タイシくんのハンター修行

※注意事項※

・本記事は「モンスターハンターライズ」全編のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・筆者は2021年12月17日発売の『モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録』を未読の状態で執筆しております。
 現在または今後公開される公式設定が、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)ことがある可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。

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たたら場前エリアの茶屋の正面の長椅子には、ハンター見習いのタイシがいつも座っています。主人公ハンターのことを「センパイ」と慕ってくれる彼は、かつての主人公と同じくウツシ教官のもとでハンターになるための修行をしています。カムラの里の次世代を担う期待の星、タイシくんの成長に迫っていきましょう。

 

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自分、ウツシ教官の指導のもと、ハンターを目指して猛勉強中ッス!

ウツシ教官からの教えでは、今の自分には「よく食べて」「よく寝る」ことが何よりも大事だそうッス!

そういうわけで自分、今は食べて、食べて、食べまくって、寝て、寝て、寝まくってるッスよ!

(里☆1 タイシ)

 

 

口調からしていかにも体育会系! という印象のタイシくん。ウツシの指導は基礎の徹底から行われているようで、ハンター修行だからといって最初から無闇に武器を触らせたりするようなことはなく、まずは食事と睡眠をしっかり取って丈夫な身体作りから! という確固たる方針がある様子。タイシの方も、ハンターや里守として武器を取る大人たちが身近にいる以上、ともすると「基礎じゃつまらない」的な心情を抱く可能性もあるところを、ウツシの指導を素直に聞き入れているのが良いところですね。

 

タイシの意欲的な姿勢はウツシもよく認めているところで、その上でタイシは身体的に成長期真っただ中ということで、まだハンターとしての専門の教育をする段階ではなく、むしろ今後の修行のために身体作りの基本を固める時期だとウツシも考えているようです。

 

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やあ、愛弟子。ヨモギちゃんの茶屋の前に、タイシくんがいるだろう?

彼はハンターになりたいそうで、俺に弟子入りしてるんだ。つまりキミの後輩になるね。

やる気はじゅうぶんだから、まずは食事と睡眠に全力を注ぐように言っているよ。

元気を維持することが、良い狩猟をする基本! キミも夜ふかしなどせずに、しっかり休んで、気力を保つんだよ。

(集会所☆3 ウツシ)

 

子どもの、というとタイシとしては不本意かもわかりませんが、子どものモチベーションを削ぐことなく、うまく行動に繋げさせているあたりはさすがの指導の腕前といったところでしょうか。それにしても、「夜ふかしなどせずに」という最後の一文、どうもゲームの中の愛弟子ではなく、画面越しにプレイヤーに注意喚起している気がしないでもないような……私も気をつけます。

 

ウツシのこの教えはずいぶんタイシの心に響いている(?)ようで、ウツシが具体的に何を言ったのかをタイシは一字一句違わず暗記しているようです。

 

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立派なハンターになるため、毎日ウツシ教官に指導してもらってるッス!

ウツシ教官は、「よく食べて、よく寝る」ことが、何よりも大事だと言ってるッス!

「人を含め、どんな生物も食べて寝るのが基本。これがまともにできないハンターは、狩りになど出てはいけない」

……うーん、さすがはウツシ教官。言うことが深いッス!

(里☆5 タイシ)

 

タイシはそうしたウツシ教官の言いつけをきちんと守って生活していますが、ただ指導に従うのみならず、自主的な勉強も怠らない積極的な姿勢があるようで、食事のことについても、狩猟の前に食べるうさ団子についてヨモギに色々と教わっているようです。

 

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狩りの基本は、食事! 特に、狩りの前に食べるうさ団子は、めっちゃ大事とウツシ教官から習ったッス!

そんなわけで、最近は茶屋に行って、ヨモギさんからうさ団子について いろいろ勉強してるッスよ!

団子の組み合わせで、狩りのときに出てくる効果が変わるんッスね! いやぁ、奥が深いッス! うさ団子!

