エルガドの最終兵器? ヘルブラザーズの観測拠点滞在記

※注意事項※

・本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」全編および、一部シリーズ他作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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本記事では流れのハンター・黒鬼赤鬼について取り上げていきます。モンハンシリーズで常連のNPCであり、「ヘルブラザーズ」という通称でもプレイヤーに親しまれている彼らは、実はシリーズ屈指の凄腕ハンター。自らを最強コンビと豪語する一方で何かにつけてクエストに行かないことも多く、一見すると「口だけなんじゃないの?」と思われがちな彼らですが、モンハン世界屈指の実力者である古龍たち、果ては超巨大モンスターのラオシャンロン亜種とも渡り合った経験があると言われています。……が、やはり諸々の不運変な理由のためにまるでクエストに行く様子がないのが彼らをコミカルキャラたらしめている所以でして、本記事ではそんな彼らの観測拠点エルガドでのハンターライフ(?)に迫っていきたいと思います。

 

ーーーー目次ーーーー

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1.泣く子も黙る最強コンビ! ………ホントに?

 

ほう、この最強コンビ・黒鬼と赤鬼を前にビビる様子も見せねえとはな。その気合い、大したモンだ。

…そうか、騎士団の連中が言ってたのは貴様のことだな?

それなりの腕前らしいが、同じやり方がここでも通用するなんて思わねえことだぜ。

なに、心配なんざいらねえさ。いくら貴様が力不足でも、エルガドにはこの俺たちがいるからな! バハハハハ!

(エルガド到着直後 黒鬼)

 

まずは初対面時の台詞から。数多の古龍クラスのモンスターの狩猟経験があり、エルガドに集うハンター達の中でも群を抜いてトップクラスの実績とキャリアを持つヘルブラザーズにとっては、風神龍や雷神龍と渡り合いカムラの里の百竜夜行を根絶せしめた主人公をもってしても、このように未だ「ヒヨッ子ハンター」レベルという扱い。先述のとおり、自ら「最強コンビ」と言い張る自信家な発言が特徴的で、その言に違わぬ高い実力を秘めているハンターです。

 

これは主人公の先輩ハンターとして、エルガドでの活躍に非常に期待がかかるところ……なのですが、シリーズ恒例の要素というべきか、彼らの活躍は滅多にお目にかかることのできないものとなっています。そもそも彼らはクエストに出向く頻度自体がそれほど高くないようでして、クエストは舞い込んで来れども度々何かにつけて行けないor行かない理由があるということでパスをしてしまうため、彼らのエルガドでのハンター活動についての話を聞く機会は残念ながら非常に乏しいものとなっています。それらのクエストに行かない理由の一つには、例えば次のようなものがあります。

 

やれやれ、また相棒の"団子待ち"かよ。こうなると長いんだ、コイツは。

ま、俺達の大活躍っていうお楽しみをあとに取っておくと思えば、ちょっとくらいは待てなくもねえが…。

そういうワケだ。期待してるところ悪いが、貴様に本物の狩りってモンを見せるのは、またの機会だな! バハハハハ!

(エルガド到着直後 黒鬼)

 

ここエルガドでは、クエストに赴くハンターは出発前に茶屋でうさ団子を頂くわけですが、黒鬼の相棒であるところの赤鬼がこのうさ団子の魔力にすっかり魅せられてしまい、茶屋で大量のお団子を注文しては、それを全て食べ終わってからでないとクエストに出発しないということが日常茶飯事と化しているご様子。「こうなると長い」ということは、赤鬼は大食いではあっても決して早食いというわけではないようですから、毎日50本のうさ団子を注文しているヒノエの食事量に勝るとも劣らぬ山盛りのお団子を全てお腹に納めるには、かなりの時間がかかりそうです。それでいてなぜそこまで胸を張れるのかは謎ですが、赤鬼の話も聞いてみましょう。

 

なんだ? 貴様、エルガドじゃあ見ねえ顔だな。

なら、この貴様が最強のハンターとして新顔に1つ、いいことを教えてやる。

まだ知らねえだろうけどな、この団子ってやつ…どえらくウマいッ!

最近じゃあ、こいつを食いたくてクエストを受けてるようなモンだぜ。…なんてな! ドハハハハ!

(エルガド到着直後 赤鬼)

 

初対面でいきなりうさ団子の美味しさを力説してくる赤鬼。「まだ知らねえだろうけどな…」とかましている相手がよりにもよってそのうさ団子の発祥の地であるカムラの里の出身であるという偶然を引き当てているところから、既にどことなくネタキャラの香りが漂ってきています(主人公の故郷の名物が褒められることは嬉しいのですが)。うさ団子のあまりの美味しさに、お団子を食べるためにクエストを受けているようなものだと彼は嬉々として語っていますが、これから狩りで身体を動かすというときに、そんな量の食事を取ってしまっては、身体が動かないのでは……?

 

おい相棒…この前みたいに食いすぎで立ち上がれねえ、なんてことは勘弁だぜ。

それとも、たまにはこのヒヨッ子に出番をやらねえと気の毒だってか? バハハハハ! そいつは違えねえ!

