カムラの里の小ネタ集

 

※注意事項※

・本記事は「モンスターハンターライズ」全編のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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本記事では、これまでのキャラクター考察記事では取りあげきれなかった、カムラの里の住民たちの小ネタについてざっくばらんに紹介していきたいと思います。元々記事を書いていて入れるタイミングがなかったものもあり、はたまた後で「これ入れるの忘れれてた!」と思い出したけど今さら記事に色々と手を入れる気にもならない…みたいなものもあり。

 

どこかの記事に入れるのを忘れていた台詞や小ネタが発見されるたびにこの記事は充実していくことになると思いますので、どうぞよしなに。それではさっそく参りましょう。

 

ーーーー目次ーーーー

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1.まだまだ眠る! カムラの里のアートな才能

 

過去3回にわたってお届けしてきた「カムラの里のアートな人たち」シリーズですが、これまで紹介してきた住民たち以外にも、まだま芸術の才能を持っている人がカムラの里にはいるのです。

 

まずはイオリくん。

 

ニャンとフカシギ。謎の情報屋、ただいま参上…だニャ。

フム、ではカムラの里の裏情報その6をオヌシに伝えようではニャいか…。

オトモ雇用窓口のイオリくんは…。

じつは…。

趣味で、こっそり俳句を詠んでいる!

これが実に上手で、広場のアイルーたちはみんなに見せることを勧めているのニャ。しかし、本人は恥ずかしいようで…。

……ニャンとも驚愕の情報だったニャ。では、次の更新情報は、ヒノエちゃんからの緊急クエストをクリアしたあとだニャ。

(里☆5 フカシギ)

 

まさかの俳句が趣味だというイオリくん。シブい。良い趣味をしています。すでにお気づきの方も多いかもしれませんが、イオリという名前も、おそらく日本語のテキストにおいて和歌や俳句の目印として用いられる庵点(いおりてん、記号:〽)から来ているのだと思います。本人は恥ずかしてあまり他人の前で披露しないということですが、いつかイオリくんの俳句が見られる時が来るのでしょうか。

 

つづいて、そのイオリくんの祖父であるハモンさん。

 

ふふ、祝宴で少々ハメを外して、飲み過ぎてしまったわ。ここまで酔ったのはどれだけぶりか…。

○○のおかげだ。よくぞ…よくぞ、このカムラの里を百竜夜行から解放してくれた。

おぬしの活躍、歌にして吟じてみるのもよさそうだ。琵琶を奏でつつ、朗々とな…。完成したら、聞かせてやろう。

(淵源討伐後 ハモン)

 

なんとハモンさんは琵琶を弾き語り(という表現でいいのかわかりませんが)することができるようで、主人公の活躍を歌にしたいと言っています。…まあ、「なんと」などと言っていますが、正直ハモンさんは器用富豪すぎてなんかもう驚かないといいますか、それよりも祝宴で珍しくテンションが浮かれていることの方に驚くといいますか…。かつてはハンターとしても名を馳せ、今では一流の鍛冶屋であり、料理もとても上手で楽器もできる……。そんなハモンに弟子のナカゴもこんなコメントをしています。

 

僕もコジリも、ハモンさんの弟子なんです。まあ、この里で武具を扱ってる人は全員そうなんですけどね。

ハモンさんは本当にすごいんですよ。どんな武器でも防具でも、からくりだって作っちゃうんです。

昔は凄腕のハンターだったって話だし、できないことなんて、あるんですかね…?

料理はできるんですかねぇ…。できそうですよね…なんとなく。

(集会所☆1 ナカゴ)

 

特に料理が壊滅的にできないナカゴにとっては、器用で何でもこなせる師匠のハモンさんは尊敬してやまない存在。まあ、ナカゴはナカゴで砂鉄の産地を当てるというこれまた加工一点特化のすごすぎる才能を持っているので、適材適所というものですね。

 

2.ゴコク様の語尾から「ゲコ」が消える時とは?

 

続いてはゴコク様の小ネタ。ヨツミワドウやテツカブラなどのモンスターと縁が深く、いつも「~ゲコ」という語尾がチャームポイントなゴコクですが、彼はシリアスな場面では普通の口調で喋ることがあるんですよね。

 

この前、集会所から注文があって弁当を作って持っていったんだけど、…いやぁ、驚いたよ。

いつもニコニコのゴコク様が、見たこともない怖い顔でハンターズギルドと会議してたんだ。

言葉遣いも「ゲコー」とか言ってなかったし、まるで別人だった…。

百竜夜行や、あの青い龍から里を救うため、ゴコク様も必死でがんばってくださってるんだな…。

(集会所☆5 センナリ)

 

センナリが目撃したイブシマキヒコの調査と追跡のための会議では、ゴコクは語尾にゲコがついていなかったとのこと。ゴコクは今回の百竜夜行でその原因を掴み、これを根絶することを計画していましたから、彼にとっての最大の正念場はまさにこの時期でした。

 

他にも、ストーリー進行の時の会話を注意深く見ていると、ゴコクが「ゲコ」を使っていないシーンを見つけることができます。

 

(集会所☆6 ゴコク)

それにしても、「ゲコ」がないゴコク様というのも、テキスト上でならともかく、音声として脳内再生してみるとこれがなかなか想像しづらい……。そもそも、ゴコク様の語尾がゲコになったのはいつからのことなんでしょうか。テツカブラのテッカちゃんを育てようとしてカエル的な喋り方を意識していたら、そのまま口癖になってしまったとか……? 謎は深まるばかりです。

 

3.扉を閉めちゃったヒナミさん

 

続いて傘屋のヒナミさんのお話。彼女はカムラの里の門の前に店を出しているという関係上、百竜夜行の際には里に残り、もし遠征隊がモンスターに砦を通過させてしまった場合に、すぐさま門を閉めて里の中にモンスターが入ってくるのを防ぐ、という重要な役割を任されています。

 

で、ヒナミ本人はそういう「自分だけに託された大事な任務」的なシチュエーションに非常に燃えるタイプらしく、事あるごとに「いや~私ったら信頼されてるわ~」「里の命運握ってるわ~」などと、嬉しそうに自分の役目のことを話してきます。

 

ふふふ、○○。アンタがハンターってのもすごいけどさ、アタシだって重要な役割を持ってんの。

いざモンスターが里に迫ったら、そこにある門を閉じる…。これ、里長からの極秘任務ね。

「里を守りきれるか否かはオマエにかかっている!」とか言われちゃってさぁ… 期待されちゃってるよねぇ、アタシ。

(里☆1 ヒナミ)

 

いちおう、フゲンの意図としては「一人ひとりが自分の役割を果たすことで里を守るという意識を持ってほしい」なので、ヒナミの受け取り方は決して間違ってはいないのですが、それにしてもフゲンの表現とヒナミの感受性の相性が変にうまく噛み合ってしまったがゆえに、ヒナミはやたらと張り切っています。大事な任務であることには違いないんですけどね。

 

で、ハンターである主人公とは違う形であれど、扉閉め担当のヒナミもまた「モンスターから直接里を守る」という役割であるため、だんだんと彼女は主人公に対して謎の親近感を抱くようになるんですね。

 

アタシは、「いざとなったら門を閉める」って極秘任務を帯びてるから、毎日、緊張感との戦いよ。

この感じは、あんたが危険な狩猟をするときの緊張感と同じだろうね…。

だからアタシにはわかるよ…。アンタが狩猟で苦労してるときの気持ち。アタシだけは、理解者だから。

(集会所☆2 ヒナミ)

 

ふだん別にそういうキャラじゃないのに妙に重みのある台詞ですが、彼女なりに主人公を気遣ってくれているようです。ヒナミも里守としての訓練は積んでいるであろうとはいえ、やはりモンスターは遭遇すれば恐ろしい存在であることには変わりはなく、モンスターを視認したら一目散に扉を閉めにかからなければならないというのは実際けっこう神経を使いますし、場合によっては危険を伴う仕事でもあります。

 

ヒナミはやる気満々ではありますが、一方でそもそもモンスターが里まで到達しないのが一番だ、というのは彼女もよく心得ていて、「強いモンスターを里まで通さないようガンバレ」と主人公を応援(?)してくれます。

 

いやぁ、マガイマガドの狩猟、ごくろうさん。

もしもマガイマガドが来たら怖いから、アタシ、門のそばでずっと待機してたよ。割とハラハラしながら。

門を閉じる任務はちゃんと果たすけどさ、やばいモンスターが来るかもってなると、気が気じゃないよね。

そういうわけで、里までモンスターを通しちゃうときは、いい感じに弱めのモンスターでよろしく!

(里☆5 ヒナミ)

 

なんか、龍が現れたらしいね。ゴコク様も見たことがないヤツなんでしょ? それって、たぶん新種じゃん。

龍か…。よく考えてみればさ、空を飛ぶヤツが来ちゃったら、アタシが門を閉じたところで、たぶん意味ないよね。

まあ、そのために煙突からモンスターが嫌う成分の煙を出してるんだけど、果たして龍にまで効くのかどうか…。

○○、里に逃すモンスターは、あまり強くないヤツと、あと、龍以外でひとつよろしく。

(集会所☆4 ヒナミ)

 

まあ、「逃がすのはほどよい感じのモンスターで!」というのは、里の安全を気にしている一方で、どことなく自分が扉を閉めてみたいから弱めのモンスターを逃すように催促されているような気がしないのでもないのですが……。まあ、「1匹2匹砦を通しちゃっても任せといて」という感じで、背中を預けられるというのはいいことなのかな?

 

実際ヒナミは「1回くらい扉を閉めてみたい」という欲があるようで、何もないときにもエアーで扉を閉める訓練をしているようです。

 

「百竜夜行が来たぞー!」「うわー大変だ―!」「もう里まで迫ってるぞー!」

そうなったら、アタシが門まで走っていってドバーンと閉めてからの、鍵をガチーン! 「そーら、入れるモンなら入ってみな!」

……ん? 何よ○○。

アタシは、里長からの任務である「里に百竜夜行が来たら門を閉める」練習をやってんの。想像で。

忙しいから、またあとでね。

(里☆1 ヒナミ)

 

しかしながら、幸いなことにストーリー中ではヒナミの力が必要になるような危機的場面が訪れることはなく、結局扉は閉められずじまい。で、ヒナミとしては「扉を閉めたらどうなるんだろう…」というやり場のない好奇心が徐々に募ってきてしまったようで、夜中に1回だけ閉めてみたことがあるようなんですね。

 

アタシはさ、モンスターが里に迫ったら門を閉める役目があるわけだけど、その機会がぜんぜん来なくって…。

…で、どうしても閉めたい衝動が抑えられなくなっちゃってさ。先日、夜中にこっそり閉めてみたわけよ。

いやぁ、ものすごい音がするんだね。里のみんなビックリしちゃってさ、メッチャ怒られたよ。

でもほら、予行演習なわけよ。いざ本番ってときに失敗しても困るでしょ? …そう言ったら許してもらえた。

とりあえず、どうしても門を閉めてみたかったから、それができてスッキリしたよ。

(里☆6 ヒナミ)

 

でどうなったかというと、上記の通り、皆が寝静まったカムラの里に突如轟音を響かせてしまうという結果に。確かにあの大きな鉄の扉を閉めれば、どれだけ慎重に閉めようとしてもそれくらい大きな音は鳴ってしまうのかも。「予行演習だから」で通るのもなんかツッコミどころ満載ではありますが……ひとまず、扉を閉めたい欲が満たされて良かったのではないでしょうか。

 

4.カエンとゴウカの鳴き声の違い

 

カムラの里の話しかけられる住民にはガルクのキャラクターもおりまして。フゲンのオトモガルクであるカエンと、イヌカイの家族であるゴウカの2人(2頭?)がそれにあたります。彼らはガルクですから特に人語を話すわけではなく、それに伴って台詞の種類こそ他キャラに比べると少ないのですが、話しかけてみるとそれぞれの性格の違いがはっきりとわかるようなものになっています。いくつか比べてみましょう。

 

①ストーリー初期

 

(里☆1 カエン、ゴウカ)

②里☆3百竜夜行の直前

 

(里☆3百竜前 カエン、ゴウカ)

 

受け取り手のさじ加減な気は若干しないでもありませんが、ご覧の通り、カエンの方が勇猛な感じであるのに対して、ゴウカは穏やかで大人しいイメージが伝わります。ゴウカの性格をよく知るイヌカイからは、こんなコメントが。

 

私の隣にいるガルクは「ゴウカ」。非常に穏やかで、優しい性格でね。狩りには不向きということでここにいる。

オトモにはなれないが、いつも私と一緒にいて、心を癒してくれる大事な家族だ。

ガルクだからといって、狩りに出なければならないという決まりがあるわけでもない。

その道が歩むべき道でなければ、然るべき別の道がかならずどこかに用意されている。

このゴウカは、オトモではなく私の家族になることが歩むべき道だった。それだけのことだね。

(里☆1 イヌカイ)

 

イヌカイがガルクの熟練のトレーナーとして、それぞれのガルクの個性を大切にしていることが分かる良い台詞です。イヌカイは里ストーリーで「里を守るとは狩るのみにあらず」という問いに向き合うイオリを見守っていくときにも、里長のフゲンが大切にしている対百竜夜行のための里の組織論、すなわち「一人ひとりが適材適所で役割を果たす」という考え方を深く理解し、それを噛み砕いて色々と主人公に話をしてくれる人物。

 

「ガルクはみな猟犬として育てるべき」という固定観念に囚われることなく、ガルクの個性を尊重するイヌカイの姿勢は、何となく「里を守るとは……」の話とも響き合うものがあるんですよね。

 

またイヌカイ自身も、百竜夜行のときには「自分は武器の扱いが不得手で里守はできないので、遠征の時は留守を預かる役になる」という話をしておりまして、狩りがあまり得意ではないゴウカの気持ちが一層よくわかるのかもしれませんね。

 

ちなみに、ストーリーが進んでいくと、カエン、ゴウカ共に第一印象とはまた違った一面を見せるようになります。

 

(集会所☆4 カエン)

(淵源討伐後 カエン)

集会所☆4では体調を崩していたヒノエを心配して、淵源討伐後は百竜夜行が解決した喜びで、「クゥーン」という台詞が聞けるようになります。普段は勇猛な性格のカエンですが、このように感情表現豊かで心優しい一面もあるんですよね。
 

(淵源討伐後 ゴウカ)

ゴウカの方は淵源クリア後の台詞が、こんな風にとても明るい感じなんですよね。元々が大人しい性格のゴウカがこんなに高らかに鳴き声をあげるのも珍しいです。活気に沸き立つ里にゴウカも影響されているのでしょうか。これがギャップ萌えというやつなのか…(?)。

 

ゴウカに関してもう一つ、ゼンチとのエピソードを紹介しておきます。

 

うむむ……。ガルクと目が合うと つい毛が逆立つニャ…。
イヌカイのオトモの、ゴウカ…。大人しいヤツなのはわかっておるんじゃが… ついつい、ビクッとしてしまうニャ。

イヌカイが言うには、むしろゴウカの方がワシのことを怖がっておるらしいんだがニャ…。

昔、風邪をひいたときに苦い薬を飲まされたのを未だに根に持ってるそうニャ。

まったく、医者っちゅーのは因果な商売だニャ。

(里☆2 ゼンチ)

 

当然のようにゴウカの言葉を翻訳できるイヌカイが流石すぎるのですが、彼によればゴウカは昔苦い薬を飲まされたことで、ゼンチのことを「また何か飲ませてくるのではないか」的な感じで怖がっているみたいです。良薬は口に苦しとはよく言ったものですが、苦いものは苦いですからね……難儀な話です。

 

5.やっぱりちょっとロマンチストなロンディーネさん

 

続いてはロンディーネの小ネタ。交易商という仮の身分でカムラの里を訪れた彼女は、いちおう「里の技術を自国に提供してもらう」という密命を帯びた身ではあるものの、カムラの里のことをとても気に入っており、終いには自分たちの正体を隠すことよりも優先して……というか忘れているレベルで、災禍と戦う里の支援に尽くしてくれる人物です。

 

そんなロンディーネはカムラの里の人たちともしばしば交流があるのですが、里ストーリーでのイオリとヨモギの成長に気がついた彼女からこんなコメントが。

 

貴殿がマガイマガドを倒してから、イオリくんとヨモギ嬢の表情が、明るくなったように感じるね。

しばらくの間、何やら思い悩んでいる様子だったが、どうやらそれが解決したと見える。

おっと、何があったかは教えてくれなくていいよ。青春とは、いわば苦悩という名の深い霧を、手探りで進む時期…。

本人が望まぬ限り、大人が興味本位で踏み込んでしまっては、かえって惑わせる結果になることもある。

いざというときに、いつでも助ける準備を整えた上で、あとは良い意味で傍観者であるべきだ。

(里☆5 ロンディーネ)

 

言っている内容自体はまったく正しいのですが、「青春とは、いわば…」の辺りがなんかこう妙に芝居がかっているというか、ちょっとロマンチスト的な何かが入っていますよね。青春とは何ぞやということを熱く語っています。カムラの里に対する彼女の感情移入の深さを象徴するような台詞の一つでもありますね。

 

ロンディーネがイオリやヨモギくらいの年だったことの話なども、今後本人やフィオレーネあたりから聞けたりするのでしょうか。なぜ姉妹で騎士を志すようになったのか……などの話も楽しみですね。

 

6.幽霊? に対しての里の住民たちの反応

 

続いては、カムラの里のちょっとしたオカルト話から。里ストーリーのマガイマガドは、緊急クエのオサイズチと前後して大社跡方面に出没していたのですが、オサイズチ狩猟後にようやく大社跡近くを通ることができた行商人(ヨモギちゃんの茶屋の仕入れ先)から、「大社跡に異質なざわめき」が感じられたという情報がその際にもたらされます。

 

で、マガイマガドが放出する鬼火と呼ばれるガスがまあ幽霊やヒトダマに見えなくもないということもおそらく影響してか、「大社跡に幽霊がいるらしい」というちょっとした騒ぎになるんですね。この時の住民たちの会話がけっこう面白いものがあり、そして炎を吐いたり雷を出したりといった多種多様で強大な力を持つモンスターたちが畏れられているモンハン世界で、幽霊のような非科学的な超常的存在がどういう受け取り方をされているのか、という世界観の一端を知ることができる、地味に大事なエピソードでもあるんですよね。

 

事の発端は、行商人さんから話を聞いたヨモギちゃんから。

 

○○さんのおかげで 行商人さんは助けられたけど…

「大社跡で感じた異質なざわめき」…ていうのが気になっちゃうね。いったい、なんだったんだろ?

ま、まさか…ユーレイ?

そ、そんなことないよね! だって、あそこの大社には昔、有名な神様がいらっしゃって…。

で…今はモンスターに壊されちゃって… 大社はボロボロで…。たぶん…神様もいなくなっちゃってて…。

………こ、こりゃ出そうだね。ユーレイ。

(里☆2 ヨモギ

 

当のヨモギはまあ、ごくごく普通に少し怖がっているくらいという感じでしょうか。で、この話から里の住民たちの間にも「大社跡に幽霊が…」という広がるようになります。まずはコミツの反応から。

 

ね、ねぇ、○○さん。大社跡って、ユーレイが出るの?

ヨモギおねえちゃんのところに来た行商人さんが、なんかそんなこと言ってたって…。

モンスターは、○○さんがいるから怖くないけど、ユーレイは怖いよぉ…。

(里☆2 コミツ)

 

「モンスターはハンター(主人公」が狩ってくれるから幽霊の方が怖い」というのは、それだけ主人公が信頼されているという小差ではありますが、それにしてもモンハン世界では案外これが普通の感覚なのでしょうか。まあ、モンスターも生物である以上、マガイマガドのような特別攻撃的な種であればともかく、基本的には理由がなければ暴れたり襲ってきたりすることもないですから、その意味では人間への怨念がこもったりしてそうな幽霊の方が怖い、という理屈はわからないでもないんですよね。

 

それに、コミツはウツシ教官が認めるほどの隠れた狩猟センスの持ち主でもあり、セイハクと大社跡に迷い込んでモンスターに遭遇したときに率先してセイハクをなぐさめたり、寝ているアオアシラのことを「かわいい」と言ったりするくらいですから、人里の近くに時々現れる感じの中型モンスター程度ならそれほど怖がらないのかも。

 

続いて、セイハクの方からはこんなコメントがあります。

 

なんか、大社跡でユーレイが出るとかウワサになってるけど…。そんなことないよな…?

……ハッ!!

ち、ちげーし! 別にビビッてなんかいねーし!

っていうか、○○はハンターなんだから、ユーレイいるならさっさと退治しに行けし!

(里☆2 セイハク)

 

「ビビッてねーし!」と強がってはいますが、まあ実際のところはご覧の通り、セイハクも幽霊は怖いようで、主人公にお化けを退治してほしいと言ってきます。とはいえ、幽霊の退治はハンターというよりも、除霊師とか霊媒師とかその辺の職業の領分ですから、さすがに無茶言うなという感じではあるのですが……ハンターの超人じみた能力があればワンチャンいけるかも?

 

で、そんなセイハクを見ていた母親のワカナからはこんな台詞が。

 

大社跡で幽霊が出るんだって? 子どもたちが、すっかり怖がっちゃって困ったもんさ。

ウチのセイハクも、強がっちゃいるけどビクビクしてるよ! まったく、まだまだ子どもだねぇ!

……え? 私の顔色がよろしくない?

……は…ははは! ば、バカだねぇ! いい歳した私が、幽霊なんざ、こ…怖がるわけがないでしょうが! ハハハ!

(里☆2 ワカナ)

 

ワカナさん…? 幽霊やオカルトに対する感性は親子で似ているようで、ワカナさんも必死に怖くない体を取り繕っていますが、本心では幽霊が怖いようです。

 

まあ、正直なところ筆者はワカナさんにめちゃくちゃ共感しておりまして。非科学的な存在だといくら理屈では分かっていても、テレビ番組や友人から怖い話を見聞きしたり、ゲームやyoutubeの実況動画で少しホラー的なシーンを見たりした日には、お風呂でシャワーを浴びているときに自分の後ろに何かいるのではないかと不穏な想像を膨らませてしまったり、夜暗くてお手洗いにいくのが不安になったりするんです。大人になっても怖いものは怖いんだよね~。

 

逆に、幽霊を別に意にも介していないのは、カムラの里の鋼のメンタル代表である米穀屋のスズカリさん。

 

大社跡が、何やら物騒ね。幽霊が出るとか、出ないとか。

まあ雰囲気的にはいそうだけど、あそこはモンスターがたくさんいるし、幽霊の方が遠慮して出て行きそうよね。

(里☆3 スズカリ)

 

いうて幽霊だってモンスター怖いやろ、という独自の視点により、幽霊を特に怖がる様子もないスズカリさん。「モンスター>幽霊」という構図もまた、モンスターの力が強大であるモンハン世界ならではの考え方かもしれません。特にカムラの里なんかは、かつてモンスターに里をずいぶんやられていますから、何が何だかわからない幽霊よりも、物理的に強くて襲われたら危ないモンスターのほうが警戒するに値する、というのもありそうですよね。

 

また、幽霊の話からだいぶ逸れますが、ここで話に出た大社跡のことでいうと、幽霊以外にも超常的な存在というか、ある種の形而上学的な存在として、「神」という観念がモンハン世界の中にあるというのも面白いですよね。本作の風神龍神龍(大社跡の風神と雷神の神話にちなんで命名されたと思われる)もそうですし、他にぱっと思いつくところでいうと、MH3シリーズから登場したアルバトリオンも「神」と呼ばれていたり、このモンスターがいる火山の秘境みたいな場所が「神域」と称されたりします。

 

まあ、神社とかがあるのは和風モチーフのライズだからといえばそれまでですが、人間に豊穣や脅威をもたらすさまざまな自然に畏敬の念を抱き、そのそれぞれに「神」というものを見出すという多神教的な自然信仰であれば、人間と自然との関係ということでモンハンの世界観にもなじみやすいのかもしれません。

 

逆に、全存在の上位に立つ超越的・超自然的な絶対者、みたいなタイプの神がいるタイプの宗教だと、人間と自然との関係よりも絶対者と人間との関係の方がメインになってしまいますし、大いなる自然を根柢とした共生、生存競争、生命の循環みたいなところを世界観の重心に置きづらくなってしまうので、あまり相性が良くないのかな。ま、この手の学問はシロートなので、適当なことを言うのはこの辺にしておきます……。

 

7.イオリくんのご両親

 

サンブレイクではロンディーネ達の国の「観測拠点エルガド」がメインの舞台となりますが、大社跡や砂原といったライズのフィールドも引き続き登場し、「盟友」システムにはカムラの里のキャラクターの参戦もありますから、何だかんだでカムラの里にもさらに変化が訪れていくことになると思います。

 

で、それと関連することとして、住民たちの台詞からその存在が示唆されているものの、ライズ時点ではまだ登場していないキャラというのも何人かおりまして。もしかしたらサンブレイクでこのキャラ登場するのでは? という予想もこれまでいくつかの記事でしてまいりましたが、ここではその中でも特に可能性が高いと思われる、イオリ君のご両親のお話をしていきたいと思います。

 

お父さんとお母さんがカムラの里を留守にしてだいぶ経つね…。

オトモガルクが他の地域では浸透していないから、普及のために旅をしてるんだ。

ときどき寂しいと思うこともあるけど、おじいちゃんや、イヌカイさんや、オトモのみんながいるから平気だよ。

(集会所☆4 イオリ)

 

以前投稿したイオリの記事でもお話ししたように、彼の両親はオトモガルクのトレーナーであり、現在はカムラの里にはおらず、他の地域にオトモガルクを普及するための旅をしています。ガルクマスターのイヌカイとも昔からの親友であり、自分たちが里にいない間のことを頼まれているのか、イヌカイもイオリのことを色々と気にかけているという間柄になっています。

 

ガルクマスターのイヌカイさんは、ボクのお父さんとお母さんの友だちで、昔から三人でガルクを教育していたんだ。

お父さんとお母さんが里を留守にしている間、いつもボクのことを心配してくれて、すごくいい人だよ。

あと、ガルクマスターというだけあって、とてもガルクに詳しいんだ。イヌカイさんと話すと、勉強になることがいっぱいだよ。

(集会所☆3 イオリ)

 

イオリの両親が里を発ったのは結構前のことのようで、2人が里を離れている間に百竜夜行が来てしまっていますから、カムラの里に帰ることができない状態が依然として続いています。

 

ボクのお父さんとお母さん、オトモガルクを広めるために旅に出て だいぶ経つんだけど…。

ようやくカムラの里が百竜夜行に遭っていることを知ったみたい。

それで、慌てて帰って来ようとしたらしいんだけど、おじいちゃんが止めたんだ。

この状況で里に戻ってくるのは、たしかに危険だよね。ふたりとも、武器の扱いがニガテだし…。

会えないのは寂しいけど、おじいちゃんの判断が正しいよ。百竜夜行が終わるまでのガマンだね。

(集会所☆6 イオリ)

 

イオリの記事でも書いたように、ストーリー開始時点でのイオリとハモンの関係性を見るに、イオリの両親が自分たちの目標のためにイオリの元を離れるというのはなかなか思い切った決断だったと思うんですよね。イオリの祖父であるハモンがガルクを苦手としており、それゆえにイオリがオトモの仕事をするのをどうしても認められず、イオリも祖父の反応に困っている……そういう状況の2人を残していくことになるわけですから。

 

しかし、これは本人たちの間で解決してこそ意味があるようなことですし、そこで2人が打ち解けるのをひたすら待っていてはいつまで経っても旅に出られませんから、2人の関係を見守ってくれるのを友人のイヌカイに託して、彼らは里を離れた……ということになるでしょうか。

 

そんなイオリとハモンも、里ストーリーのマガイマガドの件を通じて今では少しずつ歩み寄りつつありますから、イオリの両親としても喜ばしいことなのではないでしょうか。

 

マガイマガドの一件を経て、イオリは成長した。ハモンさんも、どこか雰囲気が変わったように思う。

イオリの両親は元気にしているかな。今も、どこかでオトモガルクを広めるためにがんばっていることだろうけど…

そろそろ一度戻ってきて、今のイオリとハモンさんを見て欲しいね。きっと、驚くに違いない。

(里☆6 イヌカイ)

 

淵源ナルハタタヒメを討伐して百竜夜行が収束しつつあることもあり、イオリの両親もそろそろカムラの里に帰って来られるようになるかもしれません。イオリも、両親と再開できるのをとても楽しみにしています。

 

○○さんのおかげで、百竜夜行もだいぶ収まって来たね。

ボクのお父さんとお母さんも、この調子ならそろそろ帰って来られるかも。

そうしたら、こんどはみんなで一緒にご飯食べようね!

(淵源討伐後 イオリ)

 

個人的にはこのイオリの両親の存在が、エルガドでもガルクと共に狩猟ができることの裏付けにもなりそうだなぁという感じがしています。イオリの両親が海を隔てた地域まで足をのばしていたのかどうかは不明ですが、ロンディーネの国とカムラの里が盟友国になるならぜひガルクの狩猟技術の伝授も、という話にはなりそうですし、オトモガルクを広めるという名目で、イオリの両親がエルガドまで同行してくれて、主人公にも猟犬具を作ってくれたり新しい狩猟法を伝授してくれたりするかもしれません。

 

とはいえまあ、久しぶりの再会なのですからしばらくはぜひイオリと一緒に居て欲しいですし、2人が不在の間にあった色々なことをみんなでじっくりと話してほしいと思います。

 

それに、イオリの両親のおかげで「他の地域にもガルクが広まっている」という世界観的な下地ができましたから、ライズ-サンブレイク以降の作品にもオトモガルクを登場させることができる、というのも地味にかなり大事なポイント。まあ、サンブレイク発売を前に次のシリーズの話をするというのも時期尚早ではありますが、オトモガルクは非常に頼もしい存在ですから、ぜひ今後も続投してほしいものです。

 

8.オトモ広場にあるガルクの石碑

 

オトモ広場の修練場に行く船があるところの近くに、こういう石碑みたいなのがあるのをご存じでしょうか?

 

 

この付近にはガルクの石像もいくつか建てられており、陸にあるもの、川の中に建てられているもの、いずれもちょうどオトモ広場の正面にそびえる壮大な山々に向かっている感じになっています。そしてこれらの石碑もまた、ガルクの顔が山々を向くように建てられており、カムラの里の山岳信仰的な文化を示すものの一つなのですが……これらのオブジェクト、ただ単に「オトモ広場だからガルクのオブジェクトが置いてある」みたいな感じではなく、なんかこう意味ありげな、どことなく神聖な雰囲気があるんですよね。

 

これは筆者の推測にすぎませんが、これらの石碑はかつて狩り場で命を落としたガルクたちを祀るためのもの――さらに踏み込んで限定して言えば、数十年前やさらにその前の百竜夜行の防衛でハンターたちと共に戦い、そこに殉じたガルクたちの魂を祀るためのもの、という可能性は考えられないでしょうか。

 

前回の百竜夜行までは、翡葉の砦のような強固な防衛インフラも無くハンターたちだけでモンスターの進行を食い止めてきましたし、そんな状態の中で、特に数十年前はマガイマガドの乱入の被害も併せて防衛線が壊滅してしまうということがありましたから、オトモとして共に最前線に立つガルクにも犠牲が出ていても決しておかしな話ではありません。

 

彼らのお墓はまた別のところにあるとしても、オトモ広場にもまた、かつて里を守るために戦って命を落とした者たちの存在を忘れることがないように、そして彼らに敬意と弔いの意を表するために、こうして石碑を立てているのかもしれません。もちろん、戦って死ぬこと自体を美化するのは良くありませんが、百竜夜行で勇敢に戦った彼らの奮闘のおかげがあってこそ、こうして今カムラの里は滅亡することなく生き永らえることができたのだ、という意味でね。

 

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そんなわけで、カムラの里のさまざまな小ネタについて見てまいりました。本記事は今後も「これも入れたいな!」というネタが見つかれば随時更新していくか、新しく小ネタパート2の記事を作っていく予定ですので、今後ともどうぞよろしく。

 

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!