なにかと誤解されているナカゴさんを救いたい

※注意事項※

・本記事は「モンスターハンターライズ」全編のネタバレを含みますのでご注意ください。
・本記事でのキャラクターや人間関係、世界観の考察に関しては、作中で判明する設定を基にした筆者の推測を含む箇所が多くありますことをご了承ください。
・本記事は、2021年12月17日発売の「モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録」発売前に執筆されたものです。
 したがって今後公開される公式設定は、本記事での考察内容と明確に異なる(=本記事での考察内容が誤りである)可能性がありますことをご了承ください。
・本記事の内容は、記事を改訂すべき点が発見された際には、予告なく加筆修正を致します。
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「作りますか? 鍛えますか?」「強さだけではなく、見た目も大事にしたいですよねぇ~。それでついつい悩んでしまう。お気持ち、わかりますよぉ~。」という数々の名ゼリフのおかげで、今やモンハンライズ里NPCの中でも屈指のネタキャラとなっているナカゴさん。

 

「クエスト受付」「茶屋」「加工屋」など、ハンターさんが直接利用する施設を取り仕切っているキャラの中には、施設利用中のハンターさんがしばらく操作をしないでいると色々と話しかけてきてくれる者もいる(各人2、3パターンくらいはあるでしょうか)というのが今作の仕様なのですが、

ナカゴさんはこの仕様と非常に相性が良く、集会所の加工屋に顔を出して武具を眺めているとすぐに「お気持ち、わかりますよぉ~。」のセリフを言ってきます。

 

キャラが喋り始めるタイミングが割と早く設定されているせいで、集会所の加工屋を利用するハンターの皆さんは高い確率でこのセリフを聞かされることになるため、ナカゴのことを「ユニークで面白い」と感じる人もいれば、逆に「ちょっとウザい」と感じてしまう人もいらっしゃったのも無理はありません。

 

そんな中、Ver.1.0で登場した新システム「重ね着装備」により彼の評価は一変。リノプロSヘルムに呪われていた多くのハンターが待ち望んでいたこのシステムがあのナカゴ発案であることが知られるようになると、「ナカゴさんありがとう!」と彼を高く評価する声が続出したことと存じます。

 

しかし、こうしたナカゴ下げ、からの上げ、という流れを見て、私は「いやちょっと待てや」と思うわけです。重ね着装備とかそれ以前に、ナカゴはすごい素敵なキャラクターなんだと私は皆さんに伝えたい(私と同じように、里NPCの会話を逐一チェックしていたハンターさんの中にも、「ナカゴさんは良い人」という認識を元々持っていた方も結構いらっしゃったのではないでしょうか)。

 

まあ確かに、変な人か、変な人じゃないか、どちらかと聞かれたら間違いなく圧倒的に変な人ではあり、操作待機中のボイスのインパクトも相まってなかなか勘違いされがちな人ではありますが、「ナカゴにそれほど良い印象がないよ…」という方にも、今回の記事を通して、ぜひ少しでも、彼に対する新しい見方を発見してもらえたらいいな、と思っています。

 

ーーーもくじーーー

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①加工屋の同僚のコジリと2人暮らししています

それでは、いよいよ本題。ナカゴさんの人物像に迫っていきましょう。いつものように、さっそく会話のクリップを貼りながら紹介していくところなのですが、その前に、ナカゴを語るためには絶対に欠かすことのできない、本記事のもう1人の主役を紹介しておきます。

 

ナカゴの隣で集会所のオトモ加工屋を取り仕切っているコジリです。

 

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「世間話」で話しかけた時の2人の会話はやや特殊で、集会所の進行度にしたがって会話の内容が変わっていくのは他のNPCと同じなのですが、彼らの場合、ほぼすべての時期において会話内容が互いに連動しているという大きな特徴があります。加工屋の同僚で親友でもあるという関係ですから、息もピッタリということですね!

 

2人は同じ屋根の下で暮らしている仲のようで、同居するようになった経緯についてコジリは次のように言っています。

 

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 フクラがボクの好敵手だとすると ナカゴはボクの親友ニャ。のんびり屋だけど気のいいヤツだニャ。

ただ…仕事はできるのニャけど 普段の生活が危なっかしすぎるのニャ。

料理すれば台所ごと燃やしそうになるし 掃除すれば家ごと更地にする勢いだニャ。

仕方ないからボクが一緒に住んでやってるのニャ。まったく、世話が焼けるのニャ!

