サンブレイク最新情報からいろいろ妄想しようの会

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3月15日、大々的に発表されたサンブレイク最新映像。新拠点エルガドや新キャラクター、「王域三公」と呼ばれる新モンスターたち、ライゼクスの復刻など盛りだくさんの内容でしたね。そして既に各所でも話題になっているように、今出ている情報の中だけでもライズや過去作との繋がりを推測させるようなものもちらほら。

 

www.youtube.com

 

そこで、本記事では特に新キャラクターのことを中心に、私が気になったもののいくつかを考察していきたいと思います。……が、最初にお断りしておきますと、ライズで既出の情報はともかく、新要素や新キャラに関してはまだほとんど詳しい情報が公開されていない以上、考察といってもどうしても推測の上に更に推測を重ねるという性格のものにならざるを得ません。それをご了承いただいたうえで、せいぜい話半分くらいで聞くという気持ちでお読みいただければ幸いです。

 

なお、公式サイトの画像は基本的に転載して本サイトで使用することはできない関係で、考察の途中で「公式サイトの画像を見て下さい」という感じで少し誘導を行うことがあります。以下にサンブレイク公式HPのリンクを貼っておきますので、適宜ご参照ください。

 

www.monsterhunter.com

 

ーーーーーもくじーーーーー

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1.チッチェとヨモギ、オボロとカゲロウ

 

新キャラクターでバリバリ気になっているのは、何と言ってもまずはチッチェとオボロの2人です。

 

 

チッチェは「エルガドでは受付嬢を務めているが、本当は非常に高貴な身分にある人物らしい」ということが分かっていて、それが同じく「幼い頃にどこか別の国からカムラの里に連れられてきており、本当はその国で貴族や王族の身分なのではないか」とされている、カムラの里の茶屋の看板娘・ヨモギと関連付けられているポイントです。

 

 

もう一人のオボロは、彼が身にまとっている服に縫い付けられている何かの紋章が、カゲロウの服にも同様のものが確認されているという点でカゲロウとの関連が推測されているキャラクターです。オボロの立ち絵の画像と、以下のカゲロウの画像を比べてみて下さい。

 

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この紋章が「彼らの国の国章」等であるという解釈は十分にありえますし、そうであればオボロとカゲロウの間に繋がりがある可能性も更に高まります。また彼らの名前にしても「朧」「陽炎」であり、この2つの言葉には「物がはっきりと見えない気象現象」という共通点がありますから、なおさら彼らの関係を示唆しているもの―—ひいてはそこに何らかの影をも感じさせるもの―—と受け取ることができます。

 

ヨモギとチッチェの方については、「本当は姉妹やいとこなのではないか」というのがサンブレイク予想の現在の主流という所でしょうか。私としてもこの2人には何らかの繋がりはあるだろうと踏んでいる……というか期待しているのですが、一方で現状この2人の共通点は年代の近さと、「本当は高貴な身分である」という点のみであり、彼女たちが何らかの血縁関係にあるのかどうか、ということは、今の段階では私も断定をすることはできません。

 

しかしながら、以前のカゲロウとヨモギの記事を参考にしつつ、「もしヨモギとチッチェが本当は姉妹である」という線の可能性や、オボロの人物像や彼とカゲロウ、チッチェの関係、公開されている他の要素の解釈はどのようになるのか……というのを色々と考察することは有意義だと思いますので、本記事ではその方針で考察を書いていきたいと思います。

 

そのことを考えるにあたってはまず、ライズの時点で判明しているカゲロウとヨモギの来歴を整理した上で、カゲロウとオボロの関係も同時に考慮していく必要があるでしょう。

 

mhrisecharacter.hatenadiary.jp

 

詳細なことは上記の記事に譲りますが、カゲロウ本人やカムラの里の住民たちの話から、カゲロウとヨモギの大方の来歴と考えられているものをまずここでおさらいしておきます。参考として、上記の考察記事の起点となった、情報屋フカシギの次の台詞だけでもこちらに引用しておきましょう。

 

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ニャンとフカシギ、謎の情報屋、ただいま参上…だニャ。

フム、ではカムラの里の裏情報…「すぺしゃる」のうちの1つをオヌシに伝えようではニャいか…。

茶屋のヨモギちゃんは…。

じつは…。

その出自に、本人も知らない秘密があるのニャ…。

まあ、これはカムラの里のものでもほとんどが知らニャい情報なので、くれぐれも取り扱い注意ニャのだが…。

ヨモギちゃんは、赤ん坊の頃、竜人族のハンターに連れられてきて この里で保護されたのニャ。

その後、竜人族のハンターは行方知れず。ヨモギちゃんは里に引き取られて現在にいたる…というわけニャ。

彼女が何者で、どういう経緯で里に来たかはフゲン殿とゴコク様、それにヒノエちゃんとミノトちゃんしか知らないニャ。

ただ、ワシは感じるのニャ…。

ヨモギちゃんから漂う、「やんごとなき」雰囲気…。すなわち並ではない尊さ、高貴さを…。

もしかしたら、どこぞの貴族…。いや、それ以上の…。

おっと、推測はこれくらいにしておくニャ。

……ニャんとも驚愕の情報だったニャ。では、2つの「すぺしゃる」な情報のうちの1つは、これにて終了だニャ。

(里☆6 フカシギ)

 

この台詞の内容を軸に、他の様々な会話から得られる情報と併せて考察されたカゲロウとヨモギの来歴は次の通りです。

 

カゲロウは十数年前に遠い国からカムラの里に流れ着き、それ以来雑貨屋を営んでいる人物ですが、それ以前には彼は、彼の母国で凄腕のハンターとして活躍していた人物。

 

十数年前に彼の母国はモンスターによる何らかの災いに見舞われる事態になったのですが、その際カゲロウはまず、彼の国の王族の子孫――簡潔に言えばお姫様であったヨモギ(当時はまだ赤ん坊でした)を連れて、自国の災いの及ばない安全な場所まで―—つまりカムラの里まではるばる足を運び、災いが収束するまでヨモギを預かってもらうという行動を取りました。

 

彼はその後再び母国に戻って奮戦するも力及ばず、けっきょく彼の母国は滅んでしまう結果となり、彼自身も戦いで深い傷を負ったまま、ヨモギを預けていたカムラの里まで流れ着いてどうにか一命を取りとめます。そして、今さらヨモギを連れて失われた母国に帰るわけにもいかず、自責の念を込めて自らの顔に札を付け素性を隠したまま、カムラの里でヨモギが元気に育っていくのを見守っていくことにした………というのが、カゲロウとヨモギの大方の来歴として推察されているところです。

 

まあ、厳密に言うとその辺りのカゲロウの心理などは筆者の主観が多く入っているのですが、少なくとも「竜人族のハンター」がカゲロウであることや、そのカゲロウの国がモンスターの災いに襲われ、滅ぼされてしまったこと、そしてその国で「貴族以上のレベルの高貴な身分」にあったとされるヨモギをカゲロウが保護してカムラの里に連れてきたことは、確定情報がない現時点では推測の域を出ないとはいっても、フカシギやカゲロウの話や彼自身の行動から概ね間違いないといってよいレベルであり、本記事ではさしあたり確定事項として扱っていきたいと思っています。

 

カゲロウも「騎士」のように王家直属のポジションだったのかどうかは分かりませんが、そうであったにしてもあるいは偶然だったにしても、ひとまずカゲロウがヨモギを保護のために連れてきたことについてはほぼ間違いありません。

 

ここに「オボロはカゲロウと同じ国の出身である」という線を加えると、オボロもまた十数年前にカゲロウと共に災いと相対したハンターだった、あるいはオボロ自身はハンターではなかったり、あるいはカゲロウと知り合いという訳でもなかったとしても、少なくともカゲロウとは共に祖国の災いを経験した関係ではあり、そして彼もまた祖国を失った身であるということになります。

 

もしカゲロウやオボロの母国が滅んだ災いもまた、サンブレイクで登場する王域三公や、モンスターたちの異変の裏に潜む未知の何者かの影響がもたらした結果であるとするならば、オボロが観測拠点エルガドを自分の仕事を拠点として選んでいることには、ひょっとすると「自分の祖国が滅ぼされた原因を掴み、同じ悲劇が繰り返されないようにするために、自分も雑貨屋として力になりたい」という動機もある、という可能性もあるのかもしれません(もちろん、エルガドの調査内容とカゲロウの国を襲った災いに直接の関連がなく、オボロは元々は移住先として、あるいは人材収集の一環でフィオレーネ辺りに招待されてエルガドに来ていたという可能性もあるわけですから、深読みは禁物です)。

 

考察が難しいのはチッチェの方で、ヨモギは十数年前に滅ぼされたカゲロウの故郷の王族である」という設定の上にさらに「チッチェはヨモギと姉妹、もしくは何らかの血縁関係である」という説を仮定しようとすると、場合によってはかなり説明が複雑になっていくことになります。ヨモギとチッチェはあくまで年齢が近いことと「実は王族である」という部分が共通しているだけにすぎず、同じ王家の出身なり血縁関係なりという繋がりがあるわけではない、という推測でも全然筋として通りますし、その方が自然に見える面もあるのです。

 

が、その説の可能性が微妙なら微妙でなぜ微妙なのかという理由を説明するためにも、ヨモギとチッチェに何らかの関係があるとしたらどういうものが考えられるか、という考察にはぜひ踏み込んでいきましょう。

 

ーーー※2022年5月4日追記ーーー

 

公式から追加で発表された以下の情報を元にした、私の最新の考察を書いておきたいと思います。

 

 

公式Twitterにおいて、チッチェはロンディーネの王国の姫君であることが正式に発表されました。

 

前述のとおり、チッチェは茶屋のヨモギとの関連が予想されており、「ヨモギも王族である」と匂わせるような情報も併せて、この2人は姉妹、もしくはいとこなどの関係にあるのではないか、という予想が現在の主流となっていますが、チッチェが王国のお姫様であることが正式に確定した現時点において、チッチェとヨモギ姉妹説と「ヨモギは幼い頃にカゲロウに連れられてカムラの里に来た、そしてカゲロウ達の故郷は災いによって滅んでしまった」という説を共存させようとするならば、「ヨモギもロンディーネの国のお姫様であったが、ロンディーネの国で十数年前に災いが発生し、ヨモギは避難の為にカムラの里に連れられたので姉妹は離れ離れになった」という解釈が最も妥当であることになります。

 

その場合、「そうしたらロンディーネの国が滅んでいることになって矛盾するのではないか?」という疑問をお持ちの方もいるかもしれませんが、これについては私のシンプルな確認不足だった点もありまして。カゲロウは「遠い国から十数年前にカムラの里に流れ着いた」とフゲンから聞くことができるのですが、カゲロウ自身は自分の故郷については「自分は故郷を失った」としか言っておらず、「自分は祖国(母国)を失った」とは言っていないということを最近改めて確認しました。すなわち、一つの国家が丸ごと滅んでしまったのではなく、国家の中のいち都市が滅んだという解釈も可能であることになります。

 

したがって、「カゲロウの故郷」はロンディーネの王国領内のいち都市―—さらに言えば、かつて災いに襲われるまでは王国の首都であり、ヨモギとチッチェも暮らしていた王室があった中枢都市――であり、その都市が災いに滅ぼされた(現在は都市機能を移転していて、別の所に王室の所在がある)と考えれば、ロンディーネの国とカゲロウの故郷とは同一の国家であり、チッチェとヨモギとは姉妹であるという説を成り立たせることができます。

 

しかしながら、この仮説で考えるにしても、「なぜチッチェとヨモギは一緒に避難することにはならなかったのか」「カゲロウはなぜ王女であるヨモギを連れて国に帰らないのか」という疑問が出ることになります。前者に関しては、災いから彼女らを守るために別の地域まで避難させる際、2人同時に同じルートで避難させるのではなく分散した方が良いというリスクヘッジだったと考えれば納得できますが、後者に関してはなかなか難しいところになると思います。

 

災いとの戦いに敗れ、ヨモギを預かってもらっていたカムラの里に命からがら戻って来たカゲロウは、ゼンチに治してもらったとはいえ1年2年の療養は必要でしょうが、ヨモギを連れて帰るつもりなら、既に色々と手を打っていてもいい時期ではあるはず。

 

これについては、国家自体は滅亡したわけではなく別の場所に首都を移していたことを、カゲロウが知っていたかどうかによります。もし知らなかったのであれば、以前カゲロウの記事で考察したように、自分の国は滅んでしまったということで、その生き残りであるヨモギをカムラの里で見守って行こう、という感じでカゲロウは行動していたということで納得はいきます。

 

しかしながら、カゲロウはチッチェもどこか別の場所へ避難していることは知っているわけであり、故郷で災いと戦っていたときには王家直属の他のハンターも一緒にいたでしょうから、戦いの終わり際に「首都を放棄して別の場所に移転させる」くらいの情報がカゲロウにピンポイントで伝わっていないというのは少し考えづらく、カゲロウが「自分の国は滅んでしまった」と思い込む可能性は低そうなんですよね。

 

そしてそうなると、カゲロウがヨモギを未だに国へ連れて帰っていない、あるいは場所がわからないにしても、少なくともカゲロウの台詞を見る限りではそれを探している様子はない、というのは、王家に仕えるハンターの理屈としてはおかしい話になってしまいます。

 

それこそ「一時的に身柄を引き取ってもらったヨモギがカムラの里の皆に温かく迎えられているのを見て、災いと隣り合わせの国に今から連れて帰るよりも、カムラの里の子として育ったほうがヨモギのためなのではないかと思ったから」というような、カゲロウ自身の人としての判断というか、ある種のエゴのようなものが動機にあるとしか考えられず、そしてそれによって王位継承権をもつ姫君がひとり居なくなることで、いち国家の将来そのものを大きく変えてしまうということを、故郷を守れなかったことを深く悔いている、責任感の強いカゲロウ自身が許容するようにも思えません。

 

まあ、「移転した首都がどこにあるかわからない」という話であるならば、カゲロウがゴコクの勧めで行商になったこととの関連を言えなくもないんですよね。つまり、ゴコクが彼に行商を勧めたのは、商売をする先々で他の地域の情報収集をすることができるし、行商には彼と同じ竜人族の人も割と多そうな感じであることから、カゲロウが自らの祖国の現在の所在地やら情勢やらについて、その情報の一片でも知ることができるかもしれないという判断だった、という推測は成り立つと思います。

 

ただ、王国にもハンターズギルドがおそらく存在するであろう以上、ゴコクなりフゲンなりを介してギルドに問い合わせればその辺りのことは頑張れば調べられるような気がしないでもなく、カゲロウは行商の仕事の中で故郷のことを調べている、あるいはカゲロウは自分の祖国が丸ごと滅んだと思い込んでいるといった説はかなり怪しいというのが正直なところです。

 

そんな感じで、最新情報をもとに「チッチェとヨモギは姉妹」という説は可能性としてありそうかどうかということに関しては、「可能性は0ではなく、その解釈を明らかに誤りであると否定することはできないが、色々と矛盾する点を説明することが難しい」というのが現時点での私の結論です。

 

旧考察でも述べたように、カゲロウの故郷およびヨモギの出自と、ロンディーネの国やチッチェとは特に直接の関係がなく(したがってヨモギとチッチェは特に姉妹などでもなく)、ヨモギは既に滅亡してしまった別の国の王族の末裔で、カゲロウは幼いヨモギを見守っていくためにカムラの里に流れ着き、そこでセカンドキャリアを営んでいる、と考えた方が無理がなく、解釈としては非常に自然なんですよね。

 

そのうえで、ヒロイン的なポジションとしてヨモギとチッチェは何となく似た境遇にしたいということで「実は王族」という対比的な設定にしている、という話でも私は十分良いと思いますし、ロンディーネの国で起きているモンスターの異変の問題は、かつてヨモギとカゲロウの国を襲った災いと原因を同じくするものだった、という形で繋がりがあるというストーリーになるかもしれません。

 

カゲロウ個人の話にしても、「カゲロウの服にあるものと同じ紋章のある服を着ているオボロがエルガドにいる」というのは、カゲロウとエルガド、およびロンディーネの国とのただならぬ繋がりを予感させるものである一方で、カゲロウ自身はロンディーネに会ってみても特に何かを思い出す様子ではない―—より正確に言えば、カゲロウがロンディーネ個人のことを知らないのは当然としても、その騎士服などにすら見覚えがあるという感じでもないのですから(とはいえ、カゲロウが主人公に自分の正体を隠すために、あえて白を切ったという可能性もあるのですが)、カゲロウがどれだけエルガドの話に関わってくるのかというのは、実際かなり微妙なんですよね。

 

まあ、ヨモギをカムラの里に連れて来た竜人族のハンターがカゲロウであるというのも、作中の情報からしてほぼほぼ確定としていいだろうという気持ちはあるのですが、そうは言ってもいちおう未だ推測の域を出ないという段階ではあるのですから、あまり想像の翼を広げすぎるのも良くないかもしれません。ひとまず書いておきたいことは書いたので、ロンディーネの国やチッチェ、あるいはオボロについての情報が、今後明らかになってくるのを待つことといたしましょう。

 

また、この記事を最初に投稿した時点で書いた旧考察の部分はグレー色にしておきます。この部分は、公式から追加で発表された「チッチェは王国の王位継承権1位の姫君である」という情報によって、明確に誤りであることが確定した部分を含んでおりますので、このような対応としております。ですので以下の文章は、再び黒字になるところまで飛ばして頂いて問題ございません。もしお読みになる場合はミスリーディングがあることをご承知おきください。消してもいいといえばいいのですが、大量の文章を丸々消すのはさすがにアレなので、こういう形で残しておきたいと思います。

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血縁関係という話だけでいえば、隣国や友好国、同盟国の王族同士が、いわゆる政略結婚というような形で互いの子孫を結婚させ親戚関係になる、というのはまったく無い話でもないでしょう。チッチェはロンディーネの国のお姫様、ヨモギはかつて存在していたカゲロウの国のお姫様で、彼女たちの両親の誰かがきょうだいであり、きょうだいのうち王位継承権がない方が相手の王家に嫁いだので、結果としてチッチェとヨモギはいとこの関係である……みたいな感じで、血縁関係はあっても暮らしていた国は違った、みたいな話なのであれば、話としてはそれでキレイに完結していると言えます。

 

逆に、最も説明が難解なパターンは、チッチェとヨモギが共にカゲロウの国の王族の子孫(お姫様)であり、2人とも元はカゲロウの国の王家に生を受けてそこで暮らしていたという場合です。その場合はチッチェの方も、何らかの仕方で災いを生き延びて今に至るという来歴を持つことになるのですが、それならそれでどうやって災いを生き延びたのか、どうして近くにいたはずのヨモギと生き別れることになったのか、どうして現在エルガドの受付嬢を務めているのか……というところが疑問点として挙がってきます。

 

災いを生き延びた理由に関して言えば、ヨモギがカゲロウに連れられてカムラの里に保護されたのと同じく、チッチェも王国のハンターに、それこそもしかしたらオボロがカゲロウ同様に元ハンターであり、彼に連れられて災いの中を脱し、ロンディーネの国までたどり着いて保護された、という説明が無難なところでしょう。

 

そして彼女の祖国がそのまま滅亡してしまったとなると、もしロンディーネの国が友好国だったとするならば、その生き残りである幼いチッチェをロンディーネの国の王室がそのまま養子として引き取る、ということもあり得なくはありません。その上で、現在チッチェは受付嬢として、本人たっての希望なのか王室の社会勉強の一環なのかは分かりませんが、エルガドで調査団の一員を務めている……という感じの背景になっている、という辺りが一応の着地点になるでしょうか。

 

その場合、災禍から逃れる過程で何らかの理由で、ヨモギを保護していたカゲロウと、チッチェを保護していた別のハンターが別行動をせざるを得なくなり、2人も生き別れることになった、という説明が必要ですが、正直なところ、2人のうちヨモギだけが海を越えて保護されるところまで理由付けをしようとするのには、かなり無理のあるというか、わざとらしい説明をせざるを得ないところで、ここをクリアできない限りはこの説に説得力を持たせられません。

 

ちなみに、この場合にカゲロウは生き別れたチッチェ達の方を探しにいかないのか、という疑問もあるのですが、確かにそれはそれで一理あるものの、一方でどこに逃げ延びたのかの所在もわかっていない、既に完全に滅亡してしまった国の他の生き残りを探しあてるというのはなかなか途方もない話であり、仮に会えたところでどうするのかという話もあります。

 

ヨモギが既にカムラの里に溶け込んでいるならば、里の温かいコミュニティから無理に彼女を引き離すよりも、そのまま「カムラの里の女の子」として人生を歩んだほうが彼女のためになるかもしれない、或いはいずれ生き別れたチッチェ達を探すにしても、少なくとも彼女が大人になるまではその方が良いのではないか―—といった理由で、ヨモギと一緒に里で暮らしていくことを選ぶことは決して理屈に合わないことではありません。

 

このことを考えてみると、カゲロウがカムラの里で第2の人生を歩むにあたり、ゴコクが彼に行商人を勧めた、ということにも別の解釈があり得るかもしれません。つまり、商売に行く先々の情報網、行商人や竜人族の情報網を活かすことで、カゲロウが自らの祖国のことや、他に生き残った人たちのことについての情報を得られる可能性があるのではないか――ということを考慮して、ゴコクは行商を勧めたのかもしれません。まあ、作中でそういうことは言われておらず、完全に私の想像に過ぎませんから、あまりご信用なさいませんよう。

 

話を戻しまして、「ヨモギ・チッチェは王族の姉妹説」をとる場合に他に考えられそうなのは、ロンディーネの国とカゲロウの国というのは同一の国を指している(この場合、ヨモギもロンディーネの国の女王陛下の娘か、何らかの近親者ということになる)という解釈くらいでしょうか。

 

すなわち、ロンディーネの国で元々王室があった都市(ヨモギとチッチェもそこで暮らしていた)が災いに見舞われて滅ぼされ、そこの都市機能を別の場所に移した。その都市は―—仮にそこを首都と呼んでおきますが―—カゲロウの故郷でもあった場所であり、当時のカゲロウはその災いと戦ったが防ぎきれなかった。ロンディーネの国はかつて滅ぼされた首都の跡をエルガドを拠点にして調査している……という説です。

 

一応この場合でも、ロンディーネは人間でカゲロウは竜人族という年齢差があるため互いに面識がないこととも矛盾はないですし、カゲロウは自分の故郷のことは「故郷」としか言っていないので、ロンディーネの国の領内にカゲロウの故郷である都市も存在していた、という構図自体は可能です。特に、後述する「城塞高地」がそのカゲロウの故郷にあたるのだとすれば、カゲロウと関係がある可能性が濃厚なオボロがエルガドで仕事をしていることにも結び付き、一定の説得力を持ってきます(※この項目の最後の方に「城塞高地」の考察を含む地理についての捕捉をしてあります)

 

しかしながら、この場合にも結局「一緒にいたはずのチッチェとヨモギが同時に保護されず、ヨモギだけがカムラの里まで連れられて保護された理由づけが難しい」という壁があるのは同様です。また、仮にそのことについてもし何らかの説明ができたとしても、さらに次の問題があります。

 

つまり、カゲロウの故郷はロンディーネの国の領内にある都市の一つであるならば、国家自体が完全に滅亡したわけではなく、少なくとも他に生き残った人たちは領内の別の土地まで逃げのびています。カゲロウの視点から、「はぐれてしまった女王陛下やチッチェ様たちもどこかに避難できているかもしれない」という感じでそのことが可能性のレベルでも考慮できるのであれば、カゲロウは自分の傷が癒え次第、自分の母国が首都を移した場所を調べて自分の国の大陸まで戻り、発見できた場合にはヨモギを連れて自国に帰っているはずです。国全体が丸ごと滅んだわけではなく、女王陛下も健在であり首都機能も回復しつつあるということであれば、その所在を調べようと思えばそう難しいことではないような気がします。

 

戻ったところでまた同じ災いに遭ったらどうしよう、という心配があったとしても、それを理由にヨモギを連れて帰らないことを彼自身の独断で決めるわけはないでしょうし、ヨモギがカムラの里で幸せに育っていることを喜ぶ彼の様子からしても、カゲロウが「故郷を守れなかった自分が祖国に合わす顔がないというエゴにヨモギの人生まで巻き込む形で、ヨモギ共々カムラの里に留まった」などという可能性も考え難いものがあります(故郷を守る使命を果たせなかった自分に責任を感じているのならば、誠実な彼であれば「ヨモギのみを国に帰して自分は国を去る」という行動を取ろうとするはずだと思います)。

 

また、いずれ執筆するロンディーネの記事でも触れますが、カゲロウはオトモ広場を訪れていたロンディーネと会話をしたことを聞かせてくれる台詞があるのですが、彼女がただの商人ではなさそうということには気づいているものの、特にそれ以上の言及はありませんでした。もしカゲロウが元はロンディーネの国の所属だったのなら、彼女の騎士服に「もしや…?」と何かしらリアクションがあるはずです。

 

まあ、カゲロウが自分の過去を主人公に悟られないよう、知らないふりをしている可能性もなくはありませんが、(メタい話ですが)ライズの会話テキストの傾向を考えると、それならそれでもっと「本当は知っている」という伏線らしい伏線の台詞になっているような気もしますし、カゲロウはロンディーネの国のことを普通に知らない可能性の方が高いと思います。

 

したがって、ロンディーネの国とカゲロウの国は普通に別の国家として考えるべきであり、またいずれにしてもヨモギとチッチェは同じ国の王族ではなく、姉妹などの血縁関係にある可能性も低い、つまりヨモギはかつて存在してカゲロウの国のお姫様、チッチェはロンディーネの国のお姫様で、2人の境遇は特徴としては似ているけれども、彼女たちの出自自体には特に繋がりはないという可能性の方が高いのではないか(今後どういう設定が明かされるかはわかりませんから、あくまで可能性ですが)……というのが、実際のところの私の本音です。

 

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※「城塞高地」に関する捕捉

 

「チッチェとヨモギは血縁説」や、「ヨモギとチッチェは共に十数年前に滅んだカゲロウの国の子孫説」ないし「その2人はロンディーネの国のお姫様説」、それから「オボロとカゲロウは同郷の民であり、彼らの祖国を滅ぼした災いがエルガドの調査と繋がりがある」などの仮説の可能性を言うためには、カゲロウの国とロンディーネの国が大陸(島かもしれませんが)の中で隣国、友好国や同盟国、あるいはどちらかの国がもう片方の国の領内にあるなど、地理的に近く国同士の結びつきもある関係である、ということもほぼ前提としなければなりません。

 

その点で、サンブレイクで登場する新マップ「城塞高地」の中心にある廃墟と化した城、これがカゲロウの祖国であるという可能性について補足しておきたいと思います。

 

城塞高地はロンディーネの国の領内に存在するマップであり、単なる「城址」などではなく「城塞」という名前になっていることからも推察されるように、モンスターからの防衛に非常に力を入れていたことが分かります。全体像を見れていないので何とも言えないのですが、おそらくは国民の住居や都市機能などもほとんど城塞の防壁の中に囲い込むことで、高い国防能力を有していたという感じではないでしょうか。城正面の両脇には撃龍槍もあります(片方折れていますが、おそらくモンスターとの戦いで破損してしまったのでしょう)。

 

公式のマップ紹介も見てみましょう。

 

 

「モンスターの攻撃により廃墟と化している」という説明は、カゲロウの故郷が滅んだ原因と重なる部分を感じさせるものがある一方で、城塞の廃墟のことを「古城」と表現している部分は少し引っかかるかもしれません。つまり、十数年前に滅んだ都市の城のことを「古城」と呼ぶのかどうかという疑問です。

 

広義の意味として、誰も住まなくなった廃墟の城一般を「古城」と呼んでいいのであればカゲロウの故郷である可能性は十分あると言えますが、50年とか100年とか、比較的長い時間を経たものでなければ「古城」とは言わない、ということになると、カゲロウの故郷ではないということになります。

 

もちろん、この城塞高地はカゲロウの故郷とは直接関係なく、ロンディーネの国の領内にあるこの都市がモンスターに襲われて滅ぼされたため、あるいはこの廃墟はずっと古代の都市のものであり、そこに危険なモンスターが棲みついて根城としてしまったため調査している、という可能性もありますし、あるいはもっと昔にこの城塞都市を滅ぼした犯人と、十数年前にカゲロウの故郷を滅ぼした犯人が一緒のモンスター、という形で絡んでくる可能性も十分あるでしょう。

 

いずれにせよ考察材料が十分出揃っていない以上は分かりませんから、このマップについての更なる情報にも今後期待したいところですね。

 

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さて、この項の締めとして、ちょっとした小ネタを。公式HPの立ち絵の、新キャラクターたちに付いている「鳥の形をしたバッジ」に注目してみて下さい。ロンディーネ及び新キャラクターたちの服装を見てみると、ほぼすべてのキャラクターに「羽ばたいている鳥の胸元に宝石がある」という形のバッジがどこかしらに付いているんですね。

 

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(ロンディーネの騎士服の右胸についている鳥のバッジ)

これは恐らく、ロンディーネの国に所属し、エルガドでモンスターの調査に関わっている人たちが共通して付けているものなのだと思います。……が、よく見てみると彼らの中でオボロだけが、このバッジを唯一つけていないんですね。彼の立ち絵の服装を見ても、鳥のバッジはどこにも見当たりません。

 

オボロの場合はあくまでエルガドを拠点とする雑貨屋として調査団に協力もしているというだけで、名目上は正式に王国に所属している調査団員の一員というわけではない、ということなのかもしれませんが、ここまでの話を踏まえると別の解釈の仕方もあります。すなわち、彼は元々祖国を災いに滅ぼされて根無し草となっていたところをエルガドの調査団の一員としてスカウトされた身で、彼の情熱と忠誠心は今も彼の祖国に向いているからこそ、あくまでも「ロンディーネの国のバッジ」は付けられない……そういうポリシーがあってのことなのではないか、ということです。

 

まあ、これも筆者の悪癖である深読みではあるのですが、そういうちょっとしたポイントも、彼の来歴や現在のポジションを考察する材料になる、ということはひとまずお伝えしておきたいと思います。

 

ヨモギとチッチェ、カゲロウとオボロの関係については、後者については「服装についている紋章」や名前の共通点からしても、共に同じ国(十数年前に災いで滅ぼされている)の出身であるという可能性は高いと思います。

 

一方でヨモギとチッチェについては、ヨモギの出自が「既に滅亡したカゲロウの故郷の王族の子孫」という非常に特殊なものであることがライズ内の情報で示唆されており、そこに「ロンディーネの国の女王陛下の娘=お姫様である」ことが既に判明しているチッチェの出自を絡めようとすると、先述のようになかなか複雑な事情を想定せざるを得ません。

 

私としてもできれば何らかの繋がりを期待してはいるのですが、一方で2人はあくまで「本当な高貴な身分である」という点で来歴が似ているというだけで、彼女らの出自には特に直接の繋がりがあるというわけではない、という解釈のほうが現時点で出ている情報からするとむしろ自然であり、期待を投影しすぎないほうがよいということも念頭に置いておくべきだと思います。

 

さて、そんなところでチッチェ達の話は〆るとして、次の項に参りましょう。

 

2.加工屋のミレーネと、ロンディーネが里に来ていた目的

 

続いては、加工屋のミレーネについての考察。

 

 

彼女は、MH4の我らの団ハンターの「加工屋の娘」と同一人物(成長した姿)、もしくは彼女の血縁者なのではないかと言われている人物です。game8様がTwitterに投稿していらっしゃった比較画像が非常に分かり易かったので、こちらにも引用させて頂きます。

 

 

彼女がMH4の加工屋の娘であると考えられる更なる裏付けとしては、ロンディーネが取り扱っている交易品と、彼女の随伴者であるチーニョの絵があげられるでしょう。

 

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彼女からカムラポイントで購入できる特別な品のなかには「バルバレクォーツ」「ドンドルマリン」という鉱石があります。バルバレというのはMH4の拠点、ドンドルマというのはMH2、MH4Gの拠点となった都市であり、彼女が交易品でこれを扱っているということは、彼女はそれらの土地にも交易商として足を運んでいることになります。またチーニョが絵に描いている「撃龍船」も、MH3MH4シリーズで主人公ハンターがこれに乗って超巨大モンスターの狩猟を行う砂上船です。

 

ロンディーネたちの記事はまだこのブログで扱っていない(サンブレイクの情報が出揃ったらそれとの関連で書こうと思っていたので、近いうちに投稿しようと思います)のですが、すでに多くの方はご存知の通り、ロンディーネたちが交易商というのは仮の姿であり、ロンディーネの本当の仕事は騎士――彼女の国で、女王陛下の側近を務めるハンターがそう呼ばれています―—であり、その女王陛下の密命をうけて、カムラの里の鍛冶職人を国に招き、技術を提供してもらうことを交渉するというのが、彼女の本来の目的でした。

 

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これは、貴殿にだけ打ち明ける話だが…。
じつは私が交易商というのは、仮の姿。本当は、とある王国より女王陛下の密命を帯びてカムラの里へ来た「騎士」なのだ。

「騎士」と言っても、陛下のおそば近くに仕えるハンターをそう呼んでいるだけで、特にえらいわけでもなんでもないのだがね。

そして密命というのは、「里の鍛冶職人を我が国に呼んで。技術を提供するよう交渉をするべし」…というものだった。

…しかし、この里の方々の優しさに触れ、自分を交易商と偽って交渉するなど、誠意に欠けると思いいたったのだ。

里の技術は、お許しが出れば、我らで学んで国に持ち帰ることにしたよ。それまでは、交易商として里の為に尽くすつもりさ。

(雷神討伐後 ロンディーネ)

 

おそらくロンディーネは、彼女の国が現在取り組んでいる喫緊の課題「古龍メル・ゼナを含むモンスターの異変の調査・研究」のために、カムラの里も含めて各地を回り、協力してくれる人材や、調査・狩猟のための技術を収集するという命をうけていたのでしょう。彼女の交易品を見るにミナガルデやベルナ村などにも行っているようですから、ほぼ旧大陸じゅうを周っているようです。

 

そしておそらくミレーネは、ロンディーネがバルバレなりドンドルマなりに立ち寄った際に、武具の加工分野の人材収集において知己を得て、調査に直接参加してもらうことができた人物ということになるでしょう。ミレーネにしても、エルガドでの調査は非常によい経験になるはずです。

 

またカムラの里に関して言えば、公式サイトのキャラクター紹介にもあるように、ミレーネは「加工屋のハモンからカムラの里の技術を学んだ」ということですから、ハモンは最終的にロンディーネに里の技術を提供したことになります。里の人手のことも考えると職人が出張するわけにはいかなかったようですが、既に王国のお抱えとなった優秀な加工屋であり、エルガドの調査団の一員でもあるミレーネにハモンがカムラの里の技術を学ばせる、という形で提供することになったみたいですね。

 

ミレーネとしてもこれは非常に勉強になる機会ですし、ハモンにとっても、自分の故郷も百竜夜行に見舞われて大変な目に遭ってきたわけですから、他の国にもまた同様にモンスターの脅威があり、かつその国がその対策のために自分の技術を必要としてくれているという事情であれば、話に応じないという選択肢は当然彼にはないでしょう。

 

ハモンは元々、ロンディーネがカムラの里を訪れた意図、彼女の正体をある程度は予想がついていたらしく、それでいて彼女の誠実な人柄を評価し、「里や職人にしっかりと敬意を払っていて、無理に里から何かを持ち出すようなことはしないだろう」とその姿勢を認めています。

 

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オトモ広場にいる交易商人には会ったか? 遠い国からわざわざ、この里に商売に来たそうだ。
…まあ、あの立ち居振る舞いから察するに、ハンターであろうな。さらに、相当な身分を持つものに仕えている…と見ている。

商売に来た、というのも嘘ではなかろうが、実際の目的は、カムラの里の職人や、その技術が欲しいのであろう。

しかし、案ずるな。あの娘は、里や職人に対してしっかりと敬意を持っている。無理に何かを持ち出すようなことはせん。

それに…里の衆のほとんどが彼女の真意に気付いているにも関わらず、本人はいまだに何一つ疑わず商人になりきっている。

…ということで、「正体を暴くのはかわいそうだ」となり静観することになった。商人として話を合わせてやれ。

(里☆2 ハモン)

 

里の大半の人はロンディーネの真意に気づいていて、挙句「正体を暴くのはかわいそう」などと言われているあたり、ロンディーネが空恐ろしいレベルで嘘がつけない性格だということが分かります。ロンディーネ自身も、自分を歓迎してくれた里に身分を偽ることに良心の呵責を覚えていたと言っていて、彼女にも迷いがあったからこそ交易商としての演技には徹底を欠いたということもあるでしょうが、結果的にはかえってその方が好感を持たれたということになりますね。

 

それに主人公ハンターとしても、たとえカムラの里を離れても、これまでずっとお世話になってきた里の製鉄や加工の技術を学んだ人物がサポートしてくれるということであれば、故郷が近くにあるような感じがして頼もしいと思います。ハモンとしてもそれは望ましいところであるかもしれません。

 

まあ、そうした事情を差し引いても、カムラの里の技術を他の国の人間に伝授しまっていいのか、という話はないわけではないでしょうし、自らが誇りと厳格さをもって守り、磨き上げてきた里の伝統的な技術を―—つまり自分たちや、カムラの里の一つのアイデンティティを明け渡してよいのか、ということは、当然のリスクヘッジとして、ハモンや彼の弟子たちもまったく考えなかったわけではないでしょう。たとえロンディーネやミレーネが里に敬意を払い、提供された技術を大切に扱っていたとしても、今後それを悪いように利用する別の人間が現れないとも限らないからです。

 

しかしながら、船着場のホバシラの話によれば、カムラの里が産出する純度の高い鉄は、本来ならその製鉄技術が漏れないように気を遣うべきところであるが、そもそも技術が漏れたところでハモンの技術のレベルがあまりに高すぎるため、他の職人がそれを100%真似るのは無理であるらしいのです。

 

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カムラの里の鉄は、外の地で非常に重宝されています。交易においても、里の要といえますね。
その分、技術が漏れてしまうと大変ですし 本来なら、出荷にも非常に気をつかうところなのですが…

仮に漏れたところで、そもそもハモンさんの技術を真似できるような職人が外にいないそうです。

身近にいると気がつかないものですが、ハモンさんは本当にすごい方なのですね。

(里☆2 ホバシラ)

 

まあ、だからといって注意を払う必要がまったくないという訳ではないでしょうが、カムラの里の加工屋がレベチすぎるという特殊な事情も含めて、たとえカムラの里の技術が他の国にも伝授されていったところで、ハモンや彼の優秀な弟子たちがいるカムラの里という場所自体の価値は、決してこれからも失われることはない―—というのは、ロンディーネの交渉を承諾した一因であったと言えるでしょう(最終的には、やはりロンディーネの国の事情と、彼女の立ち振る舞いの誠実さに応えたというのが決め手だとは思いますが)。

 

ところで、ミレーネがカムラの里の技術を習得したということは、私がかつて加工屋の記事で疑問として挙げていた、「新拠点にいったらカムラ武器派生の加工はどうするのか」問題が解決されたということになります。すなわち、「カムラノ~」という名前がついているカムラ武器、それに加えて百竜武器、最近配信された里守用武器の3種類は、カムラの里の職人の技術が不可欠な武器ですが、特にカムラ武器派生は他のモンスターの武器の派生元にもなるため、ゲームの利便性を考えるとエルガドでも作製できるようにするのが必然でしょう。しかしそうなれば、カムラの里の技術で作る武器が、どうしてほかの地方の加工屋でも作れてしまうのか、という矛盾が起きてしまうという話でした。

 

以前の記事では、今まで見習いだったミハバが一人前となって出張してきてくれるのではないか、という半ば希望的観測のような予想を立てていましたが、ミレーネがカムラの里の技術を学んでいるということであれば、この問題が解消されることになります。

 

そしてもう一つ重要なことが、これでミレーネは実質的に、百竜武器の加工を行うことも出来るという点です。これは次の「百竜夜行は続投するのか」という話題とも関わることなので、ここで次の項に移るとしましょう。

 

3.百竜夜行は廃止される!?

 

サンブレイクの現在の情報を見る限りでは、マスターランクの舞台であるエルガドを拠点とした狩猟生活では、「百竜夜行」やそれと同様のコンテンツが存在しているという情報はありません。カムラの里の災禍の根源であるイブシマキヒコ・ナルハタタヒメが共に討伐されたこと、またロンディーネの話では、百竜夜行は発生する地域としない地域とがあり、彼女の国では百竜夜行は聞いたことがないという話があることから、サンブレイクをもって百竜夜行は廃止されてしまうのではないか、という可能性が浮上しています。

 

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百竜夜行か…。私の国では起こらない災禍だ。話には聞いたことがあったがね。
百竜夜行は、起こる地域と起こらない地域がある。そして数十年に一度、ある程度の周期で発生する…。

さらに、モンスターたちは種族に関係なく、群れとなって人々を襲う…。

…不可解だ。あまりに不可解な現象だ。何か解決の糸口が見つかれば、打開の道もひらけるのだろうか…。

(里☆2 ロンディーネ)

 

じっさい、百竜夜行はどうも不評の声が多いという話もあり、そんな不人気コンテンツをあえて持続させるのかという点においても、百竜夜行廃止説は一定の妥当性を持つと言えるでしょう。一方で、おそらくシステムの完成にかなりの労力と時間を割いたであろう新コンテンツが、わずか一年強の寿命で幕を閉じるというのもそれはそれで少し寂しい話です。

 

個人的に百竜夜行はソロで200回行くくらいには好きなので、完全になくなってほしくはないなぁというのが正直なところ。考える材料が少ないのでほぼ私の希望的観測にはなってしまいますが、百竜夜行の存亡(?)について考えを巡らせてみることにしましょう。

 

先日の発表で気になっていたのは、前の項の終わりにも少し触れたように、ミレーネがカムラの里の加工技術を学んだという点です。彼女のおかげでエルガドでも百竜武器の強化ができるということは、百竜加工が今後も必要になる=百竜夜行(および同様のコンテンツ)があるということに繋がるのではないか……!? とも期待できるところだったりします。

 

先日の発表での他の情報としては、電竜ライゼクスの復活というのも、百竜夜行の継続を匂わせるものであるという解釈もじっさい可能でして。本作の「百竜夜行のヌシ」は、MHXシリーズの「二つ名モンスター」との深い関連がある(モンスターのラインナップや外見、行動がもろに被っている)のですが、ライゼクスもまた「二つ名モンスター」にあたる特異個体(青電主ライゼクス)が確認されているモンスターなんですよね。青電主改めヌシ・ライゼクスと、百竜夜行で相まみえるという未来もあり得る話です(ヌシ単体クエストのシステムだけ今後も引き継いでいく、という可能性も十分にあるのですが)。

 

また、大社跡に突然ルナガロンが出現したというサンブレイクの物語の導入にしても、ルナガロンは元々生息域が広範囲とされてはいるものの、もし大社跡には本来姿を見せないはずのルナガロンがなぜか来ていた……という話なのだとしたら、少なくともモンスターを地域をまたいで移動させるだけの何らかの影響力を持った存在が、背後に何かしらいるということになります。

 

まあ、ルナガロンがロンディーネの国の地域からカムラの里まで来た、ということはさすがに無いと思いますけどね。カムラはユクモと近いと言われている以上はいわゆる旧大陸で、そこからPVのように、周りに何もない感じのガチ大海原を船で突っ切っていくわけですから、ロンディーネの国は聞いての通りの遠い異国、ひいては旧大陸ではないという事だってあり得ます。ルナガロンは飛行能力や遊泳能力がある感じではなさそうですから、さすがに自力で海は超えられません。旧大陸にもルナガロンは生息していて、それが大社跡まで来ていたというのが妥当なところでしょうか(そうなると、ロンディーネの国の地域にいる奴が海を隔てた地域まで影響を与えているということになってしまい、それもそれで説明が大変はあるのですが……)。

 

ちなみに、もし百竜夜行をマスターランクでも続投させるのであれば、それは大きく分けて2種類のルートがあると言えるでしょう。すなわち、「ロンディーネの国でも百竜夜行を発生させる何らかの存在を新たに登場させる」か、「カムラの里で再び百竜夜行が発生した、あるいはその原因となる存在が確認されたというストーリーを追加する」かのどちらかです。もしくは、カムラの里とロンディーネの国はかなり遠いので若干無理はあるものの、その2つを同時に兼ねるほどの強大な存在がいるということでもよいでしょう。

 

ただし個人的には、カムラの里側での再発というストーリーにはならないであろうと思っています。というのも、「百竜夜行が収まったのにまた別の奴が原因でカムラの里が百竜夜行に襲われる」では、結局カムラの里は「今後も別の古龍などが原因で百竜夜行が起きるかもしれない」という不安材料をこれからも抱えていくことになります。

 

そうなればモンハンライズのゴールである「百竜夜行の原因そのものを根絶し、カムラの里は今後は百竜夜行に悩まされることはない、明るい未来を手に入れた」という喜びを、一挙に無に帰すことになりかねません。「自分がこれまで戦ってきた意義=カムラの里の末永い平穏」を否定されるというのは、ライズのストーリーやカムラの里の世界観に没入していた人であればあるほど心苦しい話になるのではないでしょうか。

 

もちろん、モンハン世界においてモンスターの脅威から恒久的に解放されるということはないでしょうし、実際のところカムラの里にもまた何百年後かには、また別の原因で百竜夜行が発生する可能性は否定できません。長期的な目線で考えれば、今後また何かあっても対抗できるよう、カムラの里が里守の体制を完全に解体することは、少なくとも当分はないのではないかと思います(とはいえ里守は、百竜夜行という事情を考慮してギルドの特例で許可されていたものなので、今後どうなるかは分かりませんが)。

 

しかしながら、カムラの里を救ってからまだ1年も経ってないであろう早期の段階で、カムラの里にまた百竜夜行の脅威がやってきた! などという展開をするのは、里の人たちやプレイヤーの心情を想像するとあまり考えられないというのが私の意見です。

 

それでは、百竜夜行が他の地域で―—すなわちロンディーネの国で発生するという線についてですが、まず先の会話クリップでロンディーネが「起こる国と起こらない国とがある」と言っていたように、どうやらカムラの里以外の土地でも百竜夜行は起きるものらしい、カムラの里固有の現象ではないということは既に説明されています。

 

そして、このことを考えていく際に、百竜夜行を発生させるのは必ずしもイブシマキヒコだけではないという可能性を検討しておくべきでしょう。もちろん、全ての超大型古龍に百竜夜行を発生させる特徴があるわけではなさそうですし、カムラの里のケースでは、猛烈な嵐を巻き起こして周囲のモンスターを怯えさせ狂騒させるというイブシマキヒコの強大な風の力が百竜夜行発生のカギを握っていました。しかし、マキヒコの風の力は百竜夜行を引き起こす十分条件ではあっても、必要条件ではないということは十分にあり得ます。

 

もちろん、マキヒコとナルハタの生息域の広さがどの程度なのかは分かりませんし、他の様々な土地でも起きている百竜夜行がすべて風神龍と雷神龍が番おうとしているせいであるという可能性も否定できるものではありません。「数十年に一度、ある程度の周期」というのも、幅がある以上は他の古龍の繁殖周期であるという解釈を後乗せしても矛盾とはならない所ではあるものの、基本的にはマキヒコとナルハタの繁殖周期として説明されるべき部分だからです。

 

それに、数十年周期での百竜夜行の発生というのが元々なかった地域でも、強大な古龍がイレギュラーな行動を取るなどして周囲環境に影響を及ぼせば、一時的に百竜夜行と同じような状態が発生するという可能性も決してないわけではないでしょう。

 

それでいうと、サンブレイクで新しく登場するメル・ゼナは、最初に公開されたPV(公式youtubeのリンクを以下に貼っておきます)を見るに、彼の周りを飛んでいる赤いヤツ(蝶や蛾、あるいは本人のモティーフがドラキュラということでこれはコウモリの類なんでしょうか……正体はよくわかりません)リオレウスおびき寄せているというか、半ば意のままに操っているかのような描写がありまして、その気になれば操ったモンスターに人里を襲わせるくらいは出来そうなんですよね。

 

www.youtube.com

 

まあ、本人が十分強そうなメル・ゼナがモンスターを意図的に操って従わせる必要があるかどうかというのもありますし、操って何かをさせるというよりは自分のところまでおびき寄せて捕食しようとしている感もありますから、このPVだけではまだ断定しがたいところ。

 

そもそもこの赤いヤツだけで百竜夜行レベルの規模のモンスターを一度に動かせそうか? というのも思わなくもないところではあるのですが、もしメル・ゼナがこれをもっと大規模で行えるのであれば、メル・ゼナに操られた(あの赤いヤツが原因で狂騒状態となった)周囲の大型モンスターたちが人間の居住地を襲ってくるという仕方で、小~中規模ながら百竜夜行と同じような災いを引き起こすことは全然できなくはないだろうと思います。

 

メル・ゼナがこの赤いヤツを最大でどれくらい手駒にしているのかは分からないので何とも言えませんが、PVの後半の方を見る限りではメル・ゼナが飛行するだけで周囲に多少バラまかれるようですから、それが運悪く周囲のモンスターたちに一挙に振りかかったら、などと考えると、無い話ではありませんね。

 

余談ですが、最初にこのPVを見たとき、背後に映る赤く輝く球体を見て、「空亡(そらなき、くうぼう)ってバルファルクじゃなくてこいつなのか?」ということを考えたりもしました。空亡というのは「百鬼夜行の終わりに現れて夜明けを告げる太陽が、本当は妖怪だったら」という想像をモティーフとした妖怪のようでして、割と近年に生み出された妖怪であり、同じくカプコンが開発でモンハンライズともコラボをした「大神」にも出てくるとのこと。

 

しかしながら、よくよく考えるとメル・ゼナは吸血鬼がモティーフである以上、後ろにある天体はどう考えても月ですから、空亡モティーフはあくまでもバルファルクであり、百竜ノ淵源の後に現れて夜明けを告げる存在―—というところで話がまとまるのが妥当です。

 

が、それはそれでまたメル・ゼナは意味深な存在でして、ライズのストーリーでカムラの里での百竜夜行の根絶という「夜明け」を果たしたところに、メル・ゼナが再び「夜」を持ち込んでくるということになるわけですから、百竜行という悪夢を今度は彼が運んでくるのではないか……というのは、あながち外れている心配でもないような気がするんですよね~……。

 

それから、これはメル・ゼナや他にもサンブレイクで登場するストーリー上重要なモンスターたちと、カゲロウの祖国が滅びた原因とが関係があると仮定した場合の話なのですが、彼の台詞の中にも少し気になるポイントが。

 

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○○殿。それがしは勝手ながら、自身をあなたに重ねてみることがありました。
それがしは大いなる災いに背を向け、故郷を失った。しかしあなたは、真正面から立ち向かい、故郷を救おうと奮闘している。

神龍と雷神龍。相手は強大ですが、あなたのまっすぐな意志が、災禍をはらうと信じております。どうか、お気を付けて。

(淵源討伐前 カゲロウ)

 

細かい話ですが、自分の祖国に起きた出来事について、彼が「災い」という表現を用いていること自体が個人的に引っかかるところでして。言葉の使い方の感覚として、「災い」という言葉は一つの「存在」を指し示すというよりは、一つの「出来事」「自然災害」を指し示して使うイメージを持つ言葉ですから、1体のモンスターに単独で国を攻められたというよりもむしろ、複数のモンスターが関与してくるような謎の大規模な現象に見舞われた、というのが彼の国の滅亡の原因だったからこそ、カゲロウは「災い」という言葉を選んでいるのではないか、と勘繰れる部分でもあります。

 

彼が主人公ハンターに依頼して、「先人の遺物」を収集していたのも、カゲロウは「行商人としての識見を増やすためにそうした古い文献を読みたいと思っている」と言っており、それはそれで真実ではあるでしょうが、彼に渡すことになる手記の中には「百竜夜行」に関する情報も含まれていることを考えると、別の解釈も生まれてきます。

 

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つまり、カゲロウの国を滅ぼした災いというのも、カムラの里の百竜夜行に類似した現象であり、カゲロウは自らの母国を滅ぼした災いが何であったのかということを掴むための材料とするために、カムラの里地域の古い文献を読んで情報収集をする、というのが彼のもう一つの目的になっていたのではないかということです。

 

その線でカゲロウの他の台詞も検討してみると、彼は里を守るために災禍と戦う主人公ハンターに「かつての自分を重ねていた」とも言っていたのですが、それは主人公ハンターが昔の自分と同じ「故郷を守るために戦う」という立場にあるからというだけが理由ではなく、カムラの里が置かれた状況自体が、自らの国を滅ぼした災いの時に似ていたからという理由もあるのではないか、とも考えられることになります。

 

まあ、ミラボレアスアルバトリオンなど、単独で災いと言っていいレベルのヤバいやつも古龍界隈(?)には存在しているわけですし、私が考えすぎな部分もありますから、これもまた何とも言えない話ではあるのですが……。

 

また、今までとは少し話は変わりますが、百竜夜行が続くという話でいうと、百竜ノ淵源クリア後にも百竜夜行クエストを受注できるのはなぜか、という話。ゴコクの話によれば、これは言わばつがいの古龍余波であるということらしいです。マキヒコとナルハタが討伐されたことで、カムラの里地域で今後百竜夜行が発生する危険は無くなりましたが、つがいの古龍が存命中に発生させた百竜夜行はまだ余波として残っており、それを防衛するという名目で現在も百竜夜行のクエストを受注することができています。

 

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イブシマキヒコとナルハタタヒメはおぬしの活躍で討たれたものの…

2体の龍の威風は根強く残っとるようで… 百竜夜行が完全に収まるには少し時間がかかりそうでゲコ。

まあ、凄腕ハンターのおぬしと、カムラの里の結束があれば怖いものなし! がんばっていくでゲコ~!

(淵源討伐後 ゴコク)

 

彼らの余波がマスターランクの時期まで続いているので今後も百竜夜行は続きます、でもまあ一応理屈は通るのですが、ゴコクの話をさらに展開するのであれば、マスターランクで百竜夜行を続投する場合、引き続きカムラの里地域を舞台にする場合、新たに百竜夜行を発生させる存在というのを置かなくとも、余波で動いているモンスターをさらに煽り、せっかく収束しかけているものを増大させる存在がいる、という線もありえそうです。

 

「マキヒコとナルハタを倒したら徐々に百竜夜行が収まるはずなのに、一向になくなる気配がないんだけど?」→「別のやつが邪魔しているらしいぞ!」という展開であれば、「カムラの里の百竜夜行の原因はマキヒコとナルハタであり、それを討伐すれば百竜夜行が収束する」というライズのストーリーの根幹を崩すことなく、マスターランクのお話に合わせて百竜夜行を続投していくこともできるでしょう。

 

あるいは、未だ根強く残っているマキヒコたちの威風のエネルギーに引き寄せられた何者かが引き続きモンスターたちを狂騒させ百竜夜行を起こしている、という話でも、根本的な原因がマキヒコたちであるというところは動かさずに(つまり、あくまでもマキヒコたちの余波との戦いであるという方向性を維持したまま)、マスターランクで百竜夜行を続投させることもできそうです。

 

まあ、百竜夜行が続投するかどうかの話は、このままいくと希望的観測に基づいてひたすら可能性を列挙していくだけになってしまうので、一旦この辺にしておきましょう。いずれにしてもせっかく本作の目玉である新しい狩猟の形ということですから、より遊びやすい形にグレードアップして続投する、というのが実現すれば、個人的には最良の形と言えるのではないかと思っています。続報に期待ですね。

 

ちなみに、フィオレーネから要請を受けてエルガドに向かうフラグが立つのは「雷神」クリア後であり、「百竜ノ淵源」クリア後ではないという点について、カムラの里の災禍は解決しないまま主人公ハンターが里を離れるのか? 百竜ノ淵源はIf世界線なの? という疑問を抱いている方もいらっしゃるかと思いますが、これについては私はかなりあっさりしていて、エルガドに行くフラグのタイミングがどうであれ、「主人公ハンターは百竜ノ淵源を討伐して里を救ってからエルガドに向かっているのが正史である」という認識でよいと思っています。

 

第一には、いくらエルガドにも確かに解決すべき問題はあるとしても、カムラの里で百竜夜行が解決していないのにも関わらず、解決のキーマンである主人公ハンターをカムラの里から呼び寄せてエルガドの調査に参加させるというのはあまりにも不自然であり、非合理的だからです。

 

実直な性格のフィオレーネや、カムラの里を「第二の母国」として大切に思ってくれていて、ましてや百竜夜行の際には自ら防衛に参加したいとまで申し出たロンディーネの人柄からしても、たとえ彼女たちの本国が主人公ハンターを人材として欲しいと要請を出そうとしたところで、むしろ彼女たち自身がそれを良しとせず、カムラの里の災禍が収束するまではそちらの解決に集中してもらうべきだと上申するに違いないと思います。

 

いちおう、「雷神クリア後」というのはヒノエとミノトが再び共鳴し、つがいの古龍の行方を探っている時期ではあるので、「雷神」討伐→つがいの古龍がまだ見つからないので先にエルガドへ→しばらくして、里の方ではつがいの古龍もようやく見つかったみたいので里に戻って倒しにいきます、という時系列として考えることは可能といえば可能なのですが、それだとしても問題がないわけではありません。

 

いくらつがいの古龍を見つけるのに相応の時間がかかるからといっても、主人公がエルガドに出張した先で、例えば王域三公の狩猟中にでも負傷しようものならカムラの里にとっては大損失もいいところですし、百竜夜行との決着をつける直前の時期に里の希望である存在が里からいなくなるということが、里の人たちにとって心理的に大きくマイナスになることを考えれば、やはりこれが正史であるとは考えづらいのです。

 

開発陣としても、サンブレイクは「既にライズをプレイしてストーリーを全部クリアした人」を大きなターゲット層として設定しているでしょうし、サンブレイク公式HPの「百竜夜行を退けて里に平和が訪れた」という記述は、基本的には素直に「百竜ノ淵源を討伐してその原因を根絶した」という意味で捉えて問題ないものと思います。

 

第二に、「ゲーム上で可能な進行の仕方」と、「ゲーム内で正史と考えられる時系列」とは、あくまでも分けて考えなければならないと思うからです。エルガドに呼ばれるのが「雷神」クリア後であることに「百竜ノ淵源はエルガドよりも後ということなのか? 百竜夜行を放置してエルガドに行くのか?」とツッコミを入れるならば、それ以前にライズの上位までのストーリーの時点で「里ストーリーを放置して集会所を進めて百竜ノ淵源を討伐できる」ことがそもそもちょっと変ではないか、という話から始めなければなりません。

 

もし里ストーリーを集会所ストーリーの後回しにした場合、百竜ノ淵源を討伐した後の「余波」百竜夜行で初めてマガイマガドが登場し、これを討伐するという展開になります。ストーリーとして完全に矛盾しているわけではないものの、マガイマガドは本来なら百竜夜行が発生すれば割とすぐ動くはずなのに、百竜夜行も発生してだいぶ経ってから登場するというのはタイミング的に違和感がありますし、マガイマガドが里の仇敵とはいっても、百竜ノ淵源(集会所ED)→マガイマガド(里ED)では流石にちょっと盛り上がりの落差があると言わざるを得ません。里ストーリーをクリアして「百竜夜行のマガイマガドという危険は退けたけど、百竜夜行自体はまだまだ終わらないから頑張らないとね」ということで集会所に移行していく、というのがやはり本来の流れということになるでしょう。

 

つまりどういうことかというと、物語としての正史の時系列はあるけれども、ゲームとして必ずしもその順番に縛られない柔軟なプレイスタイルをとれるようにもしたい、というのが開発陣の意図である、というのが私の見解です。

 

ライズ時点の物語にしても、正史はあくまで里→集会所だけれども、友人と一緒に買って最初からマルチプレイをしたい人や、先に集会所側で上位装備を揃えてから効率よく里を進めたい人などのためには、先に集会所を勧められるようにもしておくのがゲームとしては親切でしょう。

 

サンブレイク狩猟解禁後にしても、正史はあくまで百竜ノ淵源→エルガドということにしておきつつ、HR7以降の集会所のモンスターでも百竜ノ淵源や奇しき赫耀のバルファルク、あるいはそれ以前のテオ・テスカトルあたりなどは、攻撃力やモーションの強さがマスターランクに片足突っ込んでいると言ってもいいレベルなのですから、集会所ストーリーでそれらのモンスターに勝てなくて詰んでいる人が、先にマスターランクで防御力の高い装備を入手してから改めてカムラの里集会所のお話を進められるように、ゲーム進行の選択肢に柔軟性を持たせる形にする……というのは、特にシリーズ初心者向けを謳う本作としては極めて妥当な構成だと思います。

 

ただし、いずれの場合も「百竜の淵源より先にエルガド」がストーリーとして完全に矛盾をきたすわけではない以上、「エルガドを先に進める人は "行方不明のつがいの古龍を捜索している間に先にエルガドに来た" と考えても問題はないよ」的な感じで、個人の進め方に応じて自分が歩んだストーリーの解釈を柔軟に変えてもよい、という形にうまく落とし込まれるのではないでしょうか。

 

神龍イブシマキヒコ、雷神龍ナルハタタヒメをそれぞれ撃退しただけでも里の英雄と呼ばれ、エルガドに招待されるには足る実績ですし、サンブレイクのストーリーやNPCの台詞も、「百竜ノ淵源未クリアのプレイヤーが聞いてもギリ違和感がない」感じに調整して、どのような進め方をしてもあまり矛盾を感じないように作るのではないかと思います。

 

その上で、本ブログのように考察やら何やらをする場合に材料とする「正史」としてはライズ-サンブレイクのストーリーはマガイマガド→百竜ノ淵源→エルガドという順番であるということで話を進めていく……という辺りが、ストーリー性とゲーム性を両立させるラインとして妥当なところではないかというのが私の見解です。

 

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さてそんなわけで、今回は最新PVから気になったことをいくつか考察してみましたが、いかがでしたでしょうか。筆者としても、公開から間もなく興奮冷めやらぬ中、ゲームもようつべも我慢して(本当は少しモンハンやったけど)三晩で22,000字以上という感じで、柄にもなく勤勉さを発揮してしまいました。まだまだ情報も少ない上に大急ぎで執筆したので、記事の議論にも色々と穴はあるかと思いますが、他の記事共々、ライズやサンブレイクの今後の考察に役立てるものが少しでも書けているようであれば幸いです。

 

ライズでは主人公ハンターはあくまでも「里の守護者」という役割が強く、里の団結の中心人物、里の英雄というポジションであり、主人公は自らのハンター人生を「カムラの里を百竜夜行から救う」という宿命と強く結びつけてきたように思います。そこから、サンブレイクでは平和が戻ったカムラの里を旅立ってエルガドの調査団に加わり、主人公の人生としては、自分のハンター個人としての今後のキャリア、世界での活躍という所も考えていく段階にステップアップしていく……ということになるわけで、主人公の中のアイデンティティや、「ハンター」という存在の捉え方が明確に動くことにもなるわけですね(主人公は喋らないのでその心境は不明ですが)。

 

そして同時に、カムラの里は百竜夜行の危険がなくなったことで警戒令を解き、観光客や里を拠点とするハンターが増えて人の行き交いも再び盛んになっていくでしょうし、ハモンがミレーネに技術を学ばせたように、他の国との交流も徐々に広がっていくことになるでしょう。まるで日本が鎖国を解いて国際化していく様子のよう……というと、まあ色々と事情が違いますから比喩として必ずしも正しいかはわかりませんが、いずれにしても一層活気に満ちたカムラの里を見られる日が楽しみです。

 

ただ、個人的にはカムラの里にものすごーーく思い入れがあるだけに、里を離れるのが寂しかったりもするんですよね。たとえ遥か遠くの異国にいても自分たちは家族だし、みんな心の中で応援してくれている……と思うけれど、やっぱり寂しいものは寂しい。そんな望郷の念ゆえの、ある意味では少しおかしな(カムラの里がずっと平和であってほしいという気持ちとは矛盾した)願望ではありますが、サンブレイクでもストーリーのどこかでカムラの里地域が狩猟の舞台となって、もしくはカムラの里にも重要な出番があって、再び「里の英雄」として、里のみんなと一緒に困難を乗り越えていく機会があったらいいな……と、密かに思っていたりします。なんならアマツマガツチとか出してもいいんですよ?

 

そんなわけで、サンブレイクストーリー妄想記事はこの辺りで〆としたいと思います。ここまでお読み頂きありがとうございました。また別の記事でお会いいたしましょう!