50年前の里長フゲンたち
※注意事項※
・本記事は「モンスターハンターライズ」全編のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。
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我らがカムラの里の重鎮といえばもちろん、里長のフゲンや加工屋のハモン、ギルドマネージャーのゴコクやアイルー頭領のコガラシです。彼らは若かりし頃は高名なハンターとして(コガラシはフゲン達のオトモアイルーとして)各地に名を轟かせ、そして50年前の百竜夜行をハンターとして経験し、そこから里の再興に伴なって、カムラの民を牽引し支えるような立場になりました。
本記事ではそんな彼らの半生と友情、そして百竜夜行の防衛と根絶に賭ける想いについて迫っていきたいと思います。
ーーーー目次ーーーー
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1.ハンター時代
ハンター時代のフゲンたちはそれぞれどんな人物だったのでしょうか。
フゲンやハモンとは、その昔ハンターとして狩場を駆け巡った仲良しこよしでゲコ。
熱血漢なフゲンと冷静沈着なハモンは、性格こそ正反対だったけど、じつにみごとな連携を見せていたでゲコ。
……ワシ? ワシはまとめ役だったでゲコ。これでも、いちばん強かったでゲコ。いやホントに。
(集会所☆2 ゴコク)
フゲンとハモンのイメージは、今でもあまり変わっていないかもしれませんね。本編中の活躍を見ても、覇気に溢れたリーダーで皆を奮い立たせてくれるフゲンと、加工屋として縁の下の力持ちを担うハモンとでちょうど対照的な役割で里を牽引しています。ハンターの頃の得物はフゲンが太刀、ハモンがライトボウガンだったということで、武器種のイメージからしてもぴったりです。
本編中のフゲンとの会話でも、正反対の性格ながら互いを認め合っている2人の仲を感じさせるものがあります。
「モンスターから"里を守る"とは、狩るのみにあらず」
俺の言葉にイオリは思い悩んでいるが、ハモンは、祖父として手がかりを示そうとしているらしい。
フッフッフッ…。かつては俺やゴコク殿とハンターの高みを目指した「冷然の狙撃手」が、寛容になったものだ。
さて、ハモンの存念やいかに? 訪ねてみるといい。
↓(ハモンに話を聞いた後)
ハモンめ、何を考えているかと思ったら、マガイマガドと百竜夜行を分断するからくり…と来たか。
じつにアイツらしい、匠の発想だ! ○○! からくり完成のため、ビシュテンゴの狩猟を任せたぞ!
(里☆4 緊急前)
ハンターだった頃のハモンには「冷然の狙撃手」という、なんかこう名探偵コナンの映画のタイトルみたいな……いえ、とてもカッコいい異名があったようです。フゲン達が現役の頃は各地にその名を轟かせていたということですから、恐らく他のハンター達の間でもハモンの腕前は有名で、そうした異名がついていたのでしょう。まさかハモンが自分で名乗るわけもあるまいし……。
むやみに真正面から対処しようとするのではなく、落ち着きを持って色々な角度から突破口を開くことを考え、かつそれを高次元で実現する技術を持ち合わせている……というのは、かつて一流のガンナーだった頃から匠として里を守ろうとしている現在に至るまで、ハモンの中で一貫しているスタイルであるように私には思われます。ハモンの加工屋で「百竜強化」選択中に何もしないでいると聞ける台詞にも「使えるものは何でも使って最終的に勝てればよいのだ」というのがあり、彼の思考の柔軟さを窺わせるものですね。
かつてハモンたちと共に狩りをしていたコガラシも、ハモンの狩りについて次のように述べています。
ハモン殿は、昔から優れた発想力と実行力を持ち合わせておられたニャ。
そんなハモン殿に、フゲン殿もゴコク殿も、もちろん拙者も、よく助けられたものでござるニャ…
ハモン殿の、こたびの「からくり」も じつにみごとな出来でござるニャ…。
○○殿、恐れることはない。己の力を信じ、マガイマガドに挑むでござるニャ。
(里☆5緊急前 コガラシ)
本編でのからくりを用いたモンスターの群れの戦力分断という発想も、冷静に色々な手を考えるという昔からの彼のスタイルの延長上にあるものなのかもしれません。
その一方で、「里を守るとは~」の答えに悩むイオリたちに道を示そうとしているという点については「アイツも変わったな……」とフゲンは思っているようです。今のハモンしか知らない身としては、彼は「寡黙に見えて温和な人物である」という印象がありますが、フゲンの口ぶりから察するに昔のハモンは良くも悪くもツンツンしていたのでしょう。それが、年長者として里を導く立場になり、大切な孫もできたことで、だいぶ丸くなったということなのでしょうか。
ハモンらしい部分と、昔と比べてずいぶん変わった部分を語るフゲンがやけに楽しそうなものですから、長きにわたる戦友としての彼らの絆に憧れます。そしてそれはフゲン自身も、昔と比べて自分も色々と変わったという自認があるからかもしれませんね。里長になり、熱血で勇猛果敢な部分は今でもそのままに、リーダーとしてのバランス感覚も養わなければならなかったと思いますから。
で、かつてゴコクはそんな彼らのまとめ役だった、ということですが、真逆の性格だからこそ可能となっていた2人の絶妙なコンビネーションの土台には、おそらく狩りの戦略のことで色々と揉めるような時期もあったのでしょうね。そこで、包容力と実態の分からない謎の強さとを兼ね備えたゴコクが、2人がケンカしてしまった時にはこれを仲裁することで、パーティとしてまとまっていたという感じなのだと思います。
ところで、ゴコクは自分のことを「一番強かった」と言っており、これはどうも事実らしいのですが、しかしながら彼がなぜ、しかもどのように強かったというのは本当に謎の部分でして、彼と共に狩猟に言っていたフゲン達からその話を聞くこともできず、ヒノエやミノトなど昔からゴコクの事を知っている里の住民たちも、彼が何の武器を使っていたのか等を知る者はいないのです。ゆいいつ、ゴコクの狩猟の様子を記したメモ書きのようなものをミノトが見つけた、という話をヒノエから聞けるのですが……。
里長と加工屋のハモンさん、それにギルドマネージャーのゴコク様は、かつて名うてのハンターだったそうです。
里長は太刀、ハモンさんはライトボウガンをそれぞれ得意とされていたそうですが、ゴコク様の武器については謎でして…。
「すごく強かった」というのは聞くのですが どのような武器を得意としていたのか、里長もハモンさんも教えてくれないのです。
ただ、ミノトが見つけた昔の記録に ゴコク様の狩りの模様が記されており、そこには「鬼蛙の如し」…とだけ。
……謎は深まるばかりですね。ヒノエには見当もつきません。
(里☆3 ヒノエ)
「鬼蛙」とは以前の記事でも出たように、MH4で初登場した両生種のモンスター、テツカブラのこと。本作初登場のヨツミワドウの先輩にあたるモンスターで、集会所でゴコク様が乗っているモンスターはこのテツカブラの幼体(名前はテッカちゃん)です。集会所の緊急クエストの時にもゴコクはヨツミワドウに似ているという声があり(なお本人とヒノエはタマミツネに似ていると思っているらしい)、彼は何かと両生種に縁があります。
この記録を書いたのは、実は里内の人物。かつてはオトモアイルーとしてフゲン達と狩り場を駆け、今はアイルー頭領としてオトモ広場のオトモたちを統率するコガラシが当時記したものです。
ゴコク殿がハンターであった頃、どのような狩猟をしていたか… いつも、この説明に困るでござるニャ。
なんというか、「凄まじかった」…としか説明できないでござるニャ。
ゆえに拙者、記録には「鬼蛙の如し」とだけ記しておいたニャ。
ゴコク殿の見た目と、その狩猟っぷりからそう書き残したでござるニャ。他に表現のしようがなかったでござるニャ。
(集会所☆4 コガラシ)
なんとゴコクの狩猟の様子を隣で見ていたコガラシでさえ「どう説明したらいいか困る」と言っています。それでコガラシが絞り出した表現が「鬼蛙のごとし」だったとのこと。4シリーズをプレイしたことがない方も、ようつべで実況プレイ動画などをご覧になって頂ければわかるのですが、テツカブラは猛々しい動きをするモンスターですから、恐らくゴコクもそういう感じだったのでしょう。
とくに、テツカブラは突進などの肉弾戦もさることながら、その大きくて丈夫な牙を用いて「地面から岩を掘り出して攻撃に使う」という特徴がありまして……。もちろんゴコクにそのような牙はありませんが、もしかすると彼も岩を放り投げて攻撃していたのかもしれません。いくらなんでもそんなことあるか? というのは私自身も思いますが、使っていた武器が不明であり、テツカブラのように攻撃すると言われたら、そう考えるのも無理はないといいますか……。
他の可能性としては、ゴコクは操竜をメインの攻撃手段に使っていたという説も考えられます。まあ、これもふだん彼がテッカちゃんに乗っているという所から着想を得たに過ぎないのですが、カムラの里には翔蟲を使った狩猟という伝統もありますし、何となくモンスターと心を通わせられそうみたいなイメージも相俟って、可能性はゼロではないかなと。
武器に関して、世界観的なことでさらに言えば、ハンターズギルドはギルドが認可した武器(現在14種)や兵器(砦のバリスタなど)以外で狩猟をすることは認めていないだろうと思います。モンスターの乱獲や密猟、不必要な虐殺への抑止力、環境保全、ハンター達自身の安全などの面から考えて、自作で新しい武器を作ってクエストに持って行くということはギルドは禁止しているような気がしますし、仮にそのようなギルドの規則があるのだとすれば、ゴコクはそれを破るような人物には思えません。
とすれば、使っている武器すら謎というゴコクの狩猟スタイルとは、テツカブラのように岩をぶん投げたり(しているかどうかは不明ですが)、操竜をしたりすることも含めて、狩り場の自然環境をフル活用してモンスターにダイナミックな攻撃を仕掛ける……というあたりが、妥当な推測と言えるのではないかと思っています。
フゲン殿、ゴコク殿、ハモン殿とは かつて共に狩りをしていたでござるニャ。
拙者が一番若輩でござるが、狩りにおける酸いも甘いも 共に味わった仲間でござるニャ。あの思い出は、拙者にとって何者にも代えがたい宝と言えるニャ…。
(集会所☆2 コガラシ)
続いて、そんなフゲン達と共に幾多の狩りを共にした、コガラシの話もしておきましょう。コガラシは現在はアイルー頭領として、オトモたちの指導やオトモ隠密隊の管轄として活躍しています。また本編での古龍の出現時には、ウツシらと共に調査員として各地に赴くという重役を任されているシーンも。そんな彼をかつてオトモアイルーとして見出したのは、若かりし頃のフゲンでした。
かつて、未熟なオトモであった拙者を狩り場へと導いてくださったのが、フゲン殿でござるニャ。
そのフゲン殿が里長となったとき、同時に拙者に「アイルー頭領」のお役目を与えてくださったのでござるニャ。
まことに恐悦至極。フゲン殿には、生涯、足を向けて寝られぬでござるニャ。
(集会所☆2)
フゲンのオトモアイルーをずっと務め続けていたコガラシから見て、フゲンの狩りはどのようなものだったのでしょうか。
フゲン殿の武器の扱い… それはそれは見事なものでござったニャ。
きらりと刃が光ったと思えば 対峙していたモンスターはすべて地に伏したものでござるニャ…。
(集会所☆3 コガラシ)
出ました。ライズではもはや恒例となりつつある、NPCの太刀の火力バグりすぎ案件です。以前の記事でも、「ロンディーネは太刀でアオアシラをほぼワンパンで仕留めたことがある」というなかなかぶっ飛んだお話がありましたが、フゲンも御多分に漏れずその手のタイプの人だったようで、周囲のモンスターをあっという間にねじ伏せてしまうほどの実力の持ち主だったようです。
まあ、さすがに上級のモンスターまで必殺というわけにはいかないでしょうし、コガラシの脚色が多少入っている部分は無きにしもあらずでしょうが、現役を離れた今となってもなお、百竜夜行では砦内のモンスターを(たとえ空中に浮いていても)ほぼ撃退まで追い込んだり、百竜刀ではイブシマキヒコが浮遊させた岩を全て破壊しつつダウンさせたりするくらいですから、当時のフゲンの実力というのはやはり量り知れません。
今でこそアイルー頭領としてオトモたちを牽引する立場であれど、当時はまだ若くて未熟であったというコガラシは、智勇に優れた先輩たちであるフゲンやハモンから、狩猟の心がけを色々と教わったようです。
○○殿を見ていると、拙者が初めてフゲン殿に付き従い 狩りに出た頃を思い出すでござるニャ…。
その頃の拙者といえば、まだ力もないのに血の気ばかりが多く、よくフゲン殿にたしなめられたものでござるニャ。
フフフ……そのころの拙者に比べれば ○○殿は立派でござるニャ。
(里☆3 コガラシ)
ハモン殿は昔から厳しい人だったニャ。拙者も、狩りの準備を怠っては怒られ、血気にはやった行動をとっては怒られ…。
しかしハモン殿は、誰よりもまず、自分に厳しい人でござるニャ。
だからこそ、狩りにおいても鍛冶においても一流の腕を手に入れているのでござるニャ。
(集会所☆5 コガラシ)
「冷然の狙撃手」と呼ばれたハモンならではの堅実な指導の数々。フゲンやハモンの背中を追って成長を重ねたお陰で、フゲンから「アイルー頭領」という重役を任されるまでに実力をつけることができたのでしょう。今やコガラシは里のオトモたち皆から尊敬のまなざしを向けられる存在であり、オトモ雇用窓口のイオリも、コガラシの威厳には憧れを抱いているようです。
アイルー頭領のコガラシさんは、その昔、現役ハンターだった里長のオトモをやっていたんだって。
さすがは幾多の狩りを乗り越えてきたオトモ…。やっぱり、風格が違うよね。
どんなにワガママなオトモでも、コガラシさんの前では一撃でおとなしくなっちゃうんだ。
…う~ん。ボクも、コガラシさんみたいな風格が欲しいなぁ。
(集会所☆7 イオリ)
長所を褒めて伸ばすタイプの優しい性格のイオリにとって、「風格が欲しい」というのは彼自身のキャラに合っていないような気がしないでもないですが、イオリにとってもコガラシは尊敬すべき大先輩のようです。
そんな彼らの長年の絆は、里の若者たちからも憧れの対象となっています。
おじいちゃんは、ギルドマネージャーのゴコク様と里長の3人で、たまにお酒を飲んでるよ。
なんだか、カッコいいよね。ボクも大人になったら、ああいうのやってみたいなぁ…。
(集会所☆1 イオリ)
ハモン師匠は、夜になると たまい集会所に行ってお酒を飲むんだ。里長や、ギルマネのゴコク様と一緒にな。
若い頃、ハンターとして大活躍した3人が、変わらない友情で酒を酌み交わす…。
くぅ~! しぶいせ! なんかあこがれちゃうなあ、ああいうの!
○○! 俺たちも年寄りになったら、夜は集会所で酒盛りしような!
(集会所☆1 ミハバ)
ミハバの台詞、よく考えてみるとこれは主人公ハンターが若いことが前提の台詞なので、イケオジ的な感じのイメージとかでキャラメイクをしたプレイヤーの方はなかなか困惑したかもしれませんね。あと20年もすればお互いベテランのハンターと加工屋になっているでしょうし、ハモン達3人のように、ミハバとお酒を飲む日が楽しみです。
さて、そんな感じでハンター時代には狩り場を駆け抜けたフゲンたちですが、彼らにとっての最大の転機と呼べるのは、やはり50年前に発生した百竜夜行であったように思われます。次の項では、その当時の様子について迫っていきましょう。
2.50年前の百竜夜行と、里の再興
50年前の百竜夜行のことが克明に記されているのは、「先人の遺物」を集めることで読めるようになる「百竜夜行の手記 壱~拾」です。これは、当時のフゲンが次期里長となる前後の時期に書き残したと思われる回想録であり、なぜ各マップの変なところに置いてあるのかはさておきカムラの里がマガイマガドを伴う百竜夜行によって壊滅的な打撃を受けてから、再起を図るまでの様子が描かれています。以下に手記の一部のスクショを貼っておきましょう。
50年前の百竜夜行では、フゲンたちハンターが前線に立って奮闘するも、里の中へモンスターの侵入を許してしまい、里は壊滅的な被害を受けました。その大きな要因は言うまでもなく、怨虎竜マガイマガドの出現。
おそらくマガイマガドもまた、最終的には他のモンスターたちの群れと共に里の内部まで侵入してきたのでしょう。建造物の破壊はもちろんのこと、あまり表に出る話題ではありませんが、多くの住民やハンターもここで命を落としてしまったであろうことは想像に難くありません。
[前略]
砦でも話したとおり、ヤツは50年前の百竜夜行でも現れた、凶暴極まりない牙竜だ。
そのときは、加工屋のハモンが命がけで退けてくれたのだ…。しかし、またしても姿を現した。
○○よ…! 里を守るため、怨虎竜マガイマガドの狩猟を成し遂げてくれ!
(里☆3百竜後 フゲン)
そのマガイマガドは、ハモンの命がけの抵抗によってどうにか撃退され里は全壊を免れたものの、トドメを刺すには至りませんでした。当時のハモンの腕前を持ってしても討伐に至らなかったというのは、マガイマガドが群れのモンスターを喰らって力が満たされていたからというだけでなく、そもそもこれまでに遭遇したことがなかったからという理由もあるかもしれません。
マガイマガド…。50年前の百竜夜行で、おじいちゃんが挑んだらしいね。
でも、倒せなかったって…。
おじいちゃんほどの腕前でも、倒すことができないなんて…。
○○さん。ボク、○○さんが心配だよ。どうか、ムリだけはしないでね。
(里☆3百竜後 イオリ)
マガイマガドは50年前の百竜夜行でも現れたということですが、「それ以前の百竜夜行ではどうだったのか?」という話でいくと、フゲンの手記を見るに、50年前の百竜夜行はマガイマガド登場以前の時点で里の守りが崩れかけていた=これまでの防衛体制が通じていない=これ以前の百竜夜行よりモンスターの群れの勢いが強かったという様子であり、だからこそマガイマガドが里の方面へ次々となだれ込むモンスターたちを追って里に接近し、最終的にハモン達の眼前に姿を現してしまう結果になった……という可能性も十分考えられます。
まあ、それ以前にまったくマガイマガドが現れていないということも考えづらいですが、何しろ発生の周期が数十年であるため、200年前とか300年前レベルの過去の記録にマガイマガドのことが載っていたとしても、それは対策につながる「データ」ではなく、一つの「伝承」という程度まで風化してしまっていたとしてもやむを得ません。いずれにしても当時のハモンは、かなり不利な状態でマガイマガドと対峙していたという感じであり、討伐に至らなかったというのも無理のない話でしょう(むしろ、それでもマガイマガドを撃退まで追い込んだことで、ハモン達は里の全壊を免れることができたのです)。
マガイマガドを伴う百竜夜行は甚大な被害をもたらし、数多くの大切なものが失われてしまいました。それでも、災禍を生き残った者たちは、カムラの里の再興のために少しずつ立ち直っていかなければなりません。そんな中で、里の民の精神的支柱として皆を牽引し、のちに次期里長として推されたのがフゲンでした。
50年前の百竜夜行で、カムラの里はそれはもう、メチャクチャにされたでゲコ。にがい思い出ゲコ…。
そのとき、里の復興の指揮を執ったのがフゲンだったでゲコ。百竜夜行で前線に立ってボロボロなのに、あの明るさで里の衆を引っ張って…。どれだけみんなが勇気づけられたことか。
そういうこともあって、のちにフゲンは満場一致で里長になったでゲコ。この上ない適役でゲコな!
(里☆3 ゴコク)
フゲン自身は自分に里長が務まるのかどうか、かなり思い悩んでいたフシがあったようですが(ハンターとして戦った際に里にモンスターを通してしまったこともあり、自分が中心となって里を守っていくことに後ろめたい気持ちがあったのかもしれません)、それでも最終的には里の皆の厚い支持に応えるべく、里長を継ぐことを決心。
新しい里長フゲンの功績に関して注目したいのは、上の手記の「俺たち狩人は~」という部分。現在のカムラの里では、百竜夜行に対してはハンターも含めて、里守としての訓練を積んだ住民が砦まで遠征し、皆で防衛にあたることになっていますが、50年前のカムラの里では、あくまでもハンターがその対処にあたっていたことが察せられます。
50年前の百竜夜行の教訓から、我らは侵入を防ぐ砦を築き、さらに武芸の修行に励んで備えてきた。
本来、ハンターでない者がモンスターを狩ってはいかんのだが、百竜夜行では特別に防衛として立ち向かう許可が出ている。
知っているかもしれんが、ヒノエの弓、それにミノトのランスは相当な腕前だ。いや、頼もしいかぎり!
(里☆3 フゲン)
しかしながら、ハンターというのは一つの里の中にそうそう何十人もいるものではなく、いくら強いとは言ってもフゲンやハモン、ゴコクだけでは当然数多のモンスターを対処することは不可能。そこで、カムラの里以外の地域にいるハンターにも協力を呼び掛けることになったといいます。
50年前の百竜夜行では、ワシ、フゲン、ハモンのハンター3人が中心になって立ち向かったでゲコ。
でも、どうにも数が足りんということで、ハンターズギルドと掛け合って ハンター達を募ったのがこのワシでゲコ。
そこでの繋がりから、いま現在ここでギルドマネージャーをやっとるわけでゲコな。
ハンターの経験も生かせるし、情報もいろいろ入ってくるし、よい仕事に巡り合えたでゲコよ。
(集会所☆5 ゴコク)
ハンターが1つのクエストで救難要請を出すのならともかく、百竜夜行という大災害において一介のハンターがギルドに掛け合い、他の地域のハンターを(おそらく十数人~)募るというのはかなり特例のはず。ゴコクも高名なハンターだったとはいえ、本人はさらっと「ハンター達を募った」と言っているのとは裏腹に、実際にはギルドやハンター達への説明にかなり苦労したのではないでしょうか。現在ギルドマネージャーという重役を務めているのも、その甲斐があってのことのように思います。
しかし先述の通り、奮闘もむなしく里の内部にモンスターの群れを通してしまい、カムラの里は半壊まで追い込まれる結果に。フゲンが「50年前の教訓から…」と言っていたように、次期里長となった彼がギルドから許可を貰って「里守」という体制を構築しようとしたのは、まさにこれがきっかけだったようです。
カムラの里が壊滅的な打撃を受けたのはマガイマガドの出現という緊急事態に起因するところも大きいですが、考えてみれば、他の地域から緊急で招集したハンターが、地理不案内でもある中ですぐに円滑な連携が可能であったのかどうかはかなり疑問が残りますし、マガイマガドのような非常事態にもある程度対応し得るだけの、十分な人数と実力のハンターが果たして本当に招集できていたのかどうか、という点も明確ではありません。
50年前の百竜夜行以前にも里守制度はなかったということならば、これまでも百竜夜行の際には里のハンターと他の地域から募ったハンターで対処していたということになりますが、そもそもカムラの里内のハンターだけでは人数が足りるわけもない以上、里の防衛能力を外部に頼らざるを得ないところが大きいという点がカムラの里の脆弱性になっていたのでしょう。別の言い方をすれば、カムラの里は里の防衛をハンターという存在に大きく依存するような構造になっていた、ということになります。
そこで、また数十年後に来るであろう次の百竜夜行のために、里内だけでも防衛に十分な戦力を確保し(もちろん、ハネナガのように他の地域から訪れたハンターの協力もあればなお良しではありますが)、里の守りをハンターだけに依存しないような体制を作ろうとして生まれたのが、里守制度と翡葉の砦だったということになります。
もちろん、砦内部という重要な位置を守るためにハンターの存在は鍵になりますし、本編中では主人公がその役目を務めましたが、それにしてもハンターだけで戦うのと、ハンター資格のない住民でも武器を取って戦えるというのとでは大違いであり、このことが結果として50年後の百竜夜行(ライズ本編)で実を結ぶことになるのですから、フゲンの戦略は英断だったということになります。
それにしても、50年という歳月はなかなか途方もないもので、いくら百竜夜行が「いずれまた来る」ということは分かっていても、数年後にまた来るみたいな感じで短期的に効果が出るようなものではありませんから、必要なことだとは身に染みて分かっていてもなお、里の住民たちが武器の修行にやりがいを感じられず、新体制の構築が途中で頓挫してしまっていた可能性は十二分にありえます。そんな中で、里の皆を鼓舞し、50年という長い目でカムラの里の強固な防衛体制を熟成させてきたフゲンの手腕と人望はとてつもないものです。
また、モンスターたちに崩壊させられてしまった里のインフラを再興させる際に中心となったのは、加工屋の生まれであるハモンでした。
50年前の百竜夜行でカムラの里を元通りにしたのは、ハモンの功績がでかいでゲコ。
もともと加工屋の生まれだったから、たたら場を始め、壊れた建物の復旧で大活躍だったでゲコよ。そんなこんなでそのまま加工屋になって、今や里でいちばんの鍛冶職人… というわけでゲコ。
ちょっと不愛想なのが玉にキズでゲコが、あれは職人だからというより昔からああだから、性格でゲコな。
(集会所☆4 ゴコク)
ハモンは当時はまだ現役のハンターでしたが、先代の仕事の様子を目に焼き付けていたからなのか、あるいは元々からいずれ加工屋を継ぐつもりでいたからなのか、抜群の技術で里の建造物などを復旧させています。加工屋というのは武具の加工専門なのかと思っていましたが、この話を聞く限りではどうも建築業の仕事まで兼ねているようですから、その対応範囲の広さには驚きです。今や一流の技術を以て里を支える「加工屋のハモン」の原点は、このカムラの里の復興という仕事にあったということですね。
そして、カムラの里が「百竜夜行の防衛」のみならず「百竜夜行それ自体の根絶」へと本格的に動き出すようになったのも、おそらくはこのマガイマガドを伴う百竜夜行の経験を踏まえてのことだったのでしょう。百竜夜行の根絶という目標は、イブシマキヒコの登場以前から、既にフゲンやゴコク達の計画のうちにあったものでした。
ゴコク殿は、今回の百竜夜行でもって その災禍を断ちきろうとしれおられる。
そのために必要なのは、百竜夜行がどうして発生するのか…という謎の解明だ。原因さえわかれば、根絶の道がひらけるかもしれん。そのあたりは、ゴコク殿を中心に、ハンターズギルドと連携して調査を進めている。
(集会所☆2 ハモン)
ただでさえ百竜夜行のモンスターたちの群れを撃退するだけでも大変なのに、マガイマガドのような強大でイレギュラーな存在がもし次回以降も現れれば、崩壊寸前の状態からなんとか立ち直ったカムラの里が、今度こそ本当に滅亡してしまうかもしれません。里の連携と防衛の体制を醸成して次の百竜夜行に備えていくだけでなく、更にそれを足掛かりとして、百竜夜行の原因究明とその解決という次の段階に踏み込まなければならない…というのが、50年前からライズ本編の時代にかけての、里の未来をかけた大きな計画であったように思います。
3.三人から見た主人公
そして、とうとう迎えることになる50年ぶりの百竜夜行(ライズ本編)。ここで、その百竜夜行の発生と同時期にハンター就任という運命的な出発をすることになった主人公に、フゲン達は大きな期待を寄せることになります。
主人公の成長ぶりを特に気にかけているのは、主人公を孫のように可愛がっているゴコク。
○○が赤ん坊だった頃は、よくおむつ替えたりしたもんでゲコ…。いやぁ、なつかしいでゲコなぁ…。
それがまあ、こんなに大きくなって、立派にハンターやってる姿とか見てると、長生きするのは楽しいことだと思うでゲコ。
(集会所☆1 ゴコク)
主人公が幼い頃から世話をしてくれていた、優しいおじいちゃん的な存在のゴコクですが、彼はギルドマネージャーとして、ハンターの実力や実績を評定するという仕事柄、主人公にも勿論「どのくらいのレベルのクエストを紹介するか」という判断を下しています。そのことについて、フゲンから次のようなコメントを聞くことができます。
ゴコク殿がオマエに課すクエストは、いずれも難しいものが多い。正直、俺でも「少し早いのでは」と思うことがある。
だがそれも、オマエの才能を信じ、成長を願っているからこそだ。危険な狩りを乗り越えなければ、強くはなれんからな。
〇〇よ…。オマエは、もっともっと強くなれる。ゴコク殿を信じて、がんばれよ!
(集会所☆2 フゲン)
かつてハンターとして名を馳せた実力のフゲンですらこう言うのですから、ゴコクが主人公に紹介するクエストの難易度を上げていくペースは、一般的なハンターのそれと比べてもかなり早いのだそう。ゴコクはゲームスタート直後の時期、主人公を特に審査なしであっさりハンター登録してしまうくらい、就任以前からその才能を高く評価していましたからね。
しかしその一方で、危険な狩りに出かけていく主人公のことを彼は人一倍気にかけているような様子もあり、ハモンやカゲロウ、ミノトからその話を聞くことができます。
最近、体が締まってきたな。集会所で、順調にクエストをこなしているとみえる。
しかし、くれぐれもムチャはするな。…おぬしには悟られぬようにしているが、ゴコク殿がいつも心配しておられる。あの方からすれば、おぬしは孫のような存在だ。「ワシに顔も性格もそっくりでゲコ」…と、自慢しているほどだからな。
……どうした? 何か言いたげな表情だな。
(集会所☆3 ハモン)
○○殿、集会所でのクエストを順調にこなしていると伺いました。いやはや、さすがの腕前。
ただ最近、あなたが狩りに出ている間 ゴコク殿がそわそわと歩き回る姿を目撃しております。
普段は軽口を叩いておられますが、やはり○○殿が心配でしょうがないのでしょうな…。
(集会所☆3 カゲロウ)
おかえりなさい、○○さん。ご無事で何よりでした。
そういえば、あなた様がクエストへ出向いている間に、ゴコク様が描いた絵を拝見したのですが…
絵の隅に「○○がしんぱい」…と記されておりました。無意識に筆が動いたものと推察します。
ゴコク様にとって、あなた様は孫のような存在…。狩猟の腕前は信頼していても、やはり浮き足立ってしまうのでしょう。
…わたくしも、ヒノエ姉さまが風邪など引いていないか、何か嫌な思いをしていないか、常に心配しております。
絆というのは まことに美しいものですね。心が暖かかくなります。
(集会所☆3 ミノト)
ミノトの隙あらば姉語りはさておき、ゴコクが内心では主人公のことが心配で仕方がないというのは周知の事実となっている様子。しかしながらゴコク自身は、その気持ちを主人公に悟られたくはないようで、主人公に対してはなんかツンデレのように「別に心配なんかしていない」と言い張っています。
お~う、○○。なかなかいい調子でクエストをこなしとるでゲコね~。
まあ、くれぐれもムチャは禁物でゲコ。おぬしにケガでもされたら、こっちもお仕事どころではなくなるでゲコ。……あ! べ、べつに心配してるわけではないでゲコ! どうせおぬしは、どこに行ってもビンビンして帰ってくるわけだし!
(集会所☆3 ゴコク)
ギルドマネージャーである自分自身の手で、あくまでも毅然とした態度で主人公に難しいクエストをハイペースで課しておきながら、一方で主人公の身を案じてこんなにもソワソワしているというのは、一見すると矛盾した行動に見えなくもありませんが……おそらくゴコクは、「今回で百竜夜行の原因を絶つ」と決意し、主人公が丁度この時期にハンターに就任した時から―—あるいは、主人公がハンターの修行を開始し、その秘めたる才能を目の当たりにした時から、「主人公はいずれ里の未来を背負って戦うことになる」ということを、どこか漠然と予感していたのではないかと思います。
そして、その戦いを乗り越えられるだけの実力が身に付くように、孫のように可愛がってきた主人公に敢えて厳しい試練を与えるというのが―—さらに言えば、その運命を主人公に背負わせるのは、ある意味では「百竜夜行の原因究明と根絶」という計画を動かしている当の自分たち自身なのですから―—ゴコクなりの愛であり、またある種の負債なのではないでしょうか。
続いて加工屋のハモンは、里ストーリーにおいて、かつて自分が仕留められなかったマガイマガドの狩猟を主人公に託すことになります。
[前略]
○○よ。フゲンから、任務としてマガイマガドの狩猟が申し渡されたと聞いた。
なれば、おぬしに託す。狩れるならワシが狩りたいが、年寄りが出しゃばる場面ではないゆえな。
(里☆3百竜後 ハモン)
マガイマガドの脅威から里を守り切ることが出来なかったこと、そしてそのマガイマガドを命がけで撃退にこそ追い込めたものの、とどめを刺すには至らなかったこと―—50年前、彼がハンターとして味わった深い後悔は、今もなおハモンの肩に重くのしかかっています。そして今回の百竜夜行では、大事にこそ至らなかったものの、大切な孫のイオリをマガイマガドに襲われた。当然ながら、彼は心穏やかではいられません。
あやつめ…。50年前は里を壊滅寸前に追い込み、こたびは、孫に…イオリに牙を剝きおった。
できればこの手で狩猟したいが、老いたこの身でヤツを狩るのは至難の業。口惜しい限りだ。
だが、元ハンターとして、孫を襲われた祖父として、カムラの里の鍛冶職人として…。かならずや一矢、報いてみせるぞ。
(里☆3百竜後 ハモン)
しかし、現役を退いた身ではマガイマガドと互角に渡り合うことはできないであろうことも彼は承知していて、フゲンから命を受けた主人公にマガイマガド討伐の悲願を託します。「狩れるなら自分が狩りたい」と血が疼いて仕方のないところでありながら、加工屋としてハンター(主人公)を送り出す自分という所に立ち返り、あくまでも鍛冶職人としてなすべきことを貫徹するハモンさんが、本当にかっこいい。
おぬしがマガイマガドを狩ったおかげで、50年の間、長く抱えていた肩の荷が降りた。
○○よ。良きハンターに成長したな。フゲンも、ゴコク殿も、同じ思いだろう。だが、里の状況はまだまだ予断を許さぬ。これからもよろしく頼むぞ。
あと…イオリはおぬしのことを尊敬している。よければ、時々でいいから気にかけてやってくれると…その…助かる。
(里☆5 ハモン)
マガイマガドを討伐して帰って来た後のハモンは、「これで肩の荷が降りた」と主人公にお礼を伝えます。50年前の当時の百竜夜行を知る者も少なくなる中で、今度こそ里の仇敵マガイマガドから里を守り、そして決着を付けなければならないという責を、心の中でずっと彼は抱えて生きてきたのでしょう。そんなハモンにとっての主人公は、昔の自分が成し遂げられなかった使命を、現役を退いた今の自分に代わって果たしてくれた存在、ということになりますね。
そして里長のフゲンは、里に伝わるなんかすごそうな刀を、マガイマガドを討伐した主人公に譲り渡すことになります。
オマエに託した宝刀は、武器ではなく儀式のための霊宝であったと伝わっている。
実際、攻撃力はそれほどでもない。ゆえに、俺も里の衆を指揮する際に携えてはいたが、抜いたことはないのだ。まあ、もうオマエのものだからな。好きなように扱ってみるといい。じつはとんでもない力を秘めているかもしれんぞ?
(里☆5 フゲン)
ソロ専用ストーリー(里クエ)の区切りで特別な太刀を貰うというのは、MH3Gでモンハンに触れた筆者としては、何となくMH3(G)で村クエ下位クリア時にゼヨから南蛮刀を貰うくだりを想起させるようで、なかなか感慨深いものがあります(シリーズでは割と恒例みたいですね)。さてこの宝刀、実戦用の武器というよりは儀式用の武器らしく、フゲン自身もこれでモンスターを狩猟したことはないようです。が、里の有識者によれば、この宝刀には秘められた力が眠っているとのこと。
あらまあ、○○さん! マガイマガドを狩猟して、ほうびに宝刀を授かったそうじゃないか!
昔、私のひいおじいちゃんがね。「あの宝刀は、とんでもない力を秘めておるぞ…!」って言ってたのよ。ウソか本当か… ちょっと鍛えてみるのもありかもしれないね。
(里☆5 ワカナ)
マガイマガドを狩猟したごほうびに、里長から宝刀を授かったんだって?
ずっと昔からカムラの里に伝わるシロモノだよな。ハモン師匠が言うには、「ふしぎな力を感じる」らしいぜ。俺にはただの飾り物にしか見えないけど、師匠がそう言うなら、なんかあるんだろうなぁ。
(里☆5 ミハバ)
私は剣士武器はあまりよく分からないのですが、最終強化するとけっこう強いらしく(ティガ太刀やナズチ太刀等にはさすがに及ばないようですが)、これらのウワサは本当だったようです。
ところで、フゲンがこの太刀を主人公に託したのは、やはり「百竜夜行からカムラの里を守り、未来へと繋いでいく」という責務を、主人公に受け継がせたいと考えているからなのでしょう。里の伝統的な品であるこの太刀を持っていることにどういった意味があるのかということについては、ヒノエがよく知っています。
あら、○○さん! 里長の宝刀を受け継いだというのは本当ですか!?
……まあ、本当なんですね! 代々伝わる宝刀を受け継ぐなんて… たいへん名誉なことですよ!
……え? 宝刀を受け継ぐとどうなるのか…ですか?
……さあ。別にどうもならないと思いますが。
以前から「宝刀は重くて疲れる」と言っておられましたし、里長も早く誰かに譲りたかったのでしょう。
…とは言え、それは里において最強の証であり、里を導く者の象徴…。すなわち「采配(さいはい)」です。
「重いから」などど言われつつも、里長がそれをあなた様に託されたのなら、そういうことかと…。
さて、☆5のクエストが解放されました。ツワモノのあなた様にふさわしい、手練れのモンスターたちが待ち構えていますよ。
(里☆5 ヒノエ)
フゲンはこの宝刀を「重かった」と言っていますが、これは単にこの刀が儀式用で装飾などが色々ついていて重量があるというだけではなく、「里長としてカムラの里を導く」という責務の重さ、その使命を50年近くも背負ってきたという歳月の重さ……という意味でもあるのでしょうね。そしてそのカムラの里の最強の守り手という役目は、里長のフゲンから主人公へと今まさに受け継がれつつある。
フゲンは「頼れる大将」として皆を鼓舞するという立場上、あまり周囲に弱みを見せるような人物ではありませんが、じっさいのところ、50年前の百竜夜行では大敗を喫した苦い思い出もあり、今回の百竜夜行に関しても、里を守り切れるかどうか、里の民に犠牲者を出さずに終わらせることができるかどうか、内心では不安があったかもしれません。壊滅寸前の所から里を復興し、気の遠くなるような年月をかけて里の団結力と防衛能力を育て上げてきた―—その不断の努力の成果が、すべて水泡に帰してしまうようなことになりはしないだろうかと。
ましてや、フゲンは50年前はいちハンターとして防衛に参加する身だったわけで、フゲンにとっても、自分が大将として百竜夜行に臨むのは当然今回が初めてとなる訳ですから、リーダーとしてしっかりとその器量を示し得るかどうか、緊張しないわけもないでしょう。
しかしながら、今回の百竜夜行の防衛は順調に成果を上げ、再び姿を現した仇敵マガイマガドも無事に討伐し、そして自分の想いを託し得る新たなる守り手を見出すこともできたことによって、フゲンは自分が里長として背負ってきた責任や、50年前の大敗という呪縛から解き放たれることができたのではないかと思います。
ちなみに、手記の内容を見てみると、里の宝刀はどうやら「里長から次の里長へと」受け継がれている品であるように思えます。そして実際のところ、「次の里長は主人公なのではないか?」という話も出ていたりするんですよね。
百竜夜行、どんどん激しくなってるね。でも、○○さんの強さにみんな勇気づけられてるよ。
…なんか、○○さん、このままだと将来、里長になりそうだよね。だって、里の偉い人たちが期待してるし。
いよっ! 里長○○! ……うーん、響きは悪くないかな。
(集会所☆3 ヨモギ)
十年単位で後の話になるのかもしれませんが、ハンターとして経験を積んだ主人公がカムラの里に戻り、次期里長を引き継ぐアフターストーリーとかも色々妄想してみたいですね。モンハンシリーズで、前作の主人公ハンターがその存在だけでも示唆されるということはあったのでしょうか。もしかしから主人公ハンターも、いずれ別の作品で「カムラの里の里長」として話に出ることがあるかもしれませんね(ところで上のクリップ、偶然撮れたのですが、テーブルを拭いているヨモギに話しかけた時に隣にイカリが座ってると、イカリも一緒に話を聞いている感があってかわいいですね)。
ちなみに、フゲンは狩猟以外にある用途でこの宝刀を抜いたことがあるようで……。
○○さん、里長から宝刀を授かったそうね。
あれは…昔からこの里にあるけど、すごいものなのかしら? 意外と誰も、そのあたりを知らないのよね。そういえば、前に砦で防衛してたとき、里長、宝刀でお肉を切って食べてたわよ。…あとでキレイに拭いときなさい。
(里☆5 スズカリ)
何してんすか里長。里の大事な宝刀がまさか包丁も同然に使われていようとは……。ここまでのシリアスな話が一気に台無しです。まあ、フゲンもヒノエに並ぶ大食いとして有名な人ですし、狩りでたくさんエネルギーを使っているのですから、そら食欲には勝てませんよね。お気持ち分かります。
4.現役復帰の可能性アリ?
ところで、フゲン達は現在はハンターを引退している身ではありますが、話を聞いてみるとどうも「ハンターに現役復帰をしたい」という願望があるようです。
おぬしの活躍を見ていると、ワシも、たまに血が騒いで狩り場に出たくなることがある。
引退したので、そういうわけにもいかんが… 老いても狩人の血というのは、なかなか鎮まってくれんものだな。
昔、共に狩りをしたフゲンやゴコク殿も同様だ。特にフゲンなどは、本気で復帰を現役への考えている節もあるぞ。
まあ、カムラの里に平穏が戻ったらの話だが…。また昔のように狩りに出るのは悪くないかもしれんな。
そのときは、○○。おぬしも付いてこい。我らベテランの狩りを見せてやろう。
(里☆6 ハモン)
ハンターを引退してからも百竜夜行の為に里守としての訓練を続けていたとはいえ、現役を退いてなお百竜夜行では縦横無尽の活躍を見せるフゲンですから、現役復帰というのも決して夢ではないと思います。そしてフゲンがそうすると決意すれば、チームを組んで共に戦っていたハモンやゴコクも「じゃあせっかくなのでワシも…」と意気投合するかもしれません。
コガラシも、今回の百竜夜行の防衛戦で、フゲン達がまったく狩猟の腕に衰えを見せていないことに感心している様子。
百竜夜行はこの上ない災いであるが、今回、砦で一致団結して立ち向かう中で得られたものは少なくないでござるニャ。
とりわけ、若者たちの頼もしさにはたいへん心を打たれたでござるニャ。里の未来は安泰でござるニャ…。
そして、年配たちがまだまだ衰え知らずであることもよくわかったでござるニャ。
フゲン殿もハモン殿もゴコク殿も、昔と何も変わらぬ熱血ぶり…。 …まあ拙者もそれは同じかニャ。
フフ。カムラの里は皆、元気。頼もしい限りでござるニャ。
(集会所☆6 コガラシ)
かくいうコガラシも、主人公の活躍を見ていて現役オトモアイルーだったころの血が騒ぐようで、いつかフゲン達をもう一度狩りに誘ってみようかと思案しているようです。
○○殿を見ていたら 拙者ももう一度狩りへ出たくなったでござるニャ。
一度、フゲン殿をお誘いしてみようかニャ…。ゴコク殿やハモン度にも声を…。
フフフ…。「いい歳をしてハシャぐな」と、里の者に怒られてしまうでござろうニャ。
(ドス古龍討伐時 コガラシ)
フゲンも割と本気で復帰したいと思っているようですし、考えていることは皆おなじのようです。これが狩人の絆というやつなのでしょうか。サンブレイクでは「盟友」というシステムでカムラの里の仲間たちとも共に狩りができるようですが、ひょっとするとフゲンやハモン、ゴコクやコガラシとも、盟友クエストで一緒に戦う機会があるかもしれませんね。
ちなみに、フゲン達がハンターに復帰して狩りに出かけるとなると、里長をはじめ里の重鎮たちがカムラの里をだいぶ空けることになってしまいますが……。
○○さんのおかげで、マガイマガドを迎え撃つ準備も完了! うふふ、大活躍ですね。
近頃は、里長とハモンさん、それにゴコク様が、あなた様に触発されてウキウキしておいでです。
そのうち、「3人で狩りに行く」とか言い出しそうで…。そうなったときの対処をミノトと一緒に相談しているところです。
(里☆4 ヒノエ)
ヒノエ達も止めるつもりはないのだと思いますが、フゲン達が狩りに出るとなれば里の重要ポジを他の皆が代わらないといけなくなりますから、カムラの里の皆もなかなか大変なことになりそうです。……とはいえ、百竜夜行がひと段落したら、里の世代交代というか、責任のある立場を若い層に徐々に引き継いでいくような時期になりそうな気もしますね。フゲン達がハンターに復帰するとなれば、それがよい機会になるかもしれませんね。
最後にちょっとした小ネタを。ハンター時代のフゲンのオトモは、アイルーのコガラシとガルクのカエン(別の記事で紹介)がいますが、その他にもまだまだ彼の仲間はたくさんおりまして。
[前略]
里長のフゲン殿は…。
じつは…。
フクズクが大好き!
3匹のフクズクを飼っていて、戦友イチホ、伝書フクズクのニム、偵察担当のサンラがいるニャ!
イチホは、フゲン殿がハンターのときに一緒にがんばった戦友フクズクなのニャ。だから今は、ご隠居さんなんだニャ。
フゲン殿は、どのフクズクも家族のようにかわいがっているのニャ! ほほ笑ましいニャ!
……ニャンとも驚愕の情報だったニャ。では、次の情報更新は、ヒノエちゃんからの緊急クエストをクリアしたあとだニャ。
(里☆2 フカシギ)
3匹の中でもイチホは昔からの戦友ということですから、おそらくイチホは狩場内のモンスターの位置を偵察して教えるという役目を担っていたのでしょう(じっさいにゲーム内ですべてのモンスターの位置が常にミニマップに表示されているのも、ストーリーの最初に仲間になったフクズクが上空から索敵してくれるから、という設定になっているんですよ)。
伝書担当のニムと偵察担当のサンラは、現役で里長フゲンのサポートをしてくれるフクズク達ということなのかな。ストーリーの最初のイベントムービーの「たった今 文が届いたぞ」のところで手紙を持ってきてくれていたのもおそらくニムだったのでしょうね。サンラは本編で登場があったかどうかは分かりませんが、百竜夜行の動向や古龍たちの行方を探るさいに大活躍していたものと思われます。
たたら場前エリアでもフゲンはオトモガルクのカエンと時々じゃれあうような光景を見せてくれますし、フゲンの戦友思いなところがよく伝わります。あるいは元々動物が大好きなのかもしれませんね。普段の勇猛な感じとは少しギャップがあって、それもまた彼の魅力だと思います。
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そんなわけで、本記事ではフゲン達の半生について色々と考察をして参りました。百竜夜行の防衛と根絶という50年越しの大業を成し遂げ、主人公を中心とした若い世代へとバトンを渡していこうとするフゲン達。彼らは今後ハンターに現役復帰するかしれないということですが、サンブレイクで追加される「盟友クエスト」システムで、もしかしたらフゲン達と一緒に狩りに出かけることもできるようになるかもしれません。未だ衰えを見せないという彼らのベテランの狩りを、この目で見ることができる日を楽しみにしたいと思います……!
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!