(集会所☆3 コジリ)

 

コジリによれば、ナカゴは仕事一筋なせいか極端に家事ができないようで、その様子を心配したコジリが一緒に住んで身の回りのことをやってあげるようになったのだということ。仲良しでも「家事ができないから一緒に住む」までの行動を起こすことはなかなかないと思いますから、コジリはかなり世話焼きな性格なのかもしれませんね。

 

それにしてもまあ、一人暮らしだけど生活力がない、というのは割とよく聞く話ではありますが、「掃除すれば家ごと更地にする」レベルまでくると、もはや家事が苦手というより「家事」を「建築業」と混同しているのではないかという疑いもありますが……。

 

そんなわけで、コジリのおかげでまともな生活を送れるようになったナカゴさん。コジリの有難みをひしひしと感じているようで、コジリの料理の腕前をハンターさんに誇らしげに語ってくれます。

 

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おなかすいたなぁ…。今日のごはんはなんですかねぇ。

僕のごはんは、いつもコジリが用意してくれるんです。

コジリの作るごはん、とってもおいしいんですよ~。

(集会所☆1 ナカゴ)

 

一方でコジリの方も、そんなナカゴについてこんなコメントを。

 

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 今日のごはんはなににしようかニャ。

ナカゴは何を作っても「おいしい」ってモリモリ食べてくれるから 作りがいがあるニャ。

そうだニャァ…… 帰りにカジカのところで大きいお魚でも買って帰るかニャ。

(集会所☆1 コジリ)

 

世の中には料理を分担している家庭もあれば、だれか一人がメインでこなしている家庭もありますが、とくに一人が主に料理をやる場合、「おいしい」とかリアクションを貰えるのってすごく励みになると思うんですよね。ナカゴは料理の腕が今のところ壊滅的なので、現在はコジリにその辺は任せているようですが、コジリが色々やってくれるのを「当たり前」と思わずきちんと嬉しい気持ちを言葉にするので、これはこれでアリな形の家庭だなぁと。

 

ナカゴがコジリの作ってくれるごはんにコメントする会話はさらにもう1パターンあって、今度はお弁当のお話です。

 

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 あ~、おなかすいた。今日のお弁当のおかずはなんですかねぇ。

お弁当って、なんだかワクワクしませんか? 箱の中にいっぱいの「おいしい」がみっちり詰め込まれてる感じで。

コジリのお弁当がまたキレイなんですよ。もちろん味も最高ですけどね!

(集会所☆5 ナカゴ)

 

まだ仕事をしている時間からすでにお弁当を楽しみにしているわけですから、コジリの作ってくれるお弁当が相当好きみたいですね。

ナカゴに好評のお弁当作りの秘訣、コジリは次のように話してくれます。

 

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お弁当作りのコツは 汁気をしっかりきったものを きっちりみっちり詰める、これだけニャ。

あとは反対色を隣同士に詰めるとか、同じ色は遠いところに詰めるとか、その辺りに気を配ればキレイに見えるニャ。

中身は大体残り物とか作り置きとかなんだけど…キレイに詰めるだけでおいしい気がするのがお弁当ニャ。

(集会所☆5 コジリ)

 

普通に料理を作るのとお弁当を作るのって、ちょっとテンションが違いますよね~。具を箱詰めするというひと手間が入るぶん、自分自身や相手に向けてのちょっとしたプレゼントというか、そんな感じがします。

 

お弁当を毎日用意する側からすれば、こういうお弁当の見栄えを良くするテクニックみたいなのも一度覚えてしまえば結構手際よくサクサクと出来てしまうようなものではありますが、それでも自分の作ったお弁当を開けた相手が「綺麗」「おいしい」と褒めてくれると、なんだか自分がすごいことをしている気分になって、日々のやる気に繋がりますよね。

 

それにしても、モンハンを知らない方にこの台詞テキストだけを見せたら、まさかこれが狩猟ゲーのセリフだとはそうそう思わないであろう、この圧倒的生活感。この先紹介する記事も含めてコジリのセリフは料理絡みのものが多く、この記事を全て読んだあなたは料理の基本が頭に入っていること間違いなし、と言っても過言ではありません。

 

