの名前の由来ってそういうことなの……?

 

時々観光でエルガドに行くことがあるミノトからも、ウツシ教官複数人説を裏付けるエピソードを聞くことができます。

 

ウツシ教官は、任務の関係上 わたくしたちよりも頻繁にエルガドへ行ってらっしゃるのですが…

エルガドへ向かうわたくしをここで見送ってくださったのに、わたくしがエルガドに着く頃には、すでにいらっしゃるのです。

兵は神速を貴ぶ…さすがは教官です。わたくしも見習いませんと。

(マスター★2 ミノト)

 

ミノトはこの状況を教訓として真摯に受け止めているようですが、いったん冷静に考えますと、ウツシ教官に見送られて里を出発したのにエルガドに着いたらウツシ教官がいる……うん、やはりこれは複数人いるな! ……まぁ、現実的な話でいえば、王国と里とを色々な任務で頻繁に行き来するウツシには、観光用の船ではなく王国から連絡業務や調査のための性能の良い高速艇が支給されていると思いますから、そういうことなのだと信じることにしましょう。頼むからそうであってくれ。

 

それから、王国の教官であるアルローにも、ウツシの底知れない実力は初対面時から恐れられて(?)いる様子。

 

[前略]

アルロー: 

カムラの狩猟技術には、ここの騎士たちも助けられてるぜ。俺には考えもつかねぇ発想だらけだ。教官の腕がいいのかねぇ。

…なぁ、そこんとこどう思うよ!? カムラの里のウツシ教官!

ウツシ:   

おや! もう見つかってしまった! さすがは王国の騎士殿!

じゃあ、ちょっとそっちに向かうから待っててね! ……あ、愛弟子! オレにフクズク飛ばしちゃダメだよ!

…いやぁ、見ることもなく気付くとは。アルロー教官、おみごとです。俺など、足もとにも及びませんよ。

アルロー:  

よしてくれ。もう時代おくれの老いぼれさ。それにそういうことは、本気で身を隠したときに言ってもらわねぇとな。

ウツシ:   

ハハハ…。この世代の人たちが恐ろしいのは、カムラの里だけじゃないみたいだね。

[後略]

(エルガド到着直後 アルロー&ウツシ)

 

こっそり屋根の上に現れている神出鬼没のウツシ教官を、主人公と会話しながらもノールックで察知しているアルローの洞察力もじゅうぶん並外れたものであるように思いますが、ウツシ教官の凄さはここからです。

 

そういや、ウツシ教官は相当な凄腕だな。気配こそは感じ取れたが あれはワザと気配だけ出してやがった。

そうでなけりゃ、俺でもまったく気付けなかっただろうよ。

一切の音もなく現れ行動する… 全身の筋肉を使いこなしてねぇと到底できねぇだろ、そんなこと。

向こうは俺のことを恐ろしいとか言ってたが 年齢が若いぶん、俺からしたらウツシ教官のほうが恐ろしいぜ、まったくよ。

(マスター★2 アルロー)

 

「わざと気配だけ出す」ってなんだ……? もはや何の技術なのか見当もつかない領域に入っていますが、とにかくウツシは気配すらも感じさせないほど完璧に身を隠すことも、逆に僅かに自分の気配を悟らせることも自由自在にできる様子(前者が可能なのであれば、大は小を兼ねる理論で後者も可能という感じでしょうか)。

 

ウツシはモンスターの偵察任務や、彼が所謂ギルドナイトであるという推測が真実であるとするならば、密猟を行う悪徳なハンターの取り締まりなども受け持つわけですから、自分の存在を一切感付かせず、相手を刺激しないように最大限静かに行動するということは、それらの任務にとってとても重要なスキルの一つ。カムラの里らしく「忍者」をも想起させるような、まさに卓越した身体能力の持ち主です。

 

一方でウツシ教官も、数十年に亘り王国騎士として活躍し、フィオレーネやルーチカを筆頭とした優秀な王国騎士を幾人も輩出してきたアルロー教官の指導には大いにリスペクトを抱いているようで、彼らは年齢差や出身の違いを超えて、教官仲間かつ良きライバルというステキな関係に。で、ウツシはアルロー教官の魅力に自分の存在が霞んでしまわないかどうかを何故か心配しているようです。

 

やあ、我が愛弟子! アルロー教官とはうまくやってるかい?

アルロー教官もすごい人だけど やっぱカムラの里の教官もスゴイ人だな~とか思ったりしないかい?

カムラの里の教官もスゴイ人だな~って 改めて思ったよね!? ねえ、思ったよね!?

(マスター★2 ウツシ)

 

改めても何もずっとスゴイと思っていますよというのが共通の見解ではあるものの、そのスゴさが今やあまりにも日常になってしまったことで、有難みが忘れられがちであるというのも一つの事実。上の台詞ではウツシも自分のことを褒めて欲しそうに分かりやすくフリを入れてきていますが、元々彼は教官として自分よりも弟子のことを立て、自分自身については些か謙遜するようなところもあったりしますから、意外にも褒められ慣れていないという一面があるんですよね。盟勇同行時に上司のフゲンから主人公共々その活躍を称賛される際には、いつになくガチトーンで照れるウツシ教官を見ることができます。

 

(かわいい)

さて話を戻しまして、そんなウツシ教官は王国からカムラの里に帰った際に、大切な弟子である主人公のエルガドでの活躍を余すところなく里の皆に伝えて回っています。

 

やあ、おかえり我が愛弟子! 元気でやってるかい? 里は特に変わりなく、いつも通りだよ。

里のみんなはね、キミがエルガドでどうしてるか とても気にかけてるんだ。

俺もキミの活躍を、できる限り克明に、一から十まで、仔細に渡り伝えられるようがんばってはいるけど…

やっぱり、キミ自身が元気な姿を見せるのが一番だからね! ほら、みんなにも顔を見せておいで。

(マスター★3 ウツシ教官)

 

一応、これはウツシが一方的に話し続けてうんざりされているというわけではなく、里の皆も遠く離れた場所で仕事をしていて中々帰ってこられない主人公の話を聞きたいと思っていますから、需要あるところに供給ありという感じではあるのですが、それにしても少しオーバーすぎるのでは……と思わないでもありません。

 

加えて、あれだけの激務の中でどうしてカムラの皆に話を聞かせて回る時間を確保できているのか、という点もさりげなく大きな疑問です。ひょっとすると愛弟子の自慢をしている時間は、彼にとっては仕事の疲れを発散する時間なのかも? 集会所でいつもウツシの隣にいるアヤメも、彼から幾度となく主人公の話を聞いている様子。

 

ああ、おつかれさん、○○。

向こうでも、ずいぶん活躍してるみたいだね。ウツシ教官から聞いてるよ。

そりゃもう、ことあるごとに 我が愛弟子がー我が愛弟子がーって 詳しく報告してくれるからね。

いい師匠じゃないか。まあ…弟子からすると ちょっと暑苦しいかもしれないけど。

その調子でがんばりなよ。でも、あんまり無理はしないようにね。

教官も心配するだろうし。ふふ。

(マスター★3 アヤメ)

 

アヤメもクールな人ですから、バッサリ暑苦しいと言い切ってしまっていますが、彼女としてもそれを以てウツシを疎ましく感じるようなことはなく、彼のことは「良い師匠」だと思っているようです。それにアヤメの言うように、ウツシも主人公には絶大な信頼を置いている一方で、やはり大切に育ててきた弟子として心配する気持ちもあるからこそ、愛弟子が無事に狩猟を成し遂げていることが嬉しいのでしょうね。

 

……とはいえ、それにしても限度はあるというもので、鍛冶の仕事で忙しいハモンさんなどは、さすがにウツシのマシンガントークはほどほどにしてほしいと思っているようです。

 

おい、○○。あやつはもう少しどうにかならんか。

ウツシだ。おぬしの活躍を報告してくれるのはありがたいが、とにかく話が長い。聞いているだけでこたえる。

たまには帰って顔を見せて、黙らせろ。

なに…? 向こうでもよく会っとるのか…?