(エルガド到着直後 黒鬼)

 

やっぱり……。うさ団子を食べるためにクエストを受けたと言いつつ結局食べ過ぎてクエストに行けなかったというのでは、それはもうただうさ団子を食べている人なんよ。……で、お団子を食べすぎて動けなかったのは「この前」の出来事のようなのですが、彼らのテーブルに常に並んでいるお団子の本数(+完食済みの大皿たち)も客観的に見ればどう考えても「食いすぎ」の部類であり、赤鬼がフードファイター並みの鉄の胃袋を持っていたとて、これを食べ切った後にきちんと武器を振るって狩猟ができる体調になっているのかというと、甚だ疑問が残るところ。

 

「たまには他のハンターに出番を譲ってやらあ」と黒鬼のだいぶ無理がある好意的解釈は続きますが、ふだん赤鬼が食べているお団子の量を見るに、お腹いっぱいで動けないのは「たまに」どころか、けっこうな頻度で発生している可能性が高そうな気配です。しかしながら、それでもなおうさ団子を頬張る赤鬼の手が止まることはなく、狩猟そっちのけでよりよいお団子の味わい方を探求する姿は、まさにお団子研究家。将来的には赤鬼のお団子バズレシピみたいなコーナーが作れるかもしれません(?)。

 

(マスター★3 赤鬼)

大量のうさ団子と共にいつも茶屋のテーブルの一角を占拠しているヘルブラザーズはもはや一種のエルガド名物のような光景になっており、近くのテーブルに座っている歴史学者のパサパトも、「見ているだけでお腹いっぱいになってくる」と言っています。

 

(マスター★2 パサパト)

で、このように彼らは一体いつクエストに行っているのかという感じですから、彼らのことをよく知らない人からすれば、「あの人たちは本当に強いハンターなのか」と疑問が出るのは当然のこと。むろん、モンハンシリーズを長く遊んでいる人であれば、彼らの人となりと実力については重々知っている人も多いでしょうが、必ずしも全プレーヤーが過去作での彼らのことを知っているわけではありませんし、ましてやゲーム内の登場人物の視点、彼らと初対面である猛き炎や他のエルガドの人たちの視点からすれば、それは言うまでもないことです。

が、拠点の面々に対する見え方という点については、ヘルブラザーズ自身としては何ら後ろめたく思うところはないようで、むしろ「分かる奴は分かる」と非常に堂々としています。

 

貴様、いかにも俺達の腕前が気になる…ってツラしてるな。だが、実際目にしねえと分からねえなら、やっぱりまだヒヨっ子だ。

分かる奴なら一発で納得しちまうんだよ。俺達からあふれ出る、このいかにも凄腕最強ハンターっぽい雰囲気でな!

(マスター★2 黒鬼)

 

「いかにも凄腕最強ハンターっぽい雰囲気」という謎の根拠を元に自信満々な黒鬼。自分で「~っぽい」とか言っちゃったらだめなんじゃ……?

 

実際のところでいうと、ヘルブラザーズの2人はシリーズ常連のNPCということで、サンブレイク時点では年齢的にもそれなりにいっているようですから、若いハンターほど精力的に狩猟に出向くというのはさすがに無理があるという話もあります。……が、それに加えて、彼らコンビのクエスト選びにはあるポリシーがあるようで、それを満たすようなクエストでないと、2人は狩りに行かないと決めているようです。

 

例の「なんとか三公」ってモンスターもちょいと気になるが、相棒の気がイマイチ乗らねえなら仕方ねえぜ!

俺達はいつも、お互いの直感ってやつを信じてるからよ! 2人ともやる気にならねえ狩りは、出ねえと決めてんだ。

だから相棒には感謝しろよ? そのおかげで、貴様に出番が回ってきたようなモンだろ! ドハハハハ!

(マスター★3緊急前 赤鬼)

 

まぁこれはこれで、自由気ままなハンター稼業! という感じで悪くないような気がしますが、彼らは数多の狩場を乗り越えてきた熟練ハンターですから、そんな2人をして熱くさせるような強い相手というのはなかなか見つからないもの。

 

結果として上述のように、赤鬼がうさ団子の引力に負けてすっかりエルガドに釘付けになっていたりするわけですから、彼らのポリシーもなかなか難儀なところがあるものです。そしてお団子関連以外にも、何かとクエストに行こうとしないバリエーション豊かな諸事情を彼らは話してくれます。次の項では、各進行度で緊急クエストが出ている時期のヘルブラザーズの台詞を見ていきましょう。

 

2.クエストに「行かなかった」理由とは?

 

話は聞いたが…ビシュテンゴ亜種とは、どうにもそそられねえ相手だぜ。

俺達、最強ハンターは最強のモンスターに備えるからよ。貴様に譲ってやるぜ。太っ腹だろ?

(マスター★2緊急前 黒鬼)

 

まずはサンブレイク最初の亜種モンスター、ビシュテンゴ亜種についてのコメント。黒鬼的にはどうもそそられなかったらしく、主人公に譲ると言ってクエストをパスしたようです。まぁ、ビシュテンゴはあのフィオレーネをして「動きがなんか腹立たしい」と言わしめたほどのモンスターですし、作中での扱い的に「ビシュテンゴ亜種! うおおおおおお!」となるかと言われると確かに賛否が分かれそうですから、そそられないという気持ちも分からんでもありません。

 

ガランゴルム、とか言ったか? そのモンスター、確かに大物らしいが、どうにも俺様の趣味じゃねえな!

…ったく、いつまで待たせるんだか。この俺様が、ついこっから立ち上がっちまうくらいの大物はどこにいるんだ?

(マスター★3緊急前 黒鬼)

 

続いて王域三公の一角、ガランゴルムについてのコメント。先ほどのビシュテンゴ亜種とは違い、ガランゴルムが大物らしいという話には多少興味を持っているような感じはしますが、こちらも黒鬼の趣味ではなかったらしいです。体格が大きく武骨なあの感じはけっこうお気に召すのではないか、とも思わないでもありませんが、ガランゴルムは今回こそ異変の影響で凶暴化していると言えども、元は温和で臆病な性格でありますから、その辺がやっぱり今一つガチンコ勝負の相手として物足りなかったのかなぁ~…。まあ単純に、2人の閾値が高いだけという話かもしれませんが。

 

とはいえ、彼らは王域三公にまったくビビッと来ていないというわけでもないようで、次に登場するルナガロンともなれば、さすがに少し興味が湧いてくるモンスターだったようです。なのですが……。

 

ルナガロンだと…? ほう、やっとおもしろそうな相手が出てきたじゃねえか!

だが、ちょいと残念だな。あいにくそいつは趣味じゃねえんだ。俺様…どっちかと言やあ、猫派だからよ!

(マスター★4緊急前 赤鬼)

 

いや猫派て。もうなんでもありやん。もはやここまでくると、お団子をずっと食べていたいがゆえに何とか理由をこじつけているようにしか見えませんが、赤鬼が犬派ではなかったためルナガロンはパスという運びになりました。猫派の赤鬼が重い腰を上げそうなモンスターというと、う~ん……テオにゃんくらいじゃないとダメなのかなぁ、やっぱり。もっとも、これで犬派だったら犬派だったで、今度は「犬派だからルナガロンはかわいくて狩る気にならない」とか言い出しそうな気がしますが。

 

それにしても、モンハンの世界にも犬派猫派という概念があったんですね。本作では狩りのパートナーとしてアイルーやガルクを連れていけますから、どちらを連れて行くのが好きかという意味での犬派・猫派というのは確かにあるとは思いますが、ヘルブラザースの2人は本作でそうしたオトモを連れている描写は特にありませんし(筆者は過去作での彼らをよく知らないので、もしかしたら別の作品にはあるかもしれません)、日常生活におけるいわゆる愛玩動物としての犬や猫というのもモンハン世界には無いような印象ですから、赤鬼の口から「猫派」という言葉が出たのは新たな発見でした。

 

さて、このような感じで、ヘルブラザーズは設定的には歴戦のハンターでありながら、エルガドでは特にきちんと狩猟に行っているような描写がないため、エルガドの面々から戦力として認識されているのかどうかは、実際のところかなり疑問視されるところ。彼らが主人公らと同様にハンターとして正式に調査隊のメンバーに属しているのかどうかは定かではありませんが、ガレアスならば必要に応じて、所属如何に関わらずエルガドにいるハンターにその能力を見込んで依頼をするというようなことは十分にあり得そうですし、いちおう彼らとしても、依頼をされたらクエストを受けてもよいという心持ではある様子。

 

そして彼ら的には、「自分たちは最強コンビだから、何か重要な任務においてこそ満を持して力を求められる存在であるに違いない」という自負があるようで……。

 

提督のオッサンから、直接貴様に加勢の依頼があっただと?

バハハハハ! なるほどな! つまりそいつは、俺達最強コンビに依頼するまでもねえヌルい話ってことだ!

(マスター★1ヨツミワドウ前)

 

エルガドに到着して間もない主人公に依頼された緊急クエストに関しては、「わざわざ自分たちに頼むようなほどでもないような簡単な依頼」だったからだと彼らは言っています。いちおうこのヨツミワドウの狩猟に関しては、この依頼をぜひ主人公に回してもらえるようにというフゲンの手引き(主人公がエルガドでの実績作りの機会を得られるように)があったという事情もありますが、このくらいの難易度の依頼では、自分たちにとってはまだまだ役不足だとのこと。

 

その後、王域のモンスターを全般的に調査するための重要調査クエストが本格的に始動すると、いよいよ彼らの元にもクエストの依頼が届くことになるのですが……。

 

やれやれ、重要調査クエストまで降ってきやがるとは…。誰も俺達をのんびりさせてはくれねえな!

最強ハンターが求められるのは分かるが、活躍の場があり過ぎるってのも困ったモンだぜ!

そうだろ相棒! この調子じゃ今日もどのクエストにするか迷ったまま、日が暮れちまうぜ! バハハハハ!

(マスター★3 黒鬼)

 

モンスターを狩猟するやる気だけはあるようなのですが、相変わらずと言えば相変わらずですが、彼らがクエストに行っていなくても調査隊の研究が十分回っていて、彼らのそうした動向について特に誰からも何も言及されないというのは(もちろん、彼らを含むエルガドのハンターは王国騎士団に所属しているわけではなく、ガレアスは協力の依頼はすれどもこれは命令や任務というわけではありませんから、重要調査クエストをあまりやらないこと自体は立場上特に問題があるというわけではありませんが)、エルガドにおいてあまり戦力といいますか、「頼りになる凄腕ハンター」的なポジションとして認識されている感じはしないような……というのが正直なところ。

 

とはいえ、立場としても人間としてもそれをとやかく言うガレアスではありませんし、ヘルブラザーズの元に多くの重要調査依頼が届けられるということ自体、彼らの実力が王国騎士団に認められているということの証左ではありますね。

 

(マスター★4 アルロー)