少し話がそれますが、コジリたちをはじめとして、里のNPCのセリフにはみんなの日常生活の様子が垣間見えるようなものが大変多く、キャラの「生きている感じ」をプレイヤーに意識させる仕組みになっていると思います。

モンハンライズのストーリーの大きな目的は「カムラの里を守る」ですから、里の人たちの会話に耳を傾ければ傾けるほど、「この里を守りたい」という気持ちをプレイヤーの中に芽吹かせ、没入感を与えるようになっているような気がしますね。

 

はてさて、ナカゴもふだんはコジリに食事を作ってもらっている立場ですが、「さすがに作ってもらってばかりでは申し訳ない」と思ったのか、自身もまったく料理をしないというわけではないです。煮物を作った時のエピソードをナカゴから聞くことができますが、なかなか上手くはいかなかったようで…。

 

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甘いものを食べてるときって、とっても幸せじゃないですか? 僕、甘いもの大好きなんです。

だからこの間、煮物を作った時にたっっぷり砂糖を入れてみたんです。おいしいじゃないですか、甘い煮物。

でもそうしたら…いくら甘いものが好きな僕でもこれは食べられないかな…って感じの味になっちゃって。

捨てるしかないのかなぁと思ってたら、コジリがパパパッと煮込み直して 味付けし直してくれました。

調味料は、たくさん入れればいいってわけじゃないですね。勉強になりました。いやー、やっぱりコジリはすごいなぁ。

(集会所☆2 ナカゴ)

 

ナカゴはかなりの甘党らしく、自分で作ろうとした煮物に砂糖を入れすぎてしまったとのこと。「たっっぷり」と言っているくらいですし、調味料は若干多く入れてしまったくらいではそんなに味に致命的な影響は出ないですから、相当量入れてしまったのでしょう。溶けきれず鍋底でジャリジャリしてしまっているレベルでしょうか…。

 

でも「調味料の分量」という料理に習熟している人にとっては「常識」と思われるようなことですらも、料理をあまりやらない人にとっては全然常識ではないわけですからね。ナカゴを見守りつつも、困っている様子を見たらすかさずフォローを入れるコジリもカッコいいですし、そういうコジリの手際を見て「すごいなぁ」と敬意を持ち、それを見て1つずつ料理のやり方を覚えていこうとする、ナカゴの謙虚な姿勢もステキだと思います。

 

ちなみにナカゴの超甘党については、コジリからは次のようなエピソードを聞くことができます。

 

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ナカゴは甘いものが好きなのニャ。自分でなにか作るとなると なんでもかんでも砂糖を入れたがるニャ。

辛いのは苦手ニャ。本人は言わないけど、ちょっと辛いおかずを出すと、食べるのがゆっくりになるからすぐわかるニャ。

……ボクが辛いもの好きだから 苦手だって言いにくいのかニャ。

あんなにぼんやりしてるのに そういうところは 気を遣ってくれてるみたいニャね。

(集会所☆2 コジリ)

 

なんかちょっと、かわいい……! と思いません?

ナカゴとは対照的にコジリは辛党。コジリとしては、毎食同じような味付けでは飽きが来てしまいますし、ナカゴが甘党とは知りつつもついつい自分の好きな辛めの味付けにしてしまう気持ちも分かります。

 

ナカゴとしては、辛い物はそんなに得意ではないけれども、コジリが辛党だというのなら彼には好きなものを食べてほしいですから「辛い物は出さないでほしい」とは言えないですし、またこれは想像ではありますが、コジリの作ってくれるものは美味しいので、ちょっと苦手な味付けでも苦手度が和らぐ……みたいなことも思っているかもしれません。コジリには食事の大半を任せている手前、食事の味付けくらいは彼の好みを優先してほしい、という考えもあるかも。

 

ナカゴの不器用だけど優しい気遣いになんだかほっこりしますし、その何も言わない態度からナカゴの考えていることを的確に汲み取るのがコジリですから、本当に以心伝心のパートナーという感じですよね~。

 

②あのハモンさんも一目置く鍛冶職人としての腕前

そんなわけで、家事が苦手なナカゴはコジリの手際の良さをとてもリスペクトしているわけですが、逆にコジリから見たナカゴもまた、本職の鍛冶や武具の加工に関して並々ならぬセンスと技量を持っており、同じくリスペクトする対象のようです。

 