(里☆1 タイシ)

 

この台詞で特筆すべきは、彼は里の住民で唯一、ヨモギのことをヨモギさんと呼ぶ人物であるということ。カムラの里の人たちを世代でざっくり分けると、ヨモギとイオリが同年代で、その年下の世代にコミツ、セイハク、タイシがいるという感じになっているのですが、コミツ、セイハクはヨモギのことをそれぞれ「ヨモギおねえちゃん」「ヨモギ姉ちゃん」と呼んでいるのに対して、タイシだけはヨモギさん」なんですよね。

 

体育会系の少年というキャラですから、運動部などでは部活の先輩や卒業生のことを「さん」付けで呼ぶことがある、というノリに近い感じでヨモギさんと呼んでいるのだと思いますが、ある時は茶屋の看板娘、ある時は百竜夜行でヌシに速射砲をぶっぱなす里守の精鋭、というヨモギのキャラ付けからして、「ヨモギさん」が非常にしっくりくるんですよね。いっそヨモギ姐さんとかでもいいと思います(本人としては不本意だと思いますが)。

 

タイシの話に戻りますと、しばらくしてウツシはハンターの狩猟に欠かせない翔蟲のことを教え始めたようで、タイシが一生懸命練習している話を聞くことができます。

 

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カムラの里のハンターを目指す者として、やっぱり翔蟲の扱いには慣れとかないといけないッス!

ただ、なかなか狙ったところに飛べないッス…。翔蟲との信頼関係とか、技術とか、いろいろ足りてないッス。

ウツシ教官には、「習うより慣れろ!」と教えられたッス。だから、とにかく慣れるまで、練習あるのみッス!

(里☆3 タイシ)

 

先ほどの「人を含め、どんな生物も~」という名指導から一転、翔蟲に関してはずいぶん脳筋がある指導が行われています。まあ、習うより慣れろというのはある種の真理というべきもので、私たちプレイヤーが翔蟲に慣れたのも、結局は使っていくうちに自然と知識が付いてきたから、というのが大きいです。私たちの世界でも、例えば子どもの頃に初めて自転車に乗ったときも、大人に乗り方を細かく教わるのではなく、多少ケガしながらでもとにかく乗って乗って漕ぎ方を覚えてますし。

 

それから、ウツシが行っている中でも特筆すべき修行として、以前の記事でも書いたように、ウツシは得意のモンスターのモノマネを活かして、ハンター見習い(およびオトモたち)の対モンスター模擬訓練をしています。

 

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センパイ! センパイは、ウツシ教官のモノマネ、見せてもらったことあるッスか!?

ウツシ教官がやるモンスターのモノマネは、もはや名人芸ッス! 特にジンオウガのモノマネは、本物と見間違える勢いッス!

ときどき、ウツシ教官がモノマネするモンスタ―で、狩りの模擬訓練をやってるッス! とても勉強になるッス!

(集会所☆2 タイシ)

 

ここでちょっと待てと言いたくなるポイントは、タイシがモンスターの実物―—しかもあろうことかジンオウガの実物を知っているということです。まあ、本人は直接「実物を知っている」とは言っていないのですが、モノマネを「似ている」と評価できるということは実物を知っていなければまずあり得ないことですから、やはり彼は本物のモンスターの姿を見たことがあるのでしょう。これがオサイズチとかなら里の近辺でたまたま出くわしてしまうくらいはありそうなものですが、いったいジンオウガの実物などどこで見る機会があったのか……。

 

これを考えるヒントとなるのが次に紹介する会話クリップです。ウツシはある時、いつも真面目に修行をこなしているタイシにご褒美という意味も込めてなのか、彼はタイシを大社跡に連れて行き、狩り場の観察、いわゆるフィールドワークを実施したようです。

 

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最近、ウツシ教官が大社跡に連れて行ってくれたッス!

いろんなモンスターを見学できて、ますます気持ちが奮い立ったッスよ!

