タマミツネ希少種とヤマトタケルの火攻め伝説、他色々

※注意事項※

・本記事は「モンスターハンターライズ:サンブレイク」全編のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事での考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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サンブレイクの次回大型アップデートも既に残り一週間を切ってしまっていますが、少し書きたいネタがあったので新モンスターについての雑記。短い記事ですが、たまには(?)モンスターの話もしたいなぁということでお付き合いくださいませ。

 

ーーーー目次ーーーー

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1.タマミツネ希少種のモチーフ

 

 

まずはタマミツネ希少種。原種とは正反対に火属性の使い手であり、紹介PVでは獄泉郷にてあのティガレックスを圧倒していました。

 

ライズで登場するモンスターはいずれも、日本の妖怪や神話などをモチーフとしている、あるいはそれに準える形で登場していますが、タマミツネ希少種もこの和風モチーフ系列のモンスターと考えた場合、何がモチーフとなっているのかという話になってきます。

 

火属性で名前に狐が入っているということからして、ひとまずモチーフの中心として考えられるのは狐火ですね。

 

ja.wikipedia.org

 

狐火は、本来なら火の気のないところに提灯のような火が一列になって現れたり、消えたり、また別の場所に現れたりするという怪火現象のことであり、青白く眩しい光とともに燃焼する泡を発生させるタマミツネ希少種はまさにこれに当てはまりそう。狐火は百竜夜行の元ネタである百鬼夜行日本画にもその姿が描かれていますから、ライズとの関連も深いといえます。

 

いちおうライズの中でいえば、ヌシ・タマミツネ鬼火の泡を使った攻撃を使用してくるので、これも狐火といえば狐火ではあるのですが、学術上では狐火は鬼火の一種とみなす説もあればそうでない説もあるようで、ヌシ・タマミツネは狐火をモチーフとしているというよりは、民俗学における狐火と鬼火の微妙な関係性」それ自体を集約したモンスターと言ったほうがより正確であるような気がしますね。本当か…?

 

ちなみに、筆者はプレイしたことがない作品ではあるのですが、MHXXに登場する天眼タマミツネも、火属性の青い泡を吐く攻撃があるんだそうな。ただ、天眼タマミツネの火の泡にしてもヌシタマミツネの鬼火泡にしても、彼らの食性に由来する(捕食対象の魚に爆発性や発火性がありその性質を利用している)ものであり、彼ら自身の攻撃属性は水であるのに対して、タマミツネ希少種は吐くブレスそのものすらも火属性なので、より明確に「狐火」という存在として作られているのはミツネ希少種の方かなという印象です。

 

で、タマミツネ希少種がどうやって火を起こしているかという話ですが、公式の解説を見るにはガスということらしいですね。あの爆発する泡にもガスが閉じ込められているということですが、タマミツネ希少種が水場の上を滑ったところに油みたいな色が滲んでいるのを見るに、ミツネ希少種の滑液にガスが溶けこんでいる、ということなのでしょう。

 

とはいえもちろん、ガスがあるだけではすぐに発火するわけではなく、そこに熱を加えなければ火を起こすことはできません。そこで、この液体をもとにして泡を生成する場合は、液体を泡立てるための体毛の摩擦によって熱を帯びて発火する、タマミツネ希少種が滑った跡に残る液体が発火する場合は、その滑走による摩擦熱によって発火する、ブレスの場合は……よくわかりませんが、そのような仕方で発火させることによって、「火をまとった泡をぶつける」「獲物の周りを滑って火の海に追い込む」みたいな攻撃が可能になっているのかな。

 

まあ、ブレスの場合は摩擦熱というわけにもいかないので、ひょっとするとタマミツネ希少種自身が体内に「火炎袋」のような器官を持っている可能性もワンチャンありそうな気はします。摩擦熱もそこまで万能というわけではないでしょうし、リオレウスほどではなくとも何か体内にそのような器官を持っていれば、それでガスに引火して強力な炎を操ることはできますからね。

 

で、ここまではタマミツネ希少種=狐火モチーフという話をしてまいりましたが、これとはまた別にもう一つモチーフもあるのではないか、というのが筆者の考え。それがどこから汲み取れるかといいますと、PVの最初の方でタマミツネ希少種がティガレックスの周りをぐるりと一周囲って炎の中に閉じ込める攻撃をするシーン。

 

www.youtube.com

 

(↑このツイートの3枚目の画像)

 

火で囲む攻撃はハンターに対しても実際に使ってくる攻撃のようですが、この「炎で自分の周りを囲まれる」というシチュエーション、日本の伝承の中にも同じようなのが登場してるんですよね。

 

yaizujinja.or.jp

 