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ナカゴ、普段はのほほ~んとしてるけど 作業中の集中力はすごいのニャ。目の色が違うニャ。

手際もいいし、発想も抜群だニャ。さすが、ハモンさんが一目置くだけのことはあるニャ。

どうしてあの手際が普段の生活に活きないのか…。実に不思議だニャ。

(集会所☆4 コジリ)

 

オールマイティに器用なコジリとは対照的に、ナカゴの能力は彼の本職である武具の加工に特化しているみたいですね。彼の私生活の様子を見る限り、あまりにも特化しすぎではないかとツッコミを入れてしまいたくはなりますが、いずれにせよナカゴは、自分の好きなことにはとことん熱中して技術を磨いていくタイプ、という感じの印象を受けます。

 

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集会所の2階にいる加工屋のナカゴは、ワシの弟子のひとりだ。

少しばかり変わった男だが、腕は保証する。その隣にいるオトモ加工屋のコジリも、手際がいい。

集会所のクエストを進めていく中で武具が必要になったら、相談に行くといいだろう。

(集会所☆1 ハモン)

 

ハモンさんは自分の弟子たちのことを本当によく見ている人なんですよね。あのナカゴが「少しばかり変わった」で済んでしまうあたりはさすがの人生経験ですが、ハモンさんは彼の腕前を確かなものと認めている様子。そして後半の台詞も併せて考えると、ハモンさん目線でもナカゴとコジリは名コンビという認識なのでしょうか。何だか微笑ましい話ですね。

 

Ver.1.0で実装された重ね着装備の作成も、作中ではナカゴからハモンに対して提案されたものという設定ですが、ハモンの台詞をちゃんと見てみるとけっこう面白かったりします。

 

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(雷神討伐後 Ver.1.0 ハモン)

集会所加工屋で武具を選んでいるときに聞ける「強さだけではなく、見た目も大事にしたいですよねぇ~。」というナカゴの言葉の真の伏線が、ついにここで回収されたわけですね。装備自体の性能には一切関係なく防具の見た目だけ変更するという、ハモンさんも驚くナカゴの発想力です。

 

重ね着装備はもちろん武具の性能には何も影響がないわけで、ハモンさんのリアクションは果たしてどうなのか……と思えば、ハモンさんは弟子からの提案を「ワシにはない発想」と好意的に受け取り、そのまま実現にまで至らせています。自分自身が比類ない加工の腕を持っているにもかかわらず、弟子のアイデアを取り入れる柔軟さもあるハモンさんの所で修行したからこそ、ナカゴの持ち味である発想力も活かせているのかもしれません。

 

そしてナカゴにとっても、尊敬するハモン師匠に自分の技術が認めてもらえているかどうか、というのはとても大きな関心事。ハモンから特別な仕事を請け負っているときのナカゴからは、ちょっとパリッとした雰囲気の台詞を聞くことができます。

 

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あっ、すみません。少し考え事をしてました。

ハモンさんに、仕事を頼まれていて…。ある武具の部品を新しく作ってほしいって、僕に。

認めてもらえたのかなーって、嬉しくて。ついいつもより力が入っちゃいますねぇ。あはは。

(集会所☆3 ナカゴ)

 

いつも気さくにマイペースにお喋りしてくれるナカゴが、このときはめずらしく、ハンターさんに話しかけられてもしばらく上の空。セリフの最後の方ではいつもののんびりした口調を取り戻してはいますが、嬉しさと緊張感と、色々な感情が滲み出ているのが手に取るようにわかります。

 

部品を「新しく作る」というのが、加工屋的にはグッとくるポイントなのでしょう。私の推測ではありますが、加工屋の仕事のなかで「武具を一から新しく作る」というのは、実際のところは仕事全体の一部分にすぎないはず。

 

里守たちが使っている武具の修繕や手入れをするという仕事や、いわゆる「スタンダードな武器」とされるもの(ゲーム中で言うところの「カムラノ~」系統の武器)をいくつも作って準備・販売するという仕事だったり、そういうものが実際の大部分を占めていると思います。

 

 

となれば、パーツを新しく作って武具の性能を丸々アップグレードするとか、一から新しい武具を作るといったことは、本来はけっこう特別な機会と言えるでしょうし(いつも武具を作って貰っているハンター目線では分かりづらいことですが)、そのぶん普段の仕事よりも難易度は数段上であるように思われます。武具の部品を新しく作るということは、その武具の性能の一番土台になる部分の質がそこで決まるということになりますから。