これからもいっぱい勉強して、訓練して、かならず立派なハンターになってみせるッス!

(里☆4 タイシ)

 

ライズのストーリーは里→集会所の順ですから、このフィールドワークの時にたまたまジンオウガの姿も目撃した、ということであれば、タイシが本物を知っていることの辻褄が合います。ウツシはモンスターからうまく身を隠しつつ観察する術は心得ているでしょうし、いざとなれば自分で戦えるだけの実力もありますから、ハンター見習いを一人くらい連れていても大丈夫、ということなのでしょう。

 

……が、この上の台詞、実は個人的に少し微妙に違和感を抱いておりまして。この里☆4という時期は、里☆3の百竜夜行でマガイマガドが出現した後のタイミングであり、カムラの里としても警戒態勢を敷いているであろう時期だと思うのですが、それにも関わらずウツシはタイシを大社跡(カムラの里の近所)に連れて行っていていますから、さすがに少し危ないのでは? と疑問に思わなくもないんですよね。タイシのいう「最近」がどの程度の範囲までを指しているのかにもよりますが、素直に解釈すれば里☆3百竜の後ということになります。

 

いちおう、それに対しての筋の通った説明は十分考えられまして、先刻遭遇したマガイマガドはあくまで百竜夜行に付随してカムラの里近辺に出没するのであり、ウツシは里に百竜夜行が接近していないタイミングでタイシを連れて行ったので、少なくともマガイマガドに遭遇するリスクはなかった、というのが妥当かと思われます。

 

それに、百竜夜行から間もない時期であれば、その余波のような感じで、他の場所から移動してきたものも含めて多種多様な(それこそジンオウガのようなレアものも含めて)モンスターが大社跡をうろついているでしょうし、彼らはマキヒコに追われていた直後ですから、疲弊しているぶん大人しくなっている(襲われる危険性が低い)と考えるならば、モンスターたちを観察するフィールドワークにはむしろうってつけの時期だった、とすら言えるのかもしれません。その辺りのことまで計算していたのであれば、ウツシもかなり冴えていますね(いざとなったらウツシが自分で何とかできますし)。

 

さて、初めは基礎の身体作りから始まったのがいつしか大社跡散策までするようになるなど、タイシの修行の内容は作中でもどんどんレベルアップしていくわけですが、そんなある日、タイシの前に意外な試練が降りかかることになります。

 

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ハンターになったら、当たり前だけどクエストカウンターでクエストを受注して狩りに行くッス。

だから、ヒノエさんやミノトさんのところに行って、クエストを受注する練習とかも始めてみたッス。

でも…なんか…その…。受付嬢さんの正面に立つと、ドキドキしちゃってうまく話せないッス…。

ぬああ! 自分は、まだまだ未熟者ッス! まずは、おとなのおねーさんとドキドキしないで話せるように特訓ッス!

(里☆5 タイシ)

 

かわいい~。年頃のピュアな少年には、いくら知り合いとは言えども受付嬢と面と向かってお話しするのはまだちょっと背伸びだったようです。まあ、カムラの里にはヒノエガチ恋をこじらせて未だにちゃんと話しかけられないミハバ(かわいい)とかも全然いるので、タイシくんにはぜひ気長に頑張ってほしいところ。

 

ところで、これまでのクリップにもあったように、タイシは主人公ハンターのことを「センパイ」と呼んでいます。彼はウツシ教官の弟子という意味では主人公の後輩にあたりますし、主人公はタイシにとって一つの目標でもあるということで、主人公のことをセンパイと慕ってくれているのです。

 

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あ、○○さん! 正式にカムラの里のハンターになったんスよね!

自分も最近、ウツシ教官に弟子入りして、ハンターを目指してるんッスよ! いま、がんばって訓練に励んでるッス!

だから、今後は○○さんをセンパイと呼ばせてもらうッス! よろしくッス! センパイ!

(ハンター登録後 タイシ)

 

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センパイ、狩猟生活、順調ッスか? 自分も将来、センパイみたいなハンターになるため、絶賛勉強中ッス!

今は、オトモ広場から行ける修練場に出向いて、走り込みとかもやってるッスよ。あそこは、鍛えるのに最適の場所ッスね。

(里☆2 タイシ)

 

上記のハンター登録直後の台詞と、ゲームスタート直後に聞ける短い台詞(ヒノエとの買い物を先に済ませるよう促す内容)の2つが、タイシが主人公のことを名前で呼んでくれる数少ないタイミングでして、それ以降は全て「センパイ」呼びで定着しています。それからというもの、「センパイ」の活躍やウツシ教官のことを彼はいつも周りの人に話しているようで、ツリキからもそのことが認知されているという旨の話を聞くことができます。

 

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最近、タイシがずっとお前の話してるぞ。

最初、センパイセンパイって言うから誰の話をしてるのかと思ったよ。お前のことだったんだな。

「センパイはスゴイっス~!」「カッコいいっス~!」…って ずっとお前の話。あとウツシ教官もか。

ずいぶん懐かれたな! ハハ! にしてもまあ、目標の人がいるってのはアイツにとってもいいことだよな。

(集会所☆2 ツリキ)

 

里の子どもたちに人気があることで定評のあるツリキですが、やはりタイシからも彼の師匠とセンパイの話をたくさん聞いていたようです。……ウツシ教官が取って付けたような扱いなのがなんか微妙に不憫です。せめてウツシにもカッコいいと言ってあげてくれ。きっと彼も喜ぶ。

 

彼のじきじきの師匠であるウツシ教官にはやや申し訳ないところですが、マガイマガド、イブシマキヒコ、ナルハタタヒメといった強敵を次々と倒していく主人公に彼はすっかり憧れを抱いてくれているようで、主人公のことを見習いたい、と言ってくれます。

 

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自分は、センパイみたいに里のみんなから信頼されるハンターになりたいッス!

そのためには、狩りがうまいだけじゃだめッスよね。センパイみたいに優しくて、心が広くないと!

これからも、センパイを見て、いっぱい勉強させてもらうッス!

(ドス古龍討伐時 タイシ)

 

タイシならば遠からず、その目標を達成できることでしょう。そんなやる気に満ち溢れている彼ですが、今回の百竜夜行の防衛に関していえば、年齢的にも実力的にも、まだ里守として防衛に向かうには危険が大きいということで、遠征の際は里に留守番ということになっています。仕方のないことではありますし、タイシ自身もその理由はよく分かっているのですが、この大事な局面で防衛に加われないということを彼はかなり悔しがっています。

 

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ついに百竜夜行ッスね! 自分もみんなと砦に行きたいッスけど、もう少し大きくならないとダメみたいで…。

ああ、お子さまな自分が憎いッス! 早く大きくなって、ハンターになって、里を守れるようになりたいッスー!

(里☆3百竜前 タイシ)

 

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センパイ、百竜夜行に行くッスね!

自分も行って里を守りたいッスけど、まだ修行中の身だから、おるすばんッス。

だから自分は、ウツシ教官の教えのとおり、よく食べて、よく寝つつ、みんなの帰りを待ってるッスよ!

(集会所☆4 百竜前)

 

里の一大事において皆の戦いを見守るしかできない、というのは、ハンター見習いとしては少し心苦しいところ。それにしてもなお、彼はどうしてもついて行きたいと駄々をこねたりすることもなく、自分自身がまだ遠征で戦える水準に達していないことを理解して「里の留守を預かる」という指示に従っているわけですから、皆が自分の出来る範囲で役割を果たすというカムラの里の組織としての考え方、そして何よりも「自分の実力を冷静に評価し、勝てない相手に無理に勝負を挑まない」というハンターの鉄則を、彼はこの年齢にしてきちんと理解していることになります。

 

彼の年代であれば、若気の至りで気持ちが逸ってしまう人も多いであろう中で、実力が伴なわないのに狩りに出れば生命の保証はないし、周りの里守の皆にも過分に気を遣わせてしまうことにもなる、ということを十分に弁えた姿勢が取れるのは本当に立派。そんなタイシであればこそ、将来彼がハンターに就任した時には、皆も安心して彼に里の守りを託せるというものでしょう。

 

これは彼自身の謙虚さもさることながら、彼の教官であるウツシが、トレーニングや技術の訓練のみならず、ハンターとして指針にすべき考え方を最初に教え、これを徹底させるという指導をきちんと行っているのだと思います。また後ほど紹介しますが、ウツシの指導は単に狩猟技術の向上だけではなく、ハンターの人間的な成長をもきちんと促すようなものになっている、と感じられる場面が多いんですよ。

 

まあ、少し余談を挟んでおくと、タイシとしては、もし今回の百竜夜行が終わるまでに"見習い"が取れたらいいな……というのが彼の中の密かな目標だったようで、百竜の淵源を討伐しにいく直前に、そのことを主人公ハンターに打ち明けてくれます。

 

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いよいよッスね、センパイ!

2体の古龍が見つかるまでに見習い脱却! …っていう、自分の密かな野望はかないませんでしたけど…

センパイがビシッとやっつけてくれるっスもんね! 自分、バッチリ里を守って、待ってるっス!

(淵源討伐前 タイシ)

 

彼の心情としては、どんどん百竜夜行の解決を進めていく憧れの主人公に対して、少しでも自分が成長しているところを見せたい、という意図なのかもしれませんし、あるいは、仮に正式にハンターになったからといってすぐに主人公の狩りについていくことはできないとしても、「もしもの時にもタイシがいるから里は大丈夫」と主人公に思ってもらえるような、主人公が背中を預けてくれるような存在になりたい、という気持ちもあったのかもしれません。

 

いずれにせよ、彼の密かな目標が叶わなかったからといって彼の積み上げてきた努力が確かなものであることは変わりませんし、ハンター見習いを脱却すべく猛特訓する! という形で、彼は今回の百竜夜行という大きな出来事を自分の中で消化し、向き合ってきたのだということが伝わります。

 

さて、現在はまだ修行の身なれど、いずれ正式にハンターになる日が楽しみな彼ですが、じつは今の段階でもすでに、ハンターとしての眠れる資質を感じさせるような台詞が他にもあるんですよね。私が一番びっくりしたのは次の会話です。

 

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百竜夜行って、いろんなモンスターが群れになって襲ってくるッスね
いつも縄張り争いしたり、食べたり食べられたりしてるモンスターが一緒になって仲良く襲ってくるとか…。

…いや、ホントに意味わからんッス。何かに操られてるんッスかね?

(集会所☆4 タイシ)

 

タイシのこの推測、なかなかどうして近いところを突いてるんですよね。百竜夜行はイブシマキヒコの威風で追い立てられたモンスターの群れなので、正確にはマキヒコに操られているわけではないのですが、それにしてもタイシは自分の知っている知識を基にして、「モンスターを駆り立てている何か別の存在がいるのではないか?」というところまでたどり着いています。これは見事なセンスとしか言いようがありません。

 

他にも、次のようなちょっと面白い発言もあったり。

 

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イブシマキヒコもナルハタタヒメも、まだ生きてどこかにいるらしいッス。めっちゃ根性あるッスね。

まあ、もしこの先、見つかるまで何十年もかかるってことになったら、自分がハンターになって代わりに倒すッス!

なのでセンパイは、安心して引退してくださいッス!

(雷神討伐後 タイシ)

 

ちょ待て待て。勝手に引退させないでください。まあ、どこかへ逃げ去ったナルハタタヒメたちがすぐに見つかるとは限らない、と長期的な視野を持っているのは良いことなんですけどね。ツッコミどころ満載のコメントですが、彼の向上心と自信がうかがえる台詞です。タイシくん、君はきっと将来ビッグになるぜ……!

 

ところで、ウツシの弟子であるタイシとの会話から分かってくるのは、彼の人となりだけではなく、主人公ハンターがかつてハンター見習いとしてウツシに師事していた時に、どんな訓練をしていたのか? ということもあるんですね。主人公はゲームスタート時にはすぐに正式なハンターに就任するので、「ハンター見習いの時はウツシ教官に色々教わっていた」と言われてもいまいち感情移入しづらい部分があるのですが、今まさに見習い修行中であるタイシとの会話がその過去の部分をいくらか補完してくれるわけです。

 

で、主人公も正式なハンターになったとはいえども、ウツシ教官から教わるべきことはまだまだ多い身。ウツシ教官が指導者としてどんな人物なのか? ということをさらに知ってもらうためにも、彼がゲーム中で主人公にくれる様々なアドバイスもこちらで見ていきましょう。

 

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やあ、我が愛弟子よ! 百竜夜行が迫るこの時期にハンター就任とは…運命を感じるね。
百竜夜行はモンスターの群れが襲い来る災禍…。カムラの里のハンターであるキミは、これに立ち向かわなければならない。

まあ、気負うことはないよ。災禍には、里のみんなで挑むんだ。一致団結して乗り越えていこう!

(ハンター登録後 ウツシ)

 

ハンター就任直後のウツシからのありがたいお言葉(?)。ウツシはハンター登録後は闘技大会の受付を始めるため、以後は世間話をする際はヒノエやミノト等と同じく全画面ウツシ状態になるので、上のクリップのようにウツシと主人公ハンターが両方とも画面に映っている状態の世間話、というのは実はかなりレアだったりします。

 

ウツシが言うように、そして以前の記事でも書いたように、本作のカムラの里の主人公ハンターはモンスターに対して「里の皆と一緒に立ち向かう」ことが強調されている存在であり、里を救うとは言っても一人で救うわけではなく、里の団結のキーパーソン、みたいな立ち位置になっています。

 

そういう大変な役割を背負いつつハンターになった主人公だからこそ、ということなのかは分かりませんが、ウツシが主人公ハンターにくれるアドバイスは、がむしゃらに狩猟や技術の向上に取り組むというよりもむしろ、「思い詰めすぎず、何事にも余裕を持つこと」が重要だという方針で一貫しています。

 

ハンターとしての冷静さや視野の広さ、そしてハンター以前に人間としての深みを磨くことを常に心がけておいて欲しい、という意味もあるでしょうし、実際に狩り場で狩猟をするのは自分自身でも、それは決して孤独な戦いではないということを忘れないでほしい、という意味もあるでしょう。とにかく、ウツシは主人公を人間的にも支えてくれる教官という印象を強く抱かせるような人物。たとえば、次の台詞などが代表的なものでしょうか。

 

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おお、我が愛弟子よ! 順調に実績を積んでいるね。
ただ、狩猟だけに集中するのもよくないよ。視野が狭くなって、本来ある自由や可能性、逃げ道を見失ってしまうからね。

たまには里でのんびりしてみたり、モンスターは置いておいて、狩り場をのんびりの散策してみるのもいい。

そうしてると、意外な発見や思わぬ出会いがあるかもしれないよ。何ごとも、余裕を持っておこうね。

(集会所☆2 ウツシ)

 

そして、ウツシ教官のもう一つの―—そして彼の最大の特徴といえば、全身から溢れんばかりのポジティブ精神。まあ、主人公ハンターのことを毎度毎度「愛弟子」と呼んでいるところからして既に暑苦しい大切にしてくれてる感がめちゃくちゃ強いのですが、いつも主人公のことを全力で励ましてくれて、ストーリー進行に伴って主人公が実績を立てれば、その都度まるで自分のことのように心の底から喜び、主人公をべた褒めしてくれます。2つほど会話クリップを載せておきましょう。

 

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おお! 我が愛弟子よ! いやぁ、本当によくがんばったね! キミの活躍もあって防衛大成功だ!

これからも百竜夜行はどんどんやってくるけど、この調子でやっていけば心配なしだ!

…まあ、たいへんだけどね。でも人生で大事なことって、たいへんな作業がつきものだから。

(集会所☆2百竜後 ウツシ)

 

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おお、我が愛弟子よ! ついに上位ハンターになったんだね! おめでとう!

やはり、キミに素質があると見た里長の目は正しかった…。そして、それを鍛え上げた俺も、上手にできた…。

…うん! 感慨深いね! これからもどんどん上を目指していくといい!

ただし、無理はダメだよ! 適度に休憩をとりつつ、余裕を持ってやっていこうね!

(集会所☆4 ウツシ) 

 

特徴的なのは2個目の会話。主人公が上位に昇格したことを祝福してくれる台詞なのですが、愛弟子のことを褒めるにとどまらず、教官である自分自身のことまで褒め始める始末。これまで見てきたとおり、ウツシの指導の質が良いということ自体は私も全面的に賛成しますが、それにしても生徒の前で「俺も上手に教えられた…!」自画自賛する先生があるか? という話ですよね。本人はいたってマジメなのですが、端から見ればツッコミどころ満載です。

 

まあ、彼の名誉のために(?)少しフォローをしておくならば、ここでのウツシの話によれば、主人公がハンターの道を歩むのには里長直々の推薦だったということですから、そのお墨付きを受けた主人公の育成を一手に預かるということで、ウツシも内心では結構緊張していたのかもしれません。

 

作中では教官としての仕事のみならず、百竜夜行関連の調査員としての任務もあり多忙を極めているウツシですが、それが落ち着いたら、実力をつけた主人公ハンターと一緒に狩猟に行きたい、と彼のほうから誘ってくれるシーンもあります。

 

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おお、我が愛弟子よ! キミはホントに、成長が著しいね! ゴコク様も感心していたよ!

キミがほめられると、狩りを教えた教官として、俺もいい気分になる! 自分のことのように嬉しい!

本当はキミと狩りに出たりしたいけど、俺も里長からいろいろと任務が来るから 忙しくてね…。

ま、百竜夜行が終わったら、ちょっとデカめのモンスターでも狩りに行こうか?

(集会所☆3 ウツシ)

 

ゲーム中でウツシが戦っているところを見られるのは百竜夜行で召喚したときだけなのですが、作中の描写を見るに、フゲンから直々にモンスターの偵察任務を承っているようですから、彼のハンターとしての実力は当然折り紙付き(ちなみに武器は双剣)。普段の教官モードのときのテンションは非常に暑苦しいウツシですが、偵察担当としてモンスターに対峙するという時には、冷静沈着でクールな彼の姿を見ることができます。

 

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やあ、我が愛弟子。砦に現れた青い龍については、全力で調査を進めている。

ヒノエさんのこともあるから焦るかもしれないけど、今は落ち着いて、俺たちに委ねて欲しい。

…まあ、大切な里の仲間が被害に遭ったわけで、正直なところ、俺も心情は穏やかじゃないけれど…。

偵察やってる俺が取り乱したら 見つかるものも見つからないからね。深呼吸しつつ、がんばるよ。

(集会所☆4 ウツシ)

 

なんかウツシが普通にかっこいい……?(超失礼)。いや、別にいつもはかっこよくないとかいうわけではないのですが、マキヒコ捜索時のこのウツシの台詞は個人的にかなり好きなんですよ。

 

マキヒコを探すという責任ある立場ながら、ヒノエの事で逸ってしまう主人公の気持ちを汲み取りつつ、それを落ち着かせて安心させてくれる大人の雰囲気といい、彼が普段から教え子にアドバイスしている「心に余裕を持つ」ということを自分自身でも常に徹底していて、それを実践する姿を背中で見せてくれるという教官としての振る舞いといい、非常に頼もしく見えますよね。

 

ウツシは以前の記事でも大きく取り上げたことがありましたが、ある時はお面作りとモンスターのモノマネが得意なアーティスト(?)、ある時は弟子を大切にする熱血の教官、またある時はカムラの里の優秀な偵察班……と才能豊かな人物であり、彼のおそらく最大の功績はカムラの里の英雄となるハンターを育て上げたことですが、まさにこの教官にしてこの弟子あり、という感じです。まあ、ちょっと……いや、だいぶ抜けてるところもあるのですが、それも含めてウツシの魅力です。

 

そんなわけで、本記事ではカムラの里の期待の新星・タイシくんのハンター修行の様子と、そのタイシや主人公ハンターを教えるウツシ教官のことを見てきました。今後の作品でも、過去作のキャラクターがまたいつ登場してくるかも分かりませんから、成長したタイシくんに出会えることを楽しみにしたいところです。

 

最後にちょっとした小ネタを。タイシは里にいるときは、茶屋の椅子の前に座って常に何かしら食べているのですが、話に出てきたうさ団子以外にも、手に持っている食べ物の種類があるんですよ。

 

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まずは何と言ってもうさ団子。時々「この団子には何が入ってるんだろう?」みたいな顔をしながら、のんびりゆったり食事をしています。体感では、この「うさ団子のパターンが一番多い印象です。

 

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続いて、コミツお手製のりんご飴。彼の顎の力ではまだ少し硬いようなのか、「ぬぐぐ……」という感じで噛み切ろうとしている様子が時々見られます。

 

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続いて、セイハクお手製のおにぎり。2個買って両手に持って食べているのですが、どちらか片方から食べるのではなく両手のおにぎりを交互に食べるという荒業(?)が見られます。そして案の定、口の中に入れすぎて「うぷっ……」と息を詰まらせることも。ご飯は逃げませんからどうか落ち着いて食べてください…。それにしても、何かと絡みの多いコミツ&セイハクに対して、タイシはおそらく同年代であろうセイハクやコミツとの絡みがないのが少し気になっていたのですが、タイシもハンター修行一辺倒ではなく、同年代の友達ともきちんと交友関係を持って生活していることが窺えるシーンでもありますね。

それから、ウツシ教官の小ネタも一つ。

 

「ずっと座って仕事をしていたら 体によくによ」と、ご心配いただくことがあります。

お仕事の合間を見て適度に体を動かしていますが、確かにこの仕事は運動不足になりがちです。

……と、このような話を里長やウツシ教官に聞かれては一大事。待ってましたとばかりに地獄のような訓練を勧められてしまいます。

○○さん。いまの話は、どうかご内密に。

(集会所☆6 ミノト)

 

ウツシは一応、ハンターやその見習いを育成するというのが仕事であるわけですが、それだけではどうも彼の指導したい欲みたいなのが満たされないのか、里の住民の誰かが「身体がなまっている」という情報を小耳にはさむやいなや、フゲンと共にここぞとばかりにレーニングを勧めてくるという生態(?)があるらしいです。

 

ミノトは座り仕事な上に、プライベートでも極端に外出をしないインドア派の人物ですから、つねにこの2人の熱血トレーニングメニューの格好の標的(?)にされているのでしょうか。「地獄のような」と言うくらいですから、過去にそのトレーニングを味わった、もしくは他の人がやっているのを目撃したことがあるのかもしれません。

 

まあ、ウツシは里守の育成や戦力管理なんかにもおそらく携わっているでしょうし、いつ百竜夜行が来ても万全の状態で戦えるようにしなければなりませんから、仕事としては決して間違っていないのですが……なんかこう、絵にかいたようなスポ根感がありますね。

 

そんなわけで、ちょっとした小ネタを披露したところで本記事は締めとさせて頂きます。ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!