…ワシからも、もう少し弟子離れするよう言っておく。聞くとも思えんが。

(マスター★4 ハモン)

 

師匠の元を離れてハンターをする主人公よりも、弟子が遠くに行ってしまったウツシ教官の方をむしろ心配している様子すらあります。ハモンも多くの弟子を抱えている立場ですから、ウツシの気持ちが分かる部分もあったりするのかな。ハモンもウツシの愛弟子トーク自体を聴きたくないというわけではなく、エルガドでの主人公の活躍の話は、彼も大いに関心があるところです。

 

うーん、どうしたものか……。……ああ、我が愛弟子。いや、少し困ったことがあってね。

キミの大活躍を里の皆に漏らさず伝えるべく 俺は日々奮闘してるんだけど、ハモンさんに「要点だけ話せ」って言われちゃって。

たしかに、ハモンさん忙しい人だし、話は短めにまとめた方がいいよね。

でも「要点」、つまりは「大事な箇所」。愛弟子、それってどこだと思う…?

だって、ガランゴルムもルナガロンもエスピナスもメル・ゼナも全部、キミの活躍を語るにおいて重要な狩りだし。

いや…やはりこれは、要点以前に必要最低限、だと思うんだよね。なんとかハモンさんにもわかってもらわないと…。

(マスター★5 ウツシ教官)

 

「要点だけ話して欲しい」という言い方がぶっきらぼうに見えて、すごく優しいんだよなぁ……。自分も仕事が山積していてウツシの長話に付き合うわけにもいかないという気持ちはあれど、ウツシが手塩にかけて育てた主人公の王国での活躍に自分も興味があるということ、ウツシが自慢の弟子のことを話したいという気持ちを否定したいわけではないこともきちんと伝わります。

 

しかしながら、それで困るのは今度はウツシ教官の方。エルガドの方でも主人公の活躍はめざましいものであるだけに、果たして「要点」とはどこなのかという話になるわけです。……ウツシもカムラの里に節目節目で帰って来ているようですから、そのつど主人公の活躍を伝えて回っているのであればそもそも4モンスター分も話題が渋滞することもないような気もしますが、ひょっとするとハモンの言う「要点」とはどれかのモンスターの話に絞ってほしいということではなく、1つのモンスターごとの話が異常に長いのをやめてほしい、という感じなのでしょうか。これに関しては、後述のタイシの項でも話すこととしましょう。

 

ちなみに、ウツシがエルガドでの主人公の様子を見に来るようになったのには、ある人物のふとした発言が一枚噛んでいたりいなかったり。

 

○○がエルガドに行ってから、ウツシが毎日毎日「愛弟子がー愛弟子がー」って、ここでくだを巻くのニャ。

あんまりうるさいから、そんなに心配なら様子を見てきたらどうニャ、って言ったら「そうだね!」って出て行ったニャ。

あれって… ホントに様子を見に行ってたのニャ…?

全然、弟子離れのできない師匠ニャ。○○も大変ニャね。

(マスター★2 オテマエ)

 

オテマエさん自身はまさかそこまではするまいとは思っておらず、あくまでも冗談というか、他のお客さんもいる茶屋でウダウダするのは程々にしてほしいという気持ちを込めて言ったものと思われますが、それが逆にウツシのやや過保護な部分を焚き付けてしまったようです。まぁ、オテマエがそれを言わなかったところで、恐らくウツシはどこかしらのきっかけでエルガドに来ていたでしょうから、彼女が原因であるというわけでは特にないのですが。

 

とはいえ、オテマエも多くの茶屋の弟子たちを輩出した師匠であり、以前の茶屋の記事でお話ししたように、ヨモギやアズキを始めとして弟子たちが成長し、自分がいなくても店を任せられるレベルになったと実感した際には、「ちょっとだけ寂しいけど嬉しい」と言っていましたから(勿論、本人は天職である茶屋の仕事を引退することは考えていないのようですが)、弟子が一人前になって自立したり巣立ったりいくのを見届ける師匠の気持ちには共感するところがあるのではないかな。

 

ハモンにしてもオテマエにしても、ウツシはもう少し弟子離れした方が良いと言いつつも、なかなかそこを割り切れない彼の寂しさや、弟子に対する彼の愛情については深い理解もある感じがいいんですよね。

 

いずれにしても、ウツシがそれだけ主人公のことを大切に思ってくれているのは紛れもない事実。主人公とウツシはエルガドや盟勇同行クエストでもたびたび会っているわけですが、故郷のカムラの里で会う時間は、ウツシにとっても特別なものであるようです。

 

やあ! おかえり愛弟子! …フフ。

いやぁ…里に帰ってきたときにはこうして、俺にもちゃんと顔を見せてくれるのが嬉しいなと思ってね。

まあ、向こうでも会ってるんだけど それはそれ、これはこれ。

さ、せっかく帰ってきたんだから ゆっくりして行きなよ。ほら、いつも言ってるでしょ、「休息が大事」って、ね。

(マスター★6 ウツシ教官)

 

いつもリアクションが大きめのウツシ教官には珍しい、「…フフ」というしみじみと噛み締めるような笑みのリアクション、彼の本音が聞けているようでなんだか嬉しいです。王国の拠点でもウツシとは度々会うのだけれど、故郷で会う時間は2人が今までと変わらず「カムラの家族として」「師匠と弟子として」話す時間なんだよな。主人公にとっての帰る場所なのは、やはり「カムラの里のウツシ教官」の所なんですよね~。

 

もちろん、カムラの里に帰って来ているときだけではなくエルガドで会っているときにも、ウツシ教官はしばしば主人公を激励するアドバイスを授けてくれます。

 

我が愛弟子、大丈夫かい? フィオレーネさんが倒れてから キミも元気がなさそうにみえるよ。

師匠の目はごまかせないのさ。つらいときは、俺に話してごらん。何事も我慢するのは体によくないからね。

話した後は、思いっきりがんばろう! 落ち込んでいても好転はしないからね! さぁ、キミにできることはなにかな?

(マスター★4 ウツシ)

 

つらい出来事を乗り越えるための心の持ちようについて、主人公に語って聞かせるウツシ教官。彼にとってはメンタルの上手なコントロールもまた、「健康な身体作り」の一環であるようです。不安を抱えている時は、自分がどのような立場であったとしても、またその内容が誰かに話したからといって具体的に解決せられるようなものでなかったとしても、とにかく誰かに打ち明けてみることで気持ちが落ち着くこともある。

 

そして一通り話した後は、いくら考えても進展しないことを考えてしまう悩みの渦をいちど抜け出して、今の自分にできること、なすべきことを見つけてそれに全力で打ち込む――そうして自分の心とよろしくやっていくことが、ハンターが目の前の狩猟に集中するために必要なのことなのだというのが彼の言わんとするところ。ウツシの普段のポジティブの秘訣を、少し垣間見ることができたような感じもしますね。主人公のやり場のない不安を受けとめてあげる部分と、次への背中を押してあげる部分とを、どちらに偏ることもなく両立させる話のバランス感覚が絶妙です。

 

それに、ライズ主人公こと猛き炎がストーリー構成上抱えるジレンマの一つである、「登場人物の1人としてキャラが結構立っているわりにテキストの台詞を喋らないため、何を考えているかがわかりにくい」という難点を、「師匠であるウツシ教官の目を通じて主人公の表情を描写しプレイヤーに伝える」という仕方で解消しているのも、この台詞に限った話ではありませんが、上の会話で地味に重要なポイントだったりします。

 

さて話は変わりまして、カムラの里でのウツシといえば、彼は相変わらずオトモ広場のフクズク達にいつも襲われているようです。

 

フクズク、あいかわらず俺を見つけると すごい勢いで襲い掛かってくるんだよね…。

あれってやっぱり、モノマネのせいでジンオウガだと思われてるのかな、俺…。

でもだよ? 仮にね? 仮に、フクズクが俺のことをジンオウガだと認識しちゃってるとしてだよ?

本物のジンオウガに飛び掛かっていくのは 危なすぎるからやめた方がいいと思うんだ。もちろん、その勇気は称えるけどさ。

だから、ね。キミも止めてあげて? おねがい…。

(マスター★4 ウツシ教官)

 

フクズクに襲われてもさすがに大怪我までにはならないでしょうが、それでも擦り傷くらいは常に絶えないでしょうから、ウツシ教官も大変です。「おねがい…。」に彼の悲痛な気持ちが込められていてなんか切なくなります。

 

ただやはりウツシ教官が優しいなぁと思うのは、自分のケガがどうこうよりもフクズクのことを第一に考えてあげている点。自分がフクズクに襲われて痛いからというよりは(もちろんそれもあるのですが)、「もしモノマネの自分ではなく本物のジンオウガに突撃してしまったら危険だから」とフクズク達の安全の方を先に心配していますし、彼らがモンスターに果敢に立ち向かう行為については辞めた方が良いと思いつつも、その勇気は称賛したいと思っているのですから。きちんと冷静に物事を捉えつつも決して誰かを責めるのではなく、それぞれの美点を見つけて評価する……という、地味ながらウツシの真骨頂と言える台詞だと思います。

 

それにしても、フクズクたちは本当にウツシ教官をジンオウガだと思って攻撃しているのでしょうか。仮にそうだとした場合、ライズ時代のウツシの項でも話したかもしれませんが、フクズクにモンスターの偵察を任せることができるのは、知能の高さに加えてモンスターを発見しても動じずに役割を遂行できるメンタルの強さが彼らにあることが前提ですから、少なくともフクズクがその生態において臆病な性格ではないということは確かであると言えるでしょう。

 

その上で、ジンオウガに対してはフクズクは飛行能力の利を生かして飛んで逃げてしまえば高確率で生存できるわけですから、わざわざ格上に襲い掛かる必要性が些か不明なところ。自分の巣や縄張りに固執する性格なのであればわからないでもありませんが……ひょっとすると、ジンオウガの中でも頑張れば勝てそうだから」的な認識でウツシを攻撃しているのかも?

 

あるいは、ウツシ教官のモノマネのクオリティは確かなものではあっても、さすがにフクズクも彼を本物のジンオウガだとは思っておらず、面白い人(?)だと思ってじゃれている、あるいはハンターよろしく訓練している……というつもりなのかもしれません。真実はフクズクたちのみぞ知る……。

 

ちなみに、フクズクのことはあってもウツシ教官はジンオウガのモノマネをやめるつもりはないようで、今でも修練場でこっそり訓練を重ねているのですが、ある人物にその現場を発見されたところからとんでもない事態に発展してしまうことに。

 

この前、ジンオウガのモノマネを練習してるところを たまたまヒノエさんに見られちゃってね。

でも、なにやらすごく興味を持ってくれたから モノマネのコツとか、いろいろ教えたの。

そしたら………

…いや、うん。才能があるってすばらしいことだと思うよ。ただ、ね…。

里長に、「やるときは周りを確認しろ」「怖がる者もいる」って注意される意味が 改めて、よくわかったよ…。

(マスター★3 ウツシ教官)

 

多才なヒノエさんはあっという間にジンオウガのモノマネをマスターしてしまったようで、その実力は里の仲間をガチで怖がらせられるレベルのもの。ヒノエ姉さまLOVEのミノトですら、一瞬「怖かった」と本音を漏らしてしまうほどで、あまりに危険すぎるということでこれはすぐにお蔵入りに。万が一にもヒノエさんまでフクズクに襲われたら困るもんなぁ…。

 

ちなみに、本気モノマネ封印後のヒノエのジンオウガモノマネはファンなら悶絶間違いなしのかわいらしさとなっているので、以下の記事からぜひそちらもどうぞ。

 

mhrisecharacter.hatenadiary.jp

 

それから、モノマネ以外にウツシ教官はモンスターのお面作りにも引き続き精を出しているようで、アルロー教官から新作のお面の情報について聞くことができます。

 

カムラの里のウツシ教官から便りが来てな。どうもマガイマガドを参考に、新作のお面を作りたいらしい。

どんなお面を作る気なんだよ…と思うが、ウツシ教官のセンスもなかなかだと聞くし、ちょっと見てみたい気もするだろう?

そこで、おまえさんに頼みがある。マガイマガドの捕獲を頼まれてくれねぇか? お面の手本として観察させてやりたいんだ。

なぁに、心配するこたぁねえよ。手間をかけさせちまうことは百も承知だ。しっかりと礼はさせてもらうぜ!

(依頼サイドクエスト受注時 アルロー)

 

この時期に王域生物の誰かなどではなくマガイマガドのお面、というチョイスは少し意外でもありますが、マガイマガドはお面のモチーフとするに相応しいカッコいいモンスターではあれど、同時に百竜夜行においては渦中のモンスターでもありましたから、百竜夜行が終わってカムラの里が平和になってからでないと、いまいち題材としては手が出しづらいモンスターだったのかもしれません。

 

加えて、その件でアルロー教官の方にもウツシが連絡をしているのは、カムラの里の災禍が収束に向かいつつある現在においては、百竜夜行のような獲物となるモンスターの群れの発生と移動に乗じて姿を見せることの多いマガイマガドをカムラ地域側の情報で捜索することが以前よりも難しくなっており、一方でエルガドでは「王域生物が本来の棲み処を離れ別の場所や地域へ移動・進出している」という、百竜夜行ほどではなくともマガイマガドの出現条件を満たしうるような異変の調査を進めているわけですから、ここはむしろ王国側の情報を頼った方が、マガイマガドの狩猟クエストの情報に辿り着きやすいのではないか……というウツシの判断なのかもしれません。

 

モンスターのお面作りという趣味も、「実物を観察して精巧に作り込む」ところまで突き詰めようとすると、その過程でこうしてモンスターの生態についての理解や、自然環境の動きを読んでの情報収集など、思ったよりも深い造詣が問われるものなんですね……。ロンディーネがウツシ教官のお面について「運命の出会い」だと断言し絶賛していたのも、上述のような製作の背景があることを考えるとなんだか納得できるような気がします。

 

 

で、そんな感じで相変わらず並々ならぬ労力をかけて製作されているモンスターのお面は、これをいたく気に入り交易船で取り扱っているロンディーネの話にもあるように、里とは違い王国では非常に好評を博しています。

 

まぁ、そもそもカムラの里では集会所の風景に溶け込みすぎていて売り物と認識されていなかった……という事情もあるのですが、それを差し引いてもカムラと王国とでは文化の違いもあるでしょうし、特に王国騎士やハンター、モンスター研究者たちが多く集まっているエルガドでは、モンスターのリアルさを追求するウツシのコンセプトがこの上なく刺さっている様子。自身の作品のエルガドでの評判を耳にしたウツシは、やっとこさ自分の芸術性を思う存分発揮させられる場を見つけることが出来た、という具合に舞い上がっています。

 

やあ、我が愛弟子! 俺が作っているお面のことなんだけどね。

……見たかい!? アズキさんの茶屋で飾られているんだ! カムラの里では不人気だったのに…!

王国内での売れ行きは上々らしい! どうしよう、俺、嬉しいよ! お面職人として、極めてみようかな…!?

(マスター★5 ウツシ エルガド)

 

ウツシ教官が嬉しそうなのは大いに結構なのですが、「極めてみようかな」を仮に実行に移したとしたらマジで極めそうなのが恐ろしいんだよな……。ヒノエといいウツシといい、多方面に才能がありすぎるというのもこれはこれで困ったもので、ウツシにとって主人公が特別な弟子であるように、主人公にとってもまたウツシは特別な師匠であるわけですから、ぜひとも教官職は継続して欲しいところ。……といいつつ、王国の一件が終わればウツシの仕事もだいぶ落ち着くでしょうから、時間をとってウツシが本気で芸術に打ち込んだらどうなるのかと言うのも、ちょっと見てみたかったり……?

 

 

2.ハンター復帰は目前のアヤメさん

 

○○。聞いたよ、王国の調査拠点へ行くんだって? 王国騎士様直々のご使命だとか。すごいね。

王国はね、アタシも昔一度行ったことがあるんだ。もちろん、ハンターとしてね。

そうだね…あっちでは、ハンターより主に「騎士」って呼ばれる人たちが活躍してた印象があるかな。

中でも、女王直属の騎士様たちは みんな凄腕揃いでさ。驚いたよ。

アンタも、そんな中で狩りをするんだね。すごく、いい経験になると思うよ。ムチャしない程度にがんばっておいで。

(エルガド出発前 アヤメ)

 

続いてはウツシ教官のお隣のアヤメさん。主人公の先輩ハンターであり、カムラの里の外で活動していた経験もあるアヤメは王国や王国騎士たちのことを以前から知っていて、その実力の高さについても詳しい様子。

 

女王陛下直属の騎士団の腕前を知っているという事は、アヤメもかつて王国でハンターをしていた際に、何かのクエストで任務を共にした経験があるみたいですね。エルガドの調査隊に招待を受けた時点での主人公と同じく、アヤメもケガで休養に入るまでは上位のハンター、つまり全ハンターの中でも屈指の実力を持つハンターとして活躍していたわけですから、実力者の集まる側近部隊の狩りを見たことがあるのも納得です。

 

特に王国騎士に関して言えば、全員が王国という共通の所属があるだけに、統率された組織的な動きを得意とするという特色がありますから、複数で狩ることもあるものの基本的に活動の単位が個人であるハンターにとっては、また特に個人での狩りを好む傾向にあるアヤメにとっては、王国騎士団は異色であり新鮮な存在と言えるものなのかもしれません。

 

あれ、○○。帰ってたんだね。おかえり。

どう? 向こうでのハンター生活は。里の外での狩りは初めてだろう? やっぱり勝手が違うんじゃない?

アタシもさ、最初にいた村から出たときは 結構戸惑ったんだ。だからちょっと懐かしい気持ちになってさ。

そんな戸惑いもまた、いいもんだよね。せっかくだし、めいっぱい楽しんできなよ。

それで、ついでにアタシにも おもしろい話を聞かせてくれると嬉しいかな。

(マスター★2 アヤメ)

 

幼少の頃に里を出て以来のアヤメの来歴は不明なところも多かったのですが、この話を聞く限り、ハンターになってからは、色々な町や村を転々とするような生活だったようですね。長く居た拠点や、よく知っていて愛着のある土地を離れるのは寂しくもあり、勇気も必要なことですが、それをこそ楽しむべし、というのがアヤメ流。里の外に出たことがない主人公にとっては、先輩ハンターからの頼もしい助言です。

 

アヤメは土地を転々とすることに慣れているとはいっても、以前彼女自身が言っていたように、彼女は「他のハンターと一緒に狩りに行くと気を遣いすぎてしまう」などかなり感受性が高い人物のようですから、アヤメはどんな状況でも安定した自己を保てるというよりは、環境の変化にメンタルが影響を受けやすい寄りの人に思えるんですよね。未知の場所に飛び込む主人公の不安がよくわかるからこそ、「戸惑う気持ちも楽しむ」という形で自分の心とうまいこと付き合っていくやり方をアドバイスしてくれているのだと思います。

 

さて、そんな感じで主人公の背中を押してくれるアヤメですが、彼女自身もハンター復帰のための訓練は徐々に進んでいるようで、ウツシ教官も任務の合間を縫ってアヤメのトレーニングに付き合っているようです。やっぱり3人くらいいるんじゃ……。

 

最近、アヤメさんも少しずつ訓練を再開してるよ。もちろん、ケガの様子も見ながらね。

ケガは怖いものだよ。キミも、くれぐれも気を付けるように。

背にあるものを思えば どうしても逃げられないことはあるし、無理をしなければならないこともある。

けれど、キミに守るべきものがあるように、キミの身も、皆にとって大切な、守るべきものだ。

キミに何かあれば皆、悲しむ。キミを犠牲にした平和なんて 誰も望んでいないからね。

キミの無事を願う人がたくさんいることを決して、忘れないように! 約束だよ!

(マスター★2 ウツシ)

 

アヤメの近況報告をしつつ、主人公にもケガの怖さを力説するウツシ教官。フィオレーネの記事でも紹介したこちらの台詞ですが、ウツシのこの会話はサンブレイクの中でも特に好きなんですよね。ハンターが危険を冒さなければならない状況、自分の身が危なくても何かを守らなければならないという気持ちを決して否定することなく、それでいてハンターのケガはそのハンターひとりのものではないということ、全員が無事で平和を迎えられることこそが本当の平和にとって肝要なのだということを、第一線で狩猟に励む主人公にも念押ししています。誰か一人だけが皆を護るために戦うのではなく、全員が協力して支え合うべし……というのは、カムラの里が百竜夜行のために醸成してきた考え方ですね。

 

そして、作中ではフィオレーネが調査中のメル・ゼナの急襲の一件で調査隊の皆を庇って倒れてしまうことになるわけですが、その報を聞いた際には、ケガでハンターを休止している身としてアヤメは彼女に共感を寄せています。

 

ロンディーネさんのお姉さんがケガしたって聞いたけど…。

心配だね。ケガのしんどさは アタシもよくわかってるつもりだからさ…。薬、はやくできるといいね。

それにしても、メル・ゼナってのは やっぱり恐ろしいモンスターなんだね。…アンタも気をつけなよ。

(マスター★4ライゼクス前 アヤメ)

 

 

ロンディーネさんのお姉さん… フィオレーネさんって言ったっけ。ケガ、治ったんだって? よかったね。

でも、治ったと思ってムチャすると 悪化したりするからさ。アンタも、少し気をつけてあげて。

アタシもケガには悩まされてるし なんだか他人事とは思えなくってね。

だから、フィオレーネさんの復帰は 素直に嬉しいよ。励まされる気分っていうか。アタシもがんばろっと。ふふ。

(マスター★5 アヤメ)

 

身体が資本であるハンターにとって、ケガをするというのは今まで出来たことが出来なくなってしまうということ。そしてそれと同時に、自分の力で皆に協力したくてもできないという、歯がゆい思いを味わうということでもあります。アヤメはカムラの里に百竜夜行が迫っている際、自分も狩りを生業とするハンターであるにも関わらず、ケガの影響で当初は防衛に参加できなかったことを情けなく感じていました。

 

もちろん、防衛に出向くか留守を守るかというのは里の中での役割に過ぎず、アヤメがそのことを恥ずかしがることはないのですが、ハンターを生業としていた人間がモンスターを狩猟することで仲間に貢献できないというのはやはり辛いもので、自らの無力を呪う気持ちになってしまうもの。病床のフィオレーネもきっと、受けたケガの痛みだけでなく、「本当は自分は休んでなど居られないのに……」という焦りや申し訳なさに気持ちが苛まれているのではないか……ということにアヤメは想像が及び、そこに人ごとではない共感を覚えるのでしょうね。

 

フィオレーネのケガが治った後も、これまで休んでしまったことの反動から気持ちが逸って無理してしまわないように、彼女を支えてあげてほしいと主人公に助言しています。特にフィオレーネは真面目で責任感の強い人物だからこそ、いくら元の実力が高くてもそうした不安は付きまとうものですからね。

 

そしてそれと同時に、フィオレーネが窮地から見事に復活を遂げたことが、ハンター復帰を目指して訓練するアヤメ自身にとっても励みになっているようです。アヤメの日々の訓練はカムラの里の仲間の支えがあるとはいえど、一方で自分のケガと向き合うことができるのは自分だけですから、その意味では孤独を避けて通ることはできません。そんな彼女にとって、同じく狩り場での負傷で戦線を離れたものの無事に復帰することができたフィオレーネの存在は、悩んだり闘ったりしているのは自分だけではないのだという安心感を貰えるものでもあるのだと思います。

 

そんなアヤメの復帰のための訓練は、非常に順調に進んでいるようです。ゴコクからもその様子を聞くことができます。

 

最近、アヤメが生き生きしとるでゲコ。里へ帰ってきた頃に比べれば 別人のようでゲコね。

おぬしの活躍がずいぶん励みになってるようでゲコ。

アヤメは、もともとすごく優秀なハンターでゲコ。ちょーっと無鉄砲なところが玉にキズだったけど。

でも最近は少し考え方が変わってきとるようだし、復帰したらもっともっといいハンターになるでゲコ。

こりゃ、おぬしもうかうかしてられんでゲコな~! ゲコゲコ。

(マスター★3 ゴコク)

 

ケガで自分が百竜夜行の防衛に参加できないことを悔しがっていた、ライズ初期のアヤメに比べると、今の彼女はとても前向きですよね。アヤメはもともと大剣のような大振りの近接武器を得意としていましたが、彼女の復帰戦であるイブシマキヒコ百竜夜行で握った武器は、身体に大きな負担のかかりづらいライトボウガンでした。

 

以前のような戦い方は無理だとしても、これなら自分でもモンスターに立ち向かうことができるのか……と心を動かされた彼女は、ライトボウガンと共にハンター復帰の道を歩むことになったわけですが、それに際してハモンが彼女のために、特製のライトボウガンをこしらえてくれているんですよね。

 

ハモン自身もハンター現役のときはライトボウガンの使い手でしたから、恐らくその際に、ライトボウガンの使い手はどのような考え方を持つべきか……というようなことも、アヤメに伝授されたのだと思います。ハモンはハンター時代には「冷徹の狙撃手」の異名を持ち(フゲン談)、周到な事前準備と的確な判断、豊かな創意工夫でフゲンのパーティを支えてきた司令塔。その冷静沈着な立ち回りは、アヤメがこれからケガをせずに狩りを続けられるためにも非常に有益であるはずです。

 

おかえり、○○。アンタ、「深淵の悪魔」を倒したんだって? ホントにすごいね、びっくりしたよ!

「深淵の悪魔」といえば、王国のおとぎ話に出てくる存在でしょ? 実在したってだけでも驚きなのに、討伐するなんて…!

あーあ、アタシが休んでる間に すっかり差をつけられちゃったな。

…なんてね。別に腐っちゃいないよ。素直にすごいと思ってるんだ。

目標は高い方がいいからね。見てなよ。ケガが治ったら すぐに追いついてやるからね?

(マスター★6 アヤメ)

 

深淵の悪魔を討伐して帰った主人公を、アヤメは「目標」だと言ってくれます。自分がハンターに復帰するためのリハビリをしている間に、後輩であるところの主人公は上位を超えてマスターランクの古龍と渡り合うレベルまで先を行っているというのに、その差に嫉妬することもなく「素直にすごい」と言えるのは本当に人が出来ているなぁと思います。

 

それにしても、さすがハンター歴の長いアヤメさん、王国のおとぎ話のことも非常に詳しいです。先の王国騎士の話も含め、王国の事情にそれほど通じているのであれば、ライズ時代にカムラの里にロンディーネがやってきたときにも何かしら大きな反応を見せる台詞があってもよかったのになぁ……と思わないでもありません。が、ロンディーネは悪い人ではないという前提でのカムラの里の静観ぶりを見るに、むしろアヤメからの情報提供を元に、彼女が自分から招待を明かすまで見守ろう、というような方針が決められていたのかもしれませんね。

 

アヤメはサンブレイクで盟勇キャラの一人としていずれ参戦するのではないか……と個人的には期待していたのですが、やはり盟勇を増やしすぎてもそれはそれで大変というゲーム上の都合なのか、残念ながら本作では最終アプデ時点でも追加盟勇はいませんでした。ハモンが設計した見た目がカエルのライトボウガンも実物を見てみたかったですし、エルガドにはファロというアヤメに似たタイプのハンターがいるだけに、クール系お姉さん2人の絡みも見てみたかったんですけどね。しかしながら、王国での調査が終わったからといえども主人公のハンター生活はこれからも続きますから、アヤメとの先輩後輩タッグ狩猟もきっとどこかで実現しているハズ。そんなサイドストーリーを想像するのもまた楽しいですよね。

 

3.タイシくんは次世代の猛き炎?

 

あっ、センパイ!! 王国の拠点ってとこに狩りをしに行くって本当ッスか?

王国にもセンパイの実力が伝わってるなんて さすがセンパイ、すげぇッス! あこがれるッス!

自分も燃えてきたッス! よーし今日も、食べて食べて訓練して食べて訓練して食べて寝て寝まくるッス!

(エルガド出発前 タイシ)

 

続いてはカムラの里の未来の凄腕ハンターことタイシくん。猛き炎をセンパイと慕う彼は、主人公がその実力を見込まれて王国に招待されたことにも大興奮の様子で、ウツシ教官に教わったいつもの訓練にも一層気合が入っています。

 

百竜夜行の次は王国との協力体制と、タイシにとっても何かと刺激の多い日々であったこともあり、丈夫な身体作りを信条とするウツシの訓練メニューを忠実に守ってきたタイシのここのところの成長はめざましいものがあるようで、彼の師匠であるウツシ教官もその成長を高く評価しています。

 

やあ、愛弟子! 元気でやってるかい愛弟子! 風邪をひいたりしていないかい愛弟子!

ハンターは体が第一! 俺の教えはちゃんと覚えてる? しっかり食べて、しっかり休むこと、だよ。

タイシもこの教えを忠実に守ってるからね。今、メキメキ力をつけてきてるよ。最近なんだか、昔のキミを思い出すんだ。

正式なハンターになるには まだもう少しかかりそうだけど、きっと立派なハンターになるよ。楽しみだね!

(マスター★4 ウツシ教官)

 

主人公というハンターを輩出したウツシをして「昔の主人公を思い出す」と言わしめるほどのタイシの成長ぶり。主人公の次の世代にもそれほどの才能が眠っているとは、カムラの里はつくづく末恐ろしい場所です。これがスーパーカムラ人と呼ばれる所以ということなのか……。そしてその才能を余すことなく開花させているのは、ハンターの全ての基礎となる健康な身体作りを徹底する、ウツシ教官の絶対的なメソッドに他なりません。

 

そして当然のことながら、早くハンターになりたい焦りから「ハンターの使うカッコいい技を早く教えて欲しい」という最短経路を志向するのではなく、きちんとウツシ教官の教える基礎を一つひとつ押さえようという堅実で揺るぎない意志を持つタイシもまた、未来の凄腕ハンターの器を持つ者であるわけです。

 

彼の最近の上達ぶりは、ギルドマネージャーのゴコクの目にもバッチリ留まっている様子。

 

最近、タイシがメキメキ 力をつけてきとるでゲコ。

そこへきて、このおぬしの大活躍… ますます燃えとるでゲコよ。ウツシがまた、うまいこと乗せるからね。

正式なハンターになるまで あと一息…いや、二息…? って感じでゲコ。

…思えば、おぬしにもあんな頃があったでゲコね。なんだか懐かしいでゲコ。

ということは…タイシがおぬしみたいな名ハンターになる日もそう遠くないかもしれんでゲコ。楽しみでゲコ~。

(マスター★5 ゴコク)

 

百竜夜行があった時期には、カムラの里出身の現役のハンターは主人公しかいなかっただけに、今後のタイシのハンターデビューやアヤメの現役復帰など、ハンターの新たな旅立ちの萌芽が見られる今のカムラは、ゴコクにとっては一層ワクワクするような状況です。彼らがいずれ主人公の良きライバルとなって、互いに切磋琢磨し合いながら更に成長してゆく姿を、ゴコクは楽しみにしているのでしょうね。

 

……さて、そんな感じで成長めざましいタイシではあるものの、ウツシ教官の教えに対する吸収力が高すぎるあまり、サンブレイクでは少しヒヤヒヤするような場面もあったりなかったり。

 

センパーイ! おかえりッス! 聞いたッスよ! 王国のすごく強いモンスターを討伐したらしいッスね!?

センパイは、里にいたときからすごかったッスけど、最近ますます、すげぇッスね…!

自分も、センパイ目指してがんばるッス! まずは、うさ団子をいっぱい食べて体力をつけるッス!

よーし、今日の目標本数は「ヒノエさんが朝食後に食べてた本数」ッス! がんばるッス…!

(マスター★5 タイシ)

 

いや待て待て待て。食べ物の量をヒノエ基準で考えるのはやめた方がいいって絶対。自分に合った量を食べないとお腹壊しちゃうよタイシくん。……とは言いつつ、ここで気になるのは「朝食後に食べた本数」という点。空腹時ではなく「朝ご飯を食べてお腹を満たした後に食べるうさ団子」はひょっとすると、ヒノエさんのお団子本数界隈(?)の中では比較的少なめなのかもしれません。栄養満点のうさ団子を食べて健康な身体作りをするにおいて、実はちょうどよい目標設定だったりするのかも……? いや、でもヒノエさんだしなぁ……。

 

あっセンパイ! おかえりッス! エルガドでの仕事は、落ち着いたんッスか?

自分はッスね、今からゼンチ先生と一緒に お昼寝をするッス!

なんてったって、ハンターの基本は「よく食べて」「よく寝る」ッスもんね!

センパイも一緒にどうッスか? 屋根の上、気持ちいいッスよ!

(マスター★6 タイシ)

 

続いて、ゼンチと一緒にお昼寝をしようとするタイシくん。お昼寝はとても気持ちいいですし、午前中の疲れを取って午後の訓練への集中力を向上させることにも繋がりますから良いと思うんですが、屋根の上って危なくない……? まぁ、それを言い出したらそもそもゼンチも危ないのではという話になるのですが、アイルーで小柄なゼンチに比べてタイシはヒトですから、体格が大きいぶん屋根の上は狭くなってしまいますし、うっかり寝返りをうって斜面を転がり落ちようものなら大惨事になってしまう恐れもあります。無事を祈る……!

 

さて、そんな躍進めざましいタイシくん。サンブレイクに入り、遂に王国騎士としての身分を明かしたロンディーネに対しても、目を輝かせています。

 

自分、全然知らなかったんッスけど ロンディーネさんって王国の騎士様だったんッスね!?

ロンディーネさん、身のこなしに隙がなくて 勉強になるなぁって思ってたんスよね! 王国の騎士様だなんて、びっくりッス!

みんな、前から知ってたッスか? 自分にも教えてほしかったッス!!

…で、王国の騎士様って どういう人たちなんッス? ハンターとはどう違うんッス?

(マスター★2 タイシ)

 

交易商として里を訪れたロンディーネの本来の目的に関して里として静観の姿勢を取るにあたって、子どもたちにまでそれを詳しく伝えてしまうと彼女が怪しいということを本人の前で口を滑らせてしまう可能性が高いですから、情報を共有する範囲を敢えて限定していた……ということではあると思うのですが、それでもなおロンディーネの立ち振る舞いからハンターとしての学びを得られると感じた辺り、タイシの嗅覚はさすがです。

 

王国とカムラの里の絆はこれからも永く続いていくでしょうから、いずれタイシが正式にハンターになった暁には、彼自身の目で王国騎士たちの姿を目に焼き付けてほしいところ。色々なものを素直に吸収して成長してゆく、彼の今後のステップアップが非常に楽しみですね。

 

それから、ウツシがタイシに訓練で行っているモンスターのモノマネのラインナップにも、王国領で出現するモンスターが追加されています。

 

この前、ウツシ教官が、気分転換にってエルガド近辺に出現したっていうモンスターの模擬訓練をしてくれたッス!

もちろんウツシ教官のモノマネで、ッスよ! ガランゴルム、迫力満点だったッス!

自分はガランゴルムを見たことがないッスけど ウツシ教官のモノマネは いっつも本物そっくりッスからね!

いやぁ、正直、すげぇ怖かったッス! きっと本物も、あんな風に腕が太くて、腕力があって…。

センパイはあのモンスターも 狩猟したんッスよね! ほんと、すげぇッス! 尊敬ッス!

(マスター★3 タイシ)

 

ジンオウガのモノマネをフクズクに本物だと勘違いされている時点でもはやツッコむべきではないのかもしれませんが、ウツシ教官の腕どうなってるの? 「腕力がある」という部分に関しては、ウツシ教官も鍛えていますから特におかしなところはないのですが、問題は「腕が太くて」の方ですよ。

 

いったい人間の腕をガランゴルム並みに太くするって何……? という話。ガランゴルムの両腕を模したぶっといアームカバーみたいなのを自作して両腕につけていたのか、それともウツシ教官自身がなんかこう自身の腕の筋肉を隆起させて太くさせていたのか……。せめて前者であってほしいものですが、ウツシ教官のモノマネの実力を考えると後者の可能性を否定できないのが困るところ。

 

ウツシ教官の行動に関して、さらに不審さを感じさせるのが次の会話。

 

センパイセンパイ! 向こうでも大活躍らしいッスね! ウツシ教官から聞いてるッスよ!

ビシュテンゴ亜種を狩った話も、アンジャナフを狩った話も…さすがッス! めっちゃくちゃカッコよかったッス!

特に、ルナガロンを狩った話はしびれたッスー! ウツシ教官の臨場感あふれる語りがまたウマいんッスよ!

(マスター★4 タイシ)

 

ウツシ教官はなんで主人公の狩りのことをそんなに知っているんだろう……? まぁ、ここで挙げられているビシュテンゴ亜種やアンジャナフ、他にも王域三公やエスピナスなどはいずれも緊急クエストとして発行された重要任務ですから、里と王国との連携という点において連絡役のウツシ教官にも情報としては伝わっている、というのはまだ分かります。

 

疑問なのはウツシ教官自身がこれらの緊急クエストに同行しているわけではないにも関わらず、どうしてそれほど臨場感のある解説ができるのかという点。ハモンが「ウツシはもう少し弟子離れをした方がいい」と言っていたことを鑑みると、ここで一つの説が浮上します。

 

「ウツシ教官、主人公の緊急クエストに全てこっそり後をつけて見守っている説」

 

ウツシ教官は基本的に誠実な人物ですから、自分の目で見ていないことについて話を盛るような人には思えません。タイシがこれまた天性の聞き上手で、主人公の活躍に興味津々で面白そうに話に耳を傾けてくれるのが、愛弟子のことを自慢したがりのウツシ教官と相性が噛み合いすぎていて語りがヒートアップしているところもあるようには思うのですが、それにしてもタイシに喜んでもらうために、ウツシが自分で話を作っているということはないでしょう。

 

そうなると、やはりウツシは緊急クエスト毎に主人公の行き先を聞いて、こっそりと狩場についてきているとしか考えられないような……? 愛弟子の成長を見届けたい、安否が気になってしまうといった気持ちはよく分かりますし、そういう所も含めて師匠に恵まれているなぁと思うのですが、これからは師匠に大事に見守られている弟子というだけではなく、「弟子を大切にするウツシ教官が心の底から信頼して送り出してくれた」という形でウツシ教官にとっての特別な弟子でありたい、という気持ちもありますから、ここらで主人公とウツシの師弟関係が一段ステップアップしていけるとよいですね。きっと弟弟子のタイシにとっても、そうした2人の関係は一つの良い道標となるはずです。

 

ところで、現在のカムラの里において、正規ハンターおよびハンター訓練中の者でウツシ教官の弟子であると言える人物は、主人公、アヤメ(復帰訓練)、そしてタイシの3名となっています。しかしながら、今後カムラの里と外の地域との行き来も増え、王国との交流も盛んになっていくとあれば、英雄である猛き炎を育てたウツシ教官に弟子入り志願をする人々が、さらに周辺各地から集まってきそうな予感。そして、ウツシがそれをキャパオーバーという理由で断れるようにも思えません。

 

ウツシに今よりも多くの弟子ができれば、ハモンの言っていたような「弟子離れ」に一歩近づくかもしれない……反面、ウツシ教官との距離が少し遠くなってしまうようで、それはそれでなんだか寂しい気持ちも湧いてきます。

 

しかしながら、そんな筆者のようなウツシ教官ファンの皆さまに朗報

 

やあ、我が愛弟子! キミは本当に、俺の想像を超えたはるか高みにまでのぼっていくね…!

いつまでもキミの師匠でいられるよう 俺もがんばらないといけないね!

がんばった結果、強くなりすぎて 弟子入り志願者が殺到したらどうしようかな…!?

あ、でも安心してほしい! 何人、弟子が増えようと キミはずっと特別な愛弟子だからね!

(マスター★6 ウツシ)

 

ウツシ教官にとっても、カムラの里と王国の危機を共に乗り越えた愛弟子である主人公はかけがえのない存在であるらしく、これからどれだけ弟子が増えようとも、今までの師弟の絆は変わることはない、と誓ってくれます。ウツシ教官は基本的にどんな人にも分け隔てなく接する実直な人物ですが、そんな師匠にとっての「特別」になることができたというのは、ウツシファンとしてはたまらなく嬉しい台詞なのです……!

 

4.インドア派ハンター(?)ハネナガさん

 

よう、今日も狩ってるか? 次はどこへ狩りに行くんだ?

え? 王国からの依頼を受けて 王国の拠点へ調査に向かう…?

なるほど、カムラの里のハンターの名声は 遠く王国にまで届いていたか。すごいことじゃないか。がんばれよ。

それにしても、王国がわざわざこちらで調査をするとは…ただ事ではなさそうだな。

(エルガド出発前 ハネナガ)

 

最後は先輩ハンターのハネナガ。ライズ時代にもお話ししたように、他の地域からカムラの里に拠点を移してきた彼は(一応)主人公の先輩ハンターになるのですが、出かけるのを何かと面倒くさがってしまうというのんびり屋な性格から、なかなかハンターランクが上がらないという状況にある人物です。とはいえそれで後輩に抜かれるのをイヤがったりするというようなことはなく、満を持して王国に招かれた主人公のことも、こうして気持ちよく送り出してくれます。

 

ハネナガはライズ時代から、居心地のよいカムラの里に「永住したい」と言っていましたが、サンブレイクに入ってからは里の仲間との絡みも多く、すっかりカムラの里に馴染んできている様子です。

 

王国域のモンスターがこっちの大陸に現れて 王国騎士と調査をするって聞いたときには アンタも大変だなと思ったけど…

そもそもアンタは、この里で育ってこの里で揉まれたハンターだもんな。王国でもどこででもやっていけそうだ。

まあ、たまにはこうやって帰ってきて みんなに元気な姿を見せてやれよ。きっと心配してるだろうからな。

そりゃみんなアンタの腕は信頼してるさ。それでも、どうしても気になってしまう… そういうもんさ。

(マスター★3 ハネナガ)

 

遠くエルガドで狩猟する主人公について、里の皆の心の裡を代弁するハネナガ。「主人公が心配だ」という気持ちは、里の皆は意外と主人公本人に伝えづらいものなんですよね。里の家族として無事を祈る気持ち、必ず帰ってきて欲しいという気持ちはあっても、それを言葉にしてしまうことは、ともすれば共に百竜夜行を乗り越えてきた主人公の実力を信頼していないということになってしまうのではないか――という、何かを話すことは別の何かを話さないことであるという言葉の不自由さに悩むのです。

 

ですから、自分自身もカムラの里に順調に馴染みつつ(ハネナガも今やカムラの里の家族の一員ですし、百竜夜行では共に防衛をしてくれた仲間です)、かつ元々は里の外の出身でカムラの里を客観的に見ることもできる位置にあるハネナガのような人物が、カムラの里の仲間の表裏一体の気持ちを代弁してくれることは、とても大事なことだったりするんですよね(彼自身も、この台詞では自身のそうした役割にやや自覚的であるような気がします)。

 

さて、そんなハネナガはカムラの里では特に加工屋の仲間との関わりが深く、以前からオトモ広場の橋の横以外に、加工屋の受付の前にもしばしば足を運んでいる光景が見られますね。最近は特に、王国のモンスターの素材を使ったハモンの武具に強い関心を寄せています。

 

いやー、ハモンさんはすごいよ。だってもう、王国のモンスターの素材を使った装備が並んでるんだ。

腕ももちろんだけどさ、こうやってどんどん新しいものを取り入れていくの、ほんとにかっこいいよなぁ。

新しい装備がまたイイんだよ。オレも欲しいなぁ…でも、素材がなぁ…集められる気がしないんだよなぁ…。

(マスター★4 ハネナガ)

 

既に卓越した技術を持ちながらも未だ学びを続けていく、カムラの里の職人の中核たるハモンを尊敬するハネナガ。自身もそんなハモン作の防具が欲しいと思っているようなのですが、彼のハンターとしての最大の弱点である出不精は未だに変わっていないようで、「素材を集められる気がしない」という矛盾に悩まされています。インドア派の猛者極まれり。

 

ハネナガはハンターとしては、ライズ時代にはイブシマキヒコの存在にいち早く言及するなど実はかなりのセンスの片鱗を見せていたりするのですが、いかんせんクエストに出向くのを面倒くさがってしまう性格のゆえに、なかなかその本領発揮が見られないのです。主人公とは一緒に狩猟に行く約束をしていましたが、王国の件でまたその機会も遠ざかってしまいましたからね……。

 

それでも、王国で活躍する主人公を見習って、自分もちゃんと狩りに行きたいと意気込むシーンもあります。

 

よう。おかえり。元気そうだな。聞いてるぞ。王国のモンスターもバンバン狩ってるって!

もうすっかり一流のハンターだな。里どころか、大陸一のハンターって言ってもいいんじゃないか?

いやー、オレも見習わないとな。そろそろ、狩りにでも行くか。でも、もうちょっと準備してからな。

(マスター★6 ハネナガ)

 

ハネナガさん、単に出不精なだけというよりは、狩りに行く前に色々準備したい性格も兼ねている感じなのかなぁ。もちろん、準備が足りないよりは十分である方がよいですから、その心がけ自体は悪いことではないのですが、それが過剰になってしまうと、実際に狩猟に踏み出すまでがなかなか遠い……ということになってしまいます。

 

先ほどハモンの防具が欲しいけど素材が……みたいなことを言っていたように、モンハンはそのモンスターを有利に狩るための武具がそのモンスターの素材から作れるという世界ですから、事前に万全の準備をしたいタイプにとっては最初に一通り装備を揃えるまでの壁がつらいというのは確かにそうかも。ハネナガにも、最初の一歩を踏み出す勇気がいずれ降ってくるといいですね。

 

それから、最後におまけを一つ。ハネナガは加工屋見習いのミハバのカウンターの近くにいることが多いこともあってか、特に彼とは普段から親交が深いようなのですが、カムラの里で起きたある出来事において、ハネナガはミハバの命の恩人であったりするのです。

 

この前、酔っぱらったミハバがカジカと一緒に魚を捕りに行く! って服を脱ぎだしたから、慌てて止めたよ。

カジカは何で止めるのかって不思議そうな顔してたけど、そりゃ、なあ…?

まあ、どっちにしろ 酒飲んだ状態で泳ぐなんて、危ないから絶対ダメだけどな。

酒は控えめにした方がいいな。うん。オレも気をつけようっと…。

(マスター★5 ハネナガ)

 

何やってんすかミハバさん。……こちらのエピソード、おそらく以前加工屋の仲間たちの記事で紹介したエピソードの裏話でしょうね。元々その事件当日の夜はミハバは集会所でヒノエさん達のガールズトークを眺めながら随分と深酒をしてしまっており、上の画像でハネナガの隣にいるミハバに話しかけると、普通の声量で話しかけられるだけで頭痛がしてしまうほどガッツリ二日酔いになってしまっている、という話を聞くことができます。

 

それがまさか、ただお酒を飲み過ぎたというだけではなく服を脱いで川に飛び込もうとすらしていたとは……。もし酔っぱらって全裸になっている姿を万が一にもヒノエさんに見られようものなら、お互いの心に癒し難い傷が残ってしまうところでした。ひとまずハネナガの制止のおかげで命が無事であったことと、ヒノエさんに嫌われるような結果にならなかったことに、ミハバは感謝しなくてはいけません。いや本当によかった……色々な意味で。

 

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ということで、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の動画でお会いしましょう!