 

そのように考えると、ナカゴの特別な緊張感もより深く納得できます。そして、尊敬する師匠のハモンから直々にそうした仕事を頼まれるだけの腕前がナカゴにはあるのだと、改めて彼の実力が分かるような気がしますね。

 

ナカゴのすごさ(というか極端すぎる才能)が分かるエピソードがもう1点。 ナカゴの料理関連です。

 

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砂糖と塩って、同じような見た目してるじゃないですか。だから、ほら、間違えるじゃないですか。

この間、煮物に砂糖を入れようとして 間違えて大量の塩を入れてしまったみたいで、しょっぱーい煮物ができたんですよ。

で、それをコジリに言ったら昨日、茶色い砂糖を買ってきてくれたんです。

茶色い砂糖なんてものがあるんですねー。これでもう間違えませんよ! いやー、やっぱりコジリはすごいなぁ。

(集会所☆4 ナカゴ)

 

料理できないキャラの鉄板ネタの一つに「砂糖と塩を間違える」というのがありますが、ナカゴもその例に漏れず、煮物に誤って塩をいっぱい入れてしまった模様。大さじ1~2くらいも入れようものなら、かなりの塩辛さに襲われそうです。スパゲッティ茹でるときのお湯に入れる量じゃないですか…?

 

ともあれ、塩と見分けのつきやすい黒砂糖を買うというコジリの機転のおかげで、今後は間違えずに済みそう。「そんな砂糖があるなんて……!!」と、ナカゴもおめめキラキラです(たぶん)。調味料の区別という、料理経験者からすれば基本知識みたいなことがらでも、ナカゴの目にはやはり新鮮に映ります。「コジリすげー!」と称賛の嵐のナカゴにほっこりして終わるところなのですが、この話には少し続きがありまして…

 

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ナカゴ、砂糖と塩の見分け方がわからないって言うのニャ。たしかに、似てるし紛らわしいニャ。

でも、それを言うなら砂鉄の産地を当てるほうがよっぽど難しいのニャ。

砂糖と塩はボクでもわかるニャ。でも砂鉄の産地はすごく難しいニャ。でもナカゴは簡単にやってのけるニャ。

わけがわからないニャ…。わからないけど、すごいニャ…。

(集会所☆4 コジリ)

 

ナカゴさん、さらっとえげつない特技を持っています。専門家ではない者にはまず判別不可能というのは前提として、ナカゴと同じく一人前に店を任されているコジリですら砂鉄の判別は難しいと言っているのですから、武具の加工に携わる者のなかでもさらに限られた者にしかできない技ということなのでしょう。それをさらっとやってのけるって……やはりただ者ではありません。

 

これ、当のナカゴ目線から見れば、コジリや私たちが砂鉄の産地を当てるのが難しいのと思っているのと同じレベルで、彼は砂糖と塩を見分けるのが難しいと思っている、ということになるのでしょうか。うーん、本当に……? 絶対なんかレベルが違うと思うんだよなぁ……。

 

……さて、そんな猛者っぷりを見せるナカゴさんですが、実は私生活でも、いつも家事をしてくれているコジリのためにその加工の腕を振るったことがあるとのこと。しかし、「家で使う道具」と「武具」とではやはり勝手が違うらしく、なかなかうまくいかなかったみたいです。

 

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この間、家の包丁を研いだんです。最近研いでないなーと思って。

 そしたらなんか楽しくなってきちゃって。職業病ってやつなんですかね。つい、いつもの調子で研いで。

我ながらいい出来だと思ったんですけど、コジリに怒られちゃいました。

食材どころか、まな板も調理台も真っ二つになったって…。

調理器具は、武器と同じってわけにはいかないらしいですね。難しいなぁ……。

(集会所☆5 ナカゴ)

 

まな板も調理台も両断する包丁、まずそもそも元の物が本当にただの包丁だったのかどうかがまず疑わしいレベルですが…。セルレギオスの鱗とか使ってないですよね?