アルロー教官からも、ハンターとしてというよりは「いつも団子を食べているヤツら」としての認識が強いようですが、こうして認知はされている様子。毒舌家のアルローが特に何も言わないのは、彼らの実力は認めているからということや、王国騎士や信頼できる相手以外にはきちんと自制しているからということもあるでしょうが、年齢を重ねるごとに若いころほどは身体が元気に動かなくなっていくということについて、ヘルブラザーズに共感するところもあるからかもしれませんね。

 

ヘルブラザーズもハンターとしてのキャリアでいえば一流ですが、その代わりに年齢的には若いとは言い難く、常に身体を動かしてバリバリ活動できるわけでもありませんから、彼らにはまた然るべき時に協力してもらうとして、タスクが山積みな調査の主要部分においては、主人公やフラン、ファロのように実力を備えていて且つ精力的に動けるフットワークの軽いハンターたちの力を中心的に借りたい、というのが元々のガレアスの意図でもあるでしょうから、戦力としての認識が云々という話自体がそもそもあまり適当ではないと言えるかもしれません。

 

ちなみに、お団子を食べている以外の彼らの活動については、船乗りのフルルから次のような目撃情報が。

 

ハンターさん、そこで動いてるクレーンには近づかないほうがいいよ。

吊り上げられた荷にぶつけられると、モンスターの突進を受けたときみたいに吹っ飛んじゃうからさ。

本当だよ。ちょっと前に流れのハンターが吹っ飛ばされて、海に落ちちゃったんだから。

(マスター★5キュリア調査前 フルル)

 

無事だったからよかったものの、ホント何やってるんすかヘルブラザーズ……と、素直にツッコミたいところなのですが、実はこの台詞、微妙に謎が残るんですよね。というのもこのクレーン、調査隊員のアイルーが操縦して作業を行っているわけなのですが、エルガドでの普段の作業の様子を見ると、「このクレーンに吹っ飛ばされて海に落ちる」という状況にそもそもなり得ないからなんですよ。

 

①港側の荷物を持ち上げる

②180度回頭して荷物を反対側へ

③高台の小屋の前に荷物を下ろす

④再び180度回頭して港側へ(①に戻る)

上の図のように、このクレーンはフルルの横にある木箱の積み荷と、マーケットの裏の一段上がったところに置いてある積み荷(プレイヤーは進入不可エリア)とを往復しているのですが、その際にマーケットの付近にいる人に動いている積み荷が当たらないように、クレーンは180度移動するとき常に海側を向いて移動しているんですよね。

 

さらに、積み荷は海側ギリギリまでずらりと置かれていますから、クレーンの軌道上に人が立つようなスペースはなく、「後ろからクレーンに押されて海に落ちる」というような状況になりそうな感じがしません。高台側の積み荷の横に立って海を眺めたりしていたのだとしても、クレーンは前からぶつかってくるため、マーケット側にこけるだけで済むはず。積み荷にぶつかったあとありえないレベルの千鳥足になって海に転落したとかでもない限り、海側に落ちるというのは無さそうなものですが……。

 

念のため申し上げておくと、調査隊員のアイルーがヘルブラザーズを故意に転落させた、というわけではないように思います。彼らが積み荷の近くに屯ろするなどして作業のジャマになっていたのだとしても、さすがにそれを物理的に戒めるというのはあまりに危険が大きく普通に業務上不適切な行為ですし、わざわざそれをやる意味もありません。

 

状況としてはおそらく、不意にクレーンの軌道上にヘルブラザーズが入ってきたためクレーンを緊急停止させたものの、ぶらさがっている積み荷は慣性の法則で動いてしまうため結果的にヒットしてしまった……という感じなのではなかろうか。まぁそれにしても、そこで海側に吹っ飛ばされるという奇跡を起こせるのは、やはり彼らは持ってるなと言わざるを得ません。

 

あるいは、「モンスターの突進を受けたときみたいに」とやたら具体的な説明がフルルからなされるのを見るに、ひょっとすると開発段階では、プレイヤーも実際にクレーンにぶつかることができるという仕様にしていたのかもしれませんね。ゲーム内では扉で閉じられていて入れないマーケット裏のエリアも元々は入れるという設計で、クレーンの軌道もイイ感じにプレイヤーにヒットし得るようなものになっていたものの、製品版ではその仕様は削除されておりNPCの台詞にその名残だけがある形になった……という可能性は十分に考えられます。

 

せっかく拠点でも翔蟲が使える仕様なのですから、クレーンに吹っ飛ばされて受け身を取るハンターも見てみたかった感はありますが、仮にも由緒ある王国の調査隊の業務においてそのような過失事故があるというのもよろしくはありませんから、遊び心よりもコンプラ(?)を優先したのは英断であったかもしれません。

 

……それにしても、このフルルの台詞は「キュリア集結(ルナガロン)」の前の会話なのですが、ヘルブラザーズがクレーンに吹っ飛ばされたのはそこから「ちょっと前」の出来事であるということは、おおむねメル・ゼナ討伐後くらいの時期に起こったものであると考えられます。いつも茶屋のテーブルを1つ占拠してのんびりしている彼らが、その時ばかりはクレーンに当たるほど海側の際まで寄って何かをしていたというのは、ひょっとすると彼らはこの時点で徐々に王域近海の底から迫り来ている何者かの存在を、確証はなくとも何某かを肌で感じ取っていて、海を観察していたのかもしれません。そうなると一見ただのおとぼけシーンに見えるこのクレーンの話も、実はヘルブラザーズの非凡な嗅覚の鋭さを示すエピソードだったと言えるかも………? そうかな……?

 

3.根はやさしい人たちです

 

……さて、話を戻しまして、とにかく何かにつけて狩猟をサボりがちな……いえ、来るべき時に備えて力を温存している彼らですが、王国騎士団のフィオレーネが倒れてしまったときにはさすがに何か思うところがあったのか、珍しく積極的にクエストを受け、エルガドに協力しようとします。

 

俺達最強コンビには物足りねえクエストばっかりだが、たまにはいくつか受けてやるか!

例の薬ができるまでは、騎士団も何かと人手が足りねえだろうしなぁ! なぁに、ただのヒマつぶしよ。ドハハハハハ!

(マスター★4ライゼクス後 赤鬼)

 

エルガドのことには普段あまり関心がないように見えて、騎士団の戦力が決定的に不足しているという重要な局面ではしっかりと場の状況を読んで行動しているのは流石といいますか、ただマイペースに振る舞っているように見えて、力の入れどころと抜きどころをしっかりと弁えていることの証左でもあると思います。なんやかんや言って、彼らはやはりできる大人ですね。

 

ちょいと面倒な話だが、相棒が言ってることも一理あるぜ。

何しろこの拠点は、俺達がいるおかげでまともな調査ができてるんだからよ。頼りねえヤツらだぜ。バハハハハ!

(マスター★4ライゼクス後 黒鬼)

 

果たしてヘルブラザーズのおかげで調査が出来ているのかどうかの真偽はともかくとして、同じハンターとしてこのエルガドの状況は看過できないということで、協力姿勢を示してくれます。文字面だけ見ればなんだか高慢にも思える一言ですが、これは彼なりの素直じゃない優しさ。2人は絶対の自信家ゆえにぶっきらぼうな振る舞いが多いだけで、心根は親切な人なんですよね。フィオレーネの報を聞いた直後にも、赤鬼は彼女に力の付くお団子をおごってあげようとしていました。

 

(マスター★4ライゼクス前 赤鬼)

また、ハンターとしては後輩であるところの主人公にも、思いがけず的確ではっとさせられるようなアドバイスをしてくれることもあります。

 

すっかり騎士団の連中から気に入られてるなぁ、貴様! 結構なことだが、忘れちゃいけねえぜ。

貴様は王国民でも、騎士でもねえんだ。別にあいつらのやり方に影響される必要なんかねえ。

いざってときに頼りになるのは、アレだぜ。テメエで身につけてきた…技と勘よ! この俺達みてえになぁ! ドハハハハ!

(マスター★4 赤鬼)

 

1人のハンターの立場として王国に協力する主人公に対して、王国騎士団とハンターとのあるべき関係性について意見を述べる、赤鬼の中でも屈指の真面目な台詞です。一応フォローをしておくと、彼らは王国騎士団に対して何か不満があるというわけではなく(むしろ好意的であるように思います)、じっさい王国騎士団が主人公に対して何か良くないことをしたというわけでもないのですが、王国騎士団の依頼を受けて調査隊に参加するハンターはもちろんそれ相応に責任能力と協調性を求められはすれども、だからといってそれは王国騎士団という組織に所属するというわけではなく、主人公はあくまでも騎士団との一種の契約関係にある「個人で活動するハンター」なのだから、ハンターとしての自立性を失うようなことがあってはならない、という非常に重要な心構えを、赤鬼は主人公に説いてくれているんですよね。

 

主人公のことを「ひよっ子」とは言いつつも、後輩として赤鬼なりに目をかけてくれていることや、ヘルブラザーズの2人が自らのハンター道に誇りを持ち、ハンターの持つ自由を大切にしているのがよく分かります。王国騎士団の指針がエルガドの調査隊の中心にありつつも、そこに参加するハンターが皆めいめいのポリシーをしっかりと持っていて、王国騎士団の論理とハンターの論理が絶妙に混じり合いながら協力体制として成立している、この活き活きした感じこそがまさにエルガドなんだよな~。

 

4.いよいよヘルブラザーズに出番が…!?

 

さて、そんな感じでエルガドでも一応きちんと活動の痕跡が見受けられるヘルブラザーズですが、ルナガロンの討伐依頼をあろうことか猫派だからという理由でスルーした彼らでも、調査隊の目標であるところの古龍メル・ゼナともなれば、さすがに無視できない魅力的な存在であるようです。

 

メル・ゼナが出やがったそうじゃねえか! ちくしょう、あの野郎め… ふざけた真似をしやがるぜ!

貴様の目の前に現れるってことはだ。間違いなく、俺様と相棒がいねえ場所を狙って暴れてるってことだろ?

あの腰抜けメル・ゼナ野郎、いつまでも俺達から逃げていられると思うなよ? 覚悟しとけ! バハハハハ!

(マスター★4 黒鬼)

 

貴様らが大したケガなく戻ってこられたのは、実力のせいじゃねえ。あの野郎…メル・ゼナのおかげだと思うぜ?

理由は簡単よ。貴様らのこと一目見て、本気を出すまでもねえ相手だと見抜いたんだろうよ。

ドハハハハ! モンスターのくせに見る目のある野郎だ! さすがの俺様もつい興味が出てきちまったぜ!

(マスター★4 赤鬼)

 

よほど自分たちで狩猟をしたいのか、メル・ゼナが主人公とフィオレーネの前に姿を現したのを「最強コンビである自分たちをメル・ゼナが避けている」と信じて疑わない黒鬼たち。自分たちがメル・ゼナ側に強いハンターとして認知されているという謎の自信がどこから湧いてくるのか、はたまた実は主人公を焚き付けるために敢えてこういう言い方をしているのか(そんなことはないか…)は定かではありませんが、メル・ゼナを少しはできる相手と見込んで、ようやく闘志がみなぎってきた様子。

 

で、「メル・ゼナは俺達の獲物だ!」と、来るべき決戦を心待ちにしていたはずだった彼らですが……。

 

騎士団の姉ちゃん、やっと元気になったそうじゃねえか。よっしゃ、そうこなくっちゃあ、張り合いがねえぜ!

おまけに復帰早々、メル・ゼナの討伐だと? バハハハ! ムチャしやがるぜ! せいぜいがんばってみることだな!

どうせ見せ場は俺達のモンだからよ! なぁ、相棒!

……。…なぁ、おい、相棒よ。……あと、どれくらいで食い終わる?

(マスター★5緊急前 黒鬼)

 

おい、なんだって? 俺様の聞き間違いじゃなけりゃあ、今…メル・ゼナって言ったか!?

そりゃあ俺達の獲物だぜ! よっしゃ! まずはこいつを早く食い終わらねえと…!

当たり前だぜ。俺様が残すワケねえだろう? せっかく手間ヒマかけて作ってくれた、ウマい団子だろうが!

こいつを残す外道のハンターが、どこの世界にいるってんだ!

(マスター★5緊急前 赤鬼)

 

いつまで団子食べてるねーーん。赤鬼がうさ団子の魔力にとらわれ過ぎてしまったあまり、例の「団子待ち」でいつまで経ってもメル・ゼナの狩猟に出発できないヘルブラザーズ。うさ団子に対する愛がホンモノであることだけはよく伝わりますが、だからといって何もこんな大事な時にまでそんな致命的な間の悪さを発揮しなくても……。まぁ、仮にお団子を食べ終わるのが間に合っていたらいたらで、どのみちガレアスやファロ辺りに制止されていそうな気はしますが。

 

結果として、黒鬼と赤鬼の出番には及ばず、主人公とフィオレーネの手で無事にメル・ゼナの狩猟は成し遂げられました。自分たちでメル・ゼナに手をかけられなかった減るブラザーズのリアクションはどうだったかといいますと……。

 

俺達を抜きで終わらせちまうとは、ずいぶんとせっかちな奴だなぁ、おい! だが、大したモンだと言っておくぜ!

ひたすら俺達の背中に憧れて、俺達と語り合ってきた貴様の成功…。自分のことみてえに嬉しいぜ。

なんせ、俺達を手本にしてきた貴様がやり遂げたことなら、そいつはもう俺達がやったも同然だからよ! バハハハハ!

(マスター★5 黒鬼)

 

自分たちでメル・ゼナを倒せなかった悔しさの裏返しなのか、「俺達を手本にして成長したハンターがメル・ゼナを倒したのなら俺達が倒したも同然」というものすごい理論を展開しています。

 

まぁ、好意的に解釈すれば、「主人公の討伐を自分のことのように喜んでくれている」のではあるものの、彼の場合は「自分のことのように」というか「実質自分がやった」なので、似て非なるものという感じはありますが……。そもそも主人公は本当にヘルブラザーズを手本にしていたのか……というツッコミはさておき、少なくとも自分たちより先んじてメル・ゼナを狩ってしまった主人公たちに特に文句も言わず、彼らなりに祝福してくれるのはさすが強者の余裕というところでしょうか。

 

さて、エルガドがメル・ゼナという一つの目標を達成した後も、ヘルブラザーズは相も変わらず、大きな獲物を求めて拠点に滞在を続けています。異変に関わる諸々の謎も未だに解けていないということで、いつも茶屋のテーブルに座ってお団子を食べている赤鬼は、エルガドの横に空けられた大穴「サン」を観察するのが習慣となっているようです。

 

どれどれ…今日の大穴はどんな調子だ? よし、昨日と同じで「変化なし」だな!

…おう、なんだ。聞いていやがったか。今のはそうだな、言ってみりゃあ俺様の日課みてえなモンだ。

もしあの大穴から何かが出たときには、俺様の出番だろ? だから毎日こうやって こっから目を光らせてるってワケだぜ!

(マスター★5 赤鬼)

 

エルガド横の大穴は完全に水没しているということもあり、さすがにその穴からではありませんでしたが、彼らの実力に適う大物「ガイアデルム」の出現は、遠からず現実のものとなります。その予兆として、城塞高地へのキュリア集結が確認された際には、独特の見解を語ってくれます。

 

キュリアが集まる理由なんざ、簡単なことだろうが。ほら、見てみろよ。結局は、この山盛りの団子と同じだぜ。

あぁん? どういうことかって? 面倒だな、いちいち教えてられるかっての! 俺様は忙しいんだよ。ドハハハハ!

(マスター★5 キュリア調査前)

 

どれだけうさ団子に夢中なんだ……と思いきや、意外と近からず遠からずなんですよね、この考察。メル・ゼナという仮の宿主を失ったキュリアは、その真の宿主であるガイアデルムの元に帰着するわけですが、キュリアは他の生物から吸収してきた精気をガイアデルムに与えようとしているわけですし、ガイアデルムもキュリアを捕食する生態を持っているわけですから、「他の存在にとってのエネルギー源となるためにたくさん集まっている」という点で言えば、ガイアデルムとキュリアの関係、赤鬼とうさ団子の関係は同じようなもの。うさ団子に思考を支配されてよく分からないことを言っているように見えて、赤鬼は意外にも正鵠を射ていたということになるのかもしれません。

 

……うーん、さすがにこじつけが過ぎるかなぁ……。

 

とまあ、それはともかくとして、この一件にてようやく、異変の黒幕であり作中随一の大物、ヘルブラザーズにとっても不足はない超大型古龍であるガイアデルムが姿を現します。で、案の定彼らにはクエストに行けない理由ができるわけですが、ここでの反応は2人の間で少し違っているんですよね。

 

やっと俺様にふさわしいモンスターのお出ましかと思って興奮したが、このタイミングはまさに…最悪だぜ。

ついさっき、加工屋にとっておきの最強装備を注文したところでな。

だからそいつが出来るまでは、どこにも行きたくねえのさ。貴様にも分かるだろ? 最強のハンターには、最強の装備が必要よ!

緊急クエストだろうが何だろうが、今の俺様はそれどころじゃねえんだ。仕上がりが楽しみ過ぎて…落ち着かねえぜ!

(マスター★6緊急前 黒鬼)

 

やっと自分が狩るに相応しいモンスターが出てきた、とガイアデルムの登場に興奮気味の黒鬼ですが、歴戦の嗅覚から未だかつてない大物の予兆を感じ取っていたのか、加工屋のミネーレに最強の防具を発注していた模様。おそらくガイアデルムの狩猟に着ていく心積もりだったのでしょうが、その防具がまさに必要なこの今のタイミングに出来上がるには黒鬼の注文は少し遅かったようで、しかも本人は防具の仕上がりが待ち遠しいあまりもはやガイアデルムの狩猟に行くことなど眼中になくなってしまっています。

 

ガイアデルムのための装備を仕立てようとしたはずがその装備の完成を待つことに目標がすり替わっており、それが出来上がるまではクエストに行きたくないという心情のせいで結局ガイアデルムを倒しに行けないという、まさにお手本のような本末転倒。最後の最後までネタキャラムーブを欠かしません。

 

ちなみに、黒鬼の装備作成が滞っていた理由については、加工屋のミネーレから次のような話を聞くことができます。

 

○○さん、そろそろ出発? 必要なら、なんでも注文してよね。最優先で仕上げてあげるからさ。

もちろん大丈夫…って言うか こんなとき、他に優先するような仕事なんかないってば。

いま受けてる注文だって、向こうに座ってる「黒鬼」っておっちゃんからの注文だけだから、さ!

(マスター★6緊急前 ミネーレ)

 

ミネーレは当然主人公がガイアデルムを狩りにいくものと思っているため、最終決戦と関係のない仕事は当たり前のことながら優先順位的に後回し。主人公が装備を整えて出発してからでないと黒鬼の装備作成は着手されないということですから、黒鬼が最強装備の完成を待っている限り、彼が主人公に先んじてガイアデルムを狩りに行くことは原理的に不可能ということになります。……うん、なんかその、ごめんな黒鬼……。

 

一方の赤鬼も、黒鬼とは別の理由で、ガイアデルムはパスすることを決めているようです。

 

ドハハハハ! そら見たことか! やっぱりとんでもねえ大物が俺様を待っててくれたぜ!

だが…ちょいとひっかかる所があるんだ。結局そいつにも、メル・ゼナと同じようにキュリアがまとわりついてるんだろ?

…やっぱりな。なんの悪魔か知らねえが、つまりは、子分どもの加勢がなけりゃあデカい顔できねえ野郎ってことだろ?

そんなモンスターなら、俺様はもう興味ねえ。貴様にくれてやるから好きにするがいいぜ。ドハハハハ!

(マスター★6緊急前 赤鬼)

 

一応、ここで話されている理由以外にも、黒鬼に付き合って防具待ちをしている間にだんだん当初の興奮の鮮度が落ちてしまった、というところもあるのでしょうが、赤鬼としてはいくらガイアデルムが大物でも、キュリアとの共生ありきのモンスターだというのでは真に強いモンスターであるとは言えず、その時点で興醒めしてしまったということのようです。

 

実際のところ、かつてガイアデルムと縄張り争いを繰り広げた相手である原初を刻むメル・ゼナは作中トップクラスの強さを持つ古龍であるとはいえども、サイズ的には一般モンスターとそれほど変わるわけではないこの龍と引き分けというのは、飛行能力や敏捷性云々の点で仕方がないとはいえどもガイアデルムの名誉に響くものであることは否めませんから、今月末発売の資料集でガイアデルムがメル・ゼナに勝てなかった理由についての新たな設定が明かされるでもない限りは、残念ながら赤鬼の指摘は少なからずもっともなところがあると言わざるを得ません。ラスボスなのになんかちょっとかわいそう。

 

で、それはそれとしていったん置いておいて、そうしたガイアデルム自体の強さの話を抜きにしても、上述の赤鬼の台詞は、間接的にですが彼が主人公の実力を評価してくれている証左でもあると思うんですよね。主人公がエルガドに来た当初は「貴様が失敗しても俺達がいるからなドハハ(意訳)」というような感じで完全にヒヨッ子扱いだったのが、「貴様にくれてやるから好きにしろ」というのは「主人公ならガイアデルムくらい勝てるだろ」という見込みを半ば前提にしたような発言ですから、彼らの中での主人公のハンターとしての格は多少なりとも上がっているみたいです。

 

じっさい、少し前のメル・ゼナを討伐した時点でも、主人公を見る目がちょっとだけ変わっていることを彼らは話してくれます。

 

俺達は貴様のことを勘違いしてたかもな。この前まではヒヨッ子ハンターとして相手してたが、さすがに考えを改めるぜ!

貴様は、「ちょっとはマシなヒヨッ子」だ! まあ、その調子で努力しな。そのうちいつかは、ヒヨッ子も卒業できるだろうぜ!

(マスター★4 黒鬼)

 

……まぁ、長年のキャリアの中で数多の狩りを制してきた黒鬼的には、古龍を一体討伐したくらいでは「ヒヨッ子」から「ヒヨッ子卒業に近づいている」くらいの成長度なのも致し方ありませんが、とにかく彼らなりに、主人公を認めてくれている模様。しかしながら2人としては、主人公はまだまだ本当の狩り(?)の領域には達していないということのようです。

 

気の毒だが、貴様はまだ本当の狩りがどんなモンなのか、知らねえも同然だぜ。何しろ…俺達の技を見たことがねえからな!

おっと、ガッカリするのはまだ早いぜ? そう簡単に希望を捨てるモンじゃあねえ。

貴様がまだエルガドにいるなら、そのうち俺達の活躍が見られるかもな。楽しみにしておくがいいぜ! ドハハハハ!

(マスター★6 赤鬼)

 

こちらの台詞、初見プレイ当初は今後のアップデートでのヘルブラザーズの盟勇参戦もしくはイベントムービーでの活躍が見られるのではないかとウキウキだったのですが、残念ながらそのどちらも実現には至りませんでした。ヘルブラザーズの秘めたる実力はシリーズ過去作品を知っているプレイヤーならば知っているでしょうが、ライズから始めた新規プレイヤーはよく知らないという人も多いでしょうから、作中で何かしらの見せ場がないとただ口だけの人たちとして映ってしまっているのではないか……と、正直ちょっと心配しているところだったりします。

 

盟勇として参戦させる場合は固有のAIを組まなければなりませんから、初期の12人以上の新規実装は難しかった……という事情もあるかと思いますが、せめて何かしらのイベントムービーでの活躍があっても……よかったんじゃないかなぁ……。まぁ、実力は確かだという情報はあるのに実際に狩りをしているところは永遠に見れない、ということでネタキャラとしての存在が立っているという部分はあるんですけどね。

 

ただ、ラオシャンロン亜種の狩猟経験があるというヘルブラザーズの強さを十分に引き立たせる相手としては、やはりガイアデルム級の大型古龍が相応しいと思われる一方で、そうした大物の古龍がストーリーの終着点にならないというのが、ある意味ではサンブレイクのストーリーの特色でもあるんですよね(一応アマツマガツチはいますが、こちらはカゲロウの話なので「サンブレイクの終点」というよりは「ライズの終点」という感じ)。

 

ガイアデルム以降のストーリーが、キュリアという「小さな生物が生態系に巻き起こす脅威」を描いたものであり、王国編の最後を飾った原初メル・ゼナのストーリーでの最終目標もまたキュリアであったからこそ、本来は超大物古龍が相手でこそ本領発揮となるはずのヘルブラザーズの出番がなかった……というのは、一周回って(?)深い話なのかもしれません(もし、アプデさなかで期待されていたような禁忌モンスターが王国の脅威として最終的に登場していたとすれば、ガレアスから直々に、ヘルブラザーズの2人に正式な討伐協力依頼が出される、みたいな世界線があった可能性も)。

 

バハハハ! 最後に残ったのは結局キュリア野郎どもかよ。ちょいと意外な結果だぜ。

だが…本当にあなどれねえ相手ってのは案外、そういうヤツのほうかもしれねえな。

細かいことはさておき、要はまだまだ最強コンビの力が必要ってことだろ? 分かってるぜ、俺様に任せとけってことよ!

(マスター★6 黒鬼)

 

ガイアデルム討伐前の時点では小動物のキュリアなど歯牙にもかけていなかった黒鬼も、真の宿主を討伐してなお生き延びているキュリアたちの異常なまでのしぶとさを見て、「あなどれない相手だ」と評価を改めていました。

 

長年の経験値の賜物というべきか、その予想は見事に的中しており、幸か不幸かまさにそのゆえに、超大型古龍や禁忌モンスターと相対するヘルブラザーズの姿は本作では見られずじまいだったわけですが、彼らクラスのハンターともなれば、キュリアの影響で凶暴化した傀異化モンスターの面々にも十二分に太刀打ちできるでしょうから、作中で描写がないだけで実は傀異調査に一役買っていた、なんていうサイドストーリーも、もしかしたらあったりするかもしれませんね。

 

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ということで、本記事の考察はこの辺りで〆とさせて頂きたいと思います。今週は1日に3記事投稿という謎の状況になってしまいましたが、ここ1か月でちまちま記事を書いて完成させていたのにも関わらず、何故か公開ボタンを押して投稿するということを忘れていたためこのような運びになりました。執筆済み記事が溜まっていく前に気づいてよかったです。

 

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!