やたらと自己肯定感が高い特命騎士たち

 

※注意事項※

・本記事はモンスターハンターライズ:サンブレイク」全編のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

ーーーーーーーーーー

 

サンブレイクの物語の裏で重要な役割を果たしてきた、王国の「特命騎士」たち。本編での彼らの任務とは、ストーリーをクリアされた方ならご存じの通り、王国に伝わるおとぎ話に登場する「深淵の悪魔」とされる存在を追うことでした。

 

エルガドの騎士たちを率いる提督のガレアスは、50年前のメル・ゼナ襲撃の時、メル・ゼナのものとは違う大きなうなり声が響き渡るのを聴き、それが「深淵の悪魔」のものであること、そして深淵の悪魔はメル・ゼナと何か深い関わりがあることを確信していました。そこで、今回の王国の異変に際し、メル・ゼナの出現に伴なって再び深淵の悪魔が出現するのではないかとガレアスは予測して、特命騎士たちに密命を与えていたのでしょう。

 

特命騎士たちの任務が何なのかが長らく伏せられていた理由は、おとぎ話に登場する「空想上の存在」であるはずの悪魔を探す、という一般的にはとても信じられないようなその内容によって、人々を動揺させることがないように、という配慮の故でした。最初こそ「セルバジーナとラパーチェは何をしている人なんだろう?」と疑問に思う方も多かったことでしょうが、そのような任務ならばそれもそのはず。むしろそれだけの困難な仕事を任される立場であるということは、やはり彼らの実力も相当なものであることが窺えます。

 

で、そのセルバジーナとラパーチェがどんな人なのかといいますと、一言でまとめれば2人とも「超・自分大好き人間」なんですね。まあ、自分大好きとはいってもよくある「嫌味なナルシスト」的な感じというわけではなく、普通に人当たりもよく好印象な人柄ではあるのですが、それにしてもめちゃくちゃポジティブ思考で自信家な性格なのです。

 

ということで、今回はそんな特命騎士の2人をご紹介。

 

ーーーー目次ーーーー

ーーーーーーーーーー

 

1.高貴なる特命騎士隊長・セルバジー

 

我に臆することなく話しかけるとは…。ほう、お主がカムラの里の「猛き炎」か。

その実力、聞き及んでいるぞ。猛き炎から挨拶に来る姿勢、ほめてつかわす。

我は特命騎士セルバジーナ。特命騎士の隊長の座を預かりし高貴なる騎士である。しかと覚えよ。

(エルガド到着後 セルバジーナ)

 

まずはセルバジーナさん。彼は特命騎士の隊長を務めている人物です。特命騎士が全体でどのくらいの人数がいるのかは不明ですが、王国の中でも精鋭揃いの騎士たちを統括しているのが彼ということになります。初めてセルバジーナに話しかけたハンターは「自分から高貴って言うのか……」と困惑すること請け合い。

 

特命騎士であるセルバジーナは主人公とはエルガド内での所属が違いますから、一緒に仕事をすることは(現時点では)ほぼありませんが、主人公のことを応援してくれたりして基本的にはとても優しい人物ではあります。……なのですが、その時の台詞もなんかこう一癖あるんですよね。

 

猛き炎よ。エルガドでの生活はどうだ? 至高とまではいかぬが、よい拠点だろう。
王国きっての観測拠点だ。我も帰属しているし すばらしい地であることは間違いない。

なに、不安がることは一切ないぞ。このセルバジーナがいる限り エルガドの安泰は約束されているのだ!

(エルガド到着後 セルバジーナ)

 

エルガドの紹介をするセルバジーナ。新天地にまだ馴染めていない主人公を気遣っているのですが、後半部分を意訳すると「自分がいるからエルガドはいいところだぜ」ということになります。「我も帰属しているし」なんていう、およそ常人のメンタリティでは到底口にできないようなことをさらっと言ってくるのがすごいよなぁ……。

 

王国の宿敵メル・ゼナに遭遇した主人公にも、次のように勇気づけてくれます。

 

ほう…ついに我が前に現れたか…。王国が追いし脅威、メル・ゼナよ…。
ヤツは、キュリアを従えているそうだな。その姿は、赤き輝きに包まれていたと…。

ふっ……。我より輝きを放つ存在が他にいるとでも?

我が唯一無二の、この世で最も輝きし存在。ゆえに、いくらメル・ゼナだろうと我にくだることはこの世の理(ことわり)。

つまり…だ、猛き炎よ。メル・ゼナなど恐るるに足りず。今は安心して調査を進めたまえ!

(マスター★4 セルバジーナ)

 

わざわざ「理(ことわり)」とご丁寧にふりがなを振ってあるのが最高にキマッていて、初見で思わずクスッとなってしまいました。まあ、カッコつきで振り仮名があるのは決め台詞だからというよりは単に難しい読み方だからという理由なのですが、台詞の内容が内容なだけに得も言われぬシュールさを醸し出しています。ちなみに、筆者が覚えている中で他にカッコつき振り仮名があるのは、カナリーノがロンディーネの容姿について「花の顔(かんばせ)」と表現する台詞です。こっちもなんか似たような感じだな……。

 

で、メル・ゼナについては「我の前には膝を折るだろう」と、古龍相手にまったく恐れるところのないセルバジーナ。彼曰く「我はこの世で最も輝かしい存在」らしく、かのメル・ゼナですら彼の輝きには及ばないとのこと。どこからその自信が来ているのかは不明ですが、なんかわからんけどとりあえず大丈夫だろうという謎の安心感に満ち溢れているのは確かです。

 

また、作中ではセルバジーナから何度か依頼サイドクエストを受けることがありますが、その際の台詞も何かと大仰なんですよね。

 

猛き炎よ。我が苦悩を察して話しかけにきたのだな。よかろう、我の深淵かつ高貴な依頼を受けることを許可する!
知っての通り、我は特命騎士の隊長の座を預かっている。ゆえに多忙を極める配下の体調管理も務めの一つだ。

だが最近、配下の動きが悪くてな。…我は気づいた。彼らは寝不足なのだとな! これは特命騎士隊、崩壊の危機である…!

そこで特製の睡眠薬を作り、騎士たちに振る舞うつもりだ。貴殿にはその素材調達を依頼したい。頼んだぞ。

(マスター★1ヨツミ後 セルバジーナ)

 

睡眠薬の素材が欲しいという自分の依頼を「深淵かつ高貴な依頼を受けることを許可する」と表現するセルバジーナ。「依頼に高貴とか高貴じゃないとかあるのか?」とか「許可するってどういうことだよ」とか色々ツッコミたいところはありますが、そうは言いつつも「指令」とか「命令」ではなくあくまでも「依頼」という形で主人公に話をしているところがなんか可愛らしいというか謙虚というか、彼は立ち振る舞いが偉そうなだけであって実際に横柄な人間であるわけではないということのよい証左ですね。

 

それにしても、彼の部下たちは大丈夫なのでしょうか……。深淵の悪魔を追うというからには王国領内やその近辺を色々と捜索しているのでしょうから、特命騎士の仕事がハンター並みにハードであるということは容易に想像がつきます。それをきちんと気遣うセルバジーナは、一癖ある性格ではあるもののやはり人の上に立つにふさわしい人物だなぁと思いますが、それにしてもお手製の睡眠薬とはかなり危険なニオイがします……。依頼を達成した後のセルバジーナの台詞も見ていきましょう。

 

ふっ…。我が深淵かつ高貴な依頼を達成するとは。さすが猛き炎。これで睡眠薬が完成することだろう。ほめてつかわす。
案ずるな。我の手にかかれば、どんな大型モンスターも卒倒する薬になるだろう。配下たちも泣いて喜ぶに違いない。

貴殿には褒美として、ある武器の強化方法を教えよう。必要とあらば、加工屋を訪ねよ。貴殿の働きには今後も期待しているぞ。

(依頼サイドクエスト達成時 セルバジーナ)

 

大型モンスターが卒倒するレベルの睡眠薬、絶対ヤバいと思うんですけど……。セルバジーナはストーリー終盤において、薬師のタドリを特命騎士団にスカウトしたいという旨の台詞があるのですが、それはおそらくこのエピソードと繋がっている話なのではないかと筆者は考えています。

 

ふむ、薬ができたか。凄腕の薬師がいるとのこと、見事である。
これできっとフィオレーネも回復に向かうだろう。猛き炎、まことに大儀であった。

ところでその凄腕の薬師…。ぜひ我が特命騎士の隊員に招きたいものだ。後ほど、声をかけてみるとしよう。

我がみずから声をかけるなど貴重な機会よ。その薬師の、泣いて喜ぶ姿が目に浮かぶ。ふははははっ!

(マスター★4エスピ後 セルバジーナ)

 

狩猟要員ではない薬師のタドリをわざわざをスカウトしたいというのは、負傷した部下の手当てや彼らの健康管理を頼みたいと考えているからに他ならないでしょう。セルバジーナは部下のことをとても大切に思っているようですね。

 

また、依頼サイドクエストは基本的にいつクリアしてもよいというものではありますが、「大型モンスターも卒倒する薬に…」の台詞も受注と同時間軸のものと考えると、「自分で睡眠薬を調合して部下にあげたらちょっと痛い目を見てしまったので、専門家に頼んだ方が良いと思った」という文脈であるとも考えることができます。回復するどころか普通にぶっ倒れる部下たちを目の前に、「我の高貴なる睡眠薬が……」と普通に落ち込むセルバジーナを想像するとかわいいですよね。

 

ちなみに、セルバジーナからスカウトを受けたタドリは、「騎士団に所属するとフィールドワークがなかなかできなくなってしまう」という理由で誘いをお断りしたようなのですが……。

 

凄腕の薬師を我らが特命騎士に招こうと 先日、我が直々に声をかけにいったのだ。
しかしながら、現地での調査に重きを置いているから、と 特命騎士に所属するのは断られてしまった。

現地へみずからおもむくことで知識を蓄えているがゆえに、凄腕の薬師となっているのだな。たゆまぬ努力、見事である!

まだエルガドには滞在しているとのこと。これは天が我に味方していると見た…!

凄腕の薬師を説得する機会がまだ与えられているということ! これを逃す手はあるまい! 再挑戦だ!

(マスター★6 セルバジーナ)

 

セルバジーナ、なぜか全然あきらめていません。むしろ、薬師として不断の努力を重ねるタドリの姿勢にすっかり感服したらしく、特命騎士団に彼を加えたいという気持ちがさらに高まってしまったご様子。話聞いてるか…? 「断られちゃったなぁ、仕方ない」ではなく「まだチャンスはある!」と開き直れるそのポジティブさが羨ましいです。

 

……とまあ、そんな感じで自信に満ち満ちとした性格のゆえに「立ち振る舞いが偉そうな人」というイメージを周りから持たれているセルバジーナですが、実はなんと彼は王族の血を引いているということが本人の口から語られており、出自という点でいえば実際に「偉い」というのは確かであることが判明します。しかしながら、彼自身は自らの出自や、現在の特命騎士という職務について次のように考えているようです。

 

我は、よく「偉そう」だと言われる。偉いか偉くないかは興味ないが、実際に王族の血を引くのは確かだ。
しかし、王位にはまったく興味がない。民を率いるために王は必要だと思うが 王位についていては、民を守れぬ。

民を守ることこそが、王国を守ること。ゆえに我は、こうやって騎士になり行動に移すことで、民を守るのだ。

(マスター★3 セルバジーナ)

 

王国に貢献するという点では同じでも、彼は王として国を統治するというよりは、騎士として王国に危害を及ぼすモンスターを防衛することを志向するようになったらしく、そのために彼は自ら王族という地位を離れたということになります。そして王家の外に出れば、そこは実力の社会。セルバジーナは特命騎士隊長という現在の地位を、紛れもなく彼自身の実力によって獲得したのですね。

 

ここまで見てきたような彼の堂々たる性格も、「王族の血を引いた、生まれつき特別な存在であるところの自分」ではなく、「研鑽を重ねて実力で特命騎士隊長の座を得ることができた自分」に基づいていることなのでしょう。そして、彼の口ぶりは「偉そう」であっても決して他人を軽んじたり見下したりすることがなく、また自分自身にそうであるのと同じように他人への称賛を惜しむことがないのも、彼が努力を積み重ねて得た揺るぎない自信と、かつて生まれつきの身分を手放した経験があるからこそ、一見高圧的に見えるその振る舞いの根底には、他人と自分とを対等に考えられる価値観が人一倍備わっているゆえなのかもしれません。

 

それに関して言うと、彼の率いる特命騎士団は役職としては王国騎士団の中の一部隊ですから、全体の総指揮官である提督のガレアスはセルバジーナにとっては一応上司にあたることになるんですよね。そのガレアスについて、セルバジーナは次のようにコメントしています。

 

我は提督より任命され、特命騎士の隊長を務めている。

特命騎士とは、提督からの特命を扱うため 何をしているかは詳しくは言えぬ。

我と同等ほどの輝きを持つ提督の指示だ。誇りに思っておるぞ。

(エルガド到着後 セルバジーナ)

 

「我と同等の輝き」というのはセルバジーナ基準でいえば最高級の誉め言葉ですね。そして、彼自身はそれに全く興味がなかったとはいえ彼の出自は王族であり、彼は特別中の特別ともいうべき地位に生まれついて、そしてまた恐らくは幼少期には王家としての教育を受けてきたであろうと思うのですが、それにも関わらずその地位を自ら離れ、騎士団の中で人の下について仕事をすることを全く厭わないというのは、やはりセルバジーナの非凡さを感じさせるものがあります。

 

それから、フィオレーネがメル・ゼナとの邂逅の後に倒れたという報を聞いた時にも、彼は次のように語っています。

 

フィオレーネが倒れたのか…。それは心苦しい知らせだ。
誰よりも騎士らしくあろうとする立派な王国騎士だ。回復を心より祈ろう…。

(マスター★4ライゼクス前 セルバジーナ)

 

これは単にフィオレーネのことを称賛している台詞というだけではなく、セルバジーナにとっての本当に特別な言葉だと筆者は考えています。「自分はこの世で最も輝かしき……」という、普段の彼のお決まりの口ぶりから考えれば、「誰よりも騎士らしくあろうとする立派な王国騎士だ」なんて言い方は本来ならしないはずなんですよね。

 

おそらく、セルバジーナの唯我独尊チックな言い回しはいわば「セルバジーナ節」みたいなもので、フィオレーネの件では彼も大真面目にその容態を案じており、上の台詞はそのフィオレーネについて彼の考えているところが素直に表現されたシーン、ということになるでしょうか。他人と一線を画すような性格に見えて、本当はしっかりと他人のことを見てるんだなぁ、と特に思ったのがこの場面でしたね。

 

とはいえ、セルバジーナは確かに根は人物良好ではあるものの、やはり周囲にとっては威厳のあるオーラを放っている(?)彼にはちょっと話しかけづらい、ということは否めないようで、彼自身もそのことを少し気にしている様子があります。

 

我はここでエルガドの人々をいつも見守っているのだが…。
特命騎士の任務に関わること以外で話しかけられることが全然ないのだ…。

なぜだ…。わざわざクエスト出発口に立っているし、我はエルガドの人々を守り、慈しんでいるのに……。

…そうか、理解したぞ! 我が崇高な輝きを放ちすぎて 近寄りがたいのだな!

それならば致し方なし。遠くから我を眺めることを許そう! ふははははっ!

(マスター★4 セルバジーナ)

 

この台詞を聞いた当時の筆者は、そもそもセルバジーナの隣の門(?)がクエスト出発口であることを初めて知ったという体たらくでした……まあ、それは置いておきまして。セルバジーナ自身は「自分が余りにも眩しくて話しかけられないのだろう」と謎に都合よく解釈して開き直っていますが、実際彼はいかにも「圧倒的覇者」みたいな雰囲気を醸し出しているのとは裏腹に、意外にも人付き合いではかなり繊細なところがあったりするんですよね。

 

オレ、「特命騎士」って初めて見たよ。詳しくは知らないけど、何か特別な任務が与えられる騎士なんだろう?
きっと、王域生物を調査するためにエルガドで待機してるんだよな。

少し話もきいてみたいけど、オレみたいな駆け出しには声をかけにくい雰囲気だぜ…。

(マスター★3 ウナバラ

 

エルガドでよくセルバジーナの目の前を行ったり来たりしているウナバラも、「ちょっと話しかけにくい……」と感じている様子。まあ、そもそも「特命騎士ってなんかすごそうだから」とか、「新米の自分が話かけていいのだろうか」みたいな理由もあるかもしれませんが、それにしてもセルバジーナは確かにクエスト出発口の真横で立ち飲みバーのカウンターで飲んでる人みたいなポーズで堂々と立っていますから、なかなか近寄りがたい雰囲気になるのも無理はありません。

 

王国騎士ジェイ…。ヤツは新人ながら、とてもよくやっている。
なにより、頻度は少ないながらも我に話しかけにきてくれる。尊敬しているのだな…ういやつめ。

髪型は提督を真似ているらしいが 中身は、我を尊敬しているに違いない。

何もしていなくても、自然と人を惹きつけてしまう…! 魅力的すぎても困るな! ふははは!

(マスター★5 セルバジーナ)

 

任務のこと以外であんまり話しかけられないという彼に話しかけることがある数少ない人物の一人が王国騎士のジェイ。セルバジーナは「ジェイは自分のことを尊敬している」と喜んでいますが、何というかそれ以前に「自分に構ってくれること」を嬉しがっているような気がしないでもありません。

 

ちなみに、ジェイが憧れているのは当然ながらガレアス提督ですから、セルバジーナのことはまあ上司として尊敬していても「自分もこういう風になりたい」的な意味で憧れているわけではないような気はします。アレですかね、自分に優しくしてくれた人に対して「あの子もしかして自分のことを好きなのでは…?」と思い込んでしまうのと形としては似ているのかも。

 

猛き炎よ! よくぞ戻った! まこと、大儀であった!
我には及ばないが、その討伐っぷりは見事以外の言葉が見つからないほどだ。我のほめ言葉、受け取るがよい!

エルガドの人々も、皆よろこんでいる。空も晴れ、笑顔も映えよう。

しばらくはまだ、エルガドにいるのだろう? 我と交流を持つことを許そう。気軽に話しかけるがいい! ふははは!

(マスター★6 セルバジーナ)

 

ガイアデルム討伐後もしばらくエルガドに残るという主人公に対しても、「気軽に話しかけにくることを許そう!」ですからね。やっぱり構ってほしいんじゃないか。自分があまり他人から話しかけられないことをちょっと寂しがっていたり、こうやって話しかけにいくとすごく嬉しそうにしたりなど、彼はけっこうシャイな部分というか、皆と仲良くなりたいけどどうしたらいいか分からない、或いはなかなか自分から言い出せないという一面があるのかもしれません。ウナバラくんも話しかけてあげればきっと喜ぶと思うよ。

 

その他にも、セルバジーナが人付き合いでなにかと苦戦するシーンが何度かあったりします。

 

カムラの里からのお客人が増えたのだな! 丁重にもてなさねばならん。
特命騎士の名にかけて、エルガドのすばらしさを心行くまで味わわせてやろうではないか…!

さぁ、猛き炎よ! もてなすには、どうすればいいのだ! 我に教えることを許可しよう!

(マスター★1ヨツミ後 セルバジーナ)

 

カムラの里からエルガドを訪れたヒノエたちをもてなしたい気持ちがあるものの、一体何をすれば喜んでもらえるのかが分からずもじもじしている様子のセルバジーナ。分からないことを他人に訊くことを恥とも思わない姿勢は流石ですが、それにしてもあのセルバジーナがこういう場面で戸惑ってしまうのはギャップがあって可愛らしいですね。

 

研究者というのは、どうも…ニガテだ。何を考えているのかまったくわからぬ。
…バハリはまさにそうだ。喜怒哀楽が激しく、行動も突飛で、我はいつも振り回されているのだ…。

…いや、違うのだ。我とて人の上に立つ者。そのようなことで人を嫌ったりはせぬ。ただ…そう、ニガテなだけなのだ…。

(マスター★3 セルバジーナ)

 

続いて、突飛な行動が目立つ研究員のバハリについてのセルバジーナのコメント。「何を考えているか読めないので苦手だ」と素直な感想を語りつつも、人の上に立つ責務のある自分が人を分け隔てしてはいけないという、特命騎士隊長としての理想との間で悩んでいるようです。

 

セルバジーナの自信は、自分自身への厳しさと表裏一体なのでしょうね。騎士としての職務にしても周囲との人間関係にしても、可能な限り妥協はしたくない。客観的に見た自分のあるべき姿、理想の自分と現実の自分をつねに頭の中で照らし合わせて、無根拠の自信や自尊心、驕りを持つことがないようにしたい。そういうわけで、初対面の来客をもてなす時、苦手な性格の人間と接する時などには、彼は柄にもなく気を揉んでしまうのでしょう。

 

部下のこともとても大切にしているようですから、彼は決してただ自分が大好きな人間なのではなく、自らの責務に対して、自分が関わりを持つ他人に対して真摯に向き合い、その上でそれをきちんと果たしていく自分に誇りを持っている、という人物であることがよく分かります。「我はこの世で最も高貴なる存在……」みたいなセルバジーナ節は相変わらずですが、彼にはこれからもそんな感じでノリノリでいてほしい。

 

2.エルガドの歌姫・ラパーチェ

 

私の歌声、なかなかステキでしょ? えへへ、ありがとっ♪
じつは騎士になる前、歌姫として歌うことがお仕事だったんだ~! だからたまに、こうやって歌ってるの♪

私の歌声を聞ければ エルガドのみんなも癒されるでしょっ? ふっふふっふふん♪

(エルガド到着後 ラパーチェ)

 

つづいてはラパーチェさん。彼女は特命騎士の副長であり、現職に至る前は歌姫の仕事をしていたという異色の経歴の持ち主です。任務がないときは砦のそばで歌ったり踊ったりしておりまして、彼女はまさにエルガドのアイドルと言えるような存在。

 

こんにちは~♪ あれあれ、キミは初めましてかなぁ?
私は、特命騎士ラパーチェ! 見ての通り、絶世の美少女♪ エルガドの歌姫だよっ♪

カワイイだけじゃなくて 狩猟の腕も、ホンモノなの! よろしくねっ、カムラの里の「猛き炎」♪

(エルガド到着後 ラパーチェ)

 

で、ラパーチェはこの通り、自分で自分のことをためらいもなく可愛いと言えるタイプの女性なのです。まあ、それほどのメンタルがなければ人前で歌ったり踊ったりするような仕事にすすんで就くということもできないでしょうし、自分で可愛いと分かっていながら変に謙遜するよりもいっそ清々しいという見方もあります。

 

カムラの里のお客さんが来てるの? 遠路はるばるごくろうさまだ~!

私に会いに来てくれたのかな~? 握手とか、サインを求められちゃう!

カワイイって、つら~い! でも、ファンの子はみんな大切だから、ちゃんと握手会の時間、確保しなきゃね♪

(マスター★1ヨツミ後 ラパーチェ)

 

カムラの里から来客があるという話を耳にしたときも、ファンが自分に会いに来たのではないかと思い「カワイイって、困っちゃうな~」と照れている様子。この時にエルガドを訪れているのはヒノエとミノト、ウツシ教官の3名ですが……ウツシはいったん置いておくとして、ヒノエは割とラパーチェと親和性がありそうな感じがします。ただそうなるとミノトがやきもちを焼くかも……まあ、この話はあまり広げなくてもいいでしょう。

 

ラパーチェはエルガドではいつも、砦の海側に面した出入り口のそばで踊っていますが、眼前に広がる大海と眩しく差し込む太陽の光という、まるで舞台のようなロケーションということで彼女のお気に入りのスポットらしいです。

 

この場所、結構気に入ってるんだ~♪ 海もキラキラしてるし 太陽もキラキラしてて、舞台みたい!

私専用の、エルガドの舞台…! ステキ…ステキすぎる…! もうずっと、ここにいてもいいかも…!

……あっ、やっぱダメっ…! 日差しに当たりすぎるとさすがにお肌が気になるかも…てへっ♪

(マスター★2 ラパーチェ)

 

お肌のコンディションに敏感なラパーチェさん。日差しの当たるところで踊るとかよりも、騎士の任務で砂原やら城塞高地の雪山やらに行く方が明らかにお肌に差し障りそうなものですが、それはそれ、これはこれということなのでしょうか。

 

ちょっとした小ネタなのですが、いつもエルガドの加工屋と船着き場の間らへんに立っているさすらいのアイルー・スピーは、たまにエルガドを散歩中にラパーチェがいるこの場所に立ち寄って、踊っている彼女をそばでやんややんやしていることがあります。なかなか可愛らしい光景なので必見ですよ!

 

話を戻しまして、そんな皆のアイドルであるラパーチェはもちろん主人公のことも幾度となく応援してくれるのですが、その際の台詞もなかなか一癖あるといいますか、「歌姫とかアイドルってそんな感じなの?」という具合に妙に距離感が近いんですよね。

 

ガランゴルムちゃんのところに行くんだね! いくらキミでも、油断しちゃダメだぞっ?
王域三公のモンスターなんだから きっと手強いよ~? もしツラくなったら、私を思い出してね♪

いつでもキミの心の中へ飛んでいくよ♪ 私の元気、キミに届け~!

(マスター★3緊急前 ラパーチェ)

 

エスピナスの毒、とってきたんだね! すごーい! さすがだよ!

これでフィオレーネさんも元気になるはず、だねっ!

がんばってくれたキミに私がご褒美あげちゃうよっ! いいこ、いいこ♪ なでなで♪

(マスター★4エスピナス後 ラパーチェ)

 

私は実在のアイドルについてはジャニーズくらいしかわからないのですが、アイドルとファンの距離ってこんな感じになるものなのでしょうか。まあ、1つ目の最後の方なんかは確かにアイドルソングにこういう歌詞あるかなぁ、という感じもしますが、2つ目の「なでなで」と言っている台詞などは、本当に物理的になでなでしているのか、それともエアーなでなで(なでる仕草をするだけで実際になでてはいない)なのかはかなり気になるところ。

 

ラパーチェの方からこうぐいぐい迫られると、「自分はもしかしたら特別扱いされているのかも? ……いやいや、アイドルの前ではファンはみんな平等だし、勘違いしちゃダメだよね……」と、嬉しさもある一方で逆に困惑もしてしまいます。自分の可愛さを自覚しているがゆえの困らせムーブなのでしょうか…? その辺の駆け引きみたいなのは彼女が一枚上手といったところです。

 

フィオレーネさんが倒れたのっ!? それは大変…! ふええ…大丈夫かな…?
…はっ! 暗い顔してちゃ、だめだめ! 私は、エルガドの歌姫…! みんなを笑顔にしないと…!

悲しいときこそ、辛いときこそスマイル、スマイル♪ 笑う門にはなんとやら、だよっ!

(マスター★4ライゼクス前 ラパーチェ)

 

フィオレーネが倒れたときにはさすがの彼女も動揺を隠せませんでしたが、「自分は皆を笑顔にしなければ」とすぐに立ち上がっています。歌姫の仕事は今は本業ではありませんが、周りの人を元気づけるという歌姫のマインドは不変不朽のまま彼女の内にあるようですね。エルガドは明るい港町でありながら、王域生物の異変の解決の最前線で何かと災難続きの場所でもあり、とくにフィオレーネが倒れた直後は全体的に不穏な空気が流れていますから、彼女はやはりエルガドに欠かせない存在です。

 

お天気がいちばん♪ 海がキラキラ、気持ちがいいね!
キミのおかげで、安心してみんなを笑顔にできる日々が戻ってきたよ♪

本当はこわいのに、無理やり笑顔にしても そんなのちっとも嬉しくないもんね!

心の底からの笑顔がイチバンっ♪ これからも一緒に、スマイルスマイル~♪

(マスター★6 ラパーチェ)

 

「スマイル、スマイル~♪」というフレーズはこれと先ほどの台詞とで2回登場していますが、ひょっとすると歌姫時代のラパーチェの決まり文句みたいな感じなのかな? ちなみに、私はこの台詞を聞いてなんとなく「にっこにっこにー」が頭をよぎりました。単なる偶然でしょうが、ラパーチェの髪形もツインテールですし、若干意識している感はあるのでは? と思わないでもありません。

 

ちなみに、ラパーチェはフィオレーネの呼び方に若干の揺れがありまして。先ほどのフィオレーネが倒れた時の台詞と、その少し前の、フィオレーネがメル・ゼナと戦って軽傷を負った報を聞いて心配しているときは「フィオレーネさん」なのですが、1度だけ「フィオレーネちゃん」になるときがあります。

 

ついにっ! メル・ゼナちゃんにオシオキのときっ!
フィオレーネちゃんを苦しめたり 王国のみんなをコワーイ思いにさせたり 悪い子なんだから! ぷんぷん!

[後略]

(マスター★5緊急前 ラパーチェ)

 

フィオレーネとラパーチェは所属部署が違いますから、特にどちらが先輩後輩ということもないと思われますが、仕事ではさん付け、プライベートではちゃん付けくらいの関係なのでしょうか。もしくは、メル・ゼナに対して「よくもかわいいフィオレーネちゃんを……」みたいなノリで言っているのかもしれませんね。

 

フィオレーネが倒れたときの驚きようといい、フィオレーネを助けるためのエスピナスの狩猟の後にのみ例の「なでなで」台詞があることといい、ラパーチェはフィオレーネとは本編中での絡みこそないにせよ、実際かなり彼女のことを特別に思っているような気がしますね。ラパーチェ自身が尊敬しているガレアスに信頼を置かれる副官だから、というのもあるでしょうし、フィオレーネもまたエルガドの精神的支柱というべき存在ですから、「皆を元気にする歌姫」として何か感じるところがあるのかもしれません。

 

さて、ここまでの話だけ見れば、ラパーチェという人物は「特命騎士でエルガドのカワイイ歌姫」なのだろうと思うのですが、特命騎士隊長のセルバジーナの言うところによれば、彼女にはとてつもない裏の顔(?)が秘められているらしく……。

 

ラパーチェという、我と同じ特命騎士を知っているか?
ラパーチェは特命騎士の副長だ。我ほどではないが、それなりの実力を持ち合わせている。

いや、実力は問題ないのだ。問題ないのだが…狩猟中に問題が……。普段と違い、戦闘狂に変わるというか…。

いや、やめよう。詳しく話してしまうと 我の命が危ない可能性がある。ラパーチェは強い。それだけ覚えてくれ。

(マスター★2 セルバジーナ)

 

あのセルバジーナをして「我の命が危ない」と言わしめるラパーチェの恐ろしさとはいったい……。狩猟中だけ性格が豹変するのは彼女の他にルーチカもそうですが、王国騎士たちの情緒面は本当に大丈夫なんでしょうか。ルーチカは自身の二重人格的な部分について色々と悩んでいることを何度も話してくれますが、ラパーチェの場合はおそらくそれが自分の自然体であることを割り切っている感じがします。そのうえで、普段の「エルガドの歌姫」のイメージが崩れないように、セルバジーナや他の特命隊員にもそれを口外しないよう用意周到に釘を刺しているみたいですね。

 

……が、普段の口調で世間話をしているときにも、どうも言葉の節々に彼女の野生の本能が垣間見えることが多々ありまして。

 

[前略(さっきの台詞の続き)]
ドゴッ、バキッ! ってして メキョメキョッ! っとしちゃってね! オシオキはキミに任せたよっ♪

(マスター★5緊急前 ラパーチェ)

 

大変! 王域生物ちゃんたちが、遠いところまで遊びに行っちゃってるんだね…。
もうっ! ダメじゃない! 悪い子たちには、オシオキだよ!

私だったら…ゴツン! ってしたあとに ベチャ! ってやっちゃうかなー。ちゃんと反省させなきゃ! ぷんぷん!

(マスター★2 ラパーチェ)

 

メル・ゼナおよび王域生物各位は今すぐエルガド近辺から逃げてください。彼女の得物は狩猟笛ですが、明らかにこう骨とかを潰している感じのオノマトペが聴こえています……。うーん、これはあのセルバジーナが「命が危ない」と本気でビビっているのもよくわかる。エルガドではあくまでも「カワイイ歌姫」で通していないと色々と大変なことになりそうです。……しかしながらエルガドでも、彼女に半殺しにされそうになった人物が一人だけ。

 

ほえ? なんだかエルガドがちょっぴり騒がしいような…?
あ、なるほど! バハリさんが帰ってきたんだね! うんうん、おかえりなさいだ♪

いっつもみんなに心配かけるんだから~。あとでデコピンしちゃおうかな? 大丈夫っ! ちゃんと手加減するから♪

(マスター★3アンジャナフ後 ラパーチェ)

 

バハリは一応帰ってきた後もピンピンしていますから、命が助かったかどうかという意味では彼は無事だったのですが……ラパーチェは「手加減するから♪」などと供述していますが、本当に冗談で済ませられるレベルできちんと加減したのかどうかは非常に疑問が残るところです。そもそも彼女の中での「手加減」の基準が常人と異なる可能性がありますからね。バハリのおでこに痣が残らないことを祈りましょう。

 

それから、彼女のこの内なる野性と関係があるのかどうかはわかりませんが、ラパーチェは料理の味の好みも非常に独特。

 

私ね、あま~いうさ団子の差し入れをよくもらえるのっ♪ うさ団子おいしいし、大好きなんけど…。
本当はね、激辛のお団子が大大だ~い好きなんだっ♪ えへっ♪

口の中で、辛さと私が熱い戦いを繰り広げるの…! 勝利したときの充実感が、たまらないんだ♪

(マスター★3 ラパーチェ 原文ママ

 

彼女は実は大の激辛好きで、うさ団子のも辛い味付けのものを好んで食べるとのこと。「激辛のうさ団子はそもそも本当に団子の範疇なのか?」というツッコミはさておき、彼女は激辛好きといっても辛さへの感覚が常人と隔絶しているというわけではなく、むしろ激辛料理の辛さに闘争本能を刺激されて、それに打ち克つことを快感とするタイプのようです。辛い物があまり得意ではない筆者にはまるで分からない感覚ではありますが、何となくこれも狩猟中の彼女の「オラァ!!」みたいな野性の部分と繋がっているような気がしますね。

 

そんなラパーチェですが、最近彼女はある悩みがあるらしいです。

 

私ね…最近気になることがあるの…。キミ、聞いてくれる…?

あのね、私ってカワイイし歌もうまいから ファンはいっぱいいるんだけど…。でも、なぜかモテないんだよね…。

すっごいカワイくて歌も上手くて さらに狩猟もできちゃって…。こんな完璧な女の子、ほかにいないよね!?

……ハッ! 私、気付いちゃった……! 完璧すぎるからだ…! 高根の花っていう存在なんだね…!?

そっかそっか、なるほどね~! じゃあしょうがないやっ♪ カワイすぎるって、罪…! てへっ♪

(マスター★5 ラパーチェ)

 

この台詞はもちろん、セルバジーナの「なんで誰も我に話しかけてこないんだろう…?」のと対になっている台詞ですね。そしてセルバジーナ同様、ラパーチェもまた「自分があまりにも完璧美少女すぎて高根の花だから」という超好意的解釈で開き直っています。

 

実際のところはどうなんでしょうか……高根の花だからという理由も百歩譲ってワンチャンあるのかもしれませんが、普段の会話から見え隠れする彼女の内なる恐ろしさを何となく皆察しているからという理由の方が大きい気がします。彼女の狩猟風景を目撃した特命隊員の誰かがうっかり周囲に漏らしてしまい、ラパーチェの野性の部分が本人のあずかり知らぬところで周知の事実になってしまっている可能性もあるかも…? 

 

いずれにしても、彼女自身が「自分が完璧美少女で高嶺の花だから」と納得しているようですから、まあ今のところはそれでよしということになるでしょうか。本人は割とモテたい願望があるようですから、彼女の二面性のどちらも好きと言ってくれる人がいずれ現れるとよいですね。

 

さて、話は変わりまして、元々は歌姫の仕事をしていて「騎士」とはあまり縁がなさそうなラパーチェが、どのようにして今の特命騎士隊副長になったのか、という来歴のお話をしておきましょう。彼女が王国騎士となったのは、提督のガレアスとの出会いがきっかけでした。

 

私ね、エルガドに来る前に提督に勝負を挑んだことがあるの!

すーっごい強い人がいるぞーってウワサを聞いてて、気になっちゃって。ほら、私もすっごい強いでしょ! えへ♪

もちろん殴り合うわけにもいかないから どっちが速くクエストをこなせるかって 勝負をしたんだけど…。

もうね、勝負にならなかったの。大敗! 気持ちいいくらいの負けっ! ウワサになるくらいだもん、さすがだよね!

そのころまだ歌姫をしていたんだけど 提督の強さにあこがれちゃって、私も騎士に転向したんだっ♪

そのあと提督に拾ってもらって さらに今では特命隊の副長なのですっ! すごいでしょ? ほめてほめて~♪

(マスター★6 ラパーチェ)

 

ラパーチェは元来より騎士志望であったわけではなく、前職の頃にガレアスに勝負を挑んで圧倒的な敗北を喫し、そこから「この人についていきたい」と言わんばかりに王国騎士になったというのが彼女の来歴。ガレアスに狩猟で勝負を挑んだということは、歌姫の仕事はハンターと兼業で行っていて、しかも当時からかなりの実力者だったようですね。そんな彼女をあっさりと負かしたガレアスのことをラパーチェはとても尊敬しておりまして、半ば崇拝じみたものすら感じさせるほどです。

 

やだやだ~! 提督のコワイ声が聞こえたよ~!
私、怒られるのはキラーイ。怒鳴られるのはもっとキラーイ!

大尊敬してる提督に怒られちゃったりしたら 私、立ち直れないよーっ!

でもでも、もしキミが怒られちゃったら私に会いに来てね♪ 私がキミを、笑顔にしてあげる♪

(マスター★2緊急前 ラパーチェ)

 

「怒られたら立ち直れない」とか言っているレベルですから、ガレアスは彼女にとっては神のような存在なのでしょうね。それにしても、おそらくは自らの腕に自信があったであろうラパーチェにとっては、僅差でもなく圧倒的大差をつけて敗北するというのはかなりメンタルをへし折られる出来事だったでしょうに、むしろ清々しい態度で現実を受けとめ、ガレアスを追いかけて入隊した王国騎士団の中で特命騎士隊の副長にまで上り詰める、というのは、やはり並大抵の人間がすることではありません。

 

セルバジーナにしてもラパーチェにしても、2人が現在特命騎士隊の重役にあるのには共にガレアスの手引きが大きく関わっていますが、ガレアスは特命騎士隊について――とりわけ騎士隊を牽引する立場については、騎士としての狩猟の実力以上に、精神的な資質を重要視しているのでしょうね。

 

本編での立ち位置を見る限り、特命騎士隊は指揮官直属の部署であり、時局に応じて指揮官から極めて特殊な任務が下される騎士隊のようですから、困難な任務を的確に遂行していかなければならないことになります。本編では異変発生にあわせて「深淵の悪魔」の捜索が命ぜられていましたが、この任務にしても、その現存を確認できていないおとぎ話の存在を探す、というよく考えてみるとなかなか途方もない任務ですからね。精神的な前向きさ、根気強さ、気持ちの切り替えの早さ……そうしたメンタルの強さがなければまず務まらない仕事でしょう。

 

王族の家系に生まれながら騎士の道を歩むことに迷いがなく、自らの責務に絶対の自信と誇りを持つセルバジーナ。ハンターとしての大きな敗北をバネに、歌姫から転身した王国騎士で特命騎士副長にまで成長したラパーチェ。そんな2人だからこそ、特命騎士隊を牽引する立場をガレアスより託されているのでしょう。自分大好きな性格で一見するとネタキャラに思える彼らではあるものの、その自信は彼ら自身の人生経験に裏付けされたものであり、そしてどんな時でも自分を見失わない前向きさは、まさしく特命騎士のリーダーとしての一番の資質であると言えるように思います。

 

ここからはおまけコーナー。まずは、MR★3のストーリーでバハリと協力してキュリアの捕獲(寒冷群島のイソネミクニ亜種の緊急クエスト)に成功した直後の会話。エルガドは捕獲されたキュリアの話で持ち切りとなっており、キュリアの姿を見た感想を各々が話してくれるのですが、特命騎士の2人は見事に正反対の反応なんですよね。

 

きゃーーーー! やだやだ! 見せないでー!
キュリア、超キモーーーーイ! 無理ムリ! 視界にいれないでー!

そんなキモいもの見ると どうにかなっちゃいそう…! 絶対にイヤーー!

(マスター★3ミクニ亜種後 ラパーチェ)

 

ラパーチェの方は「キモーーーーーイ」という感じで、キュリアの姿はちょっと生理的に受け付けないという様子。スーパーアイドルの彼女でも、さすがにキュリアはファンクラブ入会お断りみたいです。ラパーチェが何かに対してここまで露骨に嫌悪感を示すというのもなかなか珍しいシーンですが、彼女に罵られたいというごく一部の層には需要があるのかな…?

 

エルガドでの研究に おおいに貢献する成果をあげたようだな。ほめてつかわそう。
皆はキュリアの事を不気味だと言うが 我はそうは思わぬ。まるできらびやかな衣をまとっているように見えぬか?

このような綺麗な生き物が 脅威となっている可能性があるとは…。自然界とは不可思議なものよ。

(マスター★3ミクニ亜種後 セルバジーナ)

 

一方のセルバジーナは、「綺麗な見た目をしている」とかなり好感触。着眼点が常人とは異なるのか、あるいは「何に対してもなるべく良いところを見つけていこう」的なポリシーを常日頃から持っているからなのでしょうか。実際エルガドでは「あまり好きではない」という反応の方が多く、まあそれはそれで正直でよいのですが、他方でセルバジーナのような感想はエルガドでは少数派で、キュリアの見た目について肯定的な感想を述べているのは彼の他にはフランくらいです(フランは「見てるとだんだん可愛く思えてくる」という感想)。

 

キュリアはその小さな見た目からは到底考えられないほどの脅威を有する存在ではありますが、捕獲されたあげく「うーん見た目がね……」みたいな目線を向けられている寒冷群島キュリアくんはなんかこう微妙に不憫なような気がしないでもありませんから、セルバジーナもフランも、その感性を今後もぜひ大事にしていただきたい。

 

続いておまけその2。作中では長らく特命騎士たちの任務については伏せられておりまして、それが判明するのは例のホラークエス(ルナガロンのやつ)の直後、「深淵の悪魔」ことガイアデルムが初めて姿を現したのちのことになります。

 

やっぱり、そうなっちゃうんだ…! おとぎ話の悪魔…!
…内緒にしててごめんね? じつは、私たちの特命っていうのは悪魔を調査することだったの。

あまり表に出すと、おどろいて怖がっちゃうかなって。今も、み~んなびっくりしてるでしょ?

でもでも、私たちには キミがいるから大丈夫っ!

びっくりはしたけど、キミはいるから! ぜーんぜん、怖くなんてないよ♪ 信じてるよっ! ふぁいと、おー!

(マスター★6緊急前 ラパーチェ)

 

やはり、悪魔の仕業だったのだな。我ら特命騎士が追っていた相手である。

特命について隠していたのは 余計な混乱を避けるためだ。おとぎ話の悪魔なぞ、誰が信じよう?

だが猛き炎よ。動揺するでない。周りを見てみろ。エルガドの皆が 貴殿は大丈夫だと信じて疑わぬ。

期待される者、上に立つ者はその願いに応えねばならない。背を伸ばし、前を向け! そして進むのだ!

(マスター★6緊急前 セルバジーナ)

 

セルバジーナの「期待される者、上に立つ者はその願いに応えねばならない」って台詞、彼が言うからこその重みがあって好きなんですよね。こんな感じで、2人はガイアデルム出現後にこのようにして彼らの今回の特命について教えてくれるのですが、特命騎士の任務の内容について、彼ら自身の口から語られる前から割と鋭い観察眼で予想を立てている人物が1人おりまして。

 

いつも提督の側で待機している特命騎士の人達がさ、2人ともいないことがあるんだ。
もしかすると、君とはまた別の角度でキュリアの調査を進めてるのかもしれないな…。

そうだ! オレもそうすればいいんだ! 自分なりに気になるクエストを片っ端から受けまくって、手掛かりを探ってみるぜ。

(マスター★5シャガル前 ウナバラ

 

またまた登場、ウナバラくんです。そういえばカムラの里のハネナガも、百竜夜行の背後にそれを引き起こしている原因となる存在がいるかもしれない、ということをいち早く予想していましたし、主人公が出会う若手ハンターはなにかと勘が鋭いという共通点がありますね。ウナバラもカムラの里に行きたいと言っていたし、この2人は気が合うかもしれません。

 

ーーーーーーーーーー

 

ということで、今回の記事はいかがでしたでしょうか。王国騎士の中でも屈指の実力者であるセルバジーナとラパーチェは、現時点では彼らの狩猟の腕前を拝むことができないものの、ぜひ盟勇としての参戦を期待したいところです…! 今回の王域生物の異変が片付けば、彼らの特命騎士隊としての仕事もひと段落するでしょうから、彼らと共に狩場を駆ける機会もあるかもしれません。にぎやかで楽しい狩猟になるだろうなぁ……あと、狩場で性格が豹変するラパーチェへのセルバジーナの反応とかもぜひ見てみたいですね。

 

8月頭のアプデ以来、傀異討究&錬成の沼にはまってしまいすっかり記事の更新が遅くなってしまいました。9月末に次のアップデートが予定されているので、そこまでに2記事…いや3記事は更新したいところです。がんばれ私。本当にできるのか私。

 

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました! また別の記事でお会いしましょう!