 

まあ、包丁もカムラの里の誇るたたら製鉄の鉄を使っているということであれば、ハンターの使う片手剣とかと素材は同じというわけですから、武器と同じように研げば理論上は片手剣と同等ということに……。いや、さすがにそうはならんやろ。

いかんせんナカゴは刃物の加工に関してピカイチの腕と情熱を持っているがゆえに、いざ包丁を研磨するとなれば、ついつい武器と同じように可能な限りの良い切れ味を追求してしまうんですね。

 

そのため彼の場合は、食材は切れるがまな板や調理台は切れないレベルの切れ味で敢えて止めなければならないという謎のハンデ(?)を背負っているといいますか、そうやって自分にストッパーをかけないといけないわけです。ナカゴが優秀すぎるがゆえのこの悩み。お気持ち……わかりません………。

 

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この間、ナカゴが包丁を研いでくれたニャ。……おかげで、台所がえらいことになってるニャ。

 包丁は、具材が切れればいいのであって 触れるものすべてを真っ二つにする必要はないんだニャ。

具材を切るたびに調理台ごと両断する包丁なんて……

はぁ……才能の無駄遣いとはまさにこのことだニャ。

……にしても、すごい斬れ味だったニャ。包丁じゃなくて、武器の研ぎ方として改めて教えてもらおうかニャ…。

(集会所☆5 コジリ)

 

ナカゴの研いだ包丁を使ったコジリの方も、この唖然っぷりです。ケガに繋がらなかっただけ幸いといったところではありますが…。

コジリの方も「さすがにこれは困る」と、もっときつくナカゴに言ってやっても全然いいところなんですが、最終的に「武器の研ぎ方として教えてもらいたい」となるところがこのコンビの推せるところなんですよね。ナカゴの家事の腕はともかく、加工の腕に関してコジリが本当に彼を高く評価しているのがこういう言葉の端々からも伝わります。

 

ナカゴの家具エピソードについて、もう1点。

 

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お魚って、おいしいですけど 下ごしらえが大変だな~って思ったことありませんか?

で、そんな望みを叶えるからくりを作ってみたんですよ。ハモンさんのからくりを参考にして。

台の上にお魚を置いておくだけで、たーくさんのからくりの腕が動き出して…

なんと、自動でお魚を三枚におろしてくれるんですよ。

便利だと思いません? コジリも喜んでくれたんですよ~。

(集会所☆6 ナカゴ)

 

ナカゴが今回作ったのは自動三枚おろし機。これがもし実用化すれば夢のようなからくりですね。労せずして三枚おろしぃぃぃぃぃ~~(琵琶法師風)が出来るようになるわけですから。はてさて、コジリが実際に使ってみた感想はというと……。

 

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ナカゴ、最近ずーっとなにかを作ってるニャ~と思ってたけど、まさかお魚を三枚おろしにするからくりとはニャ。

お魚をさばく性能は良かったのニャ。それはそれは、綺麗な三枚おろしに仕上がってたニャ。

ただ…… 丁寧すぎてめちゃくちゃ動きが遅いニャ…。終わった時には、お魚干からびてたニャ。

食材は鮮度が命なのニャ! ナカゴは、ほんと料理の基本的なところがわかってないのニャ。

でも、ボクのために頑張ってくれたことは伝わって来たから、それは嬉しかったのニャ。

(集会所☆6 コジリ)

 

魚をさばく精度に関してはナカゴの仕事の丁寧さが光る部分ではあるのですが、肝心の「スピードがないとお魚がしなびてしまう」という所まで頭が回らなかったようで、コジリにはからくりの性能という点では不評だったみたいです。

 

でも、「コジリも喜んでくれた」というナカゴのリアクションを見るに、そのことをナカゴ本人には伝えていないみたいですね。自分のために頑張ってくれたことが嬉しい、とポジティブに捉えられる懐の深さ。ナカゴなりの優しさをきちんと汲み取って理解できる絆と、料理の不得手なナカゴが1つずつ知識を増やしていくのを見守れるコジリの根気があってこその言葉だと思います。

 

それから、ナカゴはコジリの料理の様子からも新しい武器の着想を得ているようで、ハンターさんにこんなアイデアを披露してくれます。

 

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今日のお弁当はおにぎりなんです。おにぎりって、中身は何かなーってワクワクしますよねぇ。

あ……武具にもそういう要素があれば、狩りがワクワクしたりしませんかね?

抜刀するたびに形が変わる刀とか? なにが飛び出すかわからないボウガンとか?