古事記』や『日本書紀』に登場する、大和政権の列島統一の象徴である古代の英雄・ヤマトタケル(漢字では日本武尊/倭建命、本稿では以降カタカナで統一します)。彼についての伝承の一つには、ヤマトタケルは東国の平定に赴いた際、敵に欺かれて野に火を放たれてしまい、自分の四方を火に囲まれてしまうというピンチに陥る、というエピソードがあります。いわゆる火攻め伝説というやつでしょうか。

 

ヤマトタケルはこの窮地を、迫りくる火に対して自分の側からも火を付けて対抗するという迎え火によって脱するわけですが、PVでもティガレックス相手に披露された、タマミツネ希少種の「敵の周りを火で囲んで中に閉じ込める」という攻撃は、このヤマトタケルの火攻め伝説になぞらえたものなのではないか? と筆者は推測しています。プレイヤーはまさしくヤマトタケルのポジションになって、タマミツネ希少種の火攻めに対抗していくということになるわけですね。

 

ところでこのタマミツネ希少種、別名表記は「焔狐竜」なのですが、この読み方が「えんこりゅう」ではなく「せんこりゅう」なんですね。焔をセンと読む用例を筆者はまったく思いつかないのですが、調べてみたところ一応この字に「セン」という読みはあるようで、当て字というわけではないようです。

 

とはいえ、「焔」の読み方をなぜ最も一般的な「エン」ではなくわざわざ「セン」にしたのかは若干気になるところ。筆者も色々考えてみたのですが、おそらく一番の理由はこれではないかと思っているのが、「エンコリュウ」はマガイマガド(怨虎竜/オンコリュウと発音が紛らわしすぎるからという説。

 

「エ」か「オ」かの違いしかないという発音の近さに加えて、「怨」という字は「オン」以外に、「怨嗟響めくマガイマガド」でおなじみの「エン」という読み方もされますから、マガイマガドの別名を誤読してしまった場合にタマミツネ希少種の話と混同されかねないことになってしまうという実用面での問題があり、マイナーな読み方ではあれど「焔」を「セン」と読んで「センコリュウ」とする方がその辺の面倒がない、ということでこうなったのではないかということです。なのでまあ、これはいわゆる消極的理由という話になってしまいますね。

 

いちおう、焔をセンと読む積極的な理由を挙げるのであれば、燃焼する泡が光り輝く→「閃」、ミツネ希少種は山奥とかに住んでるっぽい(?)→「仙」、あたりのイメージをセンという音で汲むことができるというのはあるかもしれません。まあそんな感じで、名前が色々紛らわしいという消極的理由が第一の理由、後者の積極的理由が第二の理由というくらいで「センコリュウ」に決まったのではないかという、全体的に考察がフンワリしている本記事の中でも特にフンワリした考察をここに残しておきたいと思います。

 

2.傀異克服古龍とメル・ゼナ

 

それから、もう一つの完全新規勢である傀異克服オオナズチについても触れておきましょうか。

 

 

ライズシリーズはこれまで、モンスターの群れが里を襲う「百竜夜行」、そしてその群れの中でも古龍に並ぶ危険度とされる「ヌシ」、そしてサンブレイクではキュリアに寄生されて通常個体よりもはるかに強力になった「傀異化モンスター」というように、どちらかといえば「竜(一般モンスター)」を目立たせるようなデザインになっているというのが個人的な印象でした。

 

それが今回、一般モンスターであれば一方的に寄生されてしまう「キュリア」の影響を克服した古龍という形で、古龍のもつ圧倒的な生命力、他の生物群とは隔絶した能力というのを押し出してきた、というのはとても熱い展開ですね。それと同時に、「メル・ゼナ以外の古龍はキュリアの影響を受けていないのか?」という疑問への一つの道筋も示されたことになります。

 

オオナズチの傀異克服個体が出たということは、いずれは同じくドス古龍クシャルダオラテオ・テスカトル、それから幼体のゴア・マガラの傀異化個体が登場しているシャガルマガラも同様の個体が登場すると予測されますが、そうなると少し困ったことになるのはメル・ゼナの立ち位置ですね。

 

元々メル・ゼナは、敵対するガイアデルムがその精気を吸い尽くすつもりで放ったキュリアに寄生されるどころか、むしろこれとたった数十年で共生関係を築いてしまう、という特異さによって大きく特徴づけられていましたが、他の古龍の傀異克服個体も登場してしまったとなると、今度はメル・ゼナの生態的な個性が少し薄くなってしまうような……? という見方をする方も決して少なくないと思われます。

 

私も正直、「キュリアとの共生ってメル・ゼナ以外に配っちゃっていいの…?」と思ってしまった人間ではあるのですが、メル・ゼナが大好きな身としては、やはりメル・ゼナならではの凄さを見出してあげたい。で実際のところ、PVでの情報を見る限りでは、メル・ゼナは傀異克服オオナズチと比較して、キュリアとの共生関係でいえばやはり一段上を行っているように見えるんですよね。

 

 

というのも、傀異克服オオナズチはこれまで紹介されている攻撃に限って言えば、自分自身に牙をむく外敵に対してキュリアそれ自体を利用した攻撃をする、というようなことは見られず、あくまでもパワーアップした自分自身の力で戦っています(「克服」というのは恐らく、キュリアに一方的に精気を吸われるのではなく逆に共生相手となったキュリアに他の生物の精気を集めさせて自分の元に持ち帰らせることができる、という意味であるように思われます)。その点、メル・ゼナは自身の攻撃の中にキュリアを組み込んでおり、共生関係の深さといいますか、宿主である自分のためにキュリアを働かせる力としてはやはりメル・ゼナに軍配が上がると言えるように思います。

 

この辺りに関してのメル・ゼナの知能の高さは、単にキュリアと共生関係を築いているという点ではなく、そのキュリアを自らの手足のように操り、ひいては自分自身を守るための半ば捨て石のような行為すらさせることができる点にある、という説明になるわけですね。

 

メル・ゼナはガイアデルムに幼体の状態で送り込まれたキュリアと長い時間をかけて強固な共生関係を築き上げたのに対して、オオナズチは本来の宿主であるガイアデルムを失って色々ヤバくなっている状況のキュリアに一方的にやられそうになったところを、その影響を克服して共生関係を築いたという感じですから、キュリアとの共生の経験値という点で見ても、メル・ゼナが一歩抜きんでていることになりますし、メル・ゼナとキュリアとの共生関係と、他の傀異克服古龍とキュリアとの共生関係を完全に同じ土俵で考えるのは少し無理があるという話にもなってきます。

 

それに、キュリアは基本的に種として自立して生きていける生物ではなく、あくまでも他の生物との共生関係に依存している生物です。色々な生物に寄生して、その精気を見境なく食いつぶしては次の寄生相手を見つけ、その生物が死んだらまた次……というのはキュリアの本来の生態に基づいた生存戦略ではなく、あるいはそれはつまるところキュリアが自力で生きているということであり、バハリが言っていた「それではメル・ゼナと共生していた意味が分からない」という説明に反することになります。

 

むしろ、キュリアは何とかしてでも自分たちが生き残るために、ガイアデルム以外の生物とも新たに共生関係を築こうとしていたのではないか、とも考えられるんですよね。その点、他の生物とは一線を画した生命力を有する古龍種は、キュリアにとっては言わば「精気をたくさん吸ってもそう簡単には死なない宿主」として魅力的な生物であり、ガイアデルムという元来の宿主を失った自分たちがなお生き延びるためには、本来は自分たちの共生対象ではない古龍とも新たに共生関係を築いていく必要に迫られている、というのがキュリア側の事情としてあるという可能性も十分考えられます。

 

傀異「克服」という表現を忠実に解釈すれば、キュリアは「外敵」としてオオナズチに一方的に寄生しようとしたという話になりますが、これらの事情を鑑みると、むしろキュリアは初めから共生関係を築くつもりでオオナズチに取りついたのではないか、という解釈の余地も十分にあるように思います。この線であれば、本来キュリアと無縁であるオオナズチがほんの短期間でキュリアと共生関係を築き得たのにもいくらか説明がつきそうです。

 

とはいえまあ、それならそれで今度はキュリアが世界観的に強すぎるというか、ともすると古龍すらも自分たちの思惑に沿って掌中で転がしているかのような印象を与えてしまう議論になってしまうのが少し難しいところ。いちおう、古龍側もキュリアとの共生によってメリットを得られているのは事実であり、「キュリアを飼ってやる代わりに他の生物の精気集めてきてもらえれば生存戦略的に有利なんじゃね?」というのを実現できてしまうのは古龍の生命力と知能とがあってこそですから、古龍たちにしても完全にキュリアに利用されているという話でもないのも事実ではあります。

 

それに、現在は「本来の宿主を失ったキュリアが暴走している」ということで話が進んでいますが、これがもし最終的に「ガイアデルムは実は瀕死状態ではあるものの一命を取り留めており、宿主を回復させるためにキュリアが精気集めにいっそう躍起になっている」というのが真相だった、という風に話が進んでいくと仮定するならば、結局すべての黒幕であるガイアデルムが一番エグいということになり、ひいてはキュリアを逆に手なずけるという仕方で簡単にはガイアデルムの思惑通りにならない他の古龍たちもやっぱりすごいということになって、これはこれで最終的にいい感じの力関係になるのかもしれません(そうか…?)。

 

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ということで、本記事の考察はこの辺りで締めとさせていただきます。アップデートまであと残りわずか。新モンスターが楽しみですね。次回アプデまでにキャラクター考察記事をもう一本(みんな大好きナカゴさんとかその辺のキャラ)出せればいいなぁと思っておりますので、引き続き本サイトにお付き合い頂けますと幸いです。

 

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました! また別の記事でお会いしましょう。