………ワクワクどころじゃなさそうですね。今のはナシで。

(集会所☆6 ナカゴ)

 

抜刀するたびに形が変わる刀……。スラッシュアックスチャージアックスなどの変形武器の機構をさらにパワーアップ……どころか、扱いにかなりの運要素が絡むピーキーな武器になりそうです。そしてボウガンの弾がランダムで発射される機構ともなると、ナルガライトみたいに弾種が特化しているボウガンならまだしも、マジナイランプ(オオナズチのライトボウガン)のようにあらゆる弾種を扱える銃の場合、いまだかつてないカオスが爆誕することに…。

 

とてもハンターの手足として扱える武具ではなさそうです。さすがに武器や防具の存在意義そのものが怪しくなるということで、ナカゴ本人もすぐ却下していますが、こういう発想の自由さはナカゴならではですね。

 

ちなみにこの日のおにぎりの中身が何だったのかは、やはり同じタイミングでコジリから聞くことができます。

 

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今日はうっかり寝坊しちゃったニャ。だからお弁当はおにぎりニャ。

あまりに時間がなかったから具も入ってないニャ。塩むすびニャ。

それなら、セイハクくんのところで買ってくればよかったニャア…。

(集会所☆6 コジリ)

 

お気持ちわかります。時間ないときに「急いで作る」のか「買う」のか、どっちにするか問題。コジリの台詞は毎度毎度、もう生活感の権化という感じでとても共感出来ますね。こういうときは買って済ませても全然良いと思うのですが、それでもなお手作りで用意される方にはほんとに頭が上がりません。

 

微妙に落ち込んでいるコジリですが、ナカゴは塩むすびも「たまにはこういうのも良い」と、いつものように美味しそうに食べてくれるような気がします。こういう時に笑って済ませられる友情って、本当に良いなーと思いますね。

 

さて、これまでの話を総合して、ナカゴは確かに思考回路が常人とちょっとズレているというか、超越しているというか、まあ若干変な人ではあるのですが、ものすごく謙虚で誠実で、一途な性格の人間だと私は思いました。

加工の仕事にまっすぐすぎるあまり、他の物事に関してかなり不器用ではあるのですが、生活力が致命的な自分のためによくしてくれる親友のコジリに自分も色々な形で返そうと、彼なりに気を遣ったり努力したりしているの、すごくピュアですよね。

 

家事ガチ初心者のナカゴは、苦手な料理に挑戦しては何かと失敗を起こしているのですが、そこでフォローを入れてくれるコジリへの深い敬意のようなものがあり、手際のよいコジリの料理から1つ1つ着実に知識や技術を学び取ろうとしているところなんかもとても素直だなーと思います。もしかすると、そういう彼の吸収力が仕事でも発揮されていて、身の回りのあらゆるものをヒントにして自分の仕事にアウトプットしようとする姿勢が、兄弟弟子たちにもハモンさんにも高く評価されている柔軟な発想力の源なのかも?

 

いっぽうのコジリは、仕事一点特化のナカゴとは対照的になんでも器用にこなすことができ、仕事以外が致命的すぎるナカゴの世話を焼いてやる懐の深~い子。頭の回転が良く、他人の行動の裏にある気持ちもきちんと汲み取れるので、相方のナカゴの不器用な優しさでもきちんと彼には伝わっています。

 

2人の台詞を追ってみると、料理関係のやりとりが非常に多かったわけですが、こういうやりとりって現実の私たちの生活でもかなりよく見られますよね。「パートナーの片方が仕事一本でまったく家事をせず、もう片方が家事を一手に請け負っている」というタイプの家庭なんかがまさにそう。大人が3人以上いる家庭もありますが、典型的な例をあげると「家事をしない夫とワンオペで頑張ってる奥さん」みたいな感じでしょうか。こういう家庭で、家事を今までしなかった方も家事にトライしてみる、となったときに、「調味料入れすぎ~~」みたいな、まさにナカゴたちのような状況が発生するわけです。

 

そういう家庭はつねに一定数あると思うのですが、とくにステイホームが唱えられるこのご時世で、今までさっぱりやってこなかった家事に取り組もうとした人はそれなりに多いのではないでしょうか。このコロナ禍の中での発売となるMHRiseにカプコンが狙って仕込んできたのかは定かではありませんが、そういう家庭にとって、ナカゴとコジリの関係ってかなり秀逸なロールモデルだと思うんですよね。

 

例えばよくあるトラブルとして、家事を教えてもらう側が、悪い点を指摘されたときに「せっかく自分が家事もやってあげているのに」と逆ギレみたいになってしまったり、手際の悪い初心者の家事を見て、家事を教える側が「逆に迷惑だから!」と取りあげてしまったり。すんなりと教える/教えられるの立場が成立せず、こういう言葉が喧嘩の火種になってしまうことも現実の世界ではままあること。

 

まあ私個人は各々の家庭環境に口を挟めるような立場でもないですし、とくに教える側の方を考えてみた場合、例えば小さいお子さんがいたりすると、なんか子どもがもう一人増えたみたいでガチでキャパ不足になるみたいなことにもなるので。そうやってちょっとギスギスしてしまうのはやや致し方ないことでもあり、特に責められるようなことでもないのですが、喧嘩になるよりはならない方が良い、というのはやっぱり思うところです。

 

そう考えた時に、ナカゴとコジリの関係って理想の形の一つだなぁと私は思います。互いに互いへのリスペクトがあり、コジリも所々で見かねてフォローを入れつつも、ナカゴの挑戦自体を完全に制止することはありませんし、ナカゴも変なプライドを持ったりすることはなく、コジリから真摯に学び取ろうとする意識があり、コジリに対する彼なりの優しさも忘れません。

 

家事初心者が家事を覚えていくのを見守る、というのは、慣れないことにトライするナカゴの方も当然大変ではありますが、やっぱりコジリの方がより大変なんですよね。自分1人でこなすよりも、他人に教えながらサポートしていく方が労力が必要ですから。その関係を続けられているのはコジリの辛抱強さで持っているところも大きいですし、ここまで述べてきたような2人の絶対的な信頼関係の賜物でもあると思います。

 

さて、ここまでナカゴの本来の姿(?)を、というよりは、彼の良いところはやはり相方のコジリとセットで語りたいということで、ナカゴとコジリの名コンビっぷりを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

しばらくテキストが淡々と続いてしまったので、最後に改めて、お互いのことを褒め合うナカゴとコジリのクリップを見て本記事のまとめとしましょうか。それではまずはナカゴの方から。

 

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この間、コジリが料理してるところを見てたんです。僕も手伝おうとしましたけど 止められちゃったから…。

コジリが白い粉に水を混ぜてこねこねしたら だんだんまとまっていくんですよ。で、それを小さく丸めてお湯で茹でて…。

その間に切った野菜をいためて、味付けして。気が付いたらごはんが炊けてて。煮込み料理みたいなのも完成してて。

同時にいろんなものが出来上がって…。ずーっと見てたはずなのに、わけがわかりませんでしたよ。

実はコジリ、三つ子とかだった…? そうじゃないと説明がつかないんですよね。

(集会所☆3 ナカゴ)

 

コジリの圧倒的マルチタスクに驚きを隠せない様子のナカゴです。そうは言いつつも、彼の台詞からはコジリの料理行程をまめに観察していることが窺えますが、それでいてここで「三つ子とかだった…?」という微妙に謎なコメントが出るあたりもナカゴらしいというか…。ときどき垣間見える、彼のちょっと変なところっていうのも、ある意味では彼の純粋さから来ているのかもしれませんね。続いてコジリ。

 

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料理は準備と並行作業が肝心だニャ。

最初に具材や調味料を全部用意しておくとか 一番時間がかかるものから着手するとか お湯を沸かす間に別のものを作るとかニャ。

ボクが料理するところを見たナカゴが しきりに感心してたニャけど……

武具作ってるときのナカゴは ボクよりよっぽど手際がいいニャ。

作ってるモノは違うけど、やってることは同じなのに…… 不思議だニャ。

(集会所☆3 コジリ)

 

これまた最後にありがたい料理講座です。そしてコジリもコジリで、まったく同じことをナカゴに思っているみたいですね。互いに違う長所を持って補い合う、いい凸凹って感じです。そして願わくばナカゴの武具加工への集中力と技術が、料理にも少しは生かされていってほしい……!!

 

 

というわけで、ナカゴ・コジリ編の記事はここらでお終いとしたいと思います。しばしば「ネタキャラ」扱いされたり、「いちいち話しかけてきてちょっとうざい」などと不評を買いがちなナカゴさんのイメージアップに、私も少しは貢献出来たでしょうか。

